死神に転職して幻想入りしました ~東方死転職~   作:生おろしのレンコン

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闇に繋がる

身体が熱く燃え上がる。

なんの比喩でも無く、身体に炎がまとわりつく。だが、その炎は紅でも蒼でも無く、黒く、闇のような炎だった。

ミコトに噛み付いていた少女も驚き離れ、困惑しているようだった。

一方ミコトは炎に焼かれる感覚で苦しんでいた。

声にならない声を漏らしながら、何とか抜け出そうとする。が、闇雲に暴れたとしても炎の勢いは増すばかり、いつしか意識は薄くなり、視界が闇に飲み込まれる。

 

「な..一体何が起きたの...」

 

少女はそれしか言えなかった。

目の前には黒い炎に飲み込まれ、倒れている男。先程まで暴れ回っていたが、意識が途切れたのか動かなくなっていた。

彼を食べたいのだが、炎が邪魔で近づけもしない、これでは食べられないと諦め、この場から離れようと背を向けた時。

炎が弾ける音が聞こえた。

少女が何事かと男の方を向くと、そこには意識が無いはずの男が立っていた。

炎は無くなっているが、男の顔は俯いており、表情は見えなかった。

全身は脱力している様に見え、まるで何かに操られているかのよう。

不思議に思った少女だったが、炎が取れたのなら好都合と話し始める。

 

「やっぱり貴方は妖怪だったのね..。でもまぁ...今は食べれれば何でもいいわ。どちらにしろ、力の差は歴然なの!」

 

そう言って、弾幕を撃ち放つ。弱らせて確実に喰らうため、少し威力を落とした弾幕を連射する。

男は避ける様子が無く、少女視点からは直撃したように見えた。

数秒程して、舞い上がった土埃が晴れた時、中から男が姿を現した。

何処にも傷がなく、弾幕が撃たれる前と全く同じ姿をした男が。

流石の少女もこれは予想外だったようで、一瞬動きが止まる。

 

それを男は見逃さなかった。

少女の懐へ潜り込み、首を掴む。少女も反応が出来ず、されるがままに背後へあった木へと身体を固定された。

 

「く..くるし....離して....!」

 

少女は手で男の腕を掻き、足で抵抗をする。だが、男は力を緩めることは無く、逆に強くなっていく。

その時、少女は男の顔を見る事が出来た。いや、見る事は出来たが、視認することは出来なかった。

まるで闇に包まれるかのように顔が真っ黒、鼻の場所も、口の場所も何もかも分からない。

その部分だけくり抜かれたかのように、そこには闇が存在していた。

しかし、少女はその闇に見覚えがあった。

 

「なんで..私の闇を纏ってるの...」

 

少女はその闇が自分にしか扱えない事を知っていた。今まで自分と同じ能力、似たような能力など聞いた事が無いため、ソレが怖くて仕方が無かった。

 

そんな事を思っている間にも男の腕に力が込められていく。

少女も呼吸が出来ない程まで締まり、抵抗する力さえ出なくなってしまう。

そのまま男が絞め殺すのかと思いきや、いきなり力が緩み、少女が地面に落ちた。

少女は咳き込み、数十秒ぶりに新鮮な空気を取り込む。その間に男は頭を両手で抱え、苦しんでいるような、悶えているような行動を取る。

 

少女には、男が顔にまとわりつく闇を取り除こうとしているように捉えられた。自分と同じ能力、闇に関する力で悩んでいる姿は自分と重ねてしまう。そのためか、少女は何故か助けてやりたいと思った。

覚悟を決め、ゆっくりと立ち上がり、男に近づく。

 

「私が何とかするから...動かないで...」

 

その声が聞こえたのか、男はピタリと顔を引っ掻くのを辞めた。

少女は手をその闇に重ねるが、酷くこびり付いていた。恐らく、男には目の前の景色も、呼吸すらも出来ていないだろうと理解出来る。

この闇は男に直接干渉しないと取り除く事は出来ない。そう判断した少女は、唇を男の闇へと沈めていくのだった...。

 

 

.....ふと、ミコトは意識を取り戻す。

木漏れ日がミコトの目に入り込み、眩しそうに目を顰める。何があったのか、ほぼ覚えてないが、何か真っ黒な夢を見ていた気がする。

そんな事を考えていると、ミコトは口の中に違和感を感じた。

 

「..?...なんだろ...少し甘い...倒れてる間に露か何か入ったのかな...」

 

表現するのは難しいが、自分の口からは感じられない感覚だった。まるで、果実を食べた後の様な味が口の中を漂っていた。

不思議に思いつつも、取り敢えずここから離れようと、木に手を付き立ち上がろうとすると、下に紙が置かれているのに気づく。

屈んで拾ってみると、少し雑な字で何か書かれていた。

 

「えっと....今日は、食べるのを...勘弁?してやる....いつかお前を食べにきてやる...るーみあ..?より...」

 

ルーミア、と言う名前に覚えは無いが、十中八九あの少女だろうとは予想が着いた。

あまり食べられたくは無いが、今は助かった事を喜ぶべきだろう。

ほっと胸を撫で下ろすと、ミコトは左手の小指が無いことに気が付いた。

 

「....食べられたか..」

 

噛み跡が見られたため、恐らくルーミアに食べられたと考えられた。ただ、小指程度なら特に支障は無いだろうと、森から歩いて出ていく。

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