もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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池谷と健二は、遂に秋名のダウンヒルを走り始めた。しかし健二のSR20搭載の180をもってしても、ニューS13と一皮剥けた池谷に離されてしまう。一本走り終え、池谷は拓海にS13に自身を助手席に乗せて走ってほしいと頼み込む。しぶる拓海だったが、拓海はなんとなく乗ったS13から妙なフィーリングを感じ取った……!!


Act.13 シンクロするS13とハチロク

 

 

 

 

 

池谷「ありがとう、拓海、それじゃあ頼むぜ」

 

拓海「はい。ハチロクとは全然違う車で走らせ方も違うと思うんで、本当に流して走りますよ」

 

 

 

 

健二「拓海、俺たちも付いて行っていいか?拓海が走らせるS13の走り、後ろからこの目で確かめたいんだ」

 

樹「俺にも見せてくれよ拓海ィ!池谷先輩に、格の違いを見せつけてやってくれ〜!!」

 

拓海「樹……だから流して走るだけだって……」

 

 

 

 

しかし、この後予想外の展開を見せる。

 

特に、拓海にとって……

 

 

 

 

拓海「それじゃあ行きますよ、池谷先輩」

 

池谷「よし、頼むぞ拓海!」

 

 

 

 

 

\フォーーーーー/

 

S13のクラッチを繋ぐ拓海。そして発進した。

 

拓海「少し重いんですね……池谷先輩の車のクラッチ」

 

池谷「そりゃあそうさ、拓海のハチロクよりパワーのある車だからな……何せターボがついてるからな」

 

拓海「ターボ……?何のことか、よくわからないですけど、とりあえず行きますね」

 

 

 

 

\フォアァァァーーーー/\プシュー/\フォアァァァーーー/

 

アクセルを全開にして『流し』始める拓海。

 

 

 

 

拓海「なんっすか?いまの『プシュー』って音……」

 

池谷「あぁ、お前ターボ車乗るの初めてだもんな……ターボにはブローオフバルブっていって、圧縮した空気を適度に逃がす装置が付いてるんだ」

 

拓海「そうなんですか……(やべ〜、さっぱりわかんねえ)」

 

 

 

 

メカには疎い拓海。

 

しかし、1コーナーに進入するとき、メカの疎さとは裏腹に、S13でとんでもない動きを見せつせる……!!

 

 

 

 

池谷「おっ、おい、拓海!!ブレーキ壊れたわけじゃないよな!?」

 

拓海「先輩、いつもこんな手前でブレーキ踏んでるんですか……?」

 

 

 

 

 

余裕の顔をする拓海。

 

そして遂に1コーナー直前で一気にブレーキング……!!

 

見事な荷重移動でS13をスライドさせる。

 

 

 

 

 

池谷「くっ……この前もこれだった……でも『流すだけ』って言ってただけあって少しはマシか……っ!!」

 

拓海「(ん………?妙だ……おんなじだ、この感覚)」

 

 

 

 

何かに気づく拓海。そう、このS13、足回りに政志が密かに手を入れた。ハチロクと同じ秋名スペシャルだ。そのため、文太のハチロクとコーナリングのフィーリングがソックリなのは、当然のことなのだ。

 

 

 

 

拓海「なんか、妙ですね……違う車だから、全く違う動きするのかと思ってましたけど、今のコーナー、ハチロクよりちょっと重い感じがするだけで、あとはほぼ同じ感覚でした。(車って、基本的には同じ動きをするもんなのか……?)」

 

池谷「そう……なのか……?(そんなものなのか?凄いな拓海……速さだけじゃなくて、適応力まで持ち合わせてたのか)」

 

 

 

 

互いに混乱しながらも、拓海はそのフィーリングに妙にしっくりくる感覚を覚える。

 

 

 

 

拓海「池谷先輩……流すって言いましたけど、こんなにハチロクと同じように走れるとは思いませんでした……いつも通りに走れそうですけど、どうします……?」

 

池谷「(また失神は嫌だからなぁ……でも、一度見てみたい……コイツの、俺のS13の限界を……!!)それじゃあ、この先のヘアピンだけ、本気で頼む!後は流して走ってくれ!」

 

拓海「わかりました。ヘアピンだけハチロクと同じようにやってみますね」

 

 

 

 

そして幾つかの中高速コーナーを抜け、遂に最初のヘアピンに突入する……!!

 

池谷「うわぁああああ!!ぶつかるーー!!俺のニューS13がいきなり廃車かぁあああああ!!!」

 

拓海「………?」

 

 

 

 

 

いつものハチロクと同じ感じで、ギリギリまで詰めて一気にフルブレーキングし、スライドさせながらコーナーに突入する。

 

 

 

 

 

\シャアアアアアア/\キコキコキコ/

 

\フォン……フォン……フォオオオオオオ/

 

 

 

 

池谷「くっ………そうさ……この前もこの感覚だった………でも次こそは……!!」

 

 

 

 

\フォアアァァァァァ/

 

拓海と池谷が乗るS13は、見事なブレーキングドリフトを決めてヘアピンをクリアした。

 

 

 

 

池谷「マジ……かよ……拓海……」

 

拓海「凄いっすよ池谷先輩……」

 

池谷「どうした?このS13の性能、そんなに凄いのか……?」

 

 

 

 

 

拓海「ハチロクと全く同じ感覚でドリフトできました」

 

池谷「(ガクッ)そっ、そっちかよ……でも、拓海にとっては、あれが普通の走りなのか……?」

 

拓海「はい……そうですよ。ハチロクならやろうと思えばもっと突っ込めますよ」

 

池谷「マジかよ……(俺のS13、あんな動きができるのか……!!)」

 

 

 

 

 

後ろを走る健二と樹。

 

健二「見たか樹……すげぇ突っ込みだったな……1コーナーでもう置いてかれちまったよ……あんなに早えのか……池谷のS13……俺の180もあれだけいけるのか?」

 

樹「あれが拓海の走りっ!!くぅーーー!!最高だぜ拓海ィ!!さっきの池谷先輩の走りとは、大違いだぜーー!!」

 

健二「全くだよ……」

 

 

 

 

一方S13の方では

 

池谷「(凄い……凄すぎて何がどうなってるのかわからない……!!)」

 

拓海「………(すげぇ……まるで少し大きくてパワーのあるハチロクだ……)」

 

全く違うことを考えながら、隣同士走る二人。

 

 

 

 

 

拓海は、『流す』と言っていた言葉を忘れ、知らず知らずのうちにいつものハチロクと同じ走りに切り替わっていた。

 

 

 

 

 

池谷「(怖い……だけど、これは俺のS13、それに、あの高橋啓介を破った拓海が運転してるんだ……絶対大丈夫だって信じるしかない……!!)」

 

 

 

 

\シャアアアアア/

 

\キコキコキコキコ/

 

 

 

 

いつも通りに走る拓海。だが池谷は、意識を変えた瞬間、吸収能力が格段に変わった………!!

 

 

 

 

 

池谷「……くっ!!……そうか、ここでブレーキング……荷重移動させて車体を横に向けて、同時にカウンターを当てて………」

 

「アクセルを軽くポンピングさせてリアに荷重を乗せてトラクションを掛ける姿勢に入って…………ここだ!!」

 

\フォアアアーーーー/

 

 

 

 

池谷のイメージと、拓海のドライビングが、ピタリと一致した。

 

 

 

 

 

結局、ふもとまで降りたS13。約2分遅れで、健二たちも到着する。駐車場で降りて少し談笑する。

 

 

 

 

 

池谷「今回は気絶しなかったぞ〜!?」

 

健二「威張ることじゃないだろ?(笑)でも、拓海の運転ならうなずけるよ……1コーナーだけであんなに置いてかれたもんな……」

 

樹「そうだぞ拓海ィ!!お前凄すぎるよォ!!」

 

 

 

 

拓海「そんなに凄いんですか?俺の運転が」

 

池谷「凄いもなにも、それを遥かに超越してるよ……拓海の運転は……常軌を逸してるぜ……いいモノ見せてもらったよ拓海……(はぁ……つかれたぁ〜)」

 

拓海「そう……ですか……」

 

 

 

 

 

拓海「それにしても、妙に不思議だったんですよ。ハチロクと全く同じ感覚でした。最後は完全にいつものハチロクだと錯覚してましたよ」

 

健二「それで気絶しなかったんだから、池谷も大成長だな!」

 

池谷「こら健二、バカにするな!!(笑)お前も拓海の助手席に乗せてやるからなぁ〜!?」

 

健二「ひぃ〜!!」

 

樹「いい機会なんっすから、健二先輩もどうっすか?いい経験になると思いますよ」

 

健二「それなら樹もっ!!」

 

樹「俺はむしろ、体感してみたいっすよォ!!拓海のスーパーダウンヒル!!」

 

 

 

 

 

 

拓海の運転で同乗走行をする話をしてる間に、ふと池谷にある提案が思い浮かぶ。この提案が、今後のスピードスターズの明暗を、大きく分けることになる。果たしてその提案とは……!?

 

 

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