ORS白き皇女は悪堕ちしたい~安価は原作ヒロインの肯定ペンギンでした~   作:サッドライプ

35 / 84

 現在進行しているお話はヴィーナスブラッドの狂ないし破滅ルートです。

 ヒロインが消化作業で退場(苗床化)する場合があります。
 Gの巫女達の流れ作業感凄かったですよね?そういうことで。


 微グロ注意(蟲系)




落涙の魔女竜

 

 ふわふわとした振動に揺られてヤマタ=クシナダは目を覚ます。浮遊するソーマライン上を疾走する魔導列車は地を走る乗り物としては揺れが驚く程少ないが、地中の始祖龍の髄液―――地脈上に沿って蛇行運転しているため乗っていればそうと分かる程度には慣性が掛かる。それも不快に感じることが殆どないのは、設計者達の工夫と苦心によるものか。

 

「う、ん……、ッ!?」

 

 そんな揺り籠の微睡(まどろ)みはすぐに消えた。

 

 思い出す、自身が居たのは悪辣な魔女の率いる異形達との戦場“だった”ことを。だが赤黒い触手に両手首を縛られ床に投げ出された自らの姿勢に、そしてそんな彼女を見下ろす男の姿に一瞬何がなんだか分からず。

 しかし向けられた嘲りの声に眠気は一瞬で吹き飛び、炎龍姫は己が敗北し捕虜となったことを自覚した。

 

「やっとお目覚めか?クシナダの公女様よ」

「魔神ザハーク……ッ!!」

 

 何故か巨大な姿見が壁の一面となった奇妙な部屋で、明るい照明の下嗜虐的な笑みでヤマタを見下す長身灰髪の青年。一見優男だが凶悪な表情がその印象を正反対へと塗り替える褐色肌の人相は、ガシェルやファフネルから聞いていたものに相違ない。

 

「やはりあの魔女、魔神の手の――――、ッ!!?」

 

 教義が示す―――何よりエリーシスとアルトンを滅ぼした脅威でもあるとガシェルらに教えられた―――怨敵の姿に龍剣士は反射的に戦闘態勢を取ろうとした。得物の竜装は当然取り上げられて腕も拘束されているとはいえ、それで闘志を萎えさせる程四天将の気概は小さくない。

 

 だが、体が言う事を聞かなかった。主の意思に反して腕を縛っている触手を軋ませることすらできずに垂れ下がるだけ。脚も立ち上がろうと足掻くことさえできない。

 

「っ、眠っている間に私に何をしたのですか。毒を……?」

「何もしてねえよ、俺はな。ジュデッカに散々氷漬けにされたんだろ?

………くくく、ああそうだ、シルヴィアからお前宛に伝言だ。『見苦しくないように腐り落ちない処置“だけ”はしておきました♪』だとさ」

「――――」

 

 馬鹿にした笑いと共に突き付けられた剣士として致命的過ぎる現状にヤマタの頭が真っ白になる。フラッシュバックした気絶間際の記憶がその何よりもの根拠だった。

 

 せめてこの魔女だけは仕留めんとシルヴィアとやらに特攻をかけようとした瞬間、突然背後に現れた氷の翼持つ魔族の女に斬りつけられた。更にワイヤーで繋がった幾重の刃が息も吐かせず、不規則かつしなりを利用した俊敏さで追撃してきたのに対応できず全身に無数の裂傷を次々刻まれた。

 性質が悪いのはその全てに凍結の魔力が込められていたことだ。それも炎龍姫が相克属性である火の魔力を用いても抵抗(レジスト)できないほど凶悪な魔力で、すぐに全身を凍傷塗れにされた。並の兵士なら一撃目で氷像になっていた分持ち堪えたと言えばそうなのだが、為す術なくやられたという意味では何の慰めにもならない。

 

 

『この程度で炎の竜王?調子外れですわ』

 

 

 何より屈辱的だったのが青いドレスの女が地に付したヤマタを鼻で笑って投げた言葉と視線。

 しかし悔しさに浸っていられるのもほんの僅かだった。『見苦しくないように』壊死しかけた体の表面だけ治療されたのは何故か。

 

 四天将ヤマタを捕虜にしたと言ってもメスキアに人質交渉など意味がないし、ピアサの時のような謀略を二回やるのも芸がない。というより今回シルヴィアがやったように、いくらでも引っ掻き回せることが分かったクシナダにそこまでの価値がない。

 エリーシスとアルトン虐殺の真の首謀者を教えて説得し仲間に引き入れる?教義に染まり魔族を憎む典型的な神竜族の彼女がこちらの話を信じるとでも?よしんば信じたとして、メスキアに弓引くことに同意するとでも?―――何よりシルヴィアにいいように踊らされジュデッカに不意打ちとはいえ一方的に甚振(いたぶ)られたヤマタ=クシナダに、裏切りのリスクを抱えてまでそんな手間を掛ける価値がない。

 

 だからピアサの時と違い、選択肢は一択しかなかった。選ぶ主体は囚われの女剣士では当然ない。

 

「体つきはまあまあか。達磨を犯す趣味はないから、そこは気を利かせたシルヴィアに感謝だな」

「まさか――!?辱めを受けるくらいなら、くっ、殺せ!」

「あぁん?馬鹿が、てめえをどうするか選ぶのは俺だ」

 

 魔神の召喚した触手が両足首に巻き付いてヤマタの両脚をあられもない大股開きにさせる。“ザハークにとって”見苦しくないように治療されたしなやかで健康的な脚線美を拝めるのは今くらいだろう。剣を振るうどころか四肢すら動かせなくなった彼女の末路は、延々と眷属を産み続けるだけの産卵母体なのだから。

 

 己の残酷な未来をきちんと理解できている訳ではないヤマタは、せめて気持ちだけでも屈しないように自分を犯しにかかる男を睨み毅然として言った。

 

 

「どれだけ責められようとも、触手になんか絶対負けません……!!」

 

 

「―――いやまあそういう趣向も悪くはないんだが、ぶっちゃけ眷属(ジュデッカ)にやられて再起不能になったてめえにそこまで興味ないんだわ。手短に壊してやるよ」

 

 そんな元女剣士をつまらなさそうに見下しながらザハークが指を鳴らすと、人間の頭部大ほどもある巨大な目玉に蝙蝠の翼が生えた化生がふよふよと近寄ってくる。その眼球が妖しく輝いたかと思うと、次の瞬間彼女が感じたのは―――、

 

「ひいっ……!!?」

 

 

 蟲、蟲、蟲――――。

 

 

 乙女の柔肌を這いずり回る、ネズミ大の異獣達。指と戯れる節足多肢の爪が薄皮を破り、毛穴に粘液を塗りたくりながら蛞蝓(なめくじ)がよじ登り、艶やかさが自慢の黒髪に蛾が鱗粉を振りたくり、耳たぶに蜘蛛が巣を張る音を間近に聞く。

 

「いやっ、なにこれ、いやっ、いやああぁぁぁっっ!!!?」

 

 自然と共生するクシナダに住む者として虫がそこまで苦手という訳ではないヤマタでも、あまりの生理的嫌悪に恐慌を来すしかない。瞑った瞼の上をカサカサと素早いナニカが走り抜けて涙がぽろぽろと零れる。

 

―――『安心しろよ、幻覚だ』

(まぼ、ろし?嘘、うそっ、だって感触も音もこんなに気持ち悪い……っ!?)

―――『俺には見えてないから萎えずにてめえを犯してやれるんだぜ』

(おか……、え、何――――!?)

 

「ぁ、ああ゛ああ゛ぁああああ゛ぁああ~~~~~ッッッッ!!!!」

 

 ぶちりと、下腹部で大切なものが裂ける痛み。やがてそれが快楽に変わる調教の手管。

 虜囚となった炎龍姫に襲い掛かったのは、それだけならザハークに抱かれた女の誰もが味わうもので――――しかしそこに加わる悍ましい感触が地獄の責め苦へと変えていたのだった。

 

 

 

…………。

 

「きひい゛いいぃいい゛いぃ、――――#$%&@:;=¥&%$、■■■■■■■■■■!!?!?!?」

 

 数時間後。ザハークと触手に性的快楽を絶えず送り込まれ、しかし蟲達に集られる恐怖と嫌悪をも同時に感じさせられていたヤマタは、奇声とも嬌声ともつかぬ絶叫を上げていた。

 肉体と精神を苛み続ける悦楽と苦痛。両極端かつ片一方のみでも拷問として成立する仕打ちに引き裂かれ続ける正気が、いつまでも保ち続けられる訳もない。

 

 血走った眼を見開きながら、口に入っていくナニカにえずきつつ明らかに危険な呼吸音で酸素を求める龍乙女。しかし容赦なくザハークは責め続けるし、幻覚もまた同様だろう。

 

「ひ、ひどい……ひぅっ!?」

「ぺろ、んちゅ………ふふ、何がひどいんですかー?」

 

 それを鏡の向こう―――仕切りの反対側からはただのガラスになってヤマタの奇態を観察できる暗い部屋で。

 赤毛の魔女竜アスタはその非道を見せつけられながらも、同じく触手とそして誰よりも可愛い妹分に嬲られていた。

 

 とは言っても敵の四天将に加えられているような苦痛の要素はまったくない。

 触手もシルヴィアも羽毛を扱うような繊細さでアスタの小麦色の肌を撫ぜ、清潔なベッドの上で火照りと昂りだけを与えてくる。時折耳を舐めたり背中をつぅとさするだけで甘い喘ぎを上げさせられている様は、(はた)からは同性同士で愛し合っているようにしか見えないだろう。

 

 目の前の残酷な仕打ちと対比するような甘い奉仕に顔を蕩かせながらも、アスタはもう数え切れないほど繰り返した懇願を口にした。

 

「お願いシルヴィ、もとの優しい貴女に戻って……こんなの嫌ぁ……」

 

 ふらっと出掛けたかと思うと単身クシナダへの破壊工作をしていたというシルヴィア。平然と彼女を危険な任務に一人で放り込むティア達に怒りを覚えながらも、見事四天将を捕らえた魔姫に迎えを要請されればアスタもベヒモスを動かさざるを得ない。

 だがそんな車長にシルヴィアが贈る返礼がこれだった。

 

「何度でも言います、アスタさんが私と一緒に堕ちてくれればいいんですよ?はむっ」

「~~~~っ、なんで、どうしてぇ」

「だってアスタさんは大好きなお姉さんですから。分かり合えないの、悲しいと思いません?」

「―――っ」

 

 暗がりの中見つめてくるディープブルーの瞳。熱に浮かされた思考でアスタはそこに自分と同じ感情を見てしまう。

 自分の気持ちを大切な相手に分かってもらえない悲しさと苦しさを。

 

 更にそれを察知して畳み掛けるように赫髪の堕姫は囁く。

 

「このままじゃ私とアスタさん、いつかケンカ別れになっちゃいますよ。そんなの寂しいです。ずっと一緒にやってきたじゃないですか」

「でも、だって、―――」

 

 

「私達、家族じゃないですか」

 

 

(――――)

 

 涙に潤んだ声。神竜族(ヤマタ)にされているものと全く正反対のどこまでも優しい愛撫。可愛い妹のお願い。『家族』というキーワード。

 アスタの精神を、良心を、善意を甘く凌辱し突き崩したのは邪悪に染まったシルヴィアの姦計だと分かっているのに決壊を抑えられない。

 

「んむっ!?………ぷは、…アスタ、さん?」

 

 

「わたしだって――――シルヴィと離れるの、絶対嫌よ!」

 

 

 いきなりの魔女竜からの積極的な口づけ。突然のことに頬を赤く染めながら小首を傾げる堕姫に、溢れ出る思いが止められない。

 神竜族に全てを滅ぼされた彼女にとって新天地で連れ合いになった優しい少女。破天荒でマイペースな自分の我儘を嫌な顔一つせずに受け止め、一緒に夢への道を手伝ってくれて、ずっと同じ列車で同じ景色を見続けてきた。

 

 シルヴィアは天涯孤独になっていたアスタにとって新しい唯一の家族なのだ。ずっと一緒にいたいし、離れられないし、見捨てるなんてもっての外。

 

(ごめんなさい、お父様、お母様。でもシルヴィだけは―――)

 

 心が壊れ外道を働くようになってしまったシルヴィアは、アスタ=ディアボロスとして父母から受け継いだ科学者の誇りと良心に相容れないことをこれからも繰り返すだろう。けれど『妹』を拒絶することに、もう一度家族を失うことにアスタはきっと堪えられない。だから。

 

 

「なら、私と一緒にどこまでも堕ちてください。アスタさん」

 

「……本当仕方ないんだから、シルヴィは。いいわよ、お姉さんが付き合ってあげる―――」

 

 

 今度はシルヴィアから迫って来たキスを目を瞑って受け入れる。

 何かが溶け堕ちる音が聴こえた気がした。それはきっとシルヴィアと共に『世界の果てを見たい』という夢を追うと決めた日から、故国を滅ぼしたメスキアに抱いた恨みと憎しみに掛けていた蓋。

 

 外れる。心が黒く染まっていく。怖くない、だって愛しい妹(シルヴィア)が傍に居るから。彼女と同じものを感じて共有しているのだから。そしてそんな自分達を引き裂こうと、家族を奪おうとするような者達に対する寛容や慈悲の気持ちがすっと消えて軽くなる。

 

 

 

 この日アスタは科学者として被っていた帽子を焼いた。そしてシルヴィアと同じく腿や下乳が露出した妖艶な装束をローブの下に纏い、正道に背を向けた退廃的な女であることを自他に刻む。

 その姿を始めに見せたのはある意味で全ての元凶である魔神―――と、凌辱の果て蛙のような惨めな体勢で産卵したまま気を失ったヤマタだった。

 

「ようアスタ。シルヴィアに壊された気分はどうだ?」

「悪くないわね。だって可愛い妹のお願いだもの、お姉さんなんだって叶えてあげちゃう」

「アスタさん……♡」

 

 腕にじゃれつくシルヴィアを愛し気に撫でた後、赤髪を緩く括って前に流した車長はつかつかと粘液の飛び散った床を歩きだして。

 

「げふっ!!」

「………くくっ」

「私の大切なベヒモス、汚い汁で汚すとかもう最悪。どうしてくれるのよこの阿婆擦れ」

「あ、ぎ……ッ!?」

 

 踏みつけて意識を呼び戻し、蹴りつけて転がし、髪を掴んで上を向かせる。陽気で鷹揚だった魔導列車の車長は、そんな過去の振る舞いをなかったかのように理不尽で容赦のない罵声を敗辱の神竜姫に浴びせ掛ける。そして口元を歪ませると、猫撫で声で問いかけた。

 

「この償いは……そうねえ。貴女のクシナダを差し出して、蟲の眷属の楽園にするとかどうかしら?女は蟲の母体にして、男は餌か、寄生虫達の巣にしてあげるのもいいかもね?」

「くしなだ……むし?あ、ぁぁ―――♡」

 

 公主として自らが背負うその単語に僅かに反応し―――しかし蟲の幻覚凌辱と受け続けた性の快感が化学反応したのか、だらしのない笑みでヤマタはこくこくと頷いた。

 

「さしだします……くしなだが蟲様のらくえん。たみもいっぱい蟲様におかされ―――ふふ、うふふふふふ…」

「あはは、貴女傑作よ。いいわよ全部叶えてあげる。――――ほんと無様、ねッ」

「がっ!!」

 

 涎を垂らしながら壊れた玩具のように笑い続ける炎龍姫の頭を床に叩きつけ、にやにやとその様を観察していた魔神に向き直る堕ちた魔女。

 

「何よその目は、ザハーク」

「いや、お前もいい女になったなと。今夜俺の部屋に来いよ」

「あら。いいわよ、―――シルヴィにやったひどいこと、全部私にもしてちょうだい?」

 

 もはや舞台装置となり果てた苗床(ヤマタ)を放置して他の会話に興じる二人。だが全てを犯し尽くされた『母体』も幸せそうに笑っているのでいいのだろう。

 そんな敗北者に屈んで問いを投げる堕姫が一名。

 

 

「ヤマタさん、ヤマタさん――――どうです、触手には勝てましたか?」

 

「あへへ……。触手には勝てませんでしたぁ……♡」

 

「はい、おつかれさまです♪」

 

 





 凄惨姫の初大暴れシーンの犠牲になり、一度もサブタイになることもできず、アスタ悪堕ちの前座になって退場したヤマタ姫に、敬礼!!
……ここまでやったら逆に存在感出るんじゃないかなーという思惑があったりなかったり。

 うん、超ひさしぶりにいつものきたないサッドライプやれてる気がする(いい笑顔で汗をぬぐいながら)
 デアラとかアズレンとかあいペドでなんかきれいに見えたのが奇跡だったんだ……(悪堕ち感)


『何故か巨大な姿見が壁の一面となった奇妙な部屋で、明るい照明の下』
→この状況の時点で察しのいい読者は「ああ」ってなった筈。

『突然背後に現れた氷の翼持つ魔族の女』
→テュポーン戦以来久々のピーちゃん使って次元の狭間に潜伏、奇襲。ゲリラ屋もやれる凄惨姫にこんな便利な手札持たせるとか本当もう……。

『この程度で炎の竜王?調子外れですわ』
→前回も書いたけど、原典のHで同じ炎属性でも明らかに桁違いな竜魔王ジュリアに何度も突っ込まされてたのがジュデッカな訳で。魔人形態ですら兵士千人以上に匹敵する(セリアス談)嫁竜が比較対象になっちゃうと、ヤマタさんは……。

「くっ、殺せ」「触手になんか絶対負けません」「触手には勝てませんでした」
→凄惨姫録音中。掲示板で使う話のネタ用(酷

『天涯孤独になっていたアスタにとって新しい唯一の家族』
→アスタもアスタで重い背景背負ってるんだよね…。そんな彼女から妹扱いされてるのにつけ込んで堕とす凄惨姫マジ凄惨姫。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。