とある海軍の未元物質   作:プックプク

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メチャクチャ遅くなってしまってスミマセン。

Vチューバーと自分のオリジナルの作品を作るのに夢中になっていました。

無理矢理感がスゴくなってしまいましたが、早めに東の海を終わらせたいという意図ですのでご容赦ください


第七話

 

そこは東の海のゴート島の港町。以前までならば他の島との交流や、近くの海へと向かう漁師達の船が行き交っていたが、それは少し前の話であった。

 

ゴート島の港には、今となっては一隻の船しか止まっていない。それは以前までは止まっていた漁船や貿易船と比べても、倍はありそうなほどの大きさのある、船内はピンクを基調とした船であった。

 

さらにはその船が何かということを最も容易く証明する、穏やかな風で僅かに揺れる海賊旗。髑髏の後ろには交差している二本の金棒が鎮座している。

 

それは金棒のアルビダが船長をしているアルビダ海賊団の海賊船であり、今や港どころか、ゴート島は海賊達の根城となっていた。

 

海賊達が来てからは漁も、ましてや貿易も満足に行えなくなったため、以前までの街の賑やかさとは打って変わり、港には海賊を除いて人っ子一人いやしない。

 

しかしながら現在、その港には唯一いたはずであった海賊たちもいなくなっており、連日のどんちゃん騒ぎもなくなっていたが、その中でもゴシゴシと何かを擦るような音がしていた。

 

それは海賊船からであり、水に濡らしたモップで船の甲板を磨いている一人の少年からである。

 

眼鏡をかけたピンク色のマッシュルームのような髪をした少年、コビーは今日もせっせと雑用に励んでいた。

 

 

「ふーっ、だいぶキレイになってきたな」

 

 

額に流れる汗を袖で拭いながら自分の掃除した場所を眺めると、掃除を始める前よりも明らかにキレイになっており、僅かではあるが光を反射するほどにピカピカとした甲板を見ると満足感すら浮かんでくる。

 

まだ太陽も昇りきるよりも早い時間、乗っている船が綺麗になると自分の心の掃除にもなったのか分からないが晴れやかな気分になってくる。

 

だがこれらは全て現実逃避の結果として出てきたものであった。

 

そんな中でふと、何とはなしに空を見上げる甲板と同じように何かキラリと輝くものが見えた。

 

 

「あれ、流れ星が見える。僕をここから出してくださいって願えば逃げることもできるのかな」

 

 

そして即座に、こんな真っ昼間に流れ星など降るわけないかと、ふへっと気持ち悪く笑いながら自嘲する。

 

さらには今の自分はそんな幻想にすがり付かなくてはいけない程の弱さでしかないこと。その情けなさを自覚すると思わず涙が出そうになる。

 

だがそれも何度目かは分からない。

 

海賊船に無理矢理乗せられてからの数日はすぐに解放されるか、そうでなかったとしても、いざとなれば逃げ出すこともできるだろうと甘い考えを持っていた。

 

だがそんな考えも数日が経つまでの間だけであり、少ししてこれから先は終わらぬ雑用が続いていくのかと、先行きの分からぬ現実に後悔と弱さを嘆く日々が続いていた。

 

このまま一生雑用なのかと諦めの境地に入ってきているコビーは、そばに置いてある水の入ったバケツを手に取りながら、流れてもいない涙を拭う。

 

そこでふと気付く。

 

では昼間なのに空にあった流れ星は一体なんなのかと。

 

再度顔を挙げて空を見てみれば、それはコビーの目の前に降ってきていた。

 

 

「うわぁああっ!!なっ、なんですかぁ!?」

 

「なんだ。船に他にもいるかと思ったがこいつだけか」

 

「そうみたいね」

 

 

海賊船を揺らすほどの衝撃で着地した何かは二人の男女であり、それは垣根帝督と海美であった。

 

二人は未だに揺れている海賊船と、突如としての落下の驚きで腰を抜かしているコビーなど気にも止めずに話していた。

 

自分を無視されていることも自覚しつつ、座り込みながらも見上げる二人は年の頃は自分と変わらなそうではあるが、何故かコビーにはどちらも年上のように見えていた。

 

垣根に横抱きにされて運ばれていた海美は軽やかに降り、垣根も背中から生やしていた六枚の翼をしまいながら、近くで座り込んでいるコビーへと声を掛ける。

 

 

「おいお前」

 

「えっ!?ぼっ、僕ですかっ」

 

「他に誰がいんだよ。この船は海賊のものであってるか」

 

「あっ、はい。この船はアルビダ海賊団のものです」

 

 

聞かれたから答えたものの、コビーも自分で言って再度現実を認識してしまう。

 

今の自分のいる場所は憧れの海軍の軍艦ではなく、むしろその敵とも言える海賊の船に乗っているという事実に。

 

そして二人の前で何度目かというほどに落ち込んで肩を落とすコビーであるが、そこを気に掛けるような心持ちの二人ではない。

 

 

「持ち主はどうでもいいんだけどよ。にしても留守か…面倒だな。他に海賊船はねぇしここであってる筈なんだけどな」

 

「なら帰ってくるまで待つつもり?私は嫌よ。せっかくの休日が潰れたのに、こんな訳のわからない場所でさらに潰すことになるなんて」

 

「俺だって嫌だっつーの。わざわざ三下のために割く時間なんざゴメンだ。でも一度了承した以上、失敗しましたなんて言えるか」

 

 

面倒だということを態度に表しながらも、しかしそこですくに帰りますということが出来ないのは一重に、垣根のプライドが赦さないからである。

 

この島へ来たのは仕事でもなんでもないが、マキノとの約束がある。どこぞの悪党相手との約束なら、適当に破って帰ることもしたかもしれないが、約束をした相手は善人であった。

そんな相手との約束事の一つも守れないというのは、垣根自身のプライドが許容できないことである。

 

 

「あのー、お二人は海賊なんでしょうか?」

 

「あら、まだいたのね。気付かなかったわ」

 

 

鋭すぎる海美の返事に心を深々と抉られてしまい、体を大きく仰け反らせるものの、海美はまるで気にしている様子はない。

 

一々うるさい動作に、垣根も少しだがストレスが貯まっていた。

 

唯一の情報源となりそうな相手がこんな三下なのかと、落胆と共に思わずため息をついてしまうものの、それでも改めて垣根がコビーの質問を答える。

 

 

「違ぇよ、俺達は海軍だ。こんな格好だけどな」

 

「成る程、海軍なんですか……ってえぇええええぇええ!?海軍、ってことはお二人は海兵なんですか!!??」

 

「うるさっ。少し静かに喋ってもらえるかしら」

 

 

海軍と名乗ったことに驚きのあまり目の前で叫んだコビーの声に、顔をしかめながらも耳を押さえるのは海美。

 

即座にスミマセンと、元々気が弱かったということもあるが、それ以上に僅かな日数ではあるものの、海賊船に乗っている間に染み付いた条件反射のように謝るものの、内心の驚きは全く持って落ち着いてはいない。

 

自分にとっては憧れの存在である海兵が目の前にいることが、まるで現実味が沸いてこない。

 

海兵、海兵とうわ言のように呟いていたコビーであるが、それでも時間が進めば共に止まっていた思考が少しずつ動き出してくると、今の状況の凄さを実感し始めていた。

 

当然ながら海兵という発言が嘘である可能性もゼロではない。軍服を着ていないということもあるが、東の海には海軍と評して油断させる戦法を取る海賊だっているのだから。

 

だが今はそれでもいいと、例え嘘をつかれていたとしても二人を恨むことはないと、何故か根拠はないものの、コビーは自信を持って許すことができると言えた。

 

だが一番大きいのは、初対面でありながら、目の前にいる二人が自分に対して嘘をついていないと根拠のない確信を持っているから。

 

 

「僕は雑用でして、ここで船の掃除をするように言われてるんです」

 

「ほー、お前ハブられてんのか」

 

「違いますよ。……実は僕、これでも海兵志望なんです。元々は海軍に所属しようと思ってたんですけど、間違えて海賊の船に乗ってしまいまして、今は雑用として扱われています」

 

「聞いてた通りってことには驚いたけど、本当に哀れな人ね」

 

「全くだ。けど丁度いい。俺等の目的は簡単に終わるな」

 

 

コビーの自分語りには微塵も興味のなかった垣根であるが、その中で一つだけ聞いて得をしたものがあった。

 

それは垣根達がわざわざやって来た目的である、海賊で働かさせられてる哀れな少年が、目の前にいるひ弱な少年であるコビーであったということを確認できたこと。

 

 

「そうなんですか?ってあのー、これは何ですか?」

 

 

コビーの言葉を他所に、その身体を、もっと言えば背中から胴回りを二本のアームのようなものが掴んでいた。

 

それは小さな子供が思い描くような、シンプルで古いロボットの手のようであったが、そんなアームは少年とはいえコビーを軽々と持ち上げる。

 

 

「うわぁああっ!?急になんですか!!??」

 

 

突如として自らの体に襲いかかる浮遊感に、自分がアームのようなものに捕まれていると理解したコビーであるが、さらに混乱に陥っていた。

 

突如として現れた二人組。

 

彼らは海軍と名乗ったのだから目的はアルビダ海賊団であり、自分は渦中の外にいると思っていたコビーであるからこそ、自分が巻き込まれていることが理解できない。

 

 

「お前を連れていく。わざわざ三下を相手にしてやるつもりもねぇしな」

 

 

声がした方を向いてみればバサリッ!と、いつの間にか海美を抱えながら垣根は、背中か白い翼を生やして空へと浮かんでいた。

 

コビーの事情など心底どうでもいいと思っているからこそ、戸惑いの声を挙げていることに対して一方的に理由を告げる。

 

東の海にいるような、垣根からしてみれば偉大なる航路に入ることもできない海賊など端から相手にするつもりもなかったし、寧ろ良かったとも言える。

 

そんか背に翼を携えたその姿は、自分を救う天使のようだと思いながら、その内の一つの翼が自分を掴んでいるアームと繋がっていることに、コビーはそこでようやく気がついた。

 

 

「あのー、僕を連れていったとしても意味はないと思うんですけどー」

 

「それはコッチが決めることだ。お前は黙って掴まれとけばいいんだよ」

 

「そうしてもらえると私達は早く帰れるから助かるわね」

 

「そんなー」

 

 

垣根の生み出したアームに掴まれて、空中に吊るされながらもジタバタと暴れていたコビーであるが、もはや何を言ったとしても下ろしてくれなさそうにないと、諦めの境地に入ったのか項垂れていた。

 

だが未だコビーは理解していないが、この状況は流れ星に願った通りのものであり、ある意味で理想的な状況と言えるだろう。

 

無理矢理捕まってしまったとはいえ、相手は海兵であり、その目的も自分を海賊から連れ出すためであるため、当初の逃げ出すという目的だって果たせてしまうし、もしコビーが上手くことを運べればそのまま海軍に所属することだって夢ではない。

 

それはコビーの元々の夢を叶えるための第一歩にもなるのだから、それを今のコビーに理解しろというのは、少し酷なことであった。

 

つまりコビーの取るべき最適解は、ただ流れに任せることであった。

 

 

「とりあえずさっきまでいた場所に戻るか」

 

「マキノさんに報告しなくちゃいけないし、それがいいんじゃないかしら」

 

「ガープはまぁどうでともいいか」

 

「もういいです。僕はお二人にお任せしますから」

 

 

置き去りにされていることを進行形で実感している当事者のコビーは、もはや抵抗もせずじっとしていた。

 

だがその会話も程ほどに、バサリと翼を羽ばたかせながら垣根は上昇すると、ある程度の高度まで高さを取り、元いたドーン島の方向へと向きを定める。

 

ドンッ!と空気を叩きながら初速から明らかに走るよりも速い速度、それこそ船などよりも速く、ドーン島へと距離を縮めていく。

 

そうであるにも関わらず、垣根と海美は当然として、アームで吊るされて捕まれているだけのコビーも、その体には何の負担も掛かっていない。

 

時速にしては二百キロを越えており、それは海列車と比べても置き去りにするほどであるが、そんな早さを生身で受ければ、少なくとも何の訓練も受けていないコビーではまともに呼吸をすることだってできないかもしれない。

 

それは飛行しながらも前方からの圧力を遮断し、必要な空気のみを選択して通すように未元物質を調節するという、絶えず演算処理を行うことによって成し遂げられる芸当であった。

 

それがどれだけスゴいことなのかなど、流れる景色に呆気に取られているコビーには理解できるはずもない。

 

 

「おいコビー、暇だからなんか話せよ」

 

「ええっ!?そんなこと急に言われましても……」

 

「内容はそうだな、お前の過去話でもいいし東の海のことでも何でもいいぞ」

 

 

垣根によって吊るされながら空の旅をしているコビー。

 

現在の社会では航空設備の管理されておらず、飛行できる乗り物が限られているこの世界においては、かなりレアな体験をしているものの、当人は楽しんでいられる余裕はない。

 

そんな状況での垣根の無茶振りといってもいい雑な振りに、余裕はなくとも答えようと頭を働かせるのは、コビーが持つ元来の優しさ故である。

 

だがウンウンと唸りながら至って真剣に考えているコビーには残念なお知らせである。

垣根は何も考えることなく言っただけであるため大した期待もされていないし、そもそもコビーの話自体に興味を持っていないという事実には、きっと気づかない方がお互いのためであろう。

 

 

「あっ!ありましたよ、お二人が興味のありそうな話が。ただこれは噂話として聞いただけなので本当かどうかは分かりませんけどいいですか?」

 

「とりあえず話してみろ。つまらなかったかどうかはそのあとに決めるから」

 

「だいぶプレッシャーになるんですけど、楽しんでもらえるように頑張ります」

 

落とさないでくださいねと、半ば本気でコビーは言いながらも、優しさとは到底言えないような垣根からの言葉に、明らかなプレッシャーを受けながらも話し始める。

 

 

「今の東の海の海賊って有名なのは四つなんです。一つはさっきまで僕のいた金棒のアルビダ率いるアルビダ海賊団。他三つは名前しか知らないんですけど、他の島を拠点としているバギー海賊団と、艦隊を持ってるって言われているクリーク海賊団です」

 

 

指を立てながら話すコビーであるが、垣根はどの海賊団についての知識も持ち合わせていない。

 

だがバギーという名前にはどこか聞き覚えがあるような気がしなくもないため、何とか思い出そうとしてみるものの、それがどこかは分からない。

 

少し考えてみたものの、結局は気のせいだろうと結論付けながら黙って続きを聞くことにした。

 

 

「それで残りの最後の海賊団が、魚人の海賊団らしいんですよ」

 

「ほー、この海に魚人がいるのか。偉大なる航路じゃねえっつうのは珍しいな」

 

「何でも偉大なる航路から来たって話なので、元々は東の海出身ではないと思います」

 

 

海軍の中でも魚人については様々な動向を調べていた方であるが、まさか東の海に魚人の海賊がいることは知らなかった。

 

調べていることの中心が偉大なる航路にいる魚人、主に魚人島についてか、王下七武海の太陽の海賊団についてのことについてであったため、他の四つの海のことは後回しにしており、失念していたと少しだけ後悔していた。

 

 

「船長は東の海では一番懸賞金の高い二千万ベリー、ノコギリのアーロンって人って話しなんです」

 

「成る程な。何となくだがわかった」

 

「ご存知だったんですね。ただ不思議なことにアーロンがどんなことをしてるとか、他にはどんな魚人がいるっていうのは聞かないんですよね」

 

 

今度のコビーの口から出た名前であるノコギリのアーロンについて、今度は垣根にも聞き覚えがハッキリとあった。

 

それは奴隷解放の英雄、フィッシャー・タイガーが船長を勤めた魚人のみの海賊団、現在は海峡のジンベエが船長をしているタイヨウの海賊団の、その当時の幹部を勤めていた大物の名前。

 

フィッシャー・タイガーの死後、死の原因となった人間への復讐のために暴れ回っていたが、その当時はまだ中将であった現大将の黄猿によってインペルダウンへと投獄され、その後王下七武海へと就任したジンベエとの取引により釈放されたような、謂わば魚人の中での危険人物である。

 

 

「中々有意義な話だったぜ」

 

「よかったー」

 

 

垣根の言葉を聞きながら、コビーは心の底からホッとしていた。

 

だがコビーには言っていないが、垣根としては気になることがまだあるが、それを答えることは出来ないだろうと思っているため口には出さない。

そもそもとしてコビーの知り得ない情報を元にして生じた疑問であるため、聞いたところで無駄になるのは目に見えているというのもある。

 

それは魚人の中でも危険人物として分類されているアーロンが、何故東の海にいるという情報が垣根の元へと入ってこなかったのかということ。

 

海軍でも昔と比べて魚人島との交流も活発になっているし、海軍内に魚人による専門の部隊ができるほどの数と高い地位を持つ者だっている。

 

海軍での様々な活動を通して、魚人の社会的な地位や民衆への理解などは以前とは比べ物にならないほどとなっている。

 

そのため、社会的に危険人物となりそうな魚人には、問題行動を起こされるよりも前に発見するか、迅速な対応を取るためにも、海軍か世界政府の諜報機関から監視が付けられていることが殆どだ。

 

これには魚人島の国王であるネプチューンの同意も得られており、他にも一部の魚人、例えば王下七武海のジンベエなどには伝えられている。

 

であるにも関わらず、過去に罪を犯して、魚人の中でもブッチギリの危険人物として認識されているアーロンが自由に行動できているのか。

 

ただの怠慢であるならば、管理責任はあるもののそこまでの大事ではないが、意図的に行われたとなったならば別の話である。

 

 

「少し調べといた方が良さそうだな」

 

 

何を目的として最弱の海へとやって来たのかは知らないが、出る杭は早めに撃つに越したことはない。

 

魚人の海賊団が東の海にいるという情報がそこまで漏れていない理由としては、恐らくアーロンが情報の統制をしているからであろうが、それでも放置しておけばいずれは周りに広まっていくのは時間の問題。

 

そうなれば、ビックニュースが大好きな鳥人間に嗅ぎ付けられる可能性がかなり高い。

 

魚人の地位が高まりつつある現状で、人間の村を支配していた魚人がいるなどというニュースはまさにトピックスとなり、民衆の魚人への不信感はかつてのように高まるのは明白。

 

情報を既に捕まれていたならば、最終手段として買収するつもりもあるが、果たしてジャーナリストとしての琴線に触れていればそれも通用しない。

 

そうなれば今までの海軍の功績も、つもりは魚人との交流をとるべきとかつて進言し、その後の交流にも積極的に取り組んできた垣根の努力が無駄になるかもしれない。

 

 

「どちらにしてもこの後の方針は決まったな」

 

「本部に戻る前にそのアーロンって魚人を捕まえるつもりね」

 

「ああ。アーロンが人間と共存を送ってるなら良かったけどな。調べた限りの性質じゃあそうはならねぇ」

 

 

コビーの発言が正しければアーロンの懸賞金は二千万ベリー。過去に偉大なる航路にいた海賊としてはかなり低い額であるが、それでも東の海の海賊の中ではトップの額である。

 

覇気はおろか、悪魔の実の覚醒の概念も殆ど知られていない四つの海では、魚人の人間の十倍の腕力は、それだけで大きな武器になる。

それに加えアーロンは、二メートルを優に越える巨大なノコギリ刀を武器にしており、その技量も合わされば最弱の海では敵はいないだろう。

 

東の海の支部の海軍が全く知らないとは思えないため、アーロンに買収されたか、皆殺しにされた上で隠蔽されているのか。

 

どちらにしても、このままアーロンを放置しておくことはできない。

 

 

「随分と働くわね。そんな奉仕精神が貴方にあったなんて驚いたわ」

 

「うるせぇよ、何で休みにまで働かなくちゃいけねぇんだよって嘆いてるんだぞ」

 

「そうね。休日出勤の代わりの休暇でも働くって、やっぱりアナタって不幸に愛されてるのかもね」

 

「冗談でもヤメロよな。これ以上働くなんざゴメンなんだからよ」

 

 

垣根と共に行動している海美としてみては、割りと馬鹿にならない確率で厄介事に巻き込まれることのある垣根というイメージが既に確立されつつあった。

そしてこれまでの経験からしてみれば、厄介事に巻き込まれている自覚はあるため、垣根本人も強く否定することが出来ない。

 

だがやらなくてはいけないことは次から次へと矢継ぎ早にやって来てしまうし、放置すれば後々面倒なことになることも、垣根の優秀な頭脳は簡単に結論を出せてしまう。

そしてその訪れる問題事を容易くクリアできてしまえるだけの能力があるからこそ、垣根に回ってくるというサイクルが出来上がってしまっているのは、もはや回避しようのないことでもあった。

 

だがこのタイミングで、魚人海賊団の存在を知れたのは、垣根としては運が良かった。

 

一先ずはフーシャ村へと戻るため、垣根は翼による空気を叩く威力を引き上げることで、更なる速度を出して飛行する。

 

 

「ちょちょちょっとぉ!?早いんですけどもぉ!!??」

 

 

コビーの絶叫をドップラー効果で辺りへと響かせながら。

 

 

 




誰か一緒に作ってくれる人とかいないかなぁ
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