死神に転職して幻想入りしました ~東方死転職~   作:生おろしのレンコン

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完璧とは行かない

ミコトが倒れて半刻ほど、意識が段々と戻り、ゆっくりと目を覚ます。

見覚えがある様で無い木製の天井に、騒がしい人々の声がミコトの目覚めを迎える。

痛む身体を起こし、辺りを見回す。

どうやら診療所かなにかのようで、布団に寝かされている人が何人か見えた。

目覚めたばかりの為、意識がはっきりとしない。起き上がった状態で少しの間静止していると、戸の開く音が響き、聞いた事のある声が聞こえてきた。

 

「あ..ミコト、起きてたのね」

 

その声の方向を向くと、やはり慧音が立っていた。

救急箱を持っていた為、恐らく治療をして回っていたのだろう。

ミコトは慧音の姿を確認した後、言葉を返した。

 

「慧音さん...。今は..一体どんな状況何ですか...?」

 

癖で現状把握しようとしてしまう。大人しく休んでいれば良いものを、つい癖で役に立とうとしてしまうのだ。

良い癖と言われることもあれば、悪い癖とも言われるだろう。

そんな事を片隅で思っていると、慧音から返答が来る。

 

「状況と言われても...大きな事にはなってないわ。1つ言うとすれば、どっかの誰かさんが血だらけになって倒れてた事ね」

 

若干、慧音から怒りの感情が感じ取れた。半分呆れも混ざっているようだ。

ミコトは自分の事だと直ぐに理解し、すみません、と軽く謝る。

溜息を着いた慧音は、ミコトに動けるかどうかをたずねてきた。

試しにミコトは腕を上げてみる。だが、まるで四十肩の様にある程度しか上げられない。足に関しては力は入るが動かす事が出来なかった。

慧音もその状況を見て、少し安静にしておけ、そう言って別の部屋へ治療に向かった。

 

「...安静にって言われても....暇だなぁ..」

 

起こしていた体を再び布団に沈ませ、独り言を呟いた....。

 

その後は特に何も無く時間は過ぎていった。

無心で一日を過ごし、寝てまた次の日。

それで三日程経てば、ミコトの身体はある程度うごくようになっていた。

 

布団から立ち上がり、肩を軽く回してみる。少し痛みは感じるものも、普通の筋肉痛程度だった。

怪我を見ていた人からも、もう家に帰っても大丈夫と言われていたので、慧音の元へと急ぐ事にした。

 

家の扉を開け、慧音が居るかどうか確かめる為居間の襖を開くと、慧音と見覚えのある二人が居た。

蝙蝠の少女とメイド服の人だ。彼女らも傷はほぼ完全に癒えており、元気そうだった。

ミコトがそう思いながら固まっていると、慧音から声が掛かった。

 

「ミコト、この人達とは初めて..会うよな?まぁ、会っていようと構わないのだが、この人達が瀕死のお前を見つけて運び届けてくれたんだ」

 

「あ..そ、そうなんですね..。それは...ありがとうございました..」

 

ミコトはそう言って二人に頭を下げる。

 

「いえいえ..当然の事をしたまでですよ。それより、私とは一度会っていますよね?確か、貴方が妹様に殺されかけていた時に..」

 

メイド服の女性はそう答える。ミコトもその事を忘れるはずなく、軽く頷く。

すると、蝙蝠羽の少女が話し始める。

 

「取り敢えず、私とは面識が無いから自己紹介をしましょう。私はレミリア・スカーレット、ここから少し遠くにある館の主よ。宜しくね」

 

「そう言えば、私も名前を言ってませんでしたね。私は十六夜咲夜、お嬢様のメイドをしております。以後、お見知り置きを」

 

「よ..よろしくお願いします...。慧音さんから聞いていると思いますが、一応私も自己紹介を..。私は命と言います。元は外の人間ですが..訳あって幻想郷にお邪魔してます」

 

それぞれが軽く自己紹介をし終わると、慧音がここに座ってと言わんばかりに座布団を敷いてくれた。ミコトは有難く座らせてもらい、話の中に入れてもらうことにした。

とは言っても、慧音達は里の状況やこれからどうするかなど、ミコトには少し難しい話だった。それでも、役に立つために頑張って聞いていた。

そんな話を続けていると、レミリアがフランの話へと変えてきた。

 

「ふと思ったのだけれど、咲夜はどうやってフランを落ち着かせる事ができたの?私と咲夜でさえ危なかったと言うのに...霊夢でも来てくれたの?」

 

どうやら、咲夜はレミリアに詳しい事を話していなかったようだ。咲夜も話しておくべきと判断した様で、あの場で起きた出来事を覚えている範囲で話した。

慧音も勿論知らなかったわけで、両者とも驚くような表情を見せていた。

だが、慧音は直ぐに落ち着き状況を纏める。

 

「つまるところ、負けそうになったところにその鬼の面にフランと同じ羽を持った男が現れた...という訳だな?しかも、その力はフランに匹敵する程の..」

 

その話を聞いていてミコトは正体がバレていない事に内心、ほっとしていた。

そんな中、咲夜が立ち上がり話を一旦中断させてくる。

 

「すみません、少し御手洗の方に案内して欲しいのですが...」

 

「あ..あぁ、それならミコトに行ってもらおうかな」

 

トイレならば二回ほど曲がった先にあるが、案内が欲しいと言われれば行くしかない。ミコトも立ち上がり、レミリアと慧音を置いて部屋の外へ出る。

 

ミコトが先導し、トイレの前に着き、咲夜に伝える。

後は一人で戻ってこれるだろうと、慧音達の元へ帰ろうとしたが、咲夜がミコトを呼び止める。

 

「ちょっと待ちなさい。少し大事な話をしましょう?その為に貴方をこうやって連れ出したのだから」

 

「...話とは何でしょうか?」

 

少し咲夜から圧が掛かってくるのが分かる。それに、わざわざあの二人が居る場所ではなく、呼び出して話す内容ならば、聞いておくべきだとも判断した。

咲夜は少し間を置いて、予想だにしない言葉を発する。

 

「さっき、話していた鬼の面の男..それって貴方よね?」

 

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