もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
池谷「じゃあ、やるか……まずは根本的に違うのは……給排気系だな、インマニとエキマニ、そしてターボ関係を取り外そう」
「健二、ラチェットと12と14のソケット、そしてエクステを取ってくれ」
健二「あいよ〜!!」
「ギィーッ、ギィーッ、ギィーッ」
工場内にラチェットハンドルの音が響き渡る。
ボルトナットを一つずつ外し、まずはインマニとエキマニ、ターボ系を取り外す。これだけで随分スッキリする。
池谷「あとはオルタネーターとパワステポンプ、エアコンコンプ……あれ?
政志「はっはっはっ!そいつは完全な競技用車両のエンジンだからな、エアコンなんざ付いてないぜ?どうだい?君のS13も?(笑)」
池谷「それはちょっと……」
もちろん、エンジンブロックにS13の補機類ブラケットを取り付ければ、エアコンは換装可能である。
そうこうしてる間に、SSS-RのエンジンはS13用へと完全に姿を変えた。
池谷「これが……俺のS13のエンジン……!!」
ピカピカに磨き上げられたSSS-Rのエンジン本体、そしてそこに取り付く今まで走りを共にしてきたS13の補機類。あとは、搭載して配線配管類を取りつけるのみだ。
政志「よぉ〜し、いい時間だ、今日はここいらで終わりにしよう」
時計を見ると、丁度2時間弱の8時50分だった。
政志「しかし君、整備の筋もいいねぇ〜、もうちょっとかかると思ったんだけどなぁ、友達との連携も完璧だったよ。是非うちの後釜として働かないか?(笑)」
池谷「ははは、ありがとうございます」
SSS-Rのエンジンは、遂にS13のエンジンアッセンブリーへと姿を変え、いよいよ作業は次のタイミングへ持ち越しとなった。
また健二に送ってもらい、帰宅する池谷。
池谷「いよいよ次だな……俺のエンジンに火が入るのは……!!ワクワクして寝られねぇぜぇ〜!!」
────後日。夜7時。
池谷「こんばんは〜」
政志「おっ、来たな次世代の秋名のヒーロー!」
池谷「そんな……(笑)拓海に比べたら、まだまだですよ」
政志「おぉ??そんな弱気なこと言ってていいのかなぁ?秋名最速チームのリーダー!」
「それにしても、いよいよ今日だな!キミの相棒に新たな魂が宿るのは……一発でうまくエンジンがかかる保証はないがな、キミ次第だ」
S13のそばにはエンジンホイストが用意されている。
政志「流石に搭載作業は経験積んだ人じゃないとキツイからな、共同でやるぞ!これからやる感覚、よーく覚えておくんだぞ〜?」
池谷「わかりました!」
エンジンをホイストに掛け、釣り上げる。そしてボンネットフードの外されたS13の心臓部に、ゆっくりと降りていく……
政志「俺がホイスト少しずつ降ろすから、エンジンマウントの位置合わせを頼む!手を挟むんじゃねえぞ〜?」
池谷「わかりました!」
シャーシとエンジンは、エンジンマウントを介して遂に一体化した……!!
政志「さぁここまで来たらもう一息だ!配線類と配管類、駆動系を組み合わせて、完成だ!!」
「はい、これ」
政志が池谷にラジエーターを渡した。それは明らかにS13のそれとは異なっていた……!
池谷「政志さん……!!ありがとうございます!!」
政志「おう、正真正銘、R32スカイラインのラジエーターだぜ?」
まずはR32のラジエーターをS13取り付け、その冷却系ホースを繋ぐ。
そして後は、S13に付いていた通り元通りにする。エンジンコンピューター、インジェクターなどの配線類、コンデンサー、エアコンホースなどのエアコン類、エアクリーナー、インタークーラーなどの吸気系、エキマニとマフラーフロントパイプ、など。
配線配管類が終われば、最後にクラッチセンターにミッションのインプットシャフトを挿入して、エンジンブロックとミッションケースを一体化し、エンジンを乗せてあるだけのエンジンマウントをボルト・ナットで固定。
プラグコードを繋ぎ、バッテリーを接続する。
そしてこれが最後……エンジンオイルを入れる。
ターボ用の粘度10w-50、競技用のエンジンオイルだ。
池谷「………!!」
政志「ほい!完成っ!!」
池谷「これが………生まれ変わった……俺のS13……!!」
自分で補機類を、いわば前のエンジンの魂を吹き込み、搭載作業も手伝い、最後に車の血液ともいえるエンジンオイルを入れた池谷。その意味合いが、この後どれほど大きなものになるか……!!
政志「よし、じゃ火入れるか……さーて、一発でかかるかなぁ??」
池谷「俺が……キーを回すんですか……?」
政志「勿論さ。君がこのエンジンに魂を入れるんだ」
全身に緊張が走る池谷。プロのメカニックでも、最も手に汗握る瞬間。果たして無事エンジンに火は灯るのか……!?