ORS白き皇女は悪堕ちしたい~安価は原作ヒロインの肯定ペンギンでした~   作:サッドライプ

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 お待ちかね、エロドラゴンさんの現在。もちろんいい感じに病んでます(ニチャア




巡回の清楚姫・後

 

「やああぁぁっっ!烈風破斬!!」

「へっ、しゃらくせえ!!」

 

 ドージンエロ闘技場は今日も超満員だった。

 

 そして今日の大一番の試合、並み居る強豪達を捩じ伏せチャンピオンに挑む挑戦者が果敢に仕掛け、そんな彼女に観客達は興奮して声援を送る。

 

 魔神ザハークと神竜軍四天将ピアサ=アルトン。つい一月ほど前にも見られたカードだが、あの時の公開陵辱とは色々と趣が異なっていた。

 

 まずアルトン失陥に伴い魔神解放戦線に加入した彼女に当然枷ははめられていない。竜装イヴェレンはその手で秒間数閃という自在さで振るわれているし、純白の翼が羽ばたく度常に敵の死角に姿を消す。

 至近の敵手からすればほぼ不可視と言っていい疾さで移動しながら全周天から連撃が来るのだから溜まったものではない。これで本領はルールに抵触する為封じている竜巻を纏っての飛翔による一撃離脱だと言うのだから、四天将という肩書きは伊達ではない事実を存分に証明している。

 

 ザハークが獣以上の直感と洞察力で対応しているだけで、彼女と敵対した闘士は何も出来ないまま急所に剣を突きつけられて終わりというのがこれまでのパターンだった。

 かつてがどうであれ、力さえ示せばそれを尊ぶ魔竜族の価値観からするとピアサは最早認められるべき強者である。

 

 そうは言ってもかつての敵、疑わしく思ったりわだかまりを持つ者も少なくないのでは?と思うかも知れない。実際彼女に対するブーイングも根強くある。が。

 

「その風刃は囮です!」

「っぶねえ!?やりやがる……いい女になりやがったな、本当に!」

「やぁん♡いきなり褒めないでくださいよザハーク、濡れてきちゃうじゃないですか♪」

 

 一月前と変わらない点として、翼竜姫の姿は紅の軽鎧ではなく娼婦もかくやと云わんばかりの破廉恥な衣装を纏う……というか引っ掛けていた。局部を覆っているのか飾っているのかも判然としない白布が風にそよぐ度に好色な視線が集まるが、彼女は蠱惑的な笑みを浮かべて腰をくねらせて応える始末。

 

 丸出しの小ぶりな尻に描かれた卑猥なハートマークは大きく一つだけ。代わりに中に「12」の数字が刻まれている。

 その数字が今日「13」になるかどうかはこの勝負の決着次第。細剣が掠めて頬から流れた血をぺろりと舐めて、ザハークはピアサに獰猛な笑顔を向けた。

 

「変わったもんだ。今のお前の姿を、処女奪った日のぴーぴー泣いてたガキに見せてやりたいぜ」

「くひひ、素敵ですねそれ。私も昔の自分に教えてあげたいです。

エデンの教えに唾吐くのはこんなに快感なの、って!」

 

 弱き者を守れ、貞淑であれ、慎ましくあれ、魔神は敵、エデン様への畏敬を忘れるな―――かつて自分が四天将として、公主として下々の模範となるべく遵守していた戒律だが、自分を裏切った教義のそれを後生有難がる思考など今の彼女に存在しない。

 むしろ積極的に背くことを行動原理に据え、その結果破戒の背徳感と暴力や性行それ自体に対する快楽の味を知ってしまった。歯止めを掛ける理由もない、淫蕩と暴虐の愉悦に沈んだ頽廃(たいはい)の復讐者―――それが今のピアサ=アルトンだった。

 

 ある意味どんな魔竜族よりも『魔族』らしい言動をするようになった翠の神竜姫。堕ちたその姿はただ惨めな虜囚の時と比してもより見ていて種族の自尊心がくすぐられるのか受けが良く、ファンのようなものまで付き始めていた。

 

 ただし、今この瞬間において重要なのは人気でも信用でもなく純粋な武力ただ一つ。

 

「こうしている時間、魔神(ザハーク)という強者との戦いでファフネルを討つための牙が研ぎ澄まされる。勝てば絶対お酒が美味しい、負ければ晒し者にされて触手産卵交尾……かはひひひっ。

――――最ッ高ですよね、ドージンエロ闘技場っ!!」

「はんっ!勝ちはそう簡単にくれてやれねえよ、今日も俺がお前を犯して終いだ。

――――あと、俺の近くでてめえに酒は飲ませねえ!!」

 

 気炎を吐き出した後、両者凶悪に唇を歪めて構えを取る。互いの殺気の衝突の余波が瞬き一つ許されない緊迫した間合いとなり、結界のように踏み込み難い聖域となり、伝播して観客達すら一人残らず黙らせた。身動ぎもせず次の一撃に全神経を集中させた二人がその聖域を踏み壊したのは、太陽が雲に掛かり明度が切り替わる合図を以て。

 

 交錯。

 

 魔神の心臓目掛けて突き出された細剣は―――この程度で仕留められる程彼は甘くないというある種の信頼を裏切らずに脇下を掠めるに終わる。一方で拳に纏った闇の爪はピアサの眼前で静止していた。

 

「ああん…。敗けちゃいました……っ♡」

 

 ぞくりとする程の淫靡な声音の呟きが決着を知らせる。これまでの溜めを全て吐き出すように観客達は一斉に沸き上がった。

 

「惜しかったな、挑戦者!!」

「次は期待してるぜッ!!」

 

 中にはピアサに純粋な応援の声を向ける者達もいた。チャンピオンであるザハークの実力は誰もが認めているが、そんな彼を脅かす強者の存在もまたこの闘技場に魅せられた者達は少なからず望んでいるのだから。

 

 しかしそれはそれとして。あるいはだからこそ。

 

「さあ、お楽しみの時間だぜ野郎共ッ!!」

「くひひっ、今日は逆さで宙吊りですかぁ~?」

 

「いいぞー!」

「エロい声出せーッ!!」

 

 チャンピオンに挑む資格を持つ闘士にして、魔竜族の流儀に染まった裏切りの四天将。強く美しい神竜の姫が触手に嬲られてあられもない姿を曝すのは、会場に滾る熱気に更に油を注いでいくのだった―――。

 

………。

 

「変われば変わるものというか……何なのあのエロドラゴン」

 

 火照る身体を周りの熱気の所為にしながら、赤らんだ頬で魔竜王の娘レヴィアは観客席で一人艶めいた溜息を吐いた。

 

「いい試合でしたね。もし彼女が率いるアルトンの空戦師団とまともにぶつかっていたらと思うと、少しぞっとします」

「まあね。実際厄介なんてものじゃないでsy―――シルヴィア=ハマルティア!?居たの、いつから!?」

 

 そしていつの間にか隣の席に居た軍師少女の声に何故かびくりと大きく震えて勢いよく向き直った。

 そんな不審な客将に相も変わらず好意的な笑顔を浮かべて、桜髪の謀略姫は柔らかい声で答える。

 

「ついさっきです、ベヒモスの改修工事の視察も一通り終わったから今度は闘技場(こっち)をと。恋人(ザハーク)さんの応援もしたかったので」

「その恋人、今目の前で別の女を堂々と抱いてるんだけど。

 あとだからってなんで私の隣なのよ?」

「え、だってレヴィア殿下のその席も私が手配したチケットですし…わざわざ場所を離して取る方が不自然ではないですか?ちょうど親睦を深めたいとも思ってましたし」

 

 やっぱり謎に友好的なシルヴィアに困惑しつつも、これから共に同じ軍で戦う者同士交友をしっかりしておくことはレヴィアにとっても否やはない。驚きを鎮めるのと同時、彼女の膝の上で興奮してぱたぱた波打つ布生物を見なかったことにして会話を続けることにした。

 

「まあ、礼は言っておくわ。本当に味方として考えていいのかピアサの見極めも出来たし、リベンジする時の為にザハークの本気の動きが見れたのも収穫だった」

「…………………。はいっ、レヴィア殿下のお役に立ったなら何よりです♪見世物としては楽しめましたか?」

「何よ今の微妙な間は。まあ、新鮮なことは認めるわ。闘技大会みたいなものは軍のレクリエーションで無い訳じゃないけど、こうして一般に娯楽として公開するのはなかなか聞かないもの」

 

 ティア達との会合で本国に戻った際、母にドージンエロ闘技場の話をすると微妙そうな顔をしていたので、もしかしたら魔竜王ヴァジェトの趣味に合わないという理由もあるのかも知れないが。

 「命名はテュポーンか……?あれでそっち系の知識もインストールされていたということか、いやそれにしたって何故同人エロ……?」とかぶつぶつ言っていたので、概念自体は古代文明の時代からあったのだろう。

 

 実際興行としての効果も着実に上がっている。腕自慢達が挙って観衆の前で実力を競い合う見世物は次第に噂が広がり、ネフティス本国からも参加者や観光客が現れ始めているほどだった。

 

「お陰様で毎日満員御礼、というよりキャパオーバー。本格的に郊外移転、考えた方がいいですよね」

「そこは貴女の判断ね。―――次の戦いを乗り切れれば、だけど」

 

 今は嵐の前のひと時の平穏。そのことは二人とも危機意識を共有していた。

 会話に興ずる体を見せながらも舞台の破廉恥ショーから一度も視線を外していないレヴィアと、そんな彼女を暖かく朗らかな笑顔で見守る布生物を抱っこしたままのシルヴィアという絵面からはとてもそうは見えないが、ちゃんと危機意識を持っているのである。

 

 他にもデルピュネの運営について意見交換していると、クライマックスを迎えたのかわっと周囲で歓声が上がり、眼下ではピアサが粘液塗れの体を触手に支えられながらびくびく震わせていた。その表情は悦楽で間抜けに垂れ下がっている。

 

「堕ちれば堕ちるものね、四天将も」

「彼女の場合、ああでも振る舞っていないと心が保たないのかも知れませんが」

「……どういうこと?」

 

「親友に憎まれ、部下に蔑まれ、国も初めての我が子も失った。こうなったのは全てエデンの教えのせい、あんなものを信じていたせい。だから徹底的に唾棄して汚す、ヒステリックなまでに蔑ろにして踏みつける」

 

「なるほど、ね」

 

 やはり食えない女だと思った。おそらく親友のティアですら把握していないだろうピアサの内心をあっさりと読み解いてみせている謀略姫。

 周囲はただ信仰に失望して堕落した程度にしか考えていないのに、唯一彼女の悲痛な心の叫びに気付いたシルヴィアはそれを放置しているのだ。その方がティアの戦いに都合がいいから。

 

「後悔しているのかしら?」

「………。私の策の結果です、後悔などと」

 

 何が食えない女かって―――警戒するだけでいいなら遠ざけるだけで済むのに、情の深い女であることも少し付き合えば分かってしまうことで。

 

「あなたは軍師として仲間の為に最善を選んでいる。間違っていない、正しいことをしているわ」

「レヴィアさん……。ありがとうございます、くすっ、私がその言葉を言われるとは思いませんでした」

 

 ぽんとシルヴィアの肩を叩いて席を立つ。浮き立った余韻のままに西日が射し始めた客席では、賭けの結果だのこの後飲みに行く酒場だのと言った話をしながら観客達がばらばらと()けて行く。

 

 それを見送るように、暖かくも愁いを含んだ歌がいつも通りに会場のスピーカーから流れ始めた。

 

 

 

『ほ~た~るの~、ひ~か~ぁり~………』

 

 

 

「いい曲ね。歌詞は分からないけれど」

「…………そ、そうですね」

 

 今やデルピュネを代表する歌姫、エーテルウィスプの曲。異国の情緒がにじみ出る、別れと帰路を(うた)った優しい音楽だった。

 

 そして。

 

 

「ぷはっ!!やっぱりエース姉は永遠のライバルね!負けてられないわ!!」

 

「………えぇ!?それ脱ぐの?」

 

 

 何故だかその曲を聞いてテンションが最高潮になったらしい布生物……だったものが、布を頭に引っ掛けたまま父親譲りの浅黒い肌を曝してくるくる舞っている。

 

「デルピュネのナンバーワンアイドルは、このメジェドちゃんなんだからぁーっ!!」

「頑張ってね」

「うん、見ててねママ!」

 

 アイドルを自称するだけあって可愛らしい少女なのだが、何故今まで不審な布お化けをやっていたのか。それは多分、産みの母のシルヴィアですら分かっていないだろう。

 

 今は夕日をステージライトにして、レヴィア含めた周囲のぽかんとした視線だけを集めて踊っているのだった。

 

 





「俺の近くでてめえに酒は飲ませねえ」
→ピアサの酒癖は最悪な上に、酔うと暴れ出すという超迷惑なタイプである。
 ただしシルヴィアをその場に投下すると、酒樽が全て空になる代わりに物理的な被害はゼロで終われる。全員その場を逃げ出した為、酔った二人が何をやってたのかは誰も知らないが。

…………………(という言い訳ですね)。はいっ、レヴィア殿下のお(かず)()ったなら何よりです♪」
→副音声注意。嫌な親近感もあったものである。

『概念自体は古代文明の時代からあった』
→時を越え、神話を超えて受け継がれる同人エロ概念。あとまさかのテュポーンに対する風評被害。他にもORS達の安価ネーミングが彼女のせいになってるもの、あるかも。

『絵面からはとてもそうは見えないが』
→くっころ願望持ちがむっつりスケベ発揮しているところを受容の微笑みで見守る聖女の図。何この……何?

「こうなったのは全てエデンの教えのせい」
→悪堕ちっていうよりはやっぱり復讐者なんですよ今のピアサは。まだ。

「私の策の結果です、後悔などと」
→頭が良すぎて見えなくていいものまで見えちゃう清楚姫。

『ほ~た~るの~、ひ~か~ぁり~………』
→清楚姫、自分のシリアスを安価行為でぶち壊してしまうの巻。

「ナンバーワンアイドルは、このメジェドちゃん」
→トレハン夜師団のマスコット。可愛い。でも進化前?のメジェドって、透明不可視だから布被ってるとかいう設定じゃなかったっけ…

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