バイトの日数増やしたせいで書く時間が減ってきたな。
にしてもワンピースのスピード感あるバトルシーンと、とあるの能力の暴き合いのような、謎解きプラス心理戦みたいなバトルを合わせて上手く書けない。
何度も消して書き直してを繰り返しているけど、今回のは今一納得がいかないですけど、ぜひ読んでもらえると嬉しいです。
先程までいたマキノの酒場から移動した先はフーシャ村の近くにあるコルボ山の一角であり、普段はルフィが技の試しなどをしている場所であるが、今日その場にいるのは普段のように一人ではなかった。
コルボ山を根城にしており、ルフィも居候として世話になっている山賊のダダン一家の庭とも呼べる場所であるが、ルフィの鍛練の邪魔をしないためにと近づいてくる者はいない。
屈伸をしたり身体を回したり、戦闘のための準備を行っているルフィに対し、少し離れたところで突っ立っているのが垣根であり、そこでガープがこそこそと耳打ちをしていた。
「カキネ、ルフィはそこそこ打たれ強さはあるが、能力はまだお前ほどは使えこなせとらん筈じゃ。そこらを鍛えてやっとくれ」
「頼まれた分はやるさ。ま、テキトーで十分だろうけどな」
「それでも構わんからとりあえず覇気は使わずに頼むぞ。ルフィには二足のわらじを履くような器用な真似はできんからの」
「納得だな。きっと血筋だろうよ」
真剣な表情をしているガープであるが、垣根はその顔を凝視しながら話していた。
特に二足のわらじ云々はお前もだろという意味を視線に込めたのだが、きっとガープには分かってもらえないのだろう。
だがガープに再度言われなくとも、垣根はルフィの相手をするのに覇気を使うつもりはない。相手の力を見るだけのつもりの垣根からすれば、現状のルフィを相手にすれば覇気は必要以上の力である。
それに加えて相手の習得していない技術を披露するのは、少なくとも今の場ですることではない。
手札の重要性を常に意識している垣根は、先頭は基本的に能力だけで済ませることの方が多く、使ったとしても銃器などの武器であり、覇気は意図的に使用していない。
だが今回は能力すらも温存する気でいた。
「てかアンタは黙ってみてろ。言われなくともちゃんと相手ぐらいはしてやるさ」
「そうか、ならば頼むぞ」
雑に扱われたことに少しだけ残念そうな表情をして離れていくガープに気をくれることもなく、垣根は変わらず準備体操をしているルフィを観察する。
目に見えて分かるほどの過剰な筋肉はないが、よく見れば普通の人間どころかそこらの海兵よりもよく鍛えられ締まっている肉体は、ゴムの柔軟性も相まって獣のそれに似ている。
垣根と背丈もそこまで変わらないのに、その肉体は超人系というよりも動物系の悪魔の実の能力者のようである。
だがまんま動物系能力者のようなパワーはないだろうと思いながらも、ゴムというシンプルな代物を一体どんな使い方で戦闘に生かしているのかを楽しみにしていた。
「本当にダイジョーブか?怪我しても知らないからな」
「心配してくれるのはいいけどよ、多分大丈夫だと思うぜ。お前よりは俺の方が強いからな」
「へへっ、なら手加減はいらなねぇな。行くぞカキネ!!」
相手の力も見ていないにも関わらずの発言として自信過剰とも言えるような垣根の発言であるが、垣根のことを知る海兵からしてみれば納得のいくこと。
それは野生の本能とでも言うべき直感で、ルフィも薄々ではあるが感じていたこと。
腕をグルグルと回している様はまさにヤル気満々。最近は山賊達を相手にしても、力不足が否めなくなっていたため、久しぶりに力を出しきれるかもしれない相手との戦いに、心踊らせていた。
「ゴムゴムの
開幕の挨拶とばかりに、回していた腕を後ろへと勢いよく伸ばして反動をつけて放たれた一撃は、ただのパンチと比べてスピードも破壊力も格段に上だろう。それこそ周りにある木々などは簡単に砕けそうなほどの威力を秘めている。
だがそれは垣根からしてみればまだまだ甘過ぎる。相手が万全の状態、いわば体勢が整っているであればまず取らない選択肢。
事実として、威力があったところで真っ直ぐ進んでくるだけの拳など、身体を少しずらすだけでかわせてしまう。
「隙だらけにも程があるだろ」
独り言として呟きながら、垣根の真横で伸びきっている腕を見る。
ギリギリで避けたこともあり、剣でも持っているならばすぐにでも切り落とすことができそうな距離にあるが、能力を使うつもりがない垣根では今は切り落とすことはできそうにない。
できたとしても、ただ能力を見るつもりなだけの垣根からしてみれば、今回は流石にそこまでするつもりはなかった。
命も掛かっていない今回では、大して頭を働かせるつもりもないのか、垣根は思考停止させたまま伸びている腕を無造作に掴むと、その腕には伸びているだけでは説明がつかないほどに力が込められていた。
視線だけで腕の先を確認してみれば、伸びているルフィの腕は垣根の後ろに生えていた木の幹をガッシリと掴んでいる。
「成る程な、繋ぎもあるってことか」
「とー、ゴムゴムのロケット!」
普段の戦闘とは違い、今は能力による周囲の観測や見聞色の覇気を使用していないため、反応がわずかに遅れしまう。
半ば不意打ち気味の突撃は、先程のゴムゴムの銃が外れたときのフォローも兼ねており、延びた腕へと戻ろうとする張力を利用したルフィは、さながら砲弾のように垣根の腹部目掛けて頭から飛んでくる。
掴んでいた腕を即座に離し、後ろへとバックステップで距離をとることでその場から離脱すると、次の瞬間には勢いよく垣根がいた場所を通り過ぎていく人間砲弾。
垣根に当たることなくルフィは一瞬で木々へと真っ正面から突っ込んでいく様は、まさに猪突猛進。
だがぶつかった木だけにとどまらず、その先にあった木すらも突き抜けて薙ぎ倒していったその威力は、普通の人間が喰らえばよくて気を失っていたか、重症は免れないだろう。
「戦闘センスはある方ってか」
過小評価が過ぎていたかもしれないと、垣根はルフィへの評価を思い直していた。
最初の一撃は、普通に拳を振るうよりも威力もあるしリーチも長く、ゴムの特性を上手く扱えているが、その反面放つまでに反動をつける必要がある点や、避けられた時に無防備となることがわかった。
その時にできる無防備さを補うためのロケットは、中々に悪くないアイデアである。腕を元の長さへ戻すことと移動、さらには攻撃の三つの要素を果たせている。
常に使えるというわけではないが、中々に理に叶った技であることに対して、思っていたよりもよっぽどゴムの特性を使いこなせていることに、垣根も一人感心しながらルフィの消えていった方向を見ていた。
「うがー!!ゴムゴムの
雄叫びをあげながら薙ぎ倒された木々の中から飛び出したルフィは、垣根へ目掛けて全力で駆ける。
それと同時に走りながら、両手で交互に放たれる連続の拳は止まることなく続くことで反動を受け、パンチの回転も上がり続けていくと、それはまるで複数の腕が同時に振るわれているかのようでもある。
徐々にギアが上がっていくように、拳を放っていく毎に腕の回転の早さも増していく。
垣根の視点からしてみればルフィ一人というよりも、複数人からの拳が同時に迫っているようにも見える。最初のパンチが単発であるのに対して、今回の連射はまさに回転式機関銃。
「悪くはねぇけど、別に腕が増えたわけでもねぇからな」
だが垣根はそれを目の前にしても冷静さを一切失っていない。
新世界での海賊を相手にする際、垣根の戦闘は音速以上の高速戦闘が基本である。
かつてビッグマム海賊団のNo,2であるカタクリと戦った時には、ただの人間である垣根とは比べ物にならない肉体スペックの高さと、覚醒しているモチモチの実の応用力も相まって、嘗て無いほどのスピード合戦となった。
見聞色の覇気で垣根の起こす行動の未来を見通すカタクリと、見聞色の覇気のみでなく、未元物質による観測により動きを先読みする垣根の戦いは、他の海兵が手を出すことも出来ずに、戦場となった島を半壊させたほどの規模であった。
何が言いたいかといえば、そんな速度の中で戦ってきた垣根の動体視力や反射神経は、もはや常人の域を突破しているレベルにあった。
少なくともルフィの乱打は、実際に腕や足をモチで増やすカタクリの乱打と比べればまだまだ隙があり、覇気を使わなくとも問題なくパンチの軌道が見えていた。
幾ら沢山の腕があるように見えていたところで、ルフィの腕が増えたわけではないため、瞬間を切り取れば一発の拳がコマ送りで迫ってくるだけ。
能力を使えば打ち合うことだってできるが、今回は使わないと決めている垣根は、どの拳が来るのかを正確に見極めながら当たることなくかわし続けることで対処する。
だが気付けば離れた場所にいたはずのルフィは既に垣根のかなり近くまで距離を詰めていた。
「ゴムゴムの戦斧ォ!」
止まらない拳の嵐の中で、空へと向かって振り上げられたルフィの右足。ある高度まで伸びていくとピタリと止り、次の瞬間には垣根目掛けて振り下ろされる踵落とし。
ドガァッ!と地面を砕き砂嵐を巻き上げたルフィの右足は単純な威力で一番であり、頭に喰らえば即死もあり得たかもしれないが、ゴムゴムの銃乱打では垣根に当てるだけの隙は作れていない。
「動きが止まったぞ」
「うわぁあ!?」
砂煙の中から現れた垣根は、無防備となったルフィへと足払いをかける。そこからバランスが崩れた瞬間を見逃さす、右腕を背中へと回して関節を極めると、空いているもう片方の手で地面へと顔から倒れるように頭を掴んで地面へと叩き付ける。
「うぶっ!!」
顔から地面へと直撃し、苦しそうな声を出したルフィであるが、実のところダメージはない。
本来ならば肩と肘の関節の可動域限界で止まるはずの腕は、人間では不自然に丸みを帯びて曲がっており、極まった時の感覚ではないものがあった。
普通の人間ならば極められる関節も、体そのものがゴムであるルフィには意味を成さないことは予測できていた垣根は、すぐに手を離してその場から飛び退くと、着地してポケットに手を入れながら、ルフィの次の行動を期待しながら待っていた。
すぐさま顔を上げると、ルフィはその場で軽くジャンプすると、両手と片足を軸として垣根のいる方向へと回転しながら右足を伸ばし横凪ぎに振るう。
「くっそー、ゴムゴムの鞭!」
遠心力を利用した、名前のごとく鞭のように振るわれた横凪ぎの蹴りは、垣根が足を折り畳んでその場で軽くジャンプすると、それだけで足元をルフィの足が通りすぎていく。
ことごとく避ける垣根に対して、ルフィの心情にも焦りと苛立ちが沸き出していたがそれも仕方がないこと。
積み上げられた戦闘経験の密度は、同じ年齢であったとしてもルフィの比ではない。
これまでのルフィが山賊や野性動物、さらには昔は島にいた兄を相手にしたのに対して、垣根が相手にするのは基本が偉大なる航路にいる海賊である。
人間の子でありながら高い身体能力を持つルフィは、野生の動物であったとしてもパワーやスピードで上回ることが多々あるが、それに対して垣根は肉体の性能では上をいかれることの方が多いぐらいだ。
十五歳という年齢を加味すればルフィの経験は十分であるが、それてまも自分以上の強敵を相手にしたことが両手の指でも足りる程しかないルフィに対して、何かしらの要素が自分より秀出ているような相手とばかり戦わされた垣根の経験は数え切れないほど。
「ゴムゴムの
空振りして回転する足を元の長さにに戻しながら、もう片方の足と両手で無理矢理飛び上がると、ルフィは右腕を大きく後ろへと伸ばす。
だがそれはただ伸ばしているのではなく、腕の隙間なくなるほどに回転させながらであり、伸びながらもギチギチと音が鳴っていることがどれ程の力が必要かを示している。
本来ならば力を貯める必要があるため、僅かすらも気を抜けないような試合の中では使われることが少ないパンチであり、高い威力で放つには全身の関節を上手く稼働させる必要がある。
だがルフィのゴムの体を生かせば、ルフィのパンチ力に引き戻した際の張力と、圧倒的な腕の捻れで遥かに高い威力へと生まれ変わるコークスクリューブローへと変化する。
「焦ったな。そんな大降りが当たるわけねぇだろ」
猛烈な勢いで放たれるルフィの拳であるが、それが届くよりも先に跳び上がった垣根は、迫る拳の上を通りすぎるように、空中で体勢の崩れているルフィへとすぐに辿り着く。
その勢いを抑えることなく、そこそこの速度のまま右足でルフィの顔面をおもいきり踏みつける。技術もへったくれもないただの前蹴りであるが、パンチを放った直後で反応できなかったルフィは、無防備の状態で喰らってしまう。
「よっと」
「グヘッ!!」
両足から着地した垣根に対して、ろくに受け身もとれなかったルフィは背中から落ちる。それと同時に伸ばしていた腕の力も抜けたのか、そこそこの勢いでもとの長さの腕へと戻る。
孫が垣根にいいようにあしらわれ、何度も顔を蹴られたり地面へと叩き付けられているが、ガープの表情には怒りといった変化はない。
頼んだのが自分であるということもあるが、それ以上にルフィの強さがまだ未発展の成長途中であり、その戦闘センスも相まってこれからも右肩上がりに強さを増していくことが分かっているからこそである。
将来的には分からないが、少なくとも今のルフィでは覇気はおらか、普段から多用している能力を使わなくとも垣根がより上の実力であると知っていたからこそ、始めに垣根へ能力を指導してもらえるように頼んだのだ。
その場で飛び上がりながらすぐ近くにいた垣根へと、その場に右手を置き去りにしなら走る。あしらわれているのが分かっていながらも、それでも諦めないのがルフィである。
「ゴムゴムの
「ストップだ」
「うおっと!急になんだよカキネ。まだまだここからだぞ」
垣根の懐へと飛び込んでゼロ距離からの拳を叩き込もうとしたルフィであるが、制止の声が聞こえたため急いで急停止。
当たるかどうかのギリギリで止められたからいいものの、もう少し止めるのが遅ければ鳩尾に深々と突き刺さっていたが、垣根には焦る様子もまるでない。
制止の声を掛けたタイミングは、既に垣根がルフィのゴムの力の計算を終えていたため、放たれた後でも十分に止められるだろうと確信していたがため。
最悪止められないとわかったならば、常時展開している未元物質で防げたから問題はなかった。
自分を膜のようにして包んでいる未元物質の壁は、翼などと比べれば強度は脆いが、それでもルフィの拳一発程度ならば耐えれる程度は備えている。
能力を使わないと決めてはいたが、常時発動しているものをOFFにするつもりはなかった。
「お前の戦闘とゴムゴムの実の能力をどう使ってるかを見たかっただけだから。もうこれ以上は戦ったところで意味ないから終わりだ」
「えー、もうちょっと戦いたいんだけどダメか?」
「ああ。これ以上やるってんなら俺も少しばかり力を出すぞ。そしたら一瞬で終わりだから今回はなしだ」
不完全燃焼であることが表情からありありと伝わってくるが、そこに気を使うつもりも、まして尊重するつもりも垣根にはない。
垣根の目的はルフィの戦闘欲を満たすことではなく、あくまでもゴムゴムの実を確認しておきたかっただけであり、それが達成された今はもう戦う理由を持っていない。
戦闘を楽しむ面があるのは確かであるが、それはもう少し実力の拮抗した場面での話であり、残念ながらルフィの現在の実力では垣根を楽しませるレベルには達していない。
早い話が現状のルフィを倒したところで大した経験値にはならないから。
「結論から言えばお前に戦い方を教える必要はないと思う」
「えー、教えてくれるって言ったじゃねぇかよ」
「そうじゃそうじゃ。約束が違うぞー」
垣根の言葉にルフィのみならず、離れて見ていたガープも混ざって文句を言ってくる。
それも当然のことであり、教えると言ったのは垣根なのだから二人には文句をいう権利がある。
だご勿論のこと、ただ面倒だからという理由だけでルフィに教えないと言っている訳ではない。
「分かりやすく言えば強くなる方法が違うんだよ。お前は肉体派で俺は理屈で考えるタイプだ。そんな俺のやり方じゃよくて遠回り、悪けりゃ成長しねぇだろうぜ」
頭で考え、それを実行して検証を繰り返す垣根のような理論派とは違い、ルフィは戦いの中で本能的に戦い方を磨いていく直感派とでも言うべしタイプである。
つまりルフィを鍛えようと思った場合、言葉で伝えるのではなく実際に肉体のぶつかり合いを通して、文字通り体で理解してもらう必要がある。
ルフィのことを谷底へ落とした獣と戦わせるなど、これまでガープがしてきたことの方がよほどルフィには向いており、それはこの短時間で成し遂げられるほど簡単なことではないからだ。
「それでも教えるとは言ったからな。即席で使えるような小技程度は教えてやるよ」
◇◆◇◆◇
「本当にルフィは無茶ばっかりするから。前まではエースが抑えててくれたんだけどねー」
「確かにあの祖父にしてあの孫あり、って感じはするわね。そのエースって人は海賊になったのかしら」
「多分だけどね。ルフィより先に海賊になって海に出てったのも村をあげて見送ったのよ」
「そう。もしそのエースが私の思ってる人物なら元気にやってるから心配する必要はないわよ」
マキノと海美、その場に残っていた二人は楽しそうに会話しており、内容は初めは世間話であったが、気が付けば如何に自分達が周りに振り回されているかといった愚痴となっていた。
周りは年上ばかりであり、歳が近かったとしてもそれはルフィのように年下であることの方が多かったマキノは、普段は酒場という場所の関係もあり愚痴を聞く立場であった。
だが年下とは思えない海美の話術の巧みさと、任務とは別で培われた聞く力の賜物もあり、いつの間にか普段の立場とは違って楽しそうに話していた。
そんな状況で酒場へと戻ってきたのは垣根一人であった。
「お帰りなさいカキネくん。ガープさんとルフィはどうしたの?」
「ガープが家に帰るとか言って連れてった」
ルフィへと小技となりそうなものを幾つか教えた後は、垣根の言葉通り戦うようなことはなく、一人歩いて戻ってきていた。
戦うのがダメならばと、その場で垣根に教えられたモノを試してみたいと思っていたルフィであるが、そこで待っていたとばかりに割り込んできたガープによって中断することとなった。
続きをするつもりもなかった垣根からしてみれば渡りに船ら今頃は家族水入らず、楽しく過ごしていることだろう。
連れていかれるときにガープに首根っこを掴まれた際に、面倒臭そうな表情で垣根を見ていたルフィであるが、そこに割り込んで止めるほどの親しさもない垣根からしてみればどうぞご自由にと、その場で二人を見送ったが。
その後の垣根がここへと戻ってきたのにも深い理由はない。
軍艦に戻るかとも思ったが、とりあえず海美のいる場所へと戻ってから考えた次第。
この後にどうするかなどまるで浮かんでいないが、予定を立てた所でそれもガープの機嫌次第で呆気なく破棄することになるので、そこまで頭を働かせるつもりもなかった。
「おい、それよりなんか面白そうな話はあったか」
「そうね、最近のこの近くの島を根城にしている海賊がいるらしいけど、そこで雑用係にさせられている子がいるらしいわよ」
「ほー、哀れな奴もいたもんだな」
「そんな風に言っちゃダメよ。でもその子、何でも海兵志望らしいのに海賊船に間違って乗っちゃったらしいの」
なんだその間抜けはと、二人ともその可哀想な少年を嗤うことも同情することもせず、ただ呆れていた。
よくそんな体たらくで海軍に入りたいと言ったものだと、正直なところ信じられないといったもの半分と、それで何故海賊の船に乗り続けているのかという疑問が半分。
他人の失敗を他所から眺めている分には楽しめるかもしれないが、その迷惑が自分達に向くことは御免被るし、海軍にそんな人材がいようものなら、間違いなく部下になどしないと固く誓う。
「そうだ。二人はガープさんと同じ海兵なのよね。ならその子のことをどうにかしてあげられないかしら」
「知りもしないやつをか俺が助けるのか。理由がねぇよ」
「私も同意見ね。話を聞いた限りただの自業自得みたいだし」
「どうしてもお願いできないかしら?」
年下だからと侮っているような嫌みな感じを一切感じさせず、お姉さんが浮かべる笑顔としては百点といえる微笑みであり、少しだけ首を傾ける様はあざとさもあるが不快を与えるというよりも、可愛げを醸し出していた。
しかしながら垣根の心に変化を起こすには至らない。マキノは確かに美人であるが、海軍本部にも容姿が整っているだけの人間ならば山ほどいるから見慣れているというのもあるが、相手に興味を持っていないのが一番。
この島でガープが帰ると言うまで暇のまま過ごすのと、どこの誰かも知らないような馬鹿の面倒を見ること、その二つを天秤に掛けて悩んでいた。
「ちなみにだがその島の場所はどこだ」
「行ってくれるのね。ありがとうカキネくん」
結局のところ、垣根の天秤はこの島から外で時間を潰すことを選んだ。
そんな垣根の言葉に嬉しそうに笑うマキノはまさに聖人君子の優しさの塊であるだろう。少くとも垣根のやる気のなさには気付いていない。
今いる島からわざわざ別の島へと行っての治安維持活動であるが、何もせずに過ごすよりはよっぽどマシだと割り切れば、そこまで悪くはないかもしれない。
休日でも行う海賊討伐は、まさに海兵の鏡と言えるような行いであるが、勿論のこと垣根にそんな思惑はない。地域の人間のためだとか、人をこき遣っている海賊は許せないだとか、ましてやマキノの優しさに絆されるなど、そんなことは一ミリ足りともあり得ない。
ただの気紛れであり暇潰し。
新たな人材の発掘でもできればなお良しであるが、そこまでの高望みはしていない。
過去にはゴールド・ロジャーやガープのような怪物を産み出しているとしても、所詮は最弱の東の海でしかない。
ましてや噂とはいえ、そんなバカな人材を部下にする気はまるでない。
現在は使えなかったとしても鍛えれば将来的に化ける可能性はゼロとは言えないが、そんな手間暇を掛けるつもりはないし、使えそうだとしても自分達で育成するなど有り得ない。
「せいぜい掘り出し物でも見つかればいいけどな」
実は次の話を書いている方が楽しくて文が進んでいくね。今回は無理矢理感がスゴイ。
ルフィを少しだけ強化しました。といってもギア系統ではなく、技の派生が幾つかって感じです。
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