死神に転職して幻想入りしました ~東方死転職~   作:生おろしのレンコン

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第一章-紅魔の血
壊れた心の吸血鬼-一つ目の生死の分け目


幻想郷にある人里、日は完全に落ち、人は皆寝静まり、妖怪が活発になる時間帯の頃に、一つの影が飛来する。人里の中心地である商店街、昼は活気溢れる場所へと影は降り立つ。

月明かりに照らされ、影はその姿を表した。

深紅を基調とした半袖とミニスカートを着ている外見は十代前半程の少女だ。顔は暗く、良くは見えないが、紅く光る瞳に黄色..いや、金色の髪が揺れる。だが、人で無いことは見るだけで確かだ。その少女には八つの結晶を下げた翼を持っているのだ。

その少女はいきなり片手を挙げたかと思うと、その手を握り締めた。その途端、少女の前にあった店が大きな音を立てて崩れて行った。中に人は居ないようだが、寝静まる人々も目を覚ます程の轟音が人里に響き渡った。

 

何だ何だと寝ていた人々が大通りへと身体を出す。だが、寝ぼけ眼の人々は一瞬で背筋が凍るような感覚に襲われる。轟音の先には一人の人ではない少女と崩れる建物、轟音が響く中、人の声も反響する。

 

「妖怪だ!妖怪が出たぞ!」

 

と....

 

 

慧音にその報告が届くのはそう時間はかからなかった。寺子屋に人が押し寄せ、慧音の指示に従い避難場所の確保を行っていた。

その騒がしさが耳に届き、ミコトはようやく目を覚ました。寝ぼけて上手く思考が回らないが、人の騒ぐ声、何か燃えるような音、外が見える窓からは赤く燃え上がっている外が見えた。

 

「な..何が起きてんだ...火事でも起きてるんなら手伝わないと..」

 

急いで寝間着から動きやすい服に着替え、慧音達のいる元へと向かった。

 

 

 

「あ..ミコト君!ちょっと手伝って貰っていいかい!?」

 

慧音の元につくや否や、そう言われる。ミコトは訳が分からないため、どうしてこうなっているのか聞いてみるが

 

「今話すと少し長くなってしまうよ!取り敢えず、人の誘導を頼みたいんだ!このままだと溢れかえってしまう!」

 

「な..何だかよく分からないですが...誘導してれば良いんですね!?」

 

寺子屋が溢れかえりそうな程に混み合っているのを見ると、慧音だけでは手が回らないようだった。二人で寺子屋の中、それぞれの部屋に誘導し、人々の安全性を確保していく。寺子屋は他の家と違い、丈夫に作られている為、ちょっとやそっとの事では壊れたり、激しく燃えたりはしないだろう。

 

ある程度人が減って、余裕が出てくると慧音が語りかけてくる。

 

「ミコト君、少し君に頼みたい事があるんだ...ここから東に行った場所、そこに小さめの神社がある。そこにいる巫女に[吸血鬼が人里で暴れてる]と伝えてくれないか?...出来ればでいいんだが.」

 

「出来ればも何も..こんな慌ただしい時には断る事はしませんよ。取り敢えず東に向かえばいいんですね?」

 

こうも非常事態じみた時に断る事なんてそうそうできない。そう思ったミコトは快く頼み事を受け入れることにした。人里から東に行くには今騒ぎになっている商店街近くを通らなければ行けないが..背に腹は変えられないと急ぐことにした。

 

 

「..くっそ...盛大に燃えてやがる....急がなきゃ行けないが、ルートを考えなきゃ焼けてしまうぞ..」

 

寺子屋から数分走り、時折通れない場所はルートを変えながら、問題の商店街近くに辿り着いた。そこは地獄のように轟音を立てながら燃えていた。

 

「一体どうしてこんな事に...慧音さんが言うには吸血鬼が何たらかんたらと..幻想郷に来て初日から命の危機に晒されるのは勘弁して欲しいが..」

 

愚痴を漏らしながらも、安全に通れる場所を探して進んでいく。商店街さえ抜ければ、後は真っ直ぐ走るだけ。被害を出来るだけ少なくする為、偶に火傷覚悟で突っ切って行く。

 

暫くして、少し開けた場所に出た。瓦礫で壁が出来ている様に見える場所の中心には、一つの人影があった。

 

「ひ..人?逃げ遅れてるようなら..寺子屋まで送った方が良いかな..」

 

その姿を見ながらそんな事を考えていると、ミコトは違和感を感じた。その姿は幼い姿ながらもどこか近寄り難い印象を持たせる。煌めく八色の結晶がミコトの目に入り、ようやく近寄り難い理由を理解した。

 

「マジか...あれが慧音の言ってた吸血鬼なのか..迷って何か居られないな..逃げるしか..」

 

ミコトが入ってきた場所から逃げようとするが、偶然なのか、必然なのか、大きな爆発が鳴り響き、退路を断つ。瓦礫が更に積み重なり、熱風がミコトを襲う。幸いな事に、火傷するほどでは無かった。が、逃げられない事を理解してしまった。

 

「まじかよ...吸血鬼と1対1は無理だって...」

 

逃げれないのなら、何とか隙をついて瓦礫の山を登らないと行けない。だが、その為には吸血鬼の気を他に向けるか、相手を怯ませ無ければいけない。そうしなければ、無事ではすまないだろうと考えた。

話して解決したいが少女の様子から見るに、話が通じるような気はしない。

 

「..いやいや...妖怪の身体とはいえ、慣れてないのに吸血鬼と渡り合えるわけ無いじゃん...。でも..応戦ぐらいは出来ると信じたい...」

 

流石にタイマンで張り合えるとは思ってはいない。人間の身体が少し丈夫に、強くなっただけなのだ。だからといって、やらない訳にはいかない。息を整え、無駄な事を考えない。一瞬の間違いが命取りとなる戦闘、逃げる事だけを考える。

 

「...死にたくねぇ...新しい人生を貰ったのにすぐ死んで溜まるかよ...この人生だけは、長く持たせてやるんだよ!」

 

そう言葉を言い放って、深く膝を曲げ、走り出す構えを取る。少女を見つめ、一瞬の動きも見逃さないつもりだ。炎の燃え上がる音だけが響き渡り、ミコトに汗が伝う。緊迫した空間で先に動いたのは、少女だった。

 

腕をミコトに向けたかと思うと、一瞬にして姿を消した。いや、目にも映らぬ速さで移動しただけだが、ミコトからは消えた様にしか見えなかった。どこに行ったか、ミコトには分からなかったが、集中していた甲斐があってか、音で判別する。ミコトは大きく右に飛ぶと、左から風を裂く音が鳴る。それと同時に、ミコトのいた場所は鎌で抉られたかのように穴が空いた。

 

「..気づけてよかった...ワンチャン一撃で死ぬわアレ..」

 

人智を超えた力と速さを前に、思わず息を飲む。アレに当たればどうなるかなんて、考えたくも無い。だが、怯む訳にも行かず、一番瓦礫が低い所に走る。距離はざっと10m程、何時もならすぐに着くはずの距離。だが、その時だけは幾千もの距離に感じる。時間の進みも遅い気がする。

 

また音がする。右と後ろ、そして上だ。走る慣性を活かし、左前へと飛ぶ。何かが背中を掠ったような気がした。もう痛みなんて感じてる暇は無い。何故音が複数したかなんて考える事も無い。逃げる事だけを考えた。

次は左と右、これも慣性を活かして前に飛ぶ。が、慣れない身体、脚が絡まってしまう。大きく前に転け、腕で受身を取る。急いで立ち上がろうとするが、それよりも速く、少女の蹴りが届いてしまう。

 

「いっ!!...てぇ...」

 

横腹を蹴られ、強く飛ばされてしまう。だが、逃げる為のルートは少し近くなった。痛む腹を抑え、急いで起き上がる。少女の方向を向くと、あまりの有り得なさに目を見開いてしまう。

 

「よ...四人...?反則..だろ....」

 

そう、四人に増えていたのだ。だから複数音がして、あの速さを実現出来たのかと理解した。

少し蹴飛ばされたお陰で頭が冷えた気がした。四人動きを全て見る事は出来ないが、四人いる事が分かっていれば、ある程度は対応出来る。

自信がついたなら、第二回戦。今度は先にミコトが動く。逃げ道までは目と鼻の先、あとは瓦礫を登るのみ。

瓦礫の高さはざっと4m、山なりの為、駆け上がる事は可能。ここも一瞬たりとも油断出来ない。相手は四人、一人一人を感じて避けるだけ、難しく考えない。

 

「行ける!ここさえ超えれば、後は全力で走るだけだ!」

 

瓦礫を登る前に三人の少女が殴りにかかってくる。それぞれ単調で、詰みそうな配置では無い。掠りはするが、それだけなら気をかける程ではない。もう一人は何処にいるかと横目で確認、元の場所から動かず、こちらをじっと見ているようだ。

 

「..何か狙っているのか..?いや、ここは馬鹿正直に登るしかない...か」

 

考える暇なんて無い、瓦礫に足をかけ、上へ上へと足を進めていく。妨害は何も無い、諦めたのかと思ったが、油断はしない。耳を済まし、攻撃に備えたが、何も来ない。

 

遂に、瓦礫の頂点に足をかけ、後は走るのみ。だったのだが..そうは上手くいかなかった。一瞬、空気の斬る音がなったかと思うと、何かに刺さるかの様な鈍い音が響いた。何が起きたかはすぐに理解出来る。

 

ミコトの背中に一本の棒のようなものをが突き刺さっていた。気付いた途端、背中が痛い..よりも熱い感覚に襲われ、足に力が入らなくなる。瓦礫の山から転げ落ち、地面に叩きつけられる。感じたことも無い痛み、身体が貫かれるのはこれ程までに辛いのだと、知ってしまう。

 

顔をあげると、うっすらと神社の鳥居が見える。

 

「..クソが...彼処まで行けば.....行ければ..」

 

そう嘆いても力が上手く入らない。震える腕で身体を起こしていると、後ろから瓦礫を踏む音が聞こえる。ミコトは何を思うか、笑ってしまう。そして、小さな声で呟く。

 

「現実の詰みって..こんな事も言うんだな....」

 

後ろから何かを振り上げる音が聞こえ、ミコトは覚悟し、目を瞑った。




戦闘?では無いか、どちらかと言うと負けイベに近いかもなぁ...。うーん可哀想なミコト君....
どんな文にすれば緊迫感がでるか、全く分からずに感とその場のノリで書いたけど、まぁ別に良いですね!うん!
さて、いきなりピンチに陥りましたが..次回はどうなるんでしょうか...お楽しみに!
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