ORS白き皇女は悪堕ちしたい~安価は原作ヒロインの肯定ペンギンでした~ 作:サッドライプ
†詠唱†更新。本当考えるの楽しいよねこういうの。
眷属達とメスキア神竜兵が決戦を繰り広げる首都アマルナ。デルピュネが誇る機械仕掛けの
地の利を生かした市街地戦を仕掛けようとしていた神竜兵達は目論見を崩されながらも、単純な肉弾戦であれば確実に不利なのを承知で巨体を誇る悪鬼達相手に果敢に正面から迎え撃とうとする。が、天から降り注ぐ酸と紅槍の雨に撃たれて彼らは刃を交えることすらできなかった。……黒煙が立ち込め始めた空に、
そもそも宮殿に続く道を護っていた主力部隊が魔神ティアによって粉砕されているメスキア兵である。各国の厳選された
一方で。
「黙れ、黙れ、黙れぇぇぇっっ!!我らがどれだけ苦心してこの
「利くわよ、
お前こそどの口で秩序などとほざくの?背中から刺して積み上げた同族の屍から栄養を啜って生きてきた骸獣以下の畜生。寄生虫の方がまだ可愛げがあるわよ」
「~~~~っ。うるさい、もういい、消えろ!!――――
神竜と魔神、互いの首魁が遂に相まみえた宮殿内では、外の激戦が嘘のように音一つなく静まり返っていた。
策謀姫に曝け出された己の偽善をその“結果”であるティアに痛罵されたエデンは激発して神杖ウルクへと
静寂に満ちた灰色の世界の中、幼くも美しいかんばせを憎々し気に歪めて敵を皆殺しにしようと神竜の王は黒翼を開く。寄って心の臓を一突きするだけ、それだけで災厄の魔神も裏切りの姫達も賢しい魔族も生を終える。抵抗も逃亡も、認識すら出来ないままに。
その筈だった。性悪軍師が一度場に切られた札の対策をしていない訳がない、という前提を考えなければだが。
「カース・レリジョン」
「な……ッ!!?」
「あら、いい間抜け顔。花丸です♪
―――これでも結界については自信がある方なので。塗り潰し合いならいくらでもお付き合いしますよ?」
金光を掻き消す闇の力、シルヴィアの持つ短杖の宝玉から放たれた凍て付く波動が
「馬鹿な……!?最もエデン様の力が満ちたこの場所で、完全に時間停止の権能を抑え込むだと…!?」
エデンを傀儡に教義を使って信徒を支配するが故に、ある意味で誰よりも彼女の実力を信奉していた大神官ガシェル。痩躯かつ脊椎の異常により猫背で姿勢が固定された不気味な男が、立て続けに算を乱され遂に爬虫類じみた面長の顔を戦慄に染めた。
愛する少女が宿敵の動揺と恐怖を引き出したことに禍々しい微笑みを浮かべたティアは、一歩踏み出して牙槍を構える。
「くだらない御託を並べるかと思ったら、それすらできないのね。無様な人形の王。なら始めましょうか」
そう宣言して灰髪の姫は詠う。魔神の力を身に宿し、母をその手で殺し完全に甘さを断ち切った魂の在り方から紡がれる新たな唄を。
「―――言葉は不要、慈悲は無用、仇なるは万象。血牙槍キシャル、憎悪を糧に全てを闇黒へと塗り潰せ。これこそが
「これは―――っ!!?」
災厄の少女が詠む
「消えなさい、その忌まわしい玉座ごと!!」
その穂先に差されているのは神竜王。愛しい契約者と少女を含めた仲間達を殺しかけた敵を排除するべく悍ましき闇の一閃を解き放つ。
「っ、エデン様!!あああぁぁぁっっ、……ヴォル、スングゥゥ―――――ッッッ!!!」
魔竜王との戦いで消耗した体を害すると知りながら
「な……ファフネルーーーっっ!!」
結果は濁流に押し流されるが如く、背後の壁面に風穴を空けながら数百メートルの彼方まで猛然と吹き飛ばされた。
「あ、ごめんねピアサ」
「……ちっ。大丈夫ですよティア、今度こそケリ付けてきます」
外の戦場を弾丸の速さで吹き飛ばされていった仇敵を追って娼装の竜姫がその穴を潜って飛翔する。
追跡は実にやりやすかった。水面に投げられた小石のように街の石畳がバウンドしたファフネルの体で陥没した跡が出来ている。それはやがて擦られ剥がされた跡に変わり、倒壊した民家の下で途切れていた。
その瓦礫を跳ね飛ばし、竜将軍は立ち上がる。
「行かなければ………!!エデン様……、エデン様…っ」
魔神の権能を与えられた今のティアの
元々強靭な神竜族に生まれながら病に冒され親にも見捨てられていた身。それをエデンに血を分け与えられて救われた過去がある。かつて人を神竜に進化させた始祖竜の血に更に適応して神竜族最強となったこの肉体は全て彼女に捧げると決めたのだ。
だからエデンに仇なす者は斬らなければ。敵のだろうと自分のだろうと、どれだけ血に汚れたとしても。どれだけ無惨な屍になろうとも。
主君の為に戦うファフネルに、止まるという選択肢などありはしない。
「その忠犬根性だけは認めてあげますよぉ。
――――でも、だからこそ。お前はそこでエデンの為に何もすることができずに力尽きるのがお似合いよ」
「ピアサぁ……ッ!!」
そんな大切なものを守るために戦って死ぬなんて贅沢、あの子を殺したファフネルに許されていい筈がない。ピアサ=アルトンは絶対に許さない。
「吹き荒ぶ嵐の咆哮は纏ろわぬ死者の狂想曲。我ら総意の下に誓いは一つ。迅雷の轟きを呑み喰らい、天穹を覇せ、イヴェレン!」
赤光を放ったままのファフネルに対し、ピアサもまた
大剣と双剣を構え、互いのオーラが周囲の草花を切り刻む剣呑な場で対峙し合う因縁の両者。
いくら竜将軍の体が限界だろうと、今まさに主君に敵の魔の手が迫るこの時こそ鍛え上げた武は最大限に研ぎ澄まされていた。次に繰り出す一撃は彼女にとって生涯最高の冴えを見せるだろう。そのことを確信し、しかし何の高揚もなく
「―――
事実として神竜族最強の名に恥じぬ威力を秘めて淀みなく繰り出された斬撃は敵の矮躯を両断すべく鋭く走り。
「遅い。あくびが出る」
気付いたらピアサが自らの背後に居た。それこそ時間でも止めたのかと思う程の僅かな間に。
「え……、あ、あああああぁぁぁぁぁっっ!!!?私の、私の腕ぇぇっっっ!!!!?」
生涯最高の必殺技を繰り出した両の腕は大剣を握ったまま交錯の刹那に断ち切られ、宙に放物線を描いて墜ちた。
最早エデンの為に剣を振るうこと、能わず。
「~~~~ッ、………――――」
出血よりも自らの生きる意味が失われた衝撃に、限界を超えていたファフネルの精神が遂に燃え尽きる。前のめりに倒れ込んでそのまま顔を上げることすら出来ずに消える意識。
「おやすみなさい。次に目覚める時は、エデンの無惨な姿を起き抜けに見せてあげる。
――――ちゃんと絶望に歪んだ顔を見せてくださいね?そうしたらちゃんと殺してあげますから。……くひひ、きひひっ。きひゃははははははははははははっはははははははっっっっっ!!!!」
大将軍ファフネル、風の四天将ピアサに敗北。宮殿をぶち抜いて飛ばされてきて、互いに桁違いの竜装の力を解放していたが故に戦場の注目を集めていたせいで、メスキアの武の象徴が敗れた事実は瞬く間に神竜軍側に拡散してしまう。
動揺に士気を挫かれ遂に蹂躙と虐殺の的と化してしまうメスキア軍。その悲鳴と断末魔を耳に心地よく聴きながら、風刃と雷刃を携えた復讐の翼竜姫は狂ったようにその場で哄笑を続けていたのだった。
完全勝利。ピアサちゃんがんばった!!
「骸獣以下の畜生。寄生虫の方がまだ可愛げがあるわよ」
→ティア姫キレッキレ。カオスルートでもエデン戦あったらこれくらい言ってくれたのかなあ。