死神に転職して幻想入りしました ~東方死転職~ 作:生おろしのレンコン
彼岸の道を一人、男が歩く。自分がこれから裁かれると理解しながら、その恐怖に鼓動を早めてしまいながら、早足で審判の間へと歩き続ける。さっきまで喋っていた死神はもう居ない。何も喋らず、無言で審判の間へとたどり着く。
その間は目の前に大きな壁とも言える台があった。周りを見渡せば壁は無いが世間一般的な裁判所と同じ造りをしていた。ドキドキする気持ちを抑えながら、間の中心へと歩くと、目の前の台から声が聞こえる。
「ようやく来ましたか..。さて、早速裁判を始めましょう。そこの椅子に座って下さい」
男が声のした方に目を向けると、閻魔と思しき少女が座っていた。その少女は緑色の髪で向かって左側がやや長い様に見える。頭には帽子を被り後ろに白と赤のリボンがたなびいている。少し幼い顔立ちな気もするが、力の差は圧倒的と言えばいいのだろうか、彼女には嘘も何もかも見抜かれる様な気がして堪らない。此処で変な事をしたら判決に支障が出るかもしれないと思い、男は言われた通り、椅子に腰をかける。それを見た少女は言葉を続ける。
「心の準備は出来ているようですね。それでは、貴方の人生を見て、判決を下していきましょう」
そう言うと一つの鏡を取り出し、それに男が映るように向ける。すると鏡が見る見るうちに男の過去を映し出す。これが何なのか、男は凄く気になったが、裁判の邪魔をしては悪いと口を慎む。
「そんなに気負いせず、発言はして良いですよ。貴方の言葉が本当かどうかは、私には一目見て分かりますから」
少女はまるで心を呼んだかのように、男の事を見透かしていた。嘘は通じない、思っている事も大体把握される、流石は閻魔様だ、と口には出さず鏡に映る自分の過去を見つめる。そこに映るのは懐かしい光景もあれば、思い出したくない様な光景も様々であった。子供の頃、学生の頃、就活の頃、働き盛りの頃、自分の頭の中で眠っていた記憶が蘇ってくる。そして最後には、交差点で倒れた自分が映し出され、鏡は映し出すのを辞めた。
「相当過酷な人生を送っていたのですね...。死因は過労死、齢37にて、貴方は息を引き取りました。それで合ってますか?」
閻魔からの質問に首を縦に振り、肯定する。すると閻魔は少し悩んだ素振りを見せる。数秒悩み、閻魔は話を続ける。
「貴方の判決は決まりました。ですが、貴方の人生はあまりにも白すぎます。何処を探しても、何処を見ても、悪行が見当たりません。強いていえば自分の事をしっかり考えない、と言う事でしょうか。しかしこれだけの人間を失うのも惜しいとも思います。そこで、貴方が良ければ...此処で死神として働いてみませんか?」
閻魔はそんな事を話す。男は面食らった様になり、最初はなんと言っているのか分からなかったが、少し考えれば理解出来た。だが、話の食い違いが起きては困る為、一応聞き返す。
「あの...質問なのですが、判決は白...という事は、天国行きという事になるのでしょうか..。それと、死神として働く...とは先程出会った女性...小野塚さんと同じ仕事という事で間違い無いですか?」
閻魔からの気迫に押されながら、恐る恐る発言をする。すると閻魔は軽く頷き
「えぇ、それで大体合っています。生憎此処に天国などと言う所はありませんので...この世界で転生を待つ事になります。しかし、貴方の勤勉さに惚れ惚れしまして、貴方を所謂..すかうと...ですか?してみようと思いました。それで、転生して新たな生を始めるか、死神として新たな人生を始めるか、今すぐにとは言いません、自分の望む結果を...決めてください」
閻魔は決める為の猶予をくれるようだ。だが、男の選択は既に決まっていた。
「私は...自分の取り柄が何かに集中してやり続ける事、それだけでした。だけれど、それで役に立てるのだとするならば、幾らきつい仕事だろうとやり遂げて来ました。働く事は嫌だと言いながらも、働く事が楽しみになっていたのでしょう、私の選択は...死神として、此処で働かせて下さい!」
男の眼は希望に満ちた様な明るい眼をしていた。生きていた時にはした事が無いであろう満面の笑みを浮かべて、閻魔にそう言葉を返す。
四季映姫の帽子ってなんて言えば良いんでしょうか...。語彙力が無くて帽子の表現が出来なくて妥協してしまいました...。この主人公の様に頑張らないと...。
さて、次回は遂に幻想郷へと足を踏み入れます!
お楽しみに!