死神に転職して幻想入りしました ~東方死転職~ 作:生おろしのレンコン
吸血鬼に変貌してしまったミコトは自分の中から溢れ出てくる力に驚愕していた。
今ならば、人に出来ない動きができる気がする。いや、出来ると確信した。
ミコトが紫を見ると、全てを見透かした様な目でこちらを見ていた。
紫の手には鬼の面が握られており、それをミコトに差し出す。
「今から、その力を使ってあの吸血鬼、フランドール・スカーレットを倒してきなさい。でも、身バレを防ぐ為にこの面は付けておいてね。貴方の存在がバレると少し面倒だから」
ミコトは言われた通り、鬼の面を顔につける。何の変哲もないタダのお面だ。
「さぁ、早く行きなさい。初めての戦闘だけれど、くれぐれも油断はしない事ね」
紫が背中を軽く押してくれる。あまり自信はないが、ここで行かないなんて言えばそれこそ面倒くさいと思い、ミコトはゆっくりと戦場へ足を進めていく。
「ふふ..中々頼もしい人だ事...勝てるかどうかは、知らないけどね....」
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「..妹様、いつもと違って力の暴走が大きい...。あまり時間をかける訳には行けないのに...」
「咲夜!考える暇があるなら戦闘に集中なさい!フラン相手は一瞬が命取りなんだから!」
激しい弾幕が飛び交う戦場。
主に言われた通り、咲夜は集中する。だが、それだけで戦況が好転する訳もなく、止まらない攻撃を避け続ける事しか出来なかった。
主が幾つかの攻撃を当ててはくれているものの、フランにとっては二、三発は余裕で耐えられる。
咲夜が能力を使おうとしても、何かに妨害されているかのように、上手く扱うことが出来ない。
「どうして..いつもなら能力で抑えられるのに...!」
どう頑張っても能力が使えない。使い方を忘れた、だとか制限があるだなんて事は無い。初めは使えていたが、途中から抑えられてしまうのだ。
焦りが咲夜を襲う。何とかしてこの状況を打破しようと、他のことに意識を割いてしまう。ほんの一瞬、意識を割いてしまっただけなのに..
「危ない!咲夜!!」
気が付けば、弾幕に囲まれていた。咲夜は本能で分かってしまう。
避けられない、と。
何も出来ずに、目を閉じて痛みを受け入れる。だが、聞こえて来たのは自分に当たる音では無かった。
「お...嬢.....様?」
目の前に居たのは咲夜の代わりに弾幕を受けた主の姿だった。
主は咲夜を見ると、あとは頼んだと任せるかのように咲夜の方に倒れる。
咲夜の足は震えていた。主が身を呈して守ってくれたのに、フランの足元にも及ばない真実に、恐怖していた。
フランの手が目の前にかざされる。怖くて、辛くて、何も出来ない。
頼みの綱であった霊夢も、まだ来ない。息を飲んで、死を覚悟する。
その瞬間、目の前からフランが消えた。
驚きのあまり、目を見開く。フランがいた場所には、一本の青く燃える剣。
何が起きたのかと、思考をめぐらせている時、目の前に救世主が現れた。
鬼の面を被り、まるでフランの写鏡の様な姿。だが、体型は男で、身長も相当高い。青い剣を持つその姿は霊夢と似た雰囲気を漂わせる。
「だ...誰なの?」
咲夜は無意識に言葉を発していた。誰だか分からないが、助けてくれた人物に向けて。
だが、その人物は咲夜に一本のナイフを渡す。
まるでお前も戦えと言わんばかりに見つめてくる。
そして、咲夜はそのナイフを握っていた。ここで諦めてどうするのか、主が自分の事をかえりみずに守ってくれたのに、ここで倒れていいわけが無い。
「...分かりました。私もまだ戦います。お嬢様の為にも、妹様の為にも...」