ORS白き皇女は悪堕ちしたい~安価は原作ヒロインの肯定ペンギンでした~ 作:サッドライプ
原作知ってる人にはここで衝撃の展開って言っても事前に分かってるだろうから、ちょっと捻ってみるだけのつもりだったんだ・・・。
「舞え、踊れぇっ!足がくーるくるぅっ!
けけけけッ!!愉快ですよファフネル、お前のその無様なダンスは!!」
「あぐぁっ!?ピアサっ……気狂いめ……!!」
大陸最硬の聖門を一撃で半壊させた列車砲、その二発目を撃たせまいとベヒモスに急ぐ竜将軍ファフネル。しかし格下の筈の若輩四天将ピアサにいいように翻弄され、苦しめられていた。
「そーなったのはお前のせいでしょう?今更何を常識面してるのかな、かな?」
「ティア=エリーシスもそうですが、魔神ザハークに股を開いた
一丁前に復讐などと叫び、あまつさえエデン様に刃を向けようなど―――神竜族の面汚しがっ!!」
「阿婆擦れェ?わたしザハーク専用の愛娼なのに的外れでーすよーっ!
あ、子宮が蕩ける程に男を愛したこともない行き遅れババアには分からないですかねェ?」
「な……ッ!?」
復讐の為に研ぎ澄ませて来た。怒りを、憎悪を、そしてそれを届ける為の翼と刃を。
闘技場で幾度となく魔神と技を競い、獣より遥かに鋭い彼の爪と勘を掻い潜る為により速く巧く飛ぶことを覚え。そして無限に進化して対応してくる彼にその度に打ちのめされて、どこまでも彼女の翼と刃は昇華してきた。
敗北する度に触手に強姦されて肉の悦びを覚えながら、その数だけ自分が強くなってきたのを確かに実感している。
更にはピアサの感覚的な話ではあるが、彼の近くに居れば鈍らないのだ。時間が褪せさせる筈の憎悪も、多少は蘇る筈の良識も、必ず報いを与えると誓った決意も、全てが彼に凶悪な笑顔を向けられるとよりどす黒く染まっていくような心持ちになっていく。
復讐者の彼女にとってそれは何よりも愛しい笑顔になって当然だった。しかも自分の力になってくれる可愛い子供達を産卵させてくれた。初めての我が子をあんな形で死なせたダメダメな女をもう一回母親にしてくれた。
愛している、愛している、ピアサ=アルトンは魔神ザハークを愛している。
その想いは翼に乗って―――彼の腕以外の何者にも捉われぬ迅さを与えてくれる!!
「もう誰にも、わたしの
「こんな、まさか……ッ!?」
最早ピアサの高速飛行はたとえファフネルが万全であろうと掠らせもしない神速へと達していた。全天周から切り掛かる斬撃に対して彼女が反応する頃には既に周回遅れ。残像すら切先を追いつかせられない、重心も定まらぬ無様なワルツを踊りながら刻まれるのを待つだけ。
ならばファフネルの得意な領域で勝負すればいい?魔導列車の正面衝突すら受け止める強靭なタフネスで耐えて攻撃の瞬間を相打てば?
「くひひ。無駄、無思慮、無意味!!いいですよ、好きなだけ焼き焦がしてあーげるっ」
「ぁ……、ぅぐ……っ!!」
同じ男を愛する同志であり仲間から受け取った剣から放たれる稲妻は、
神をも蝕む毒の性質を帯びた雷撃。固い相手や巨大な相手は細剣使いのピアサが苦手とするところだったが、その弱点すら禁忌の武具で克服していた。
少なくとも通常の武技比べにおいて、風雷双剣の翼竜姫はメスキア最強の将軍を完全に圧倒する。巻き返すには彼女のものより質の高い竜装の能力を解放するという選択肢が頭を
「―――
「罠、ですか……!!」
ファフネルが頼みとする竜装ヴォルスングの力は、確かに切り札ではある。大気中の
肉体と魂の接続に干渉する狂聖女の雨に打たれて感覚が曖昧になり、上手く意思の通りに働かない今の体で迂闊に使えばどうなるか。まだ斬り合いであれば肉体に染み付いた反射でなんとか普段通りに動けているが、生半可な神竜兵では扱えない始祖の竜装がきちんと制御できるかは完全に賭けになる。
下手をすればかつてニヴェルネ首都の儀式場でシルヴィアに嵌められたヴィーヴルの時と同じように、溢れた
エデン様の為であればその身を
打開策としては術者であるヴィーヴルを叩いてこの雨を解除することだが、ピアサに押し込まれているファフネルに全く余裕はない。周囲の部下達も精鋭なだけあってそれを狙い、眷属達の妨害を潜り抜けて紫髪の一角竜に肉迫出来た者が幾らかはいた……が。
「はい、残念賞。苦痛もなく眠れるぜ?――――イけ、雑ァ魚」
荒っぽくも鋭い拳打が消耗した兵を待ち構え、吹き飛ばされたが最後地に横たわって動かなくなる。息もしていない、絶死の一撃が贈り物だった。
一瞬だけ近接戦仕様に能力を切り替えているのだろう。典型的な術者の彼女がそれをこなせることは大将軍の自分すら知らなかったが、策士であれば三味線を弾く程度はしていた筈だ。裏切ってから披露することに恨みがましい感情しか覚えなかったが。
「おのれ……!まだ、まだだっ……!!」
ピアサだけなら、ヴィーヴルだけなら、あるいはどうにかなったかもしれない。
戦う気概は全く萎えていない竜将軍だったが、両者が揃えば完封出来ると踏んだ性悪軍師の目論見通り、逆転の芽のない劣勢へと追い込まれていた。
「………ちっ。本当に厄介になりやがったな、ティアの嬢ちゃんよ」
日に焼けた肌の中年男が遠眼鏡でその戦況を見届け、苦々し気に吐き捨てる。
密偵イルダーナフ。密偵と言えば聞こえはまだマシだが、要は汚れ仕事の為に大神官ガシェルに飼われている人間達の隊長でしかない。鉄の両手剣を振り回せる程鍛え抜いた筋骨隆々の体は、しかし神竜族からすれば脆弱そのもので前線の兵士として役立たずなのだから。
メスキアにおいて人間種族とは神竜に庇護されているという建前なだけの家畜の別称だ。神竜様を崇めろと思想を刷り込まれ、彼らがやりたがらない泥仕事や単純作業に扱き使われ、そのくせエデン様の教えでは贅沢は不道徳だなどとして貧しい暮らしを強制される。反抗しようにもそもそもの種族としての強さが理不尽な絶壁として横たわっていて、現状に不満があっても声を上げることすら許されない。
それでも軍で働けているだけイルダーナフの家族や故郷の村は一応まともな生活が送れている。彼が歯向かったり役立たずになれば“処分”される人質待遇というだけだが。
―――だから味方の国である筈のエリーシスにスパイとして潜入することに否はなかった。
―――弱者である人間にも分け隔てなく遇してくれた公主エアに絆された。
―――彼女を貶めエリーシスを滅ぼす手引きをしろと命じられ、拒否できなかった。
―――恩ある彼女の実子である姉弟を絶望に追い落とし、弟に至ってはこの手で射殺した。
そして今、残った姉であるティアを殺す為に彼はここにいる。ガシェルの言うことに歯向かえない無力な人間だから。
仁義もへったくれもなく強者に媚び諂い、忘八の限りを尽くす卑劣漢。それは自虐でもなんでもなくただの事実だ。
(クソったれ。それでもオレは今……ほっとしてんのか?)
事前の想定では、ティアが前線に出てきた機を狙って彼に預けられた“ソレ”を投入し、絶対に動揺する彼女をその隙に殺す手筈だった。しかし主力のファフネルは寝返ったピアサとヴィーヴルに追い詰められて時間を浪費し、その間にあの強力な敵の砲弾の二発目が放たれようとしている。
聖門を守る為に仕方ない。だから。
「エア様。お願いします」
「………」
洗脳され傀儡状態で彼に預けられた“肉盾”に命じた。『娘を殺せ』ではなく、『敵の砲撃を防げ』と。
果たして最優の四天将であるエア=エリーシスは、盾の竜装シルティスでソーマカノンの直撃を傷一つなく弾いてみせる。
至近で炸裂した衝撃波に麗しい黒髪をばさつかせながらも口元すら動かさない完全な無表情の横顔。何一つ語る筈のない公女の美貌に頼もしさと安堵を覚えた心を人間の男は恥じた。
これで策は露見した。これから先傀儡のエアを戦力として投入しても、ティアに我を失わせるほどの動揺を誘うことは難しいだろう。母親の手で娘を殺させずには済むかも知れない、なんて。
状況に流されるだけの男に、それ以上を考える余裕なんてなかった。
復讐の業火を魂にくべ続ける蒼竜姫に対してこんなことをして、どれ程の惨劇の呼び水となるか。
ろくな死に方はできねえな、などと罪悪感という名の自己陶酔に耽る彼が知る由もなかった。
…………。
「かあ、さま―――?」
「ティア、おいティアっ!!ちっ、こりゃ指揮できる状態じゃなさそうだな。どうするシルヴィア?」
「戦況自体は押しているのですから、当然攻撃続行です。指揮官代行は私が。
――――アスタさん、『レイスゼロ』の射出お願いします」
「いいわ。あの子の初陣の相手としては随分な巡り合わせね、全く」
「ちょうどいいと考えましょう。
外道には外道を。悪意には悪意を。四天将には、同じく四天将を」
…………。
勝敗を決める筈だった砲撃を防がれ動揺する筈の魔竜軍。大将軍が劣勢の中現れた四天将の増援に士気を取り戻す神龍軍。いずれにせよ一瞬の停滞が支配した戦場の中で。
動きを見せたのはベヒモスの後部車両。先ほどの砲身と同じように天井が変形して格納していた“何か”を迫り出し、進路を開くようにカタパルトを形成する。
斜め45度に勢いよく投射された影は空中で背中から炎を噴射し――――猛然と盾公女エアへと一直線に突撃する。
「な、に……ッ!!?」
襲来と共に空気が一瞬で入れ替わる。実りの大地を陽炎揺らめく灼熱の煉獄が支配する。
エアがその盾で突進を受け止めていたのは、全身を鋼鉄の鎧で覆った騎士。非生物的な排熱口の付いた双角に、羽ばたきではなく爆炎で飛翔する機械の翼が付いていながら、確かに呼吸や意思を感じられる。しかし兜のバイザーの奥で仄かに輝く薄紅の眼光は無機質の恐怖を呼び起こさせた。
生物なのか魔族の使う機械兵士なのかも判別不可能な奇妙な鉄騎。だが一応竜族らしいシルエットをしていること、烈しい炎の使い手であること、何よりソレが握っている七つに枝分かれした刃という非常に特徴的な竜装は、情報を扱う者の端くれとしてイルダーナフも知っていた。その持ち主も、正統な担い手である“彼女”の血統以外には扱えない筈の代物であることも。
「あんたは、ヤ――、」
「
「何だぁ…っ!?」
「タクティカ内蔵型第二世代眷属『
マスターからの
これよりミッションを開始します!!」
鎧でくぐもっているのに何故か五月蠅く、無感情な口調なのに何故か暑苦しい声は確かに女性のもの。
それ以外はまったくもって正体不明の謎の鉄騎が、傀儡の公女と空中にて斬り結び始めるのだった。
『ピアサの感覚的な話ではあるが、彼の近くに居れば鈍らない』
→魔神の片鱗。周囲に居る存在の常識や倫理観のタガを外し限界を超えさせる力。当然ですがティア姫も凄惨姫もアスタ姐さんも影響受けてます。
ヴィーヴル?素です。今の彼女は自分が常識と倫理観を持って正しいことをしていると信じて全く疑っていないので。
「イけ、雑ァ魚」
→メルジーニちゃんちょっとそれ耳元で囁いて(手遅れ)
『まったくもって正体不明の謎の鉄騎』
→一体何マタの娘なんだ・・・。
いやね、ぶっちゃけGはヒロインの名前思い出せなくてもチュートリアルかませボスのあいつだけはすぐに思い出せるくらいにはインパクト強いキャラだったからね、あやかるというか。
これくらいしたら流石に彼女も空気キャラじゃなくなるかなあ、って思って……。
ところでギャグっぽく見えて普通に外道の所業なんだが、特に悪堕ちとかしてない最序盤からショッカー怪人改造手術をやらかしてるエネルゲイアとかいう魔窟があるとか。