ORS白き皇女は悪堕ちしたい~安価は原作ヒロインの肯定ペンギンでした~ 作:サッドライプ
☆掲示板住人紹介8
自分を提督だと思っている軽空母 ID:OkanCole
艦隊これくしょん世界のORSで、名前は
持ち前のおかん力で鎮守府のまとめ役としては認めてもらえているものの、自分を慕ってくれる艦娘達には「俺は提督なんです」「また鳳翔さんの悪い癖が始まった・・・」と生温い目で流されるだけ。今日も溢れるおかんの包容力を振り撒きながら彼は自分が提督であることを周囲に認めさせるべく頑張っては心をへし折られる。
なお「艦娘達にち×ち×見せれば一発解決じゃん」とか考えた悪い夕張さん達は正座すること。
ここまで読んでいてなんとなく察した読者も居るとは思うが、元々空回り系主人公なだけあって、作者的にいじられ役として掲示板回では無茶苦茶動かしやすいORSでもある。
と、住人紹介を入れてみましたが今回は掲示板回一旦お休みです。
いや前回の引きからORS掲示板のノリを一話分やるのはきついっす…。
「ど、どうして……あぐっ!?」
「―――“どうして”?
ガシェルに殺されたエリーシスの民はみんなそう思ってたでしょうね」
その感情の理由は、後からならいくらでも説明付けられただろう。だが今生で最も疾く抜き放った槍で『親友』の肩を抉った時、理屈なんか投げ捨てて衝動だけで動いていた。
利き腕を潰した。それでも逆の手で竜装を抜こうとしたのを、盾でぶん殴ってはたき落とす。
「~~~~っ」
「ちなみに私はね、ピアサ。
“
指の何本かが折れて悶えるピアサを見ても、その衝動に些かの陰りもない。心配する気持ちも湧いてこない。
事情なんか一ミリたりとも関係ない、大神官ガシェルは家族と民の仇だ。そして目の前の女は、そのガシェルに屈服しろとほざいた。
――――こいつ殺そう。
その衝動に理由付けが追い付かない以上、止まる理由もまた追い付いてこない。互いの大将の不意の決裂に慌てて動き出す両軍にも目をくれず、青の竜姫の行動目的はただ一つ。
【殺意を】叩きつけること。
「へえ、あれがティア=エリーシスね。裏切者の神竜族がどんなものかと思ったけど、いい感じにキレてるじゃない!」
そんな彼女を深紅の瞳が一対、愉しげに観察していた。
…………。
「それで、ピアサ=アルトンの容体は?」
「致命傷だけは治しました。二、三日は目を覚まさないでしょうが、一応竜装を隔離して眷属に見張ってもらっています」
互いが大将を守る為一目散に突撃し乱戦にもつれ込む形となった戦闘。だがアルトン軍はもともと空戦での機動力を強みとする兵達で構成されており、隊列を組んで連携することで戦果を挙げる性質の部隊であったことが乱戦では逆に徒となった。
ましてや指揮官にして最大戦力のピアサが重症。そこをシルヴィアの支援を受けたザハークやテュポーンに滅多打ちされれば、ピアサを捕虜とされ
一方不意の戦闘で四天将の確保という戦果を挙げてしまったティア軍は、帰路のベヒモス指揮車輛で今後の対応を話し合っていた。
「それでシルヴィア。ピアサの処遇をどうするか、案を頂戴」
「……ティア姫がどの程度あの女性に手心を加えたいか。それ次第ですが」
流石というべきか、シルヴィアは既に複数の案をまとめて来ているらしかった。
その上でティアが我儘を言えばそれに沿うように取り計らってくれるという。本当に頼れる軍師。
逆説的にティアが一切ピアサへの同情を持たないなら実行出来る類のカードも用意している―――そうは見えないくらい澄んだアクアマリンの瞳と見つめ合い、改めて復讐姫は自分の心を整理した。
流石に戦闘を終えて頭は冷えている。あんなことを言われたとしても、ピアサが親友だという想いが全てなくなった訳ではないと今なら思える。
だが同時に冷静に―――ピアサをただで済ますことは出来ないのだと、総大将として判断できてしまっていた。
打倒神竜族は、数百年自分達を虐げる彼らと殺し合ってきたデルピュネの民―――否、魔竜族の遺伝子に刻まれた国是だ。そんな中メスキア軍幹部の一角である四天将を捕らえたとなればその武功は比類なき実績として利用できる。
ただでさえ簒奪者で正統性が弱くまして裏切り者とはいえ神竜族に違いないティアにとって、自らの暴走の結果とはいえ転がり込んだこのチャンスをどぶに捨てるような真似はできない。自分について来てくれる者達の為にも、ピアサは友人だからと庇うのは不義理とすら言える。
だからピアサを捕虜にしたことを広く喧伝するのは確定事項だ。そして憎き神竜族が虜囚となったのを知ったなら、民は彼女がどうなることを期待するかなんて考えるまでもない。牢の中で平穏無事に過ごしている姿なんて望む訳がない。
そして民を味方に付けたいと思ってるティアに、彼らの熱望を無視することなどできない。
「いいわ。腹案があるなら全部出して。その中で最も効果のあるものを採用する」
「……はい」
頷いた。シルヴィアは少しだけ悲しそうな顔をして……そんなティアも
「まず下策。公開処刑。分かりやすく、後腐れもありません。
また、ピアサ=アルトンに対してはある意味で最も慈悲のある選択とも言えます。
魔竜王ヴァジェトに献上するというオプションもありますが……彼女がそれに何か報いてくれるかも分かりませんし、ピアサの末路もそう変わらないでしょう」
「ま、順当か」
「仕方ないのです……」
主要メンバーで最も良識的なアスタやムムルですらこれについては反対しなかった。
過去神竜軍によって滅ぼされた魔族の国すらある。殺さなければこっちが殺される相手、そんな脅威に対して命を案じるような愚かさは情けとは言わない。
「中策。ザハークさんに頑張ってもらいましょう。
戦力強化が見込めますし、一回で死なせてあげるより国民の溜飲を下げられる。そして、どんな形であれピアサ=アルトンは生きていける」
「……くくくっ。まさかお前からそんな案が出るとは思わなかったぜシルヴィア。調教の成果が出てんじゃねーか?」
「ザハーク、黙って」
眷属の産卵母体として、自由を奪ったまま延々と苗床にし続ける未来。だがティアが『たとえ恨まれても、どんな形でもピアサに死んで欲しくはない』と思い直したならあり得ない選択肢とは言えない。故に表情一つ変えずに女として最低の策を唱えるシルヴィアの顔は、『ベヒモスのお姫様』ではなく『ティア軍の参謀』そのものだった。
「――そして上策」
的確な分析の上で、これまで挙げた二つよりも上と言い切ったシルヴィアが本命とばかりに一旦息を吞み込んで、告げる。
「アルトン公国に彼女を帰してあげましょう」
それは悪意を煮詰めたような善意。いがみ合う二か国の間で奇跡的に生まれた、残酷さでラッピングした贈り物。
けれどティアが『最も効果のある』と認めた以上、その策は採用される。
ピアサ=アルトンにとって一瞬で死ねるよりも性快楽に狂った苗床になるよりもおぞましい、惨劇の未来が約束された瞬間だった。
――――そしてその決断を下したティアは、会議が終わると同時にシルヴィアを引きずり込んだ。鍵を掛けたベヒモスの自室のベッドの上に、強く強く拘束して縋り付く。
「私は、わたしはっ!こんなこと……ピアサの馬鹿っ。
あの子が馬鹿だから、こうするしかなくなったのよ!!」
抑え込んだ感情が爆発する。繋がりのない言葉が次から次に溢れ出る。
「ぅ、ひぐっ……敵になるだけなら、まだいいわよ。なのになんであんなこと言っちゃうのよっ!!」
「~~っ、ティアひめっ」
嗚咽といい、意味の通らない泣き言といい、華奢なシルヴィアに痛みを与えるくらいきつく掻き抱いていることといい、他の仲間には見せられないような醜態だ。だから二人きりになれるまで我慢した。
「大丈夫、だいじょうぶです。泣いていいんですよ。辛かったですよね、でもあなたは何一つ間違ったことしていませんから」
「しるびあぁ……っ」
彼女だけはこんな泣き虫のティアを受け入れてくれるから。赦してくれるから。肯定してくれるから。甘やかしてくれるから。
「ここまで頑張ってこれたの、ほんとうにえらいです。でもちょっと疲れちゃったんですよね?
二人きりになるまで我慢できたのすごいですよっ。安心してください、私はどんなティア姫でも受け入れますから。いっぱいいっぱいティア姫のこと褒めてあげますから」
優しくて耳に心地いい可愛らしい声が、ティアの耳元を擽ってくれる。ぐちゃぐちゃに乱れた感情を全て受け止め、嫌な顔一つしないで『それでいいんだよ』と言ってくれる。
「本当に何もかも嫌になったら、逃げたっていいんです。私がお供しますし、ザハークさんもなんだかんだ付き合ってくれそうです」
親友だと思っていたピアサ。でもティアのことをちゃんと信じてくれなくて、奪われ尽くしたこの身に更に謝れ頭を下げろなんて言われた。あの全てを忘れるくらいの怒りと同じだけ、全てが嫌になるくらいの悲しみを感じている。
それすら全身全霊で肯定してくれるいじらしい少女。
「でもこうして、私に溜め込んだモノ全部吐き出して、ちょっと休んで。
ゆっくり考えてください―――もしもうちょっと頑張りたいってなったら、やっぱり応援しちゃいます。私に出来ることならなんだってしてあげたいです」
心地よく魂にまで染み入る暖かな言葉。それをもっと引き出したくて、むずがる子供そのものの仕草でシルヴィアの胸に顔をこすり付ける。
「ならもっとほめて」
「はい。ふふ、そうしてるティア姫も可愛いですよ。情けないところなんて一つもないです」
「ん……もっと」
「ええ。いつだって変わらない。
―――ティア姫は私の憧れの、自慢の、素敵なお姫様なんですよ」
ふにゃふにゃに蕩ける言葉を紡いでくれるおかげで、段々とティアの中で心の内を切り裂いていた暴風のような感情が段々鎮まっていく。
絶えず燃え盛る復讐の炎すらどこか優しい灯火になるくらい凪いだ穏やかな気持ち。
その中で、唯一妖しくぎらついた輝きを放つ感情にティアは気付いた。
―――シルヴィアの方こそ、『ベヒモスのお姫様』でも『ティア軍の参謀』なんかでもない。
唯一無二の『
だからシルヴィアの考えることに間違いなんかない。
その結論に至ったおかげで――――さっきまで心を苛んでいた
『深紅の瞳が一対、愉しげに観察していた』
→一体何ヴィアなんだ…
「あの子が馬鹿だから、こうするしかなくなったのよ!!」
→マジレスすると勝手に期待してそれが裏切られただけだし、ピアサには国主って立場もあるんだけども。むしろ立場を押してティアと話す為に小勢で来るという無茶をやる辺り本当に親友を心配していたのは間違いなかったのだけども。
が、マジレスと対極に位置する全肯定ペンギンはそんなこと絶対に指摘しないしできないのである。
『唯一無二の『
→清楚姫のママみでティアの中の悪い感情が凄いスピードで洗浄中。心が洗われてるけど浄化されちゃいけないものまで流されちゃってるのはたぶん気のせい。
『シルヴィアの考えることに間違いなんかない』
→そいつ時々安価でやらかすんですが。というか、まさにちょうど安価でやらかしてるところ……。