潮田 渚の姉は楯の乙女   作:SAKULA

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舞台新章、最高でした……!配信で見ましたが、最果ての花々がカッコよくて……思い出すだけで泣きそうになります。

ひばふみ、えないち、おめでとうございます。はよ契れと言われたリリィが契って幸せです。日羽梨様と綾子様の件も明かされて、情報がどんどん出てきますね。

そんな中、私はコロナ感染して、モチベーションが下がりましたがなんとか頑張ります。




10話 ノインヴェルト戦術 そして……

百合ヶ丘女学院が誇る世界最高峰のレギオン『アールヴヘイム』のノインヴェルト戦術。迫力があり、隙がないパス回しはとても綺麗だった。

 

これを習得すれば、私たちはもっともっと強くなれる!

ノインヴェルト戦術は、強力だけどリスクも高い。マギだってほとんど残らない。でも……やるしかない!

 

そして、ノインヴェルト戦術を習得するための日々が始まった。

パス回しに、位置取りにヒュージから妨害されないためにはどう動くべきか……と、考えることがいっぱいあった。苦労して、少しずつだけど私たちは上手くなった。

 

どんどん上手くなった私たちは、ついに……

 

「では、妨害してくるスモール級の群れを縫ってラージ級に当てるという想定で、テストしてみましょう!」

 

ここまで来た……!実戦に近い練習!

 

「ねえねえ、なんでお外でやるの?」

 

「強力な攻撃だから、周りに被害が出ないように、だって。」

 

「ノインヴェルト戦術は強力ですもんね。」

 

「ノインヴェルト戦術……本当に久しぶり……。」

 

「あたしは失敗のリスクのほうが怖いけど。まあ、四の五の言っても仕方ないか。」

 

やっぱり、経験者がいると安心する……!私はこれが初めてのノインヴェルト戦術だ。自信はないけど、今までやってきたことを信じて、成功させる!

 

「んじゃ、いくよ!はあああぁぁっ!」

 

恋花様が自身のCHARMにノインヴェルト戦術用の弾を装填する。

 

「弾丸にマギが入った!瑤さん、藍ちゃん、美湖ちゃん!パスが入りますよ!」

 

よーし、私もやるぞー!よし、CHARMを構えてパスに備えておく。

 

「瑤!頼むよ!!」

 

「うん、任せて!」

 

恋花様から瑤様にパスを繋ぐ。すごい、スムーズだ!

 

「流石です!瑤様!」

 

「藍っ、いくよ!」

 

次は瑤様から藍!

 

「受け取っ、ったぁっ!」

 

藍……結構キツそう……。私も注意しないと……!

 

「うん、練習通りです!前線のふたりの間で、ヒュージを抑え込む担当と、マギスフィアをキープする担当が、一瞬で入れ替わりましたね!」

 

「らんのマギものっけたっ!美湖、受け取ってーっ!」

 

私の番!絶対に成功させる!

 

「受け取った……!」

 

この時点でかなり重い……!でも、感じる……藍や先輩たちのマギが……!絶対に千香瑠様に届ける……!

 

「千香瑠様、お願いします!」

 

後ろにいる千香瑠様にマギスフィアをパスする。

 

「よし、ここでバックパス通った!」

 

「やれる……やらなきゃ!ふ……くぅうう!!」

 

千香瑠様……キツそう……。

 

「一葉、ターゲットに向かってスタートします!」

 

フィニッシュショットを決める一葉がポイントに向かって走り出す。

 

「千香瑠の超ロングパス。ここが難しい……!」

 

「いや、千香瑠の実力ならできるって。」

 

「そうですよ!千香瑠様を信じましょう!」

 

「一葉ちゃん、お願い!!」

 

千香瑠様が一葉に向かってマギスフィアをパスする。大丈夫、千香瑠様なら絶対に上手くいく!

 

「ナイスパス!」

 

「やったー!通った!さすがです、千香瑠様!」

 

千香瑠様、やっぱりすごい……!この距離でマギスフィアを正確にパスできるなんて……!

 

「ほら、言った通り。」

 

「ぐっ!!これは、みんなの気持ちがこもってる分、重い--!」

 

………大丈夫、一葉ならフィニッシュショットを決められる。一葉が頑張っているのを私は誰よりも知ってる。

 

「でも……!!はぁあああああ!!」

 

持ちこたえた一葉は、フィニッシュショットを放つ。

地面に着弾すると同時に、大きな爆発が起こる。

 

「わっ!!」

 

「きゃあっ!」

 

「すごい、爆風!!」

 

「ひぇー………。これが……ノインヴェルト戦術……!」

 

びっくりした……。6人でこの威力……。9人だともっとすごいってことか……。恐るべし、ノインヴェルト戦術。

 

「うぉおおおお……これは、ヤバい!!」

 

「……すごい。すごいすごい!かっこいーー!!」

 

ふふ、藍はノリノリだなぁ……。それにしても……。私はチラッと見てしまう。

 

「クレーター、できてる……。」

 

地面には大きなクレーターができてしまった。ヤバ………。

 

「校内でやらなくて、よかったですね……。」

 

「うーーーん……。」

 

悶々としている一葉。なにか考え事かな?それにしても……疲れた……。

 

「大分、抑えたはずなのに、身体が重いです。マギの消費はぎりぎりまで絞っても、やっぱり、かなり大きい。」

 

「ノインヴェルト戦術って、こんなにマギを消費するんだね。習ってはいたけど、想像以上だよ……。」

 

はやく休んで美味しい味噌汁が飲みたい……。インスタントでもいいや……。

 

「でもまあ……一葉、これ、成功じゃね!」

 

「はい!皆様、おめでとうございます!これからこの戦術を実戦レベルまで引き上げていきましょう!」

 

そう、本番はここからだ。もっとスムーズに、もっと正確に、ノインヴェルト戦術を磨いていくんだ!私たちがもっともっと強くなるために!

 

それから……ノインヴェルト戦術の訓練を始め、半月が経とうとしていた。

渚もいろいろと忙しいみたいだ。まあ、この季節が1番忙しい時期だし、仕方ないけどね。

 

 

「司令部より各レギオン。新宿区都庁方面にラージ級ヒュージ発生の一報あり。エリアディフェンス外から侵攻した模様。全レギオン、出撃せよ。繰り返す……。」

 

私たち、ヘルヴォルは出撃することになった。私たちが指示されたのは……うん、この辺か。っていうか、今回の任務、ちょっと嫌なんだよね。この辺って、エレンスゲの管轄じゃないし。

 

「このあたりは別のガーデンの管轄じゃ……。」

 

「…………。」

 

「戦闘協力って名前の『外征』だよ。スポンサーの方々へのアピール、新兵器の実験、実験用ヒュージの捕獲一一。学園運営の皆様がたは、いつでも実戦の機会に飢えてらっしゃるからな!……美湖、そんなムスッとしない!」

 

「分かってますけど、やっぱりエレンスゲって適当だな〜と思ったので。」

 

思うんだけどさ、無断で外征してることでスポンサーのアピールがマイナスになってるって感じるのは私だけ?スポンサーもエレンスゲも気づかないくらいバカなの?

 

………なんて、言っても今の状況は変わらないし、やるしかないか。

 

「みんな、もう戦闘区域に入った。注意を……!」

 

「ヘルヴォルよりエレンスゲ司令部へ。ヘルヴォル、戦闘想定区域に現着!」

 

「エレンスゲ司令部よりヘルヴォル。ラージ級の討伐を最優先として行動せよ。」

 

「………ヘルヴォル、了解。」

 

はあ……結局、いつもの命令か。

 

「ラージ級以外で、もたらされる犠牲はしょうがない、ということでしょうか……。」

 

「まあ、そういうことでしょうね。」

 

「ラージ級は当然倒します。そして、守れる命も全て救いましょう!」

 

「……はい!」

 

「………だね、一葉。守ろう、私たちで!」

 

すると、目の前にヒュージが現れる。……よし、やるか!

いつでも戦闘ができるように私はCHARMを構える。

 

「敵、みーけった!!」

 

「フォーメーション・きりんさん!リリィとしての誇りを胸に一一ヘルヴォル出撃!」

 

よーし、いっくぞー!!ヒュージの群れに突っ込み、1体ずつ確実に倒していく。私は射撃で援護していく。

そして……ラージ級を発見し、CHARMで攻撃していく。

 

「……ラージ級……追い詰めた……!」

 

「あとちょっと!」

 

「つっても、こっちもボロボロだけどね……。」

 

「ですね……。危険な時は下がってくださいね、私がレアスキルで治しますから。」

 

「りょーかい、美湖もあんまり無理しないでよ。」

 

恋花様にそう言われ、私は頷く。

 

「……一葉ちゃん、ルドビコから連絡。今応援に向かってる。協力して確実に仕留めましょうって一一。」

 

え、ルド女がこっちに向かってる!?かなり心強い!それなら、ラージ級を倒すことができる可能性がグッと上がる!

 

「………。」

 

一葉は少し考えて、口を開いた。

 

「いえ、私たちだけでいきます。」

 

「はっ!?本気で言ってんの?」

 

「一葉、悪いけど私は反対だよ。さすがにリスクが高すぎる。」

 

相手はラージ級ヒュージ。それに、今の私たちはボロボロの状態。確実に倒すなら、ルド女と協力する方がいいに決まっている。なのに……。

 

「……私たちだけで、戦績を上げる必要があります。ヘルヴォルが、このメンバーでなきゃいけない証明を一一。」

 

「か、一葉ちゃん……!」

 

「確かにそうだけど、無理して戦績を上げる必要はないよ!一葉、親友だからこそ、言わせてもらうよ。今の一葉、全然一葉らしくない!」

 

「美湖……。それでも、私は……!」

 

一葉……もしかして、教導官になにか言われた……?だから、焦ってる?だとすると、序列が低い千香瑠様に関係してる?

 

「美湖も一葉もそのくらいで。戦闘中なんだから。」

 

「瑤様……すみません……。」

 

いけない、私としたことが。戦闘中なのに喧嘩になりかけるなんて……。冷静にならないと……。

 

「私としては、リーダーが言うなら……やろう。」

 

「らん、がんばる!」

 

「フォーメーションお馬さん一一ノインヴェルト戦術を使います!ここで決着をつけましょう!」

 

ノインヴェルト戦術!?あー、もう!やるしかない!

 

「……まさか、ここが最初の使いどころになんなんてね!」

 

「でも、やるからには成功させましょう!恋花様!」

 

「だね、じゃあ、始めるよ!」

 

フォーメーションお馬さんの通りに私はポジションに移動する。

 

「はぁああああ!!」

 

恋花様がCHARMにノインヴェルト戦術の弾を装填し、マギを溜めていく。

 

「ラージ級こちらに接近。攻撃を警戒!」

 

「こちらにとっても好都合です!」

 

「細工は流々!!瑤!!頼むわ!」

 

恋花様が瑤様にマギスフィアをパスする。

 

「ふっ……ぐ!!よし……!うけとめ……た!」

 

「藍!お願い!」

 

次は藍!ここまでは順調!

 

「うん……!!あははは、手がピリピリする!よーし、次は美湖!」

 

藍が私にマギスフィアをパスする。それを私はCHARMで受け止める。

 

「ぐ………。重い……!」

 

千香瑠様にパスをするため、位置を確認すると、

 

「………絶対、絶対成功させる。」

 

意気込んでいた。でも、なんでだろう。千香瑠様もなんかいつもと違う気がする。………気のせい、かな。

 

その時だった。

 

「千香瑠、危ない!」

 

千香瑠様に向かって、ヒュージが攻撃を仕掛けてきた。ヤバい!と思った時、咄嗟に恋花様が庇った。

 

「ん!?」

 

「れ、恋花さん!!血が一一、そんな、私を庇って!」

 

「大丈夫!かすり傷!それより一一!」

 

「恋花様は私がしっかり治します!千香瑠様、受け取ってください!」

 

信じるしかない!大丈夫、千香瑠様なら……きっと……!

 

「え……あ……!!」

 

パスはなんとか千香瑠様に届いた。よし、あとは一葉にパスしてフィニッシュショットをすれば……。

その間に、私は恋花様に駆け寄る。

 

「恋花様、傷、見せてください。」

 

「だから大丈夫だって。かすり傷だって。」

 

「はいはい、黙って私に回復されてください。」

 

私は恋花様の傷を治すため、レアスキル『Z』を使用する。……よし、治った。

 

「本当に大丈夫なのに……でも、ありがとうね。」

 

「これくらい当然ですよ。」

 

一方の千香瑠様は、マギスフィアがかなり重いのか辛そうだ。練習の時よりも重みを感じたマギスフィア。私の時よりも確実に重いはず。でも、あんなに練習したんだ。だから……きっと大丈夫。

 

「う……ぐ……!うぅうう!!ああああああああ!」

 

「あ!方向がずれた!!」

 

この位置だと、走っても届かない!フォローできない!

 

「一葉!!」

 

「一一!と、どかない……!!」

 

あ………そんな…………。

 

「マギ、スフィアが……爆発した……。」

 

「ちっ!失敗か!!」

 

「マギがもう残っていません!作戦変更!撤退します!あとはルドビコに任せましょう!」

 

「了解。………悔しいけど、それしかないもんね。」

 

ノインヴェルト戦術は失敗。マギもCHARMも限界ギリギリ。私たちが生きるためにも、ここからはルド女に任せるしかない。

 

「そんな、私の、私のせいで……。」

 

「千香瑠……。」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、私がしっかりしていればこんなことには……。私のせいだ……私の……。」

 

「千香瑠、あんたのせいじゃ一一」

 

「私がせいよ!!」

 

「千香瑠……様?」

 

「恋花さんが怪我したのも、ノインヴェルト戦術が失敗したもの一一全部、全部私のせい!!」

 

「千香瑠様、落ち着いてください!今は冷静になるべきです!」

 

私がそう言っても、千香瑠様には届いていない。パニックになっている。

 

「千香瑠、どうしたの?なんか変だよ?」

 

「ふふ……。」

 

すると、急に千香瑠様は笑いだした。怖い……一瞬、そう感じた。私の知っている千香瑠様じゃない……。

 

「千香瑠様、どこへ行くんですか!?」

 

「決まってるわ。私が責任を取るのよ。」

 

「バカなこと言わないで!マギの残りも少ないんだよ!こんな状態で、ヒュージと戦ったら死んじゃうよ!」

 

「そうですよ!行ってはダメです!」

 

「恋花さん、美湖ちゃん、そこをどいてください。私が責任を一一。」

 

絶対にどかない。だって、どいたら………千香瑠様は……。

 

「ダメだよ。千香瑠。」

 

「藍ちゃん……?」

 

「千香瑠、らんに言ったよね?らんに死んでほしくないって。らんもね。千香瑠には死んでほしくないよ。」

 

藍はとても悲しそうな顔をしていた。泣きそうになっているのを必死で我慢しているように私は見えた。

 

「…………。……でも、私は……。」

 

「千香瑠様、帰りましょう。私も、千香瑠様が死ぬのは嫌です。」

 

「美湖の言う通りです。千香瑠様、帰りましょう。」

 

「…………。」

 

「……行こう、千香瑠!」

 

手を差し伸べる。千香瑠様は少し悩んでから、私は手を取った。

 

「私の……せいで……!」

 

最後まで千香瑠様はそう言っていた。自分を責め続けた。

 

その後、私たちは撤退に成功。

ルド女も駆けつけたが、ラージ級を仕留めることができず、そのまま逃走し、姿を見失った。

 

それは……私たちが、ヘルヴォルが敗北したということを明確にした。

 

 

 

 

 

 




叛逆のスキャルドメール、やっと半分近くまで終わりました。………え、まだ半分!?ストーリー自体、1時間以上あるので仕方ないのかもしれないです。

誤字脱字があればご報告をお願いいたします。
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