とある海軍の未元物質   作:プックプク

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うーむ、シルバーウィークのイマフェス。

とりあえず百十連して麦野と絹旗は出たけど、被りなしとはあまり良いとは言えないな。課金するつもりはないし今回はここまでだな。

最近新規の星3が出なくなってきたから有り難いっちゃ、有り難いけ、凸させてないなら麦野は使えないけどもね。
ま紫は受けキャラが出来たのはいいかもな。絹旗と移動制限と合わせれば一ターンは確実に稼げるな。



第二話

サテサテの実の能力者を船長とした海賊団を捕らえた垣根は、海軍が保有している監獄の中でも最大の規模を誇る海底大監獄(インペルダウン)へと連行し、後は職員への引き渡しの手続きが終わるのを待つ状態になったため、垣根はその作業が終わるのは今か今かと待っていた。

 

悪魔の実の能力者には海楼石の手錠がつけられて連れていかれるのを目撃していたが、その際に近くにいた垣根を海賊達は殺すように睨み付けていたが、当の睨まれている本人である垣根はその視線に全く気付いてはいなかった。

 

早く帰りたいという思いが先行している垣根からすれば、既に捕まっている対象には微塵も興味はなく、その存在は忘却の彼方へと消えており、事実を有りのままに受け止めているだけである。

 

そんな垣根の捕らえた海賊達を連れていったのは、その辺にいた監獄職員だけではなく、監獄署長であるマゼランが直接指揮して行っていた。

 

副署長でもなく、海底大監獄のトップが直々にだ。

 

理由としては、今回垣根が連れてきたのが五億の賞金首の大物海賊であったことだ。

 

垣根からすれば取るに足らない雑魚同然の相手でしかなかったが、世間から見れば五億の賞金首というのは立派な大悪党であり、またそれは監獄側も同じ意見であったためか、わざわざ署長のマゼランが直接動いていたのだ。

 

そんな監獄署長であるマゼランは、超人系悪魔の実のドクドクの実を食べた全身毒人間であり、その実力は海軍の中では垣根と同じ地位の、他の中将と比べてもひけを取らないほどの実力者。

 

それも当然であり、海底大監獄は世界最大の監獄なだけはあり、連行されてくる海賊は偉大なる航路で航海をしている海賊だけでなく、時には十億を越えるような伝説級の海賊や歴史に名を残すような犯罪者が連行されてくることだってある。

 

そんな彼らには世間には公表されていない、LEVEL6と呼ばれる最下層のフロア幽閉される。大物海賊や様々な犯罪者は幽閉されてはいるものの終身刑や死刑の執行が決定されている中で、監獄から与えられるモノは他のフロアとは異なり永遠の退屈。

世間を揺るがすほどの大暴れをしてきた囚人達からしてみれば、ヘタな刑罰よりもよっぽどな苦痛となり得る。

 

そのため抜け出そうとする囚人達も数少なくない。

 

だからこそ監獄を管理するだけが署長の役割ではなく、そんな凶悪であり強大な力を持った囚人達を捕らえ続け、監獄から出させないようにするためにも、囚人達への恐怖の象徴としても署長にはそれ相応の力が必要になってくる。

 

例え相手が強者であろうと変人であろうとも、決め込んで拒絶するようなことはなく。そのためある程度の理解を示す垣根であるが、自ら好んで毒を食べて、それで腹を壊してトイレに籠りっぱなしの相手とは仲良くなろうとも思わないため、引き渡し後はいつもすぐに帰ることにしていた。

 

嫌いというわけではないが、特別仲良くしたいとも思っていないような、謂わば垣根はマゼランのことを完全なビジネス相手としか思っていなかった。

 

 

「連れてってんのが捕まえた海賊どもだよな。なら後は任せても大丈夫か」

 

「連行している懸賞金五億、砂鉄のイーサンが率いるSN海賊団全員確認できた。ここからはおれの仕事だから帰ってもらって構わない。他に連れている海賊はいるか」

 

「いや、今回はその海賊達だけだ。そんなポンポン捕まえられたら楽でいいんだけどな」

 

 

囚人全員の恐怖の対象たる署長相手であろうとも、ニヤリと口角をあげながら軽口を叩く垣根であるが、周りの空気は重苦しい。そのため周りには他の監獄職員も立っているが、誰も喋ろうとはしない。

 

自分達の上司であるマゼランと、海軍の中でも上位の階級に就いている垣根との会話を邪魔するというのは、業務の妨害と捉えられても文句は言えないからだ。

 

例え行いが軽い事だとしても、積み重なっていけば監獄内の秩序の乱れにも繋がってしまう。やがてそれはマゼランの監督責任にも繋がりかねないと、職員達も理解しているからこその今の状況であった。

 

凶悪な海賊達を捕らえておく重要度の高さを理解していること、さらにしっかりとマゼランの教育が行き届いている証拠であるが、少しでもマシな空気にしようとした垣根の労力は無駄になってしまった。

 

 

「んじゃあ俺は帰らせてもらう。また海賊捕まえたら来させてもらうわ」

 

「お前が連れてくるのは大物の賞金首ばかりだ。今度からは捕まえたら到着するよりも前に教えてくれると助かるぞ」

 

「覚えてたらな」

 

 

その場で職員からの見送りを受けながら海底大監獄を後にする垣根は、もと来た道を通りながら軍艦へと向かう。

 

海底大監獄への通路は迷路のように複雑になっており、建物内を把握している監獄職員や、垣根のようにルートを記憶しているものでなければ、そもそも海底大監獄に辿り着くことすらできない。

 

それに加えて通路のあちこちには、監視用の電伝虫が彼方此方に配置されており、そもそも関係者でもない限りは歩くことすら出来やしない。

 

 

「あー、やっぱあそこジメジメしてんな。海賊いるのもそうだけど、職員達事態の雰囲気が暗いんだよ」

 

 

通路を歩き終え建物から出ると、照らす太陽の下に出た垣根は眩しそうに目を細めながら、しれっと失礼なことを言っていた。

 

周りには途中で途切れた石の通路と軍艦だけで人は誰もおらず、垣根の独り言を聞かれていないのは幸いなのか。

人がいたとしても発言を控えるような、そんな周りに気を使うような人間ではないため本人は何とも思っていなかった。

 

ほとんどの軍艦が動いているのに対して唯一、垣根の乗ってきたモノだけは途中で途切れている石の通路の先で止まっており、海底大監獄に入るときと変わっていないので分かりやすい。 

 

その場で待っていれば、戻っていた垣根に気がついた部下達が軍艦へと乗るための階段が出してくれるだろうが、それを待つのも面倒だと思った垣根は、翼を広げて身体を浮かせる。

 

フワリと、戦いの時の激しさを持つ翼とはまるで異なる繊細さでもってゆっくりと飛び上がると、音もなく甲板へと着地する。

 

 

「ハッ!?中将、ご苦労様です!!」

 

 

突如として現れた垣根に驚きの表情を浮かべる部下の海兵達であったが、すぐに切り替えて各々が敬礼をしていた。

 

何も言っていないにも関わらず、甲板にいた海兵達は全員が敬礼をしており、統率の取れている立派な部下達であるが垣根が育てた訳ではない。

 

自分の下にいるのは優秀な部下に越したことはないが、自分で部下を育てるつもりが無い垣根はなにもしていない。そのため自由に動く垣根に着いていくために、部下達は自分達のできる範囲のことを少しずつではあるが広げていくことで成長しているのだ。

 

 

「やることは終わった。とっとと帰るから準備しろ」

 

「はっ!カキネ中将のご帰還だ!すぐに出航準備に取り掛かれ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

テキパキと動く部下達を見ながら、さて自分はどうしようかと考えた垣根は結論として、軍艦の中にある自分の部屋へと向かうと、愛用しているサマーチェアを引っ張り出して再度甲板へと戻ってくる。

 

 

「やっぱり凪の帯(カームベルト)は静かで丁度いいな。海底大監獄がある場所の唯一の利点だな」

 

 

穏やかな風に吹かれながらサマーチェアに寝そべると、垣根は一人優雅に寛いでいた。

 

海底大監獄がある凪の帯は、偉大なる航路を挟むようにある海域であり、名前の通り無風の海域であった。そのため、休む分には都合がいい場所でもあったが、同時に世界で有数の危険地帯でもあった。

 

そもそも海底大監獄には、凪の帯にできる専用の海流を通らなくては行くことも、ましてや帰ることもできない。さらには海底大監獄の周囲には数十の大規模な大型軍艦で警備されている。

なにより凪の帯はそもそもが大型の海王類の住み処であるため、海上を普通の船が航海してればすぐに海王類に襲われてしまうため、何らかの方法で海王類を避ける方法を持っている船でなければ辿り着くことは実質不可能だ。

 

海軍の軍艦は船底に海楼石が敷き詰められており、海楼石が放つ海のエネルギーによって海王類に認識されることがなくなり、凪の帯を航海することが出来るようになる。

だが軍艦が透明になるわけではないため、海王類が目視で認識すれば縄張りへの侵入者として襲い掛かるため、必ずしも安全というわけではない。

 

だが垣根ならば、海上へと出れば空を飛ぶことで、海底大監獄からマリンフォードへと即座に帰ることもできるのだが、垣根の乗っていた軍艦が途中で沈むようなことが起きればそれは、その責任者の監督責任となってしまう。それに加えて今は急がなくてはならない予定もないため大人しく軍艦で帰っていた。

 

そのため垣根は、軍艦の上で寛いではいるものの暇をもて余している。

予定外の休日出勤に加えて、先程の海賊達との面白くもない戦いで、余計に貯まったフラストレーションの捌け口を探していた。

 

 

「あーあ、暇で暇で仕方ねぇな。どっかにこの暇を潰してくれるような奴はいねぇもんかねぇ」

 

「海の上じゃそんな相手いる訳ないじゃない。ましてやここは海王類の巣の上よ、私は静かな方がいいわね」

 

 

甲板の上、他の海兵達が掃除やら軍艦の装備の点検など忙しく働いている中で一人、サマーチェアに寝っ転がって呟いた垣根の独り言に対して返事があった。

 

常日頃から見聞色の覇気を発動しているわけでもないため、誰かが反応するとも思っていなかった垣根は寝た状態のまま首だけを器用に動かし、声の方へと視線を向ける。

 

そこにいたのは、見た目とは不釣り合いなワイングラス片手に、呆れたような表情をしている金髪の少女であった。

 

垣根が海軍の中では不釣り合いな、ホストのような格好をしているのに対して、その少女はホステスのような派手な赤いドレスを着ていた。

 

だが垣根はホストのような格好をしているが、その上に海軍のマークの入ったコートを着ているため、一応は海兵と見て分かるが、少女の服装には海軍の要素はどこにもないため、一目で海兵と判断することはほぼほぼ不可能である。

それに加えて少女の見た目から、垣根と同い年か年下程度にしか見えないこともまた、より海兵とは思えない要因だろう。

 

海兵という事情を知らない者が軍艦に乗る少女を見たならば、偶々乗り合わせた一般人か、海軍の協力者かのどちらかと思うことだろう。

 

 

「海王類なら俺の能力でも問題ないし、ましてやお前の能力ならその程度の相手どうとでもなるだろ。ならむしろ暇潰しにでもなんじゃねぇか」

 

「私はあなたと違って戦闘狂じゃないのよ。好き好んで争い事に巻き込まれるのはごめんだわ」

 

「俺だって別に戦いが好きな訳じゃねぇよ。まあ今は能力の実験も必要ねぇだろうから、本当に暇潰しのためだけどな」

 

 

垣根の近くへとやって来るものの「そっ」とだけの軽い、目も会わせぬままに返事ともとれないような返事を返すと、垣根の足を少しずらしてサマーチェアに座る少女。それに対して垣根は何も言うこともなく、再度空を眺めながらボーッとし続ける。

 

これが別の相手なら小言の一つ所か、相手の心にソコソコの傷が残る程にまではボロクソに言うところであるが、相手がこの少女であるならば話は別であった。

 

自由人な気分屋であり、垣根の話を聞かないことなど日常茶飯事である相手なため、垣根も何時からか言うことをやめるようになった。

 

ただし任務となれば割りきって行動することができる上、仕事は完璧にこなすため、その点もまた垣根からは高ポイントとなっている。

 

普通の上司と部下ならばあり得ない距離感かもしれないが、寧ろこれが二人にとっての普通であった。

 

 

「未成年が酒なんで飲んでいいの?」

 

「これはお酒じゃなくてブドウジュースよ。さっきの島で貰ったの」

 

 

そう言ってグラスを傾ける少女を眺める垣根。状況や場所が違えば、垣根のホストのような服装と少女の服装も相まってカップルにも見えなくもないが、その事をいう人間はこの場にはいない。

 

さっきの島という発言を受け。頭の回転はフルとまではいかないまでも少しばかり思い返してみれば、先ほどまでの僅かな滞在時間であるがいた島は、やはり花島と呼ばれるだけのことはあった。当然ながら力を入れているのは観光業だけでなく、植物の生育に特化した人物達が多いのならば、少し応用すればできそうな農作物が豊富であっても不思議ではないという考えに至った。

 

花島へのその後の対応は現地の支部の海兵達に任せているため、捕まえた海賊達を連行するまでの僅かな時間、それこそ一時間程度の間によくもまぁ、この少女はそこまで親密になれたものだと逆に感心してしまう。

 

 

「……俺の分は無いのか」

 

「ええ、海賊のせいで殆ど割れちゃったみたいで無事だったのは一人分だけ」

 

 

「飲む?」とグラスを垣根に向ける少女であったが、今回は遠慮することにした。

少女の持つグラス分しかないとはいえ、対して喉が乾いている訳でもないのに他人の飲みかけのものをねだるほど、ひもじい精神性はしていない。

 

そんな垣根を見て敢えて、垣根の方へと顔を向けて先程よりも大きくグラスを傾けて美味しそうに飲み干す様を見せつけられて、更にその良い笑顔をわざと見せ付けてきたことに苛ついたものの、黙っていることにする。

 

ムカついたのは事実だが、ここで怒るようなことをすれば相手の思った通りの反応をすることになる。

事実として、少女は大した反応を示さない垣根につまらなそうな表情をしながら、手の中で空となったグラスを揺らして弄ぶ。

 

いつもなら適当にあしらえば別の場所へと移動するのに、矢鱈と居座ることに違和感を覚えるが、そんな時は総じて何かが上手くいった時であったことを思い出す。

 

先の垣根を煽るような行動も含めて、少女の機嫌の良さに納得がいった。

 

 

「他に収穫があったのか」

 

「ええ、あの島の王族とのコネクションは築けたと思うわ。あなたが海賊と戦っている間に島民達を避難させてたら、お姫様から物凄く感謝されたわね」

 

「王族とのコネクションね。これで何個目だったか」

 

「さぁ。一々数えてないからそこまでは詳しく知らないけど、二十以上はあったと思うわ」

 

 

何でもない事のように言う少女であるが、いくら正義を担う海軍であったとても、一国の王族と知り合いになり、ましてや今回のように感謝されることなど滅多にない。それこそ国のピンチを助けられでもしない限りは。

 

ただし今回の相手は大物賞金首であったことが、島の人からしてみれば不幸なことでも、少女や垣根からしてみれば幸いなことであり、相手の海賊の力が大きいとお姫様も分かっていたからこそ、その分少女の獲得できた信頼も大きなものになったのだろう。

 

先まで飲んでいたブドウジュースはそのオマケといったことだろう。

 

自分は面白くもなく戦いとも呼べないような一方通行な盤面を演じている時に、何か楽しそうだし簡単そうな事をしていた少女に対して、少しばかりの羨ましさを感じてしまう。

 

 

「ほー、お姫様からね。そんな単純な箱入り娘だったのか」

 

「まさか。少し疑い深かったから能力を使って距離を少しだけ縮めたら、簡単に心を開いてくれたわ」

 

「そりゃあ納得だわ。王族は身内に甘い奴が多いからな」

 

 

何度も言うようだが初対面の相手から、しかもそれが一国の王族と言うならば相当な難易度である。他の国との交渉事で少なからず人間の醜さを経験しているであろうため、人の裏を知っている相手から信頼を得るなど時間の掛かりそうなこと。

 

しかしこの少女は何でもないことかのように言ってみせる。

 

そしてそれは垣根も同じであり、この少女ならばそれが簡単にできることを分かっているからこその納得であった。

 

いくら訓練を積んだ海兵であろうとも人の心を簡単に開くなど、相当な名声と人徳がなければ出来ないことだろう。それこそ海軍の英雄と呼ばれるモンキー・D・ガープや、海軍元帥である仏のセンゴク程のビッグネームは必要だろう。

 

そんな普通ならばあり得ないことだが、この少女は垣根と同じく悪魔の実を食べた能力者であるため可能であった。

 

超人系悪魔の実、メジャメジャの実の距離調節人間である。能力としては、自分を中心として座標を作ること。

 

目視や予め指定した座標への転移など、点と点の距離を自在に操ることで、世界的に見ても数少ない瞬間移動を行うことができるようになり、また自分の距離の調節によっては砲弾が全て停止させるといった芸当も行える。

 

だが過去の使用者と比べてもこの少女、獄彩海美の能力の使用法は特異的であった。

 

海美の技は心理定規(メジャーハート)と呼ばれており、それは操作しているものは歴代の悪魔の実の能力者のような物理的な距離ではなく、精神的な距離であった。

 

標的を指定し、その標的の他者へと置いている心理的距離を読み取ることで、その情報を元に海美と標的の間に存在する心的距離を自在に操ることができる。

 

他の者からしてみれば、心的距離と言われても理解できない者が多いだろうし、その能力の恐ろしさを初見で理解できるのは天才の領域の者達だけだろう。

 

垣根と海美の二人が心理戦を行えば、常時纏う未元物質により海美の能力の影響を阻害することができるため、そこからは純粋な頭の良さで垣根に軍配が上がるだろうが、もし他の大勢を対象としたならば、間違いなく海美の圧勝で終わることになるだろう。

 

精神状態の僅かな変化すらも見逃さない観察力に加え、本格的な対策をしていなければ対処することもできない悪魔の実の能力により、心的距離を操ってしまえば、家族や恋人よりも近しい距離感を作ることも容易く行えてしまう。

 

海美の能力を以てすれば、本物の感情を偽りの感情で塗り潰すことだってできるのだ。

 

垣根が戦闘に特化しながらも万能に通ずる天才であるならば、海美は諜報に特化しており、心理戦や人の懐に入ることにおいては海軍でもトップクラスのエキスパートであった。

 

 

「帰ったら何かすることあったっけか」

 

「今日は元々休みだったから無いと思うけど、ついでってことで何かしらの事務作業は与えられそうね。他の人はそういう作業が向いてないし」

 

 

話す話題もなかったため何となく振ったことであるが、海美は思い出す間もなくノータイムで返事をした。

 

海軍本部の自室の机の上に、積み重なって置いてある大量の書類があるかと思うと、一気に気分が萎えてしまう。

 

戦闘面では海軍でも今だ随一の成果を出すのに書類のみならず、事務仕事をサボりまくる海軍の英雄や、普段の仕事は比較的真面目に行っているのに、だらけきった性格のために後回しにしている大将の姿が見えてしまう。

 

そしてありありと、回されてきた仕事を処理するために、机に対して書類と向かい合っている自分の姿。

 

海軍で教導を主としている黒腕の大将や、独特な雰囲気なのに気が向いた時は手伝っている光の大将もいるにはいるが、誰が一番事務作業を早く終わらせるかと聞かれたら、海軍の中では満場一致で垣根に評が集まってしまうため、最終的には垣根の元に集まってきてしまう。

 

あらゆる分野に対しての垣根の万能さが、この点についてはマイナスに作用してしまっていた。

 

その光景が思い浮かんでしまうのが残念で仕方ない。

 

 

「因みにだけど私は手伝わないからね」

 

「……まだ何も言ってねぇよ」

 

「いかにもな顔してたから、手伝うように言われるかと思ってたわ」

 

「否定はしねぇな」

 

 

あっけらかんとした表情をしている垣根。海美が何も言わなければ、間違いなく一緒に書類整理をやらせていたことだろう。

 

垣根程とはいかないまでも、海美は海軍の中でもトップクラスの優秀な頭脳を持っており、更には要領が良いためある程度の事ならそつなくこなせてしまう。

 

 

「あー、帰りたくなくなってきた。これならどこぞの海賊退治の方が楽でいいだろうな」

 

 

要領がいいから、作業スピードから早いからといって、進んで雑事をこなすほど、垣根にボランティア精神は溢れていない。それが自分に割り振られていることならばまだしも、それが他人のモノを押し付けられたのならば尚更やる気などあるはずもない。

 

そしてそれは海美も同じであり、ある意味で二人は似たり寄ったりである。

 

 

「私は楽できるからいいけどね。あなたが机に向かってる間は休みみたいなものだしね」

 

「絶対お前にもやらせるからな」

 

 

「絶対にお断りよ」

 

「いーややらせる。俺だけやるなんて許さねぇ」

 

 

海軍本部まで軍艦が到着するまで、他の海兵達が真面目に働いている間二人の押し付け合いは続くのであった。

 

 




当然ですけど、垣根を書くなら心理定規は書きますよね。個人的にトップクラスに好きなキャラの二人なので、部下って設定にしようかとも思ってます。

あと名前を心理定規にすると、海軍所属にしてるので違和感があり過ぎましたので、本名でいきたいと思います。

心理定規の本名が獄彩海美って知ってる人はどれぐらいいますかね。


終わり方がすごい中途半端になってしまったー。
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