ORS白き皇女は悪堕ちしたい~安価は原作ヒロインの肯定ペンギンでした~   作:サッドライプ

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 あとしまつの話。




終幕の清楚姫

 

 機械神に勝利し、最早何者にも脅かされることのない自由と豊かな自然の恵み溢れる新天地を得た魔神解放戦線は、早速連れて来ていたデルピュネの民の入植を開始した。

 

 星の空洞に残された数々の演算世界(ラグーン)は、潰す理由もないし興味もないのでそのまま放置している。

 ティア筆頭に「こいつらが勝者になるのは不愉快」だからという理由で、『大神官ガシェルが始祖龍を復活させる』か『魔竜王ヴァジェトが竜杯を手にする』結末に辿り着いた演算世界(ラグーン)崩壊プログラム(ノアシステム)が作動する設定に書き換えたが……まあ、何かの奇跡で勝ち残ったティア軍が魔神解放戦線同様偽りの世界から脱出してくることはあるかもしれない。

 

 状況を加速させる為に結果としてティア軍の手助けばかりしていたエルも、魔竜族最強の将としてわざと神魔の拮抗状況を維持しその結果ティア軍台頭の土壌を作っていたヴェリトールも、何よりティアの心の支えであり常勝軍師であるシルヴィアも、誰も介入者が居ない世界でティア達がそこまで戦い抜けるかはかなり怪しいところではあるが。

 それでもなおメスキア戦役を乗り越えて来たというのなら、その時はその時で歓迎してやるとザハークとレヴィアの戦争好き親娘が笑っていた。

 

 そんな目的を失いただ存在するだけになった箱庭の話はさておき、敵の居ない新世界で魔神解放戦線の将達も思い思いに日常を謳歌していた。

 

 女性陣が己の心身を開発してくれた愛すべき魔神とのまぐわいと産卵、そして我が子らとの触れ合いを愉しむのは前々からの当然としても。

 

―――復讐姫にして災厄姫ティア。彼女は新たな国『ハマルティア』の王として、変わらず君臨し統治している。魔神の契約者にして自分達をこの楽園に連れて来てくれた英雄であり、身内に優しい彼女は民に慕われている。一方で同輩を手にかけた者には一片の容赦もせずに裁きを下し、程よく恐れられてもいた。彼女が王である限り、平和な国であり続けることだろう。

 

―――魔女竜アスタ、そして狼人族(ガロード)姉弟のムムルとアイン達魔導列車(ベヒモス)組は、新世界の探求と調査の為気ままに各方面を旅している。

 浮遊大陸一つしかなかった頃と比較するとさしものベヒモスにも広過ぎる世界のようで、『世界の果て』はまだまだ先。暇な時は「今頃シルヴィ(シルヴィアさん)は~」などとアスタとムムルが両側からアインを耳元で煽って罵倒して遊んでいるようだ。

 

―――魔竜皇レヴィア。魔竜族という枠組みすらなくなった以上既に皇という肩書も形骸化している奴隷姫は、戦争のなくなった世界で心の拠り所に難儀している。

 とはいえ時折最愛の魔神(パパ)に死ぬ寸前まで虐待されたり、未だに一日一時間の正気タイムがある便女豚(ママ)揶揄(からか)ったりしてそれなりに楽しくやってはいるらしい。

 

―――嵐竜姫ピアサと蛮竜姫メルジーニ。既に復讐という本懐を遂げている両名からすれば、平和にもあっさり順応して溶け込むことに苦労はない。

 互いに過去の境遇から「今度こそ暖かい家族を作って守り抜く」という目標を立てて意気投合したかと思えば、花嫁修業に精を出して周囲を困惑させていた。

 

―――鋼機竜テュポーンと焔鉄騎Y-MANは、元々道具だ。そうあれかしとして求められた領分を逸脱する気もなく、ただ命令されるがままに割り振られた役職をこなすだけ。

 快楽に理性を溶かされた神竜王エデンも似たようなものだ。心も感情も持つ魂ある存在ではあるが、機能を完全に停止するまで彼女達はずっと変わらない。

 

―――今までずっとメルトセゲルの命令に従って稼働し続けた造天使エル。

 初めての自由というものに歓喜しつつも困惑しているようで、ふらふらとあちこちに顔を出しながらも時々真面目に働いている姿が見られる。あちこちに受け入れられながら顔を広げるのは、元神竜族のスパイとしてもはや染み付いた習性なのだろうか。

 

―――狂聖女ヴィーヴルは『正しいエデンの教え』を新天地で一から広める為、戦時中以上に燃えていた。元四天将組にも元魔竜族の民にも良い思い出が欠片もない教えだが、信仰は扱いこそデリケートなものの統治に有用なツールであるので特に制止されていない。

 メルジーニと肉体を共有していることもあり、非常に遅々とした歩みとなるだろうが……たとえどれ程の悪意と無関心に晒されようと、彼女の信念には永遠に一点の曇りも存在しないことだろう。

 

 

――――そして、総参謀として最も献身的に魔神解放戦線を支え勝利に導き、果てには機械神をその手で制圧した竜女神シルヴィアは。

 

 

「よお、機嫌はどうだシルヴィア」

「最高ですよ、ザハークさん♡」

「……ちっ。つくづく聖女みてーな女だな、てめーはよ」

 

 幽閉されていた。

 新首都の地下深くの暗闇の中、可能な限りの拘束術式が施された牢に首輪で繋がれ、暗黒物質(ダークマタ)の編み込まれた漆黒の目隠しで青眼を覆われた状態で。

 

 わざわざ訪ねて声を掛けたザハークも苛々して舌打ちしているように、当然のことながら仲間達の誰もシルヴィアにこんな仕打ちをしたがる者はいなかった。だが彼女自身の強い説得により、封印の戒めを架されている。

 

 不変の暗黒物質(ダークマタ)を全身に刻み込まれたティア達魔神解放戦線の女幹部は、魔神ザハーク共々不老不死の存在と言って過言ではない。そうでなくとも長い年月を経て新しい国が歪む時は必ず来る。

 その時強い力で過ちを正せる存在として、『救済と破壊の女神シルヴィア』をヴィーヴルの創る新たな教えに書き加えて欲しい……というのは豊かな国で豊かな暮らしをさせてくれた大恩ある宰相シルヴィアを慕う民や眷属達に不在を納得させる表向きの理由。

 

 

 本当の理由は、機械神との戦いで存在を昇華させた副作用だった。

 

 

 今の竜女神シルヴィアの力の多くを構成しているのは全演算世界(ラグーン)の神竜族の祈りであり、言い換えれば魔族を排斥する教義そのもの。残りにしたって魔竜族からの自分達を虐げる神竜の象徴に対する呪いと恐怖の感情だ。

 

 だから今の彼女の肉体は、本能の部分から訴えかけている。魔族を殺せ。今すぐ地上に出て彼らを滅ぼし尽くし、演算世界(ラグーン)の神竜族達を救い導けと。

 あまりに強靭な理性と信念で衝動を捻じ伏せてはいるが、愛する魔神に触れられただけで全身に震えが走る程の嫌悪感に苛まれている。

 

 魔神の眷属となった元神竜族の姫達相手にも例外はなく―――平気なのは体が神竜族のままだったオリジナルの『ティア』くらい―――ヴェリトールとの別れをなんとか取り繕って済ませたシルヴィアに殺すか封印するかしかないと告げられた面々、特にティアとアスタの悲痛な動揺は語るまでもないだろう。

 演算世界(ラグーン)の認識をまた『始祖龍=シルヴィア』から『始祖龍=エデン』に戻して解決する問題でもない。信仰を失って力は落ちるだろうが、それで昇華してしまった存在がまた元通りになるほど単純な話ではない―――魂を改竄する(アルクノアの)術式を操る魔女はこの世界にはいないのだから。

 

 斯くしてかけがえのない仲間を失いながらも、それ以外の全員が前を向いて未来に進めるハッピーエンド、めでたしめでたし。

 

 

 そんな巫山戯(ふざけ)た話を呑めるほど物分かりの良い魔神など居る筈もなく。

 

 

「犯すぞシルヴィア。要はてめえの魂の底まで踏み(にじ)って俺の色に染め直しゃいいんだろうが」

 

 

 彼女自身が全霊を賭して創り上げた拘束に縛られては居るものの、魔神であるザハークすら一睨みで塵も残さず抹消できる超越者に対して淫虐の触手を伸ばす。

 そんな男に向けて、生理的嫌悪で全身を汗だくにしながらも、女は微笑んだ。本当に幸せそうに、嬉しそうに。

 

「ふふっ。おじいさんもそうですけど、本当に約束を破らないんですね、魔神様は」

 

 

―――『もうてめえは俺の女だ。徹底的に調教して、俺のことしか考えられない雌にしてやるよ』

 

 

「たりめーだ。俺が抱いた女に誓った言葉を破るってことは、俺がそいつに敗けを認めたも同然だ。

 犯すってのはそういうことじゃねえ。全てを懸けて相手を屈服させて俺の色に染め上げるから―――凌辱ってのは愉しいんだろうが!!」

 

 その為なら、幾兆の信仰(呪い)が相手だろうと知ったことか。それこそ何万年掛かっても、絶対に敗けを認めてやりはしない。

 横暴で傲慢で無遠慮で、折れることを知らない絶対の自意識。

 

 女を口説くには最低の言葉はしかし、シルヴィアという少女に限っては福音にも等しいから。

 

「はい、ザハークさん。私を(あい)してください。

 いつかきっと、みんなで笑い合える世界に戻れるように」

 

 言われるまでもないと、魔神は女神の肢体を蹂躙する。

 

 

 

―――これはとある少女の、皆で笑い合い(悪堕ちし)たい物語。

 

 この先彼女が如何なる結末を迎えるにしても、それは遠い遠い未来のこと。

 故に語るべきことは既に尽き、ピリオドは今この時に穿たれる。

 

 我が子や仲間と引き裂かれ、恋焦がれた男にすら憎悪を抱く呪いに苛まれてもその心に後悔はなく。

 光射さぬ暗闇の中で、見守ってくれた異邦の朋友達にもただ感謝を告げ。

 

 

 終幕を宣言した。

 

 

 悪友たちもまた、フィナーレの余韻を胸にそれぞれの日常を過ごす。

 

 

【………】

『む、珍しくジェーンかの。どうしたー?』

【………(ぴっ)】

 

《シャロンも卵で赤ちゃん産むの?》

 

『……、………。ジェニファーになんぞ吹き込まれたか?』

【………?(ふるふる)】

『そうか。そうかー?』

(信用ないな)

 

 

『ナノ、なんかすっきりした顔してる』

『ちょっとね。……ねえフェイト、もう夜中忍び込んで来ることには何も言わないから、(バルディッシュ)持ってベッドの下に潜むのやめない?』

『え、だってこうしたらナノに近寄る女が怖がって出ていくんでしょ?』

『…………』

 

 

『なあみほ。俺、まほさんと付き合うことになっ―――』

『飛べよおぉぉぉ~~~っっ!!!』

 

 

『どうしたのアカネ、今日はいつにもましてテンション高いね』

『えへへ、ないしょっ♡さあゆーたくん、わんもあせっ(くす)』

『え、ちょ、いや待っ、これ以上は出ないからぁぁ~~っ』

 

 

 それぞれの世界で生きていく、彼らだけの物語の中で。

 

 

1000.清楚姫@触手悪堕ち志望        ID:sVBLandH

 そういう訳で、清楚姫が行くメスキア戦役を見守るスレ、これにて終了ということで。

 

 長い間、本当に本当にありがとうございました!!

 

 

 





『魔竜王ヴァジェトが竜杯を手にする』
→『ザハークが竜杯を手にしたら世界が滅ぶ(メルトセゲル管理下の設定)』と思っているヴァジェトにとって、悪質過ぎるサイレント仕様変更デストラップである。

『誰も介入者が居ない世界』
→エルもヴェリトールも、ティアにとってはそもそも居ないと詰んでるレベルのお助けキャラだった気が。後者はラスボスでもあるけど。

『新たな国『ハマルティア』』
→ヴァジェトが付けたのだろうデルピュネっていう名前をいつまでも使い続けるのもね、でも『エリーシス』も縁起悪いし………そうだ、国母(意味深)であるシルヴィアの苗字を使おう!!
 なお他は全員賛成だったが当のシルヴィアは相当嫌がっていた模様。
 流石に自分の名前の国を作るのはORSの中でもかなりイタい部類だと思うんだが気分はどうだ清楚姫ペンギン―――なんて煽った幼女がどっかに居たとか居なかったとか。

『アインを耳元で煽って罵倒して遊んでいる』
→最終回でも脳破壊。本当にどうしてこんなことに……。

「今度こそ暖かい家族を作って守り抜く」
→ファフネルやニヴェルネ国民を地獄に叩き落とした時の彼女らの悪意を見てると「お、おう」となるけど、過去の境遇をよくよく考えると全く笑えないレベルで切なる願いである。
 え、ピアサはこの作品でお前に死体蹴りされた結果だろって?うん、まあ。

『時々真面目に働いている』『もはや染み付いた習性』
→休暇を与えられても仕事が頭から離れない悲しい社畜根性。

『牢に首輪で繋がれ』
→念のため言っておきますが、清楚姫にはご褒美ですよ?

『シルヴィアにこんな仕打ちをしたがる者はいなかった』
→新国名が『ハマルティア』になったのも、実はその辺の罪悪感が理由だったり。

『遠い遠い未来のこと』
 生成プラント潰してるから今後は減る一方の演算世界(ラグーン)に比べてヴィーヴルの創った新しい信仰が新世界に行き渡れば、魔族にも穏和な女神に変質するかもしれない。あるいは万能のアスタえもんがなんかすごい解決法を考えてくれるかもしれない。そういう別ルートもありっちゃあり。
 悪堕ちしたい清楚姫的にはマジ勘弁だけど。

『恋焦がれた男にすら憎悪を抱く呪い』
→忌み嫌う男に無理やり犯され調教されて悪堕ちするのは性癖的に非常にイエスなので、そこはそんなに苦痛とは思ってない清楚姫(流石にジュデッカやティア姫やアスタ達に会えないのは普通に辛いですが)。その邪念を最後までザハークさんに隠し通せたかもご想像にお任せします。



 という訳で。
 長かったこの作品もこれで完結です。一旦エタりかけても付き合っていただいた読者諸兄には感謝の言葉もありません。
 これにロウルート+各キャライベント+えっちシーンのある原作ってどんだけ・・・。本編自体もアカネちゃん先生の解説に任せて大分展開端折(はしょ)ってるのに。

 今作は特に後半なんとか完走する為にあっぷあっぷで色々反省点もありますが、なんとか落ち着く形には落ち着いたかなと。

 ちなみに初期プロットの最終回だと、

・メルトセゲルを普通に撃破した後、魔神ティアが女神シルヴィアにいきなり触手耳クチュして精神を完全崩壊させて狂シルヴィアにする(ティア姫全肯定ペンギンなので拒絶できなかった)
・魔神ティア、「ザハークに教わった愛は、相手を屈服させて自分の色に染め上げることなのに全然返せてない。貰った愛は返さないと!」とかトンチキなことを言い出してザハークにも襲い掛かり同じことをしようとする。ザハークさん当然のように笑って迎え撃っちゃうので殺し愛開始。
・エルちゃんよろしく無限残機能力を獲得してたので土管からコンティニューするシルヴィア。彼女の無事を確認したアスタ達は、勝手にやってろと殺し愛を放置して新天地に。
・急に場面転換。無限残機能力で様々な並行世界に遍在するようになった清楚姫の一人が、なんか魔王レギウス復活の場に居合わせる。VBS(セイヴァー)編開始……?

 とまあ非常にアレだったので没に。没にできて良かった・・・!
 おかげで最後の最後でメインヒロインであるティアがなんか影薄くなっていましたが、無理やり存在を濃くしようとするとこういう風に酷いことになるので・・・Y-MAN・・・うっ頭が


 今後の執筆予定は完全未定ですが、また例によって病気を書き散らしたい衝動が出て来ると思うので、どっかで見かけたら笑って読み流してもらえれば嬉しいです。

 ところで、ラグーンインターナショナル発売決定まだー?

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