宇宙戦艦ヤマト 迷い子達のアンサンブル   作:soul

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時は彼らが分かれる時まで遡る。


第七話 運命に抗う者達

 『エンタープライズE』ブリッジ


 

 

「航海の安全を祈っています、沖田艦長」

『ありがとう、では』

 

 『エンタープライズ』のブリッジに立つピカード艦長は、表面上はにこやかに笑みを浮かべながら通信を切る。そしてピカードは表情を引き締めると、オプス・コンソールに座る士官に問いかけた。

 

「データーの状況は?」

「データー少佐に変化なし、『ヤマト』艦内を移動中です」

 

 艦隊士官として『ヤマト』に赴任したデーター少佐は、超小型の亜空間発信機を持ち込んでいた。艦隊唯一のアンドロイド士官である彼には、色々と隠すところがあるのだ。今も『エンタープライズ』から『ヤマト』艦内をスキャンしながら担当士官は答える。

 

「さて、どうなりますかね?」

「データーなら上手くやるだろう」

 

 ライカーの言葉にピカードはそう答える。そこにはデーター少佐に対する全福の信頼があった。

 

「キャプテン。『ヤマト』が反転、加速していきます」

 

 戦術ステーションでセンサーを見守っていたウォーフの報告に、ピカードとライカーは視線をメイン・ビューワーへ向ける。そこには後部噴出口より青白い光を発しながら遠ざかる『ヤマト』の姿があった。

 

「中々の加速ですね」

「我々も次の任務に向かおう」

 

 そう言ってピカードは艦長席に座る。彼の周囲には有能で信頼できるクルー達がおり、それぞれの部署で己が責務を精力的に全うしている――彼らが居れば、この先どんな事態を迎えてもきっと任務を果たせるはずだ。

 

「コース1-4-3、マーク63、速度ワープ6」

 

 ピカードの進路指示を受けてコン・コンソールに座るホークが設定を行う。

 

EngagE!(エンゲィジ!)

 

 ピカードの号令の元、『USS・エンタープライズE』はスラスターでその巨体を反転させると、二つのワープドライブが光を放って一気にワープ航法へと移行した。

 

 


 

 

 『エンタープライズE』 艦長室

 

 艦長室のデスクに座るピカードは、机の上のシステムを起動して艦長日誌を録音していた。

 

「艦長日誌 宇宙歴55008.2(西暦2378年7月4日)。ワームホールより現れた並行世界からの来訪者『ヤマト』との衝撃的な出会いの後、我々は次の任務である三十光年先の星系へと向かっている。そこには貴重なダイリチウムの鉱床がある可能性が期待される。ダイリチウム結晶は航宙艦のワープドライブには必要不可欠な物質であり、我々はその埋蔵量がどの程度あるか調査しなければならない」

 

 艦長日誌を記録しながらピカードは、これから向かう恒星系に思いを馳せる――ダイリチウム結晶は惑星連邦の領域でも極めて産出量が少なく、また消耗品である。ダイリチウム結晶は特定条件下で反物質と反応しないという極めて特殊な性質を持ち、収束レンズとして反応炉に設置する事で極めて高密度なワープ・プラズマとして利用する事により高ワープ・スピードを得る事が出来る。

 

 高ワープ・スピードは広大な宇宙を進む深宇宙探査艦には必要不可欠な物であり、ダイリチウムの新鉱床を発見する事は惑星連邦に取って重要な意味を持つ。

 

 これまでに得られた資料を読み解いて探査スケジュールの草案を考えながら艦長日誌を記録したピカードは、喉の渇きを覚えてデスクより立ち上がると備え付けのレプリケーターへと近づいた。

 

「アールグレイ」

 

 ピカードの指示でレプリケーターが分子配列を構成してアールグレイの入ったカップを作り出す。カップを手に取ってその香りを楽しんだピカードは疲れが薄らいでいくような錯覚を感じる。

 

「ご機嫌だな、ジャン・リュック」

 

 突然、誰も居ない筈の艦長室に別の誰かの声が響く……その声が誰の声か分からない訳ではない、分かりたくないだけであった。

 

「何の用だ、『Q』!」

 

 うんざりしたような声ながら視線は鋭く、自分が座っていたデスクを睨み付けるピカード。そこには図々しくもデスクに足を置きながら手の爪の手入れをする壮年の男の姿があった。

 

 彼の名は『Q』。それは彼個人を現す物ではなく彼らの種族の名でもある――彼らは特定の姿を持たず、性別や寿命すらも存在しない高位次元生命体であり、全知全能を自称しており、タチの悪いことに本当に全知全能の力を持つ存在なのである。

 

 その性質は気まぐれで傲慢であり、『エンタープライズE』では彼『Q』が姿を現すと、途方もない迷惑を被るトラブルメーカーとして知られており、ピカード艦長の天敵としても知られている。

 

「親愛なる友人に頼みがあってね」

 

 誰が友人だ、とうんざりしたピカードは目の前の『Q』がまた厄介事を持って来たと肩を落とす。

 

「私は忙しい、とっとと帰ってくれ」

「そうつれない事を言うなよ、ジャン・リュック」

 

 ニヤニヤと厭らしい笑を浮かべた『Q』が指を鳴らすとピカードは光に包まれ、気が付いた時には『エンタープライズE』のブリッジに飛ばされていた。

 

 


 

 

 『エンタープライズE』ブリッジ

 

「キャプテン!? 」

 

 突然現れたピカードに驚いたのか、ライカーが椅子から立ち上がって驚いた顔を向けている。その後ろでは戦術ステーションに詰めているウォーフがピカードと一緒に現れた『Q』に携帯しているハンド・フェイザーを抜いて向けるが、『Q』が指を鳴らすとウォーフからハンド・フェイザーが消えて戸惑いの表情を浮かべた。

 

「相変わらず躾のなっていないクリンゴン人だ」

 

 『Q』が小馬鹿にしたような笑を向けると、顔色を変えたウォーフが掴みかかろうとするが、それを片手で制すピカード。掴みかかった所でこの自称全知全能を謳う『Q』には何らダメージを与える事は出来ないだろう。

 

 ピカードの傍に立ったライカーが、うんざりしたような表情で『Q』に「何しに来た」と問い問掛ける……彼もまた『Q』の厄介さを、身を持って体験した一人である。

 

「哀れで矮小たる君達を、特別な慈悲を持って手助けをしようと思ってね」

 

 尊大な物言いに視線を鋭くするピカードに『Q』は気安く近付いて耳元で囁く。

 

「『ヤマト』を追え、ピカード」

「……なに?」

 

 その言葉に疑問を持つピカード。『ヤマト』出現の時には『Q』の関与を疑ったが、尊大で目立ちたがりでトラブルメーカーである彼が全く姿を現さないので関与の可能性は低いと考えていた。

 

 ……そして何より『ヤマト』を追うのに『エンタープライズ』を使うなど、今までの彼の手法からは考えにくい――そんな事をしなくても、彼なら指を鳴らすだけで『ヤマト』を消滅させるだろう。トリッキーな胡散臭い口調で相手を煙に巻き、視線を一身に集めてとんでもない手法で場を引っ掻き回す、それが『Q』と呼ばれる彼のやり方の筈だ。

 

「……何を考えている『Q』?」

「何、あの招かれざる客にご退場願おうと思ってね」

「招かれざる客?」

 

 ピカードの問い掛けに怪しげな笑を浮かべながら『Q』は光と共に消えていく……後には戸惑った表情を浮かべたピカード達の姿が残されるのみであった。

 

「『Q』は一体何をしに来たのでしょう?」

「……さあな、『Q』の考えは分からん。だが、一つ分かった事がある」

「何です?」

「『Q』の言葉を信じるならば、『ヤマト』をこの宇宙に招き入れたのは『Q』ではないという事だ」

 

 突然現れて去っていた『Q』の態度に不審な物を感じたのか険しい顔をするライカーに、ピカードは肩を竦めながら答える……『Q』の言葉をそのまま信じる事は出来ないが、姿を現したと言う事は何らかの意味が有るはずだ。

 

「ウィル、『ヤマト』の航路は分かるな?」

「はい。データー少佐の事をもあるので、把握しています」

「ではコース変更、最大ワープで向かう」

「アイ、キャプテン」

 

 ライカーに任せた後、ピカードは進路変更を艦隊司令部に伝えるべく艦長室へと向かう……『Q』が現れた以上、厄介事の匂いがしてピカードは深くため息を付いた。

 

 


 

 

 『ヤマト』第一艦橋

 

 

 シーガルより浮遊物体内へ入ると報告を受けたが最後、何の報告もない事に気を揉みながら艦橋要員達はシーガルからの報告を待つ。

 

「浮遊物体に変化は?」

「浮遊物体にエネルギー反応は検知できません、変わらず沈黙しています」

 

 沖田艦長の問いに、技術支援席に座った船務長森雪一等宙尉が答える。その時、通信席に座っている相原が困惑した表情で沖田艦長に報告をする。

 

「艦長、惑星連邦のデーター少佐が緊急の報告があると言ってきていますが」

「……繋げ」

 

 一瞬考えた沖田艦長だったが、相原に通信を繋げるよう指示をだす。相原は通信機を操作して艦橋内のスピーカーにデーター少佐からの通信を繋げた。

 

『データーより沖田艦長』

「私だ。どうしたね?」

『現在『ヤマト』は危機的状況にあります。即時撤退を進言します』

「危機的状況?」

『目の前の『キューブ』に近づいてはなりません。速やかに距離を取り。離脱すべきです』

 

 データー少佐の進言に、沖田艦長を始め艦橋に居るクルー達は当惑する。彼は『ヤマト』が危機的な状況にあると言う。どうやらその理由が前方にある浮遊物体――彼が『キューブ』と呼ぶ存在が関係しているらしい。

 

「データー少佐、君はアレが何か知っているのかね」

『アレはあらゆる文明を同化してきた恐るべき種族『ボーグ集合体』が使用する航宙艦『ボーグ・キューブ』です。このままでは『ヤマト』も同化吸収されます』

「……目の前の存在が驚異だという事は分かった。だが現在調査隊が『ボーグ』とかいう船に乗り込んでいる。調査隊を収容し――」

『残念ですが、調査隊のメンバーはすでに同化されているでしょう』

 

 調査隊の帰還を待って離脱するという沖田艦長に、無情な言葉を投げつけるデーター少佐。沖田艦長とデーター少佐のやり取りを聞いていた艦橋のクルーの中で、特に衝撃を受けていたのは森雪であった。しかし状況は彼女に驚いている暇を与えてくれなかった。

 技術支援席の計器が前方の浮遊物体――『ボーグ・キューブ』に動きがあった事を知らせてくる。

 

「前方の浮遊物体のエネルギーが増大!」

 

 沈黙していた『ボーグ・キューブ』に青みがかった光が無数に灯り、完全に稼動状態へと移行した事が伺える。

 

「シーガルに帰還命令をだせ」

 

 沖田艦長の命令に相原が通信機を操作して何度も呼びかけるが、通信が阻害されて連絡を取る事出来ない。焦る相原が呼びかけ続けるが中々繋がらず焦りばかりが募る。

 

 完全に稼動状態となった浮遊物体から緑色の光が『ヤマト』の艦体に降り注ぐ、その緑の光は『ヤマト』の装甲を透過して艦内をくまなく照らし出した。

 

「浮遊物体よりエネルギー波が照射され、装甲を貫通している」

 

 技術支援席に座る森は、浮遊物体から照射される謎のエネルギー波が『ヤマト』の装甲を貫いて艦内にまで届いている事を報告する。謎のエネルギー波は『ヤマト』艦内をくまなく照らしていく。その光は第一艦橋内も照らし、艦内はおろかクルー達の身体をも透過して消えていく。

 

「何だったんだ。今の光は」

「人体に悪い影響は無さそうだったけど」

 

 突然照射された光に戸惑うクルー達。そんな中、相原の操る通信機に前方の浮遊物体から音声通信が届いている事に気付く。

 

「艦長! 前方の浮遊物体から音声通信が入っています」

「繋げ」

 

 沖田の命令で相原が通信機を操作して浮遊物体からの通信をスピーカーに繋げる。誰もが緊張する中、スピーカーより複数の声が混じったかのような耳障りな声が聞こえてくる。

 

『我々は『ボーグ』だ。お前たちの生物的特性と科学技術を同化する、抵抗は無意味だ』

 

 『ヤマト』に一方的な通告を告げた『ボーグ・キューブ』は、ゆっくりと近づいて来る。通告を受けて驚きと戸惑いを感じていたクルー達であったが、『ボーグ・キューブ』の敵対行動に怒りの感情を見せるクルーも複数いた……最初に接触した異星人であるガミラスとは戦争状態になり、救済の手を差し伸べたイスカンダルにはたどり着く道筋が見えない。そしてダメ押しとなったのは今回の銀河系への逆戻りだ。

 

 異星人への不信感と先の見えぬ航海に対する不安が、鬱積した感情となって艦内に蔓延する重苦しい雰囲気となって流れていた。それが『ボーグ・キューブ』の高圧的な勧告によって怒りへと変わっていったのだ。

 

『これより同化する、同化にそなえよ』

「こちらは宇宙戦艦『ヤマト』、こちらに敵対の意思はない」

 

 『ボーグ・キューブ』から再度の勧告が告げられ、沖田艦長は敵対の意思はない事を強調するが何ら返答はない。そして『ボーグ・キューブ』の一点から青い光が『ヤマト』に降り注ぐと、強力な力に固定されたかのように『ヤマト』は身動きが出来なくなる。

 

「浮遊物体より何らかのビームが照射されている」

「舵が効かない!? 各スラスターも効果なし!」

 

 交代要員としてコスモレーダー受信席に座っていた西条未来一等宙曹が『ボーグ・キューブ』からの干渉を報告し、干渉により『ヤマト』の舵が効かなくなった事に驚きの声を上げる島。『ヤマト』艦体に設置されたスラスターが噴射して『ボーグ・キューブ』から逃れようとするが、何かに阻害されて思うように動かない。

 

「森、どうなっている?」

「前方の浮遊物体より大量の重力子が照射されて艦首付近の空間が歪み、艦体に過負荷がかかっています」

 

 技術支援席に付属する各種センサーからの計測情報を解析した森は沖田艦長に報告する。

 

「相原、データー少佐に艦橋に上がるよう伝えろ。彼の経験が必要だ」

「了解」

 

 相原は通信機を操作してデーター少佐に連絡を取り了承を得る。

 程なくして主観エレベーターから桐生に先導されてデーター少佐が第一艦橋に入室する。

 

「参りました」

 

 敬礼するデーター少佐に頷く沖田艦長。

 

「早速だがデーター少佐、前方の浮遊物体――『ボーグ・キューブ』への対処方を教えて欲しい」

「分かりました。『ボーグ』の目的は自分たちを高める物を同化して完全な存在になる事です。出会った宇宙船は最初にスキャンされ、その技術力の程度を解析されます。そして相手が有益であるか脅威であると判断されれば、『ボーグ』は船を解体して取り込むかドローンを送り込んで同化します」

「交渉の余地は?」

「ありません、彼らの目的は文化や技術そのものです」

 

 データー少佐より『ボーグ』という種族の特性――自らを高める為に優れた文化や技術を取り込むというもの。それはあらゆる種族が行っている物であり、それ自体は咎められる事ではないと思う。だが、『ボーグ』のそれは同化という作業によってなされる物であり、そこには相手側の都合は考慮されていない。そんな事は断じて受け入れられない。

 

「……しかたない、全艦戦闘配置!」

「了解! 全艦戦闘配置、全砲門開け!」

「主砲にエネルギー伝達、魚雷発射管一番から六番まで装填」

 

 沖田艦長の決断を受けて『ヤマト』は戦闘態勢に入る。戦闘指揮席に座った南部が戦闘態勢への移行を支持し、砲雷撃管制席に座った北野哲也宙士長が各砲座に指示を送る。

 

「目標『ボーグ・キューブ』上面エネルギー照射部分」

「主砲照準合わせ、仰角調整プラス30――発射準備完了」

 

 沖田艦長の指示で『ヤマト』前方甲板に設置された1番・2番主砲が砲塔を上げて狙いを定める。

 

「撃て」

「撃ち方始め!」

 

 攻撃命令が下り、波動エンジンからエネルギー供給を受けた『ヤマト』の主砲『陽電子衝撃砲』から青白い光が発射されて漆黒の宇宙を照しながら突き進み、『ボーグ・キューブ』の上部構造に存在する『ヤマト』を押し留めるエネルギー照射部分に突き刺さるが、命中する寸前に何らかの障壁に阻まれる。

 

「主砲効果なし! 何らかのシールドに阻まれる」

「かまうな! 撃て!」

 

 障壁に阻まれた事に同様する『ヤマト』クルーだったが、再度の攻撃命令に主砲のみならず『ヤマト』艦橋後部に設置された煙突型の8連装ミサイル発射管からもミサイルが発射されて『ボーグ・キューブ』に襲いかかる。

 『ヤマト』からの集中攻撃に強固な『ボーグ』・シールドも許容範囲を超えたのか、陽電子衝撃砲の一撃がシールドを突破して『ヤマト』を固定しているエネルギー照射部分を貫いて破壊した事により艦体を固定している青いエネルギー波が停止して、『ヤマト』は自由を取り戻す。

 

「沖田艦長、『ヤマト』の攻撃がシールドを突破しても、『ボーグ』は直ぐにシールドを調整して攻撃が効かなくなります。直ちに撤退を」

「いや、まだだ。波動防壁展開! 陸戦隊を編成、このままシーガルが入った亀裂へ突入する」

 

 『ボーグ』との戦闘経験から撤退を提案するデーター少佐に、沖田艦長は否と返す。沖田艦長は次元波動理論の応用である『ヤマト』の防御システムである次元波動振幅防御壁―通称『波動防壁』を展開すると、コスモシーガルが進入した『ボーグ・キューブ』の艦体表面の亀裂に突入を指示する。

 

「両舷全速! 『ヤマト』正面の亀裂に向けて最大船速!」

 

 沖田艦長に指示を受けて『ヤマト』を操舵する島が、『ボーグ・キューブ』表面にある亀裂へ向けて最大船速で突入しようとするが、その前に『ボーグ・キューブ』表面より再び複数の青い光が照射されて、動き出した『ヤマト』の艦体をその場に固定して艦内に衝撃が走る。

 

「――何だ!?」

「――『ボーグ・キューブ』表面より再びエネルギー波が照射されて『ヤマト』を固定している」

 

 衝撃耐えながら事態を把握しようとするクルーに、森の報告が伝えられる。そこにデーター少佐の補足が入る。

 

「『ボーグ・キューブ』は重要な機関を艦体に複数配置しており艦体の70パーセント以上を破壊されないかぎりその機能に問題はなく、また自己修復機能も確認されています」

 

「こうなったら『波動砲』を使いましょう!」

「何を言っている、アソコにはまだ古代達がいるんだぞ!?」

「じゃあ! どうしろって言うんだよ!?」

 

 どうにもならない状況に南部が苦し紛れに波動砲の使用を訴えるが、島に『ボーグ・キューブ』内に居る古代達の事を指摘され戦術指揮席のコンソールを叩く。『ヤマト』をトラクタービームで固定した『ボーグ・キューブ』は白いビームを発射して『ヤマト』の艦体に襲いかかった。

 『ボーグ・キューブ』より放たれた白いビームは、『ヤマト』を守る『波動防壁』と接触すると『波動防壁』に凄まじい負荷を与えて抵抗する『波動防壁』のパワーがどんどん減退していった。

 

「『ボーグ・キューブ』より新たなエネルギー波が放出される」

「波動防壁に過負荷が掛かっています、このままでは突破されます!」

「全火力を持って『ヤマト』を固定しているエネルギー照射機を破壊せよ!」

 

 沖田艦長の号令により『ヤマト』に搭載されている全兵装が稼働して『ボーグ・キューブ』から照射される青い光を止めようとするが、今度は陽電子衝撃砲やミサイルの攻撃を受けても『ボーグ・キューブ』のシールドは突破される事はなかった。

 

「……もう対応されたか」

 

 『ヤマト』の攻撃にビクともしない『ボーグ・キューブ』の姿に、攻撃に対応された事を悟ったデーター少佐は呟く。『ボーグ』は攻撃を受けるとその特性を解析してシールド調整をして無効化する為、数回しか攻撃が通用しない。

 

 有効な反撃が出来ない『ヤマト』に向けて『ボーグ・キューブ』より白いビームが複数照射されて『ヤマト』を守る波動防壁に多大な負荷が掛かる。

 

「――波動防壁40パーセントにダウン、このままでは突破されます!」

 

 悲鳴のような声で報告する太田。艦体は固定され身動きも出来ず、攻撃すらも通用しない危機的な状況に『ヤマト』第一艦橋にいる乗組員達の間に絶望感が押し寄せる……どうにもできない状況だが、何か打開策がないかと必死に考えている乗組員達。

 そして波動防壁が負荷に耐え切れず、ついに消失して白いビームが『ヤマト』の装甲に到達した。

 

「波動防壁消失! 敵ビームが『ヤマト』艦体に到達!」

 

 『ボーグ』より放たれたビームは『ヤマト』の装甲を切断していく。

 

「艦体に亀裂発生! 広がりを見せています」

「隔壁閉鎖、艦体外縁部に居る乗組員はすぐに艦体中央部へ避難せよ!」

 

 技術支援席に座る森より報告を受けた沖田艦長は、艦体外縁部に居る乗組員に退避命令を出す。その間も『ボーグ』より放射されたビームは『ヤマト』の艦体を切り裂いていく――『ボーグ』の攻撃から逃れようと『ヤマト』艦体を切り裂くビームの発射口に向けて攻撃を続けているが『ボーグ』のシールドを突破する事が出来ずにいた。

 

 攻撃は届かず艦体を固定する重力子の発生源を止める事も出来ずに、『ヤマト』の艦体にダメージが蓄積していく……もはや万事休すかと思われたその時、コスモレーダー受信席に座る西条がレーダーに変化があることに気付いた。

 

「――レーダーに感! 後方より船が急速に此方に近付く……これは『エンタープライズ』です!」

 




どうも、しがない小説書きのSOULです。
今回、第七話をお送りしました。
猛威を振るう『ボーグ・キューブ』。相手は悪名高き『ボーグ集合体」はたして、ヤマトとエンタープライズの連合軍は勝てるのか?

では、また近いうちに。
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