あと基本的に会話以外は垣根帝督で書きますが、会話はカキネ・テイトクになるので悪しからず。
理由は特にありません。m(_ _)m
海賊王、ゴールド・ロジャーの処刑から月日が経った。
だがしかし、ゴールド・ロジャーの死に際に残した言葉によって世界は大きな変化を迎えた。それはこの世界の人類史において一つの転換期であり、新たな時代となる大海賊時代の幕開けであった。
そして時代の流れと共に海賊の数は増加の一途を辿っており、最果てには海賊王の残したとされる
また、偉大なる航路に来ることはなかったとしても、四つの海でも海賊の数は増加しており、世界の秩序を守るはずの海軍でも対処しきれない程の増大な数となっており、偉大なる航路の海賊と同じように世界的な問題となっていた。
四つの海にいる海賊は、偉大なる航路の海賊と比べて世界的な影響力が低いこと、懸賞金が低いことが、偉大なる航路にある海軍本部から物理的距離などの面から後回しにされているため、民衆の中には不満の声を持つ者も少なくはない。
さらにはモンキー・D・ドラゴンをトップとした革命軍と呼ばれる、世界政府の転覆を目論む組織の存在もまた、海軍の戦力が偉大なる航路に集約していることの要因の一つとなっていた。
そんな中で現れた、最悪の世代と呼ばれる大海賊時代に新時代をもたらすことになる海賊達。
新進気鋭のルーキー達は、これまでの四皇、海軍、王下七武界の三竦みによって保たれていた仮初めの平穏を崩すことになる。
最悪の世代を中心として、エニエス・ロビーの崩壊、頂上戦争、王下七武海や四皇との戦いを経て、時代の流れは急速に変化を遂げた。
正義であるはずの海軍や世界政府の名声は地に落ち、果てには海軍の海兵に賞金を掛けて刈るための組織が作られ、世界新聞ではその情報が様々な土地へと発行されて伝達されていくことになる。
と、本来ならばなるはずであった。
だがそれは、一人の男の存在によって大きく変化していくこととなった。
◇◆◇◆◇
それは偉大なる航路の後半の海、新世界にある一つの島での出来事であった。
その島は花島と呼ばれており、数多くの観光客が訪れることで有名だ。
偉大なる航路の中では比較的珍しく安定した気候と、長い年月をかけた人々の努力の結晶として、他の島には咲かないような花島特有の花や美しい植物が咲き乱れている。
また、花島の四季は決まった周期であるため、季節によって咲く花や植物によって島は姿を変えるため、訪れた者の中には、偉大なる航路において最も美しい島と呼ばれることも少なくない。
あるものは幻想と、あるものは宝と、あるものはただの植物と。
だがどの人にも共通して言えることは、花島は一目見て後悔はないということだ。
だがそれは過去の話であった。
ある時、花島に一つの海賊団がやって来た。海賊旗の髑髏を挟むように、SとNが書かれていることが象徴的な海賊船。その海賊船の乗組員は百人を越えており、一つの島へと押し寄せるには十分な数であった。
その海賊団の船長は悪魔の実の能力者であり、自然系サテサテの実の砂鉄人間であった。
サテサテの実は自然系の悪魔の実の中では序列は低い方である。理由としては、支配するものが自然現象ではなく砂鉄のみとかなり限定されていること。また砂鉄自体には直接的な殺傷能力が低いことも要因の一つとなっていた。
海軍の三大将の悪魔の実と比べれば分かりやすいだろう。光の速度やマグマや氷結と、砂鉄が並べられたならば、どちらが驚異かと聞かれたならば誰しもが前者を選ぶことだろう。
だがサテサテの実の能力者は自らの体を砂鉄に変えることだけでなく、自身だけでなく周囲の砂鉄を操ることでの大規模攻撃など、能力を完璧にコントロールしており高い戦闘能力を誇っている。
また覇気使いでもあった船長は、覇王色の覇気は使えないにしても、武装色の覇気と見聞色の覇気をマスターしており、その内の見聞色の覇気は断片的ながら未来を見通すことが出来るほどであった。
サテサテの実の能力者の懸賞金は五億ベリーを越えており、また海賊団の中には億越えの賞金首も何人か在籍している。
ただ問題はそこではない。
花島は過去、海賊が観光として訪れたことも何度かはあったからだ。その内には、懸賞金が十億を越える大海賊も含まれているため、決して滞在ができない島という訳ではない。
では何が問題だったのか。
その海賊団がモーガニアと呼ばれる海賊団だったことだ。
一重に海賊と呼んでも、主に二つに分けられることが多い。一般市民から略奪を行うモーガニアと、そんなモーガニアから略奪を行う義賊のような海賊をピースメインと呼ばれている。
今回花島へとやって来た海賊団は前者であったということだ。
だが海軍の支部が近いこともあり、今までは海賊が滞在しても数日程度の一時的なものであった。世界政府や加盟国の中には花島を気に入っているという声も多数あったため、新世界の他の島と比べても、治安維持の為の海軍による巡回の回数は、他の加盟国と比べても多かった。
だが今回花島へとやってきた海賊団は、巡回していた海兵達を奇襲のような形で襲うことで一蹴すると、呆気なくボロ雑巾のようにしてしまい、海兵達が乗り込んでいた海軍の軍艦に海兵を乗せると、そのまま島から軍艦を海軍の支部へと送り返していた。
それは海軍の支部があろうと関係ない。自分達にはそれを倒せるだけの力があるという海賊団のアピールであり、生きた状態で海兵達を海に軍艦で放り出したことも、生かすことも殺すことも出来たということの表明であった。
その後海賊団は、花島を自分達の縄張りとすることを表明しており、その島に暮らす市民から武器や金を巻き上げ始めた。
不幸なことに、花島には戦闘能力の高い者はいない。海軍の支部が近くにあったこともあり、また非戦闘地域ということを来訪者達に理解してもらうためにも、花島の中で武力を持つものはいなかった。持っていた武器も自衛目的であったため、海賊相手には有効にはならなかった。
そんな花島の事態はすぐさま、海軍支部から海軍本部へと電伝虫でもって伝達された。
その事態を重く見た海軍本部は、情報の伝わった世界政府からの要請もあり、急遽花島の問題を解決するべく新たな人員を増援として送ることが決定された。
世界政府の加盟国でもある花島の社会的重要性と、観光名所という知名度の高さも加味されて、派遣される軍艦は通常は一隻の所が五隻となり、乗り組んでいた海兵も海賊達と比べて三倍以上の数が動員されていた。
「なんだよ、億越えだからって期待してみりゃ拍子抜けだな」
だが実際のところ、花島で億越えの賞金首達の前に立っていたのは、無駄足だったと悪態をつく一人の少年であった。
紫色のスーツの上に白いコートを羽織っている、茶髪に鋭い目付きであった。百八十センチを越える長身さも相まって、風貌だけで言えばホストと不良を足して2で割ったような少年である。
海軍のシンボルであるカモメのマークが入ったコートを着ていなければ、端から見ればその少年の風貌からして海賊や賞金稼ぎと勘違いされていたことだろう。
だが何より目を引かれるのは、背中から六本の翼のようなものを生やしていることだ。見る者が見ればまるで天使のようだと言うような純白の翼は、些か少年の見た目にはミスマッチであり、明らかに似合っていなかった。
「くっそ、なんでこんな島に海軍の新星がいやがるんだ!?」
地面に倒れ付しながらも叫ぶ、船長であるサテサテの実の能力者。それに対して新星と呼ばれた少年、垣根帝督は何の反応も示さない。
それもそうだ。
他の人がどれだけ綺麗だと言おうとも、花を愛でるような趣味も、誰かの感想を参考にすることも殆ど無い垣根からしてみれば、態々興味の無い花島に来るつもりなど微塵もなかった。
たまたま大将達が全員別の用事で出払っており、海軍元帥であるセンゴクの命によって、海軍本部にいた他の中将と比べても頭一つ抜きん出ていた垣根に矛先が向いてしまい、花島へと来ることになってしまったのだから。
それはある意味では元帥のセンゴクからの信頼の証とも言えるだろうが、垣根からすればどうでもいいと一蹴してしまうだろう。
外には出してはいないが、内心では相当な苛立ちが募っていた。
辺りの地面は幾つものクレーターができたように陥没し、木々は薙ぎ倒されており、自然豊かな花島では、その一角としても似合わない明らかな戦闘の後が残っているが、それらは全て垣根の能力によってもたらされた結果であった。
それに対して垣根には、傷はおろか服にも埃一つすらついていなかった。
だがサテサテの実の能力者を除いた海賊達は、体のどこかしらを垣根の背にある翼と同じような真っ白な、装飾の無い剣のようなもので貫かれて地面へと縫い付けられていた。
周辺には海賊達のものであったと思われる、折れた剣の残骸や幾つもの銃、さらには形を保てなくなって砂のようになって積もっている砂鉄が、幾つもの黒い山を作っていた。
唯一無事と言えるのはサテサテの実の能力者である船長だけであり、それも無傷とまではいかず、体のあちこちに傷が刻まれていた。
「俺だって来たくて来た訳じゃねぇんだよ。ったくどこぞの三下が余計なことしやがったせいで俺に面倒が回ってきやがったんだよ」
船長だけ無事というのも当然ながら垣根の意図したものであった。わざと一人残しておいたのは遊び心のようなもの。
つまらない場所に来させられたのだからと、少しはマシな相手を期待していたがそれも外れてしまったため、ならばと垣根自身の手で場を整えることにしのだ。
ピンチにおいて覇気が覚醒しやすいように、求めたものは火事場のバカ力のようなもの。このタイミングだけでもいいからと、味方が絶滅した状況で一人残れば相手に新たな力が目覚めるような覚醒イベントが発生するかもしれないと。そうすれば多少は垣根の予測を越えるような事態となって、少しは楽しることができそうな気がしたからだ。
とても民衆を守る正義の海軍の考えとはいえないが。
だがそんな、垣根にとっては都合が良い不足な事態が起こる様子もなかったので、いい加減にこの不毛な時間を終わらせることに決めていた。
「何で俺の砂鉄が動かねぇ。何をしやがったぁ!?」
「おいおい、ちょっとぐらいはその足りてねぇ頭を使って自分で考えるってことをしたらどうなんだよ。あぁ、こっから先テメェには考える時間は山ほどあるから今じゃなくてもいいけどな」
垣根はポケットに手を突っ込んで、全くやる気のない顔をしながらも仁王立ちであった。ただし背中の翼だけを動かして烈風を作り出し、周りにある砂鉄を吹き飛ばそうとしていた。
そうはさせまいと、サテサテの実の能力を発動させて、そこにあるはずの周囲の砂鉄を動かそうとするものの、その意思に反して、全くといっていいほどに砂鉄が動くことはなかった。サテサテの実の能力者としても、体力が底を尽いているならばまだしも、周りの仲間の海賊達と比べればダメージも少なく、体感でもまだ能力が使えるほどの体力が残っていると思っていた。
これまで幾度も海賊や海軍と戦ってきたが、サテサテの実の能力者にとっては、能力でもって対抗されることは何度かあったが、全く使えなくなるという現象は初めてのことであり、何度試しても結果は変わることはない。帰ってくる結果はやはり、周囲の砂鉄は動かないということのみ。
「テメェの悪魔の実がコントロールできるのはあくまでも砂鉄のみだ。それも磁力や電磁石の要領で砂鉄を動かしてる訳じゃねぇ。砂鉄のみを対象としてコントロール権を持っているだけ。なら話は簡単だ。テメェの悪魔の実が及ぼせる範囲にある砂鉄、それを全部別の物質に変えちまえばいい」
垣根の能力の本質である未元物質は、本来ならば無害となる太陽光を未元物質をフィルターとして通過させることで、本来ならば無害な物質を殺人光線に変えることだってできるのだ。
当然ながら未元物質が及ぼす力は太陽光だけに限らず、ありとあらゆる物質に影響を与えることができる。
そのためサテサテの実で影響を及ぼせる範囲の砂鉄は全て、観測する為にばら蒔いていた未元物質をフィルターとして再利用することで、砂鉄本来の物質から変化を遂げたモノへとなっている。
未元物質のフィルターを経由してしまえば、それは砂鉄であって砂鉄でないモノへと変わってしまうことになる。既存の物理法則が通用しなくなったものは、果たして本来のものと呼べるのか。
つまりこの周囲にあった砂鉄は全て、未元物質によってサテサテの実の能力の範疇の外になってしまった砂鉄だから操れないのだ。
そんなことを知らないサテサテの実の能力者からしてみれば、何かをしている様子も見られないのに謎の怪現象を引き起こしている垣根に対して、恐れがどんどんと沸き上がっていた。
そこに垣根の圧倒的な演算能力をもってすれば、先までの僅かな戦闘の合間に、サテサテの実の能力の効果範囲や規模、強弱などは容易に計算できてしまっていた。
垣根自身の能力の効果範囲とサテサテの実の能力の効果範囲を比べても、今回は垣根に軍配が上がったため、ここまで圧倒的な状況を作ることができていた。
それに加えてあくまでも元となったものが砂鉄であるためか、認識自体はできることは一つ、垣根としても収穫となった。
「ふざけんなぁ!!俺は五億の賞金首だ、お前みたいなガキにヤられるほど弱かねぇんだよ!?」
咆哮と共にサテサテの実の能力者の両腕の先が黒い砂のようなもの、つまりは砂鉄へと変化していきながら地面へと零れ落ちていく。
無理矢理止めていた蓋が外れたかのような勢いであり、少しの時間が経てば両腕は肩までもが溶けたかのように原型を失っていき、砂鉄の勢いが弱まる頃にはすでに肩から先は無くなっていた。
その代わりかのように、サテサテの実の能力者の背後には、浮遊している真っ黒な拳のようなものがいくつも出来上がっていた。
それは周囲に操れる砂鉄がなかった時のために、サテサテの実の能力で自分の体の中に、自身の体を砂鉄に変えるだけよりも遥かに多くなるように砂鉄を溜め込んでいたからできることであった。
これはいわば切り札のようなもの。
またこれらの砂鉄は自身の体内に仕込んでいたため、垣根の未元物質による影響も受けてなく、サテサテの実の能力者にとっては唯一まともに操ることができる砂鉄でもあった。
「もう見飽きたんだよ。テメェ自身を砂鉄に変えたところで、せいぜいが百キロにも満たねぇ量だってことは分かってる。血管やら臓器も含めて砂鉄にしたところで誤差みてぇなもんだ」
だが垣根は、そんなサテサテの実の切り札すらも吐き捨てる。
情報は、時に下手な能力よりも遥かに役に立つ武器となる。
戦闘が始まる最初に未元物質の翼を出した際に、垣根は空気の層を叩くと同時に大量の未元物質をのせることで、さながらエコーのように空気の波を変化させて観測した結果として、サテサテの実の能力者の見た目とは釣り合いが取れない重量ということから、体内に砂鉄を仕込んでいたことなど見当がついていたからだ。
もう少し能力を使えば相手の体内の情報すらも抜き取ることも出来るであろうが、初見で相手を格下だと判断した垣根はそこまでの労力を割く気はなかった。
そんなことを知る由もないサテサテの実の能力者は、体内から出した砂鉄の形状を変化させる。それは幾つもの数の拳となって空中に浮かび上がっていた。
数はピッタリ十個の、人間よりも大きなサイズとなっていた。
だが体内から放出した砂鉄の量では限度があり、所詮は拳を型どっているだけで、中身には砂鉄は詰まっていなかった。そのまま砂鉄の拳を放ったのであるならば大した一撃にもなりはしないだろう。垣根の翼はおろか、その辺の岩すらも砕けない程度の威力でしかない。
だからこそ、サテサテの実の能力者は武装色の覇気でもって砂鉄の拳群を強化する。もとから黒かった砂鉄の拳はより黒く、より硬く、更なる威力を秘めることとなる。
「死ねやぁぁぁ!!!」
放たれた砂鉄の拳群に合わせて、サテサテの実の能力者は見聞色の覇気を発動させている。
残念ながら未来予知は発動できていない。これまでの垣根の圧倒的な力の差に、自分の力に疑いを持ち始めているためか、覇気の力が若干であるが弱まっていた。だがまだその恐れも無意識の内の考えであるためか、普段通りには扱える見聞色の覇気を発動させ、垣根がどう動くかを随時察知することで、先んじて避けられないコースを作るつもりであった。
「おー怖い怖い。こりゃあ死んじまうかもなぁ」
心にもない言葉を言いながら、迫る砂鉄の拳群を眺めている。
普通ならば避けることも出来ないかもしれない。迫り来る十の砂鉄の拳群は速度もそこそこあった。音速とまではいかないまでも、砲弾よりも早い速度で垣根に向かってきていた。これまでのサテサテの実の能力者の攻撃の中ではピカ一の速度を誇っていた。
それは十の隕石を同時に対処しなくてはいけないようなもの。
それに対して垣根は焦る様子もなく、背中から生えている六本の翼をもって迎撃の態勢をとる。
迫り来る砂鉄の拳群に対して、爆発的にサイズを増した六本の翼は、一つ一つのサイズが二十メートルを優に越えるほどにまでの大きさへと変化を遂げる。
人間よりも大きいといったとしても、所詮は五メートルにも満たないサイズの砂鉄の塊に対して、垣根が本気になるはずもなく。
これまでの戦闘において、サテサテの実の能力者の思考パターン、並びに攻撃パターンを把握し尽くした垣根からすれば、相手が見聞色の覇気を使用されたところで、読み取られたであろう自分の行動と読み取った相手のパターンから逆算し、再度相手の行動を導き出すこともできるため、当てることにおいても何ら苦労することはない。
見聞色の覇気で予測されるのならば、あらかじめ予測されることを前提に行動をしていけば問題になることもない。将棋で言えば詰め将棋のように、全てを自分の予測のうちに行動させることで、最終的に王手をとるまでが少し面倒になるが結末が変わることはない。
垣根が本気でその演算能力を発揮したならば、島一つを巻き込んだ戦いであろうとも、そこに住む何の戦闘力も持たない一般市民達を傷つけることなく、一つの海賊団を潰すことだって容易く行うだろう。
ごく一部の相手には、そんな予測すらも力業でねじ伏せてくるような怪物もいるが、今回の相手はそうではない。
「嘘だろ……俺の最高の攻撃が、こんなにも呆気なく……」
純白の翼と黒の塊の正反対の衝突は、圧倒的な力の差の証明でもあった。
サテサテの実の能力者が武装色の覇気を纏わせた全身全霊の一撃に対して、本気というには程遠い迎撃でもって、垣根の前には自身の白い翼だけが広がっていた。
無惨にもバラバラに崩れて元の砂鉄へと戻りながら、地面へと落ちていく状況を目の前で見て、サテサテの実の能力者の戦意も遂には砕けたのか、地面に両膝から崩れ落ち、茫然自失となって座り込んでいた。
「俺の未元物質に常識は通用しねぇ。三下風情がいきがるのも大概にしとけ。それが分かったら諦めて捕まるか、とっとと死ねや」
元のサイズに戻した翼を広げ、最後の警告。垣根にとって格下相手に戦うのはゴミ掃除のような感覚であった。正義感満載な海兵ならまだしも、格下相手に態々生け捕りにしようとするほどの労力すら使う気もない。そのためそんな面倒なことをする気は垣根にはなかった。
その言葉を聞いて、なお戦おうとする意識は海賊達には残ってはいなかった。それぞれが手に持っていた武器を手放し、両手を挙げて降参の意を示していた。
それを確認すると、近くに控えていた部下の海兵達に、海賊達を軍艦へと連行するように命じると、垣根は完全に興味を無くしたのか、背中にあった翼を消して一人軍艦へと戻っていく。
空へと舞い上がるように、垣根の翼はそれぞれが無数の羽となって空へと踊るように消えていく。その光景はやはりメルヘンであり、垣根はむしろ嫌な顔をするだろうが、花島の人達の心には深く刻み込まれていくのだった。
その姿こそが、最年少で海軍本部中将へと登り詰め、近く大将へと昇格する事が決まっている少年。
超人系マタマタの実を食べた
掲げる正義は決まっていないが。
今回の話では、垣根帝督の能力である未元物質についてはわざと内容とかは書きませんでした。なので垣根帝督の悪魔の実の能力の詳しい設定はまた別の話で書いていこうと思います。
あと出してほしい禁書のキャラがいたらどんどんと送ってください。