ORS白き皇女は悪堕ちしたい~安価は原作ヒロインの肯定ペンギンでした~ 作:サッドライプ
ぶっちゃけ影が薄いっていうより掘り起こすような個性がないとあるヒロイン。
国攻めの時も滝登り・始祖龍骨バリア・列車砲と比べてただでかい妖怪が出て来ただけだったし(しかもデカブツはもう一方の北国でも出てくる)。
本人も勝敗に寄与する決定的な活躍したシーン特に記憶にないし(列車砲の弾作ったとか?でもその辺も彼女いなくたってなんとかなりそう…)、攻略順入れ替えられるシナリオの都合とはいえヴィーヴル戦やメルジーニ戦ですら片手間であしらわれてた辺り実力お察しというか……ちゃんと労力割いて沈められた
何より真面目な常識人はただでさえ影が薄くなりがちな上、その属性には聖盾ティア(notティア姫)っていう大正義メインヒロインがいる訳で…。まだゴスロリ着て敵を斬り刻む兄上の方がネタ的な意味で際立ってるというか。
………うん、詠唱はカッコいいと思うよ、詠唱は!!
クシナダ公王、四天将ヤマタは悩まされていた。
テュポーン相手に一方的にしてやられた苦い遠征から戻り、自身の負傷を癒すこと一月と少し。己自身の怪我は完治したが、国の主兵力である侍衆はかの戦闘で高地に陣取った機竜の射撃部隊を強引に突破しに掛かった為決して軽くない被害を受けたままだった。
ヤマタもあの配置や作戦が間違っていたとは思わない。あれに航空兵力が叩き落されたせいで制空権を失い、機動力と強襲性能に長けた翼竜姫ピアサを戦場でフリーにしたのは事実で、本来なら速やかに機兵どもを制圧して彼女を牽制しなければならなかった。それには同じ四天将でも守りに長けたヴィーヴルではなく攻撃力の高いヤマタの方が適任だったし、一方でかの賢竜姫は敵の奇襲部隊を迎撃した上で窮地の大将ファフネルを救援するという彼女の仕事を果たしてのけている。
言い訳の余地もない無様を曝した己の未熟を恥じるばかりだが、さりとてあの遠征で戦死したり怪我で前線を退かざるを得なくなった侍達の分についても、新たに未熟な若衆を繰り上げて穴埋めせざるを得ない。
今は国を休ませる時―――下した判断自体はそう的を外したものではないだろう。ただあの戦いと同じように、知識を持っていないせいで前提を誤ったとすれば、二度目の不正解は最早致命的とすら言えた。
母体さえあればたった数日で兵力を補充できる魔神の眷属という前提―――御伽噺の寓話的な意味でしかザハークの脅威を認識していないヤマタが、先の戦いで相手も同じように被害を受けているのだからと時間を与えてしまった選択のツケを払わされる未来など知る由もなく。
「また村が壊滅させられた……!?」
国土の護りに不安が出たのを見計らうように各地で報告され始めた化生の被害。元々妖怪と呼ばれる凶悪に変質した骸獣は、先代クシナダ公ミズチを戦闘の後遺症で隠居に追いやったように
実際好機を見計らった奴ばらも居るのだろう、だが当然ながら勝手を許す訳もないヤマタは討伐隊を各地に派遣し―――その結果に愕然とした。
討伐成功報告、ゼロ。
一番ましな報告が、『家を焼かれて難民になった民を保護したが』『妖は去った後』というもの。次点で『村落は全滅していて』『妖は去った後』。最悪は―――報告途絶。
返り討ちに遭ったにしても、情報を伝える要員も誰一人逃げられなかった部隊が複数出るのは不自然だ。ましてこういう時の為に陰陽術により各地に張り巡らせていた結界や情報網が、気付けば“かき消された”ように崩れていた。
何者かの悪意がこの国を襲っている。この一連の状況に特定の誰かの作為の存在があることなど疑うまでもなく、ヤマタは自ら部隊を率いてその追跡を開始する。
だが勝手知ったる筈の自国にも
民の間で囁かれ始める国主ヤマタへの不信と不安。焦りを抱えながらの捜索行で浪費していく気力と体力。
尋常の対応では“敵”に裏を掻かれるだけと悟ったヤマタは、考えに考え尽くした上で決め打ちによる待ち伏せを図る。果たしてその執念が功を奏し、炎龍姫は接敵することに成功した。―――運が味方していたかは断言出来なかったが。
「見つかっちゃいましたね。ふふ、もうちょっとサービスタイム行けると思ったんですが」
「戯れ言を……ッ」
血のような髪をした魔族の女が嗤う。
これまでの鬱憤を晴らさんと気炎を上げるヤマタ達を見下ろす笑みはさながら悪魔のよう。そして従える魔物達もまた、百鬼夜行と呼ぶに相応しい化生揃い。
眼球を持たない蟲が無理矢理その形に進化したような変異獣。
蛇の下半身に鳥と蝙蝠と竜の翼。上半身は竜のものと美しい女のものと大蛇二匹の合計四体が別々に生えている。しかもその女の腕は鱗に覆われて鋭い鉤爪を生やし、何より眼窩に底知れぬ闇しか伺えない。どこか神聖で、しかしどこまでも冒涜的な
だが敵が狂人であるか否かよりも知っておかなければならないことがクシナダ公として存在する。
「魔神の勢力……裏切者のティア=エリーシスの手の者ですか」
「答える必要がありますか?」
「どうやってそれだけのバケモノ達を我がクシナダに招き入れた!?何故力なき民達を狙うのです!?」
「質問が多いですねー。まあ、早期発見ボーナスとして特別に教えてあげましょうか」
女は細い腕を覆う黒鉄の手甲を握った短杖で叩いてかんかんと耳障りな音を立てながら、神経を逆撫でするようにゆっくりした調子で語った。
この最低でも人の背丈など優に超える巨大生物達をクシナダに持ち込んだ手段とその目的を。
「卵の状態で持ち込んでこの国で孵しました」
「………」
「なんでかって……それはこのコ達の大きさ見たら分かるでしょう?ごはん代だって馬鹿にならないですし、国のお台所を預かる身としてはどうしようかなって思ってたら。
―――隣に自然豊かで“エサ”もいっぱい繁殖してるいい国があるじゃないですか♪」
「―――ッ!!?」
「という訳で目的は……たかりに来ました♪
ねえお願いやしなって?ヤマタママ♡」
「
小首を傾げながらの魔姫の“おねだり”に、ヤマタは龍公主として当然の激昂を叩き付けた。
「罪もなき民草をそのような化物共の餌にするなど……!邪悪な魔女め…ッ!!」
「えーだってこのコ達もおなか空かせちゃ可哀想じゃないですか。
――――あと、自分達は魔竜族領に攻め込んだら住民全員皆殺しでしょ?なんでやったらやり返されるって当たり前の発想すらないんですか?」
「黙れぇっ!力の無い者達からまず食い物にしようとするその卑劣な性根を、詭弁で正当化しようとするなど!!」
「……まあ、言っても無駄ですよね」
急に平坦な声音で漏れた冷たい呟きを、怒りに震えるヤマタは聞く筈もない。
「我、聞くは刃の音。我、視るは灼火の芯。猛り、舞い、天を焦がせ。
其の名は斬焔――焦熱の具象なり!」
「選んで殺すのがそんなに上等だと言うのなら―――いいでしょう。
無意味に無価値に無節操に……喰らい尽くしてあげなさい、眷属たち!!」
「負けられない……こんな女に、我がクシナダを好き勝手にさせる訳にはいかない……!!」
強い信念を抱いて斬り進んで行く。巨蟹や
酸液をまき散らしながら触手を伸ばす
「つあ゛……ッ!?」
爆発。受けた熱量をそのまま自身を起爆させるトリガーにする、およそ生物としてあり得ない進化を遂げた異形の生態が炎龍の肌をも焼いた。
「怯むな!!命燃やすは今!民を護る為―――なんとしてもあの魔女を討ち取るのです!!」
「「「応おぉぉォーーーッ!!!」」」
桜色の袖ごと無惨に焼け爛れた左腕に構わず、部下二名が決死の覚悟で抑え込んだ三ツ首狼に斬焔を突き刺し体内から燃やし尽くす。同時に遠隔で操作した炎剣で蜻蛉達を優先的に始末して行き、自爆特攻を二度と許さない。
公主の奮戦に勢いづいた直属のクシナダ精鋭部隊もまた、蟲の異形の群れを次々撃破する。一人、また一人と斃れながらも、民を護るという誓いの下に。
その犠牲を背にヤマタは戦い抜いた。遂には百いた侍達が片手の指にも数えられる程になっても、怪物達を全て斬り伏せて魔姫に迫る。残るは異形の群体よりもなお相対する者に威圧と恐怖を与える白黒の巨獣だが、何するものぞと討ち果たさんとする気迫はまだ残っている。
「お命頂戴、覚悟……ッ!!」
目に物を見よ、我らが正義の刃を此処に。
その信念を籠めて、白の禁獣を討ち倒しさえすれば剣の届くところにまで来た魔姫を睨み―――。
「あはっ、ここまでたどり着くなんてすごいすごい♪
記念とお祝いにすごいもの、見せちゃいます♡」
その抵抗を、正義を、生き様をも嘲笑う『
「イレ・カラミティ!!」
「………ッ!!?」
碧の宝玉から禍々しく周囲に拡散した光条はヤマタ達に何も影響を与えることはなかった。だが背筋に感じる悪寒が止まらない。物理的な意味で、背後に迫る脅威が次々と増えていくのを感じるから。
信じたくはない―――だが振り返った。振り返って確認せざるを得なかった。
「「「G.G..GYYAAAッッッ!!!」」」
変異獣の群れが全て傷を癒して活動を再開している―――部下達の献身と犠牲がまったくの無駄に終わったというその事実を。
やめて!原典だとMAP兵器火力乱発の炎龍王ジュリアに何度も突っ込まされたジュデッカとやり合ったら、「この程度で炎の竜王?調子外れですわ」とか言われてヤマタの精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでヤマタ!
あんたが今ここで死んだら、四天将全員を犯さないと解けないザハークの封印はどうなっちゃうの?
HPはまだ残ってる。ここを耐えれば、凄惨姫に勝てるんだから!
次回「ヤマタ苗床化」。デュエルスタンバイ!
『テュポーン相手に一方的にしてやられた』
→この認識な時点で目の前の相手しか見えない視野だったとか。
『結界や情報網が、気付けば“かき消された”ように消えていた』
→シルヴィアの結界って魔力による状態変化をリセットする能力があるらしい。
回復、バフ、バリア、デバフ除去と『直接戦闘能力が微妙な代わりに支援スキルは詰め込めるだけ詰め込みました』感である。
『眼球を持たない蟲が無理矢理その形に進化したような変異獣』
→一匹仲間外れって?だってあのウナギ(?)、ゲーム中ならともかくどう見ても陸地で行動できるように見えないし……。あと禁獣とか変異獣とか出現早くね?と思うかも知れませんが、Lだとルキフェル様ですら四章ノーマルに出張って来るという(ポップした瞬間吹いた記憶)
「ねえお願いやしなって?ヤマタママ♡」
→ママ活ってこうですか分かりますん。
「自分達は魔族領に攻め込んだら住民全員皆殺しでしょ?なんでやったらやり返されるって当たり前の発想すらないんですか?」
→カオスルートの離脱イベントで一番ぽかんとしたのはここなんだよなあ。従ってれば自分の国の住民には手出さないって約束はまだ生きてるのに、神竜族が魔竜族にして来たことに比べれば“ヌルい”悪堕ちティアのメスキア侵略政策にキレてそれをぶっちって、挙句大人しくしてりゃ新天地まで相乗りできた自国民すら自分の美意識に巻き込んで不利な反乱起こして玉砕した辺りどこまでも『神竜族』だったんだなあと。原作ピアサに至っては自称親友にも拘らず、しかも「親友を信じ切れなかった償い」とやらをしている最中らしいのに、説得すらしようともせずに(というかまず話し合いをしようとしたティアを拒絶して)「あなたは間違ってる」と叩きつけて初手裏切り。牧場送りも残当…。
『急に平坦な声音で漏れた冷たい呟き』
→最初の安価のあたりで既に言っているが、散々魔族側で凶行を見続けてきた彼女が神竜族に対して何も思っていない訳は断じてない。清楚姫時代ならかつてのティア姫の理想を信じていたし、そのティアも神竜族“だった”からそれを抑えていられたが……。
「イレ・カラミティ」
→お待ちかねシルヴィアの代名詞。スキル効果は「全軍」蘇生。スキルゲージ消費軽減を積みまくれば、18対18のレギオンバトルで毎ターン全員を復活させるというクソみたいなゾンビ戦法をかますことが可能という……。