その身に宿すは月の意思   作:すぷれえ

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閑話です。


x それは、夢の御話。

魔術における絶対条件は等価交換。ナニカを求めるのなら、それ相応の対価を払わなければならない。

それは人間も、吸血鬼も、星だって同じ。神秘や奇跡を願うなら、それ相応の対価を払う。

 

――――これは誰も破ることのできない、絶対の法則。

 

 

 

 

始まりはとてもむかし。

星が生み出したひとつの命。

それは星自身の命が危うくなる存在でした。

 

でも星は自分を守れません。

その時月から王様が下りてきて、星にこう言いました。

「私があなたを助けましょう」

 

星はそれを認め、月の王様を住ませましたが、それは月の王様の嘘でした。

月の王様は荒廃した自分の領地を捨て、新しく綺麗な星を欲しがったのです。

 

それに気が付いた星は、月の王様を追い出そうとします。

でも、そうすると星を助けてくれる存在が居なくなります。

星は困りました。

王様は追い出したいけど、そうすると自分が危なくなってしまいます。

 

でもそこに、月の王様によく似た子供がうまれました。

けれどその子は星を欲しがったりしません。

 

星は喜んで、その子を月の王様の代わりにすることに決めました。

もう、月の王様は要りません。

 

星は、月の王様を追い出すことに成功しました。

月の王様は最後に自分の子供を作れるようにしました。

星はいずれ要らなくなるけど、その子が立派になるまでは必要だと判断しました。

そうして、大事に大事にその子を育てることに決めました。

 

その子は危なっかしい子供でした。

だから星はできる限りその子を守りました。

その子が一人前になって、本当に自分を守ってくれるようになるまで。

 

それでも、甘やかすことは決してありません。

その子は星が生きる限り、決して負けてはならないのです。

生かさず、殺さず。ギリギリのところまで負荷をかけ、その子が貪欲に力を欲するように。

 

やがて子供は立派に成長しました。

星はその子が大好きになりました。

だって星を汚す悪いものを無くしてくれるのですから。

 

その子をもっと自分の思い通りにしたい、自分のものにしたい、と星は思い始めました。

でも、それはすごく難しいことです。

その子が本当に星に頼った時でないと、星は願いをかなえる代わりに子供を自分のものにできません。

 

だから星は待ち続けます。

子供が本当に星に願う時を。

そうすれば星は子供を自分のものにできるのですから。

 

 

 

 

 

 

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