もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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エンジンの補機類換装、シャーシへの搭載作業を完了させ、遂にその時がやってきた。最初にキーをひねり、エンジンに火を入れるのは、S13の持ち主本人である池谷に託された。自ら魂を吹き込んだエンジンは、はたして無事に始動するのか……緊張の一瞬。


Act.11 S13、復活!!

 

 

 

 

池谷「久しぶりだな……S13。お前のキーを見るのも久しぶりだ。頼む、一発で始動してくれ……!!」

 

 

 

\キューーッキュッキュッキュッキュッキュッ/

 

 

 

健二、政志「………」

 

その場にいる全員が固唾を呑む────

 

 

 

そして────

 

 

 

 

 

 

 

\ヴォオオオオンンンン/

 

 

池谷「よっしゃああああ!!!かかった〜!!(ただいま、俺のS13)」

 

 

 

 

 

無事、ブルーバードSSS-RのCA18を搭載した池谷のS13は、見事に息を吹き返し、その産声を上げた。

 

 

 

 

 

 

\トゥルットゥルットゥルットゥルッ/

 

 

 

 

 

 

オーバーホールしたわけではないので、アイドリングも初めからスムーズだ。もちろん様子見は必要だが、回転もスムーズなままなので理論上はいきなりぶん回しても問題ない。ましてや本格的なモータースポーツ用に組み上げられ、僅かながら実際にラリーでしごき回された極上エンジンなのだから……

 

 

 

エンジンもフルバランス取りされ、燃焼室の鏡面仕上げにシリンダーヘッドのエキゾーストポート研磨、インテークポートのディンプル加工、クランクシャフトの鏡面ラッピングも施されている、まさにお金ではなく手間がかけられたモータースポーツ用スペシャルエンジンだ。

 

(あとは機密の関係で言えないがクランクシャフトやコンロッドのオイル穴に特殊な加工を施し末端油圧を向上させることでスムーズな回転と耐久性を同時に得ている)

 

 

 

 

 

エンジンをしばらくアイドリングさせたあと、ブリッピングさせて回転を上げても異常が出ないかチェック。

 

……合格。これで、池谷のS13は、再び走り出せる……!!

 

 

 

 

 

政志「おーし、上出来じゃないか〜!さて、エンジンも無事に回ると判ったことだし、仕上げのボンネット付けるか」

 

池谷「はい!健二、重いからサポート頼む!ボルト止めは俺と政志さんでやる」

 

健二「おう、任しとけ!……ってこんなに重いんだなボンネットって」

 

池谷「後々カーボンボンネットなんか入れられたら最高だよなぁ……」

 

健二「フロントの動きがめちゃくちゃ軽くなるだろうなぁ」

 

 

 

 

 

ボンネットが付き、見た目は完全に元のS13シルビア、何ならライトが後期型になっているのでPS13型のそれになった。

 

池谷のニューS13、ここに爆誕した……!

 

 

 

 

 

\フォン……フォン……/

 

アクセルを軽くふかす池谷。

 

池谷「なんだこれ……めちゃくちゃ軽いぞ……このエンジン……!!」

 

 

 

 

 

池谷「それじゃあ、この辺グルっと回ってまたすぐ戻ってきます」

健二「おい池谷、俺も横に乗せてくれよ!」

池谷「いいぜ、乗れよ、俺のニューS13に」

 

 

 

 

政志「気をつけてな〜、治ったのにいきなり事故るなよ〜」

 

池谷「ゆっくり様子見するだけなんで、いつも通りですよ(笑)でも、安全第一でいきます」

 

政志「調子いいと思ったら、グルっと回るだけとは言わず国道に出て様子見ながらアクセル全開にしてみてもいいぜ?」

 

池谷「わかりました!それじゃあ、行ってきます!」

 

政志「おう、改めて気をつけてな!」

 

 

 

 

 

初めは細い路地をゆっくりと走る。だが、それだけで解る。前のエンジンとは比較にならないくらい、フィーリングが良い。

 

 

 

 

 

健二「どうだ?池谷」

 

池谷「どうだもへったくへもないよ、最高だよこのフィーリング……軽く流しただけで、全く違うよ」

 

健二「そんなエンジン載せられたなんて、羨ましいぜ!」

 

池谷「お前だって、エンジンSR20だろ?それで頑張ればいいじゃないか!(笑)」

 

健二「このこの〜!!」

 

 

 

 

 

 

そうこうしてる間に、国道17号線へ出た。

この道は殆どバイパス状になっており、信号も少ない。時間も時間なので車もまばらだ。

 

 

 

 

 

池谷「よし、じゃあまず様子見に、アクセル半開くらいで6000rpmくらい回すか……!」

 

健二「いよいよか……楽しみだなぁ……!!」

 

 

 

 

 

アクセルを踏み込む池谷。

 

 

 

 

 

\フォオオオオオオン/

 

池谷「!!なんだこれ!!すごく軽く回っていく……!!」

 

 

 

 

 

少し負荷をかけても異常が出ないことを確認。速度を落としたあと、いよいよアクセルを全開にする……!!

 

 

 

 

 

池谷「よし、いくぞS13!!」

 

健二「………!!」

 

 

 

 

\ファアアアアアアアン/ \プシュー/ \ファアアアアアアアン/

 

 

 

 

 

池谷「………!!なんだこれ!!どこまでも回っていきそうだよ!!」

 

健二「横に乗ってても解ったよ……すげえスムーズな加速だった……」

 

池谷「それに、アクセル戻すとエンジンブレーキが妙に弱い……相当エンジンがスムーズな証拠だよこりゃあ」

 

健二「これは楽しみだな!このままトラブルがなかったら、早速今週末、走りに行こうぜ!」

 

池谷「おう、もちろんだ!!楽しみにしとけよ〜?お前の180なんか、ぶっちぎりだからなぁ〜!!(もうお前のこと、絶対に壊さないからな……S13……!!)」

 

 

 

 

試走の後、トラブルは全く出ず、政志の工場へ戻った。

 

 

 

 

池谷「政志さん、めちゃくちゃいいエンジンでした!どこまでも伸びやかに加速するようなフィーリング、SSS-R専用のハイカム入ってるのに低回転でももたつかない絶妙なセッティング、全てが最高でした!こんなエンジン手に入れて下さって、本当にありがとうございました!!」

 

政志「いいってことよ!そこまで気に入ってくれたんなら、今後もとことん付き合うぜ?また用があったら頼ってくれ!」

「(こういう若者見てると、久々に俺も楽しめそうだな……じきに文太のハチロクのスペシャルエンジンも手に入りそうだしな……こりゃそれぞれどうなっていくか楽しみだ)」

 

 

 

 

 

池谷「ところで現実的な話なんですが……このエンジンの代金、どうすればいいですか……?」

 

 

政志「あぁ、それなら板金補修代ちょっと高めに取ってあるから、それで十分だぜ?キミが補機類の換装作業やったわけだし、このエンジンも、コネで半ばタダで手に入れたようなもんだからな、俺が本格的にやったのはエンジンホイストの作業の手伝いくらいだ」

 

 

 

池谷「本当に……それだけでいいんですか……?」

 

政志「いいってことよ、久々に楽しい仕事回してくれたからな、今後もよろしく頼むぜ?好青年!」

 

池谷「ありがとうございます!!」

 

 

 

 

政志「実は、この全日本ラリーでクラッシュしたSSS-Rのエンジン、ほっといたらエンジンごと廃車になってたところだったんだせ……?なんだかんだ、もうモータースポーツ用としては旧型だからなぁ、CA18は……」

 

 

「でもこれはこれでは最高のエンジンだって自信を持って言えるぜ?こんな施工されたエンジン、普通は手に入らないしな……SR20に排気量は劣るけど、鋳鉄ブロック(シリンダーブロック)だから、SR20には出せないフィーリングも持ってる。今後のこのS13の活躍、楽しみにしてるぜ?」

 

 

池谷「本当にありがとうございます!一生このS13、大事にします!!」

 

 

 

 

 

 

S13の復活に歓喜すると同時に、あまりのニューエンジンのフィーリングに衝撃を受けた池谷。果たして今週末の秋名山での走り、どうなるのであろうか……!?

 

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