もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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下りの攻め込みにより、ブレーキがフェードを起こし効きが甘くなり、練習できなくなってしまったS13と180、そしてS13にのみ現れたフロントタイヤのタレ。それは池谷のテクニックが相当上がったことを意味していた。ひょんなことからスケートリンク場近くの展望台で店長に遭遇し、タイヤのタレを克服するヒントを得て、同時にブレーキを休める。そして池谷は、店長にS13の極秘プロジェクトを話した後、再び走り始める……!!


Act.17 S13の伸び代(後編)

 

 

 

 

 

池谷「店長、そのブレーキ強化のアイデアっていうのは……」

 

店長「………!」

 

 

 

 

固唾を呑む店長。

 

 

 

 

「足回りを、R32のものに換装するんです」

 

 

 

 

一瞬の沈黙のあと……

 

 

 

 

店長「…………ハッハッハッハッハッ、何を言い出すのかと思ったら、何だそれ?R32なんて、全く違う車じゃないか!付くのかそんなもん!ホント笑えるぜ、メカに詳しい池谷がとんだことを言うもんだ!!」

 

池谷「………それが店長、笑い事じゃないんですよ」

 

店長「何……?」

 

 

 

 

一気に表情が固まる店長。

 

 

 

 

 

池谷「仲間の情報なんですけど、R32の足回り、S13と180と共通設計で、GT-Rじゃないスカイラインのやつは流用できるみたいなんです」

 

店長「………!!何だとォ!?」

 

 

 

 

 

以前政志にも同じ内容を話しているが、これは何とも池谷らしい発案だ。しかし店長は、この情報にぶったまげた……!!

 

 

 

 

 

池谷「俺の初期型S13は、4穴のホイールです。でも、R32スカイラインの足回りにすれば、5穴になります。すると、将来的にもっと大きなホイールとタイヤが履けるようになります。」

 

店長「………!!それはまさか……!?」

 

池谷「フッフッフッ……そうです。」

 

不敵な笑みを浮かべる池谷。

 

「そうすると、このS13に、もっとでかいブレーキ履かせられるようになるんですよ!それにナックルはGT-Rも普通のスカイラインも共通なので、ブレーキローターもろとも、GT-R用のモノブロックキャリパーまで流用可能です」

 

店長「・・・。」

 

あまりの合理的かつ奇想天外なアイデアに、固まる店長。

 

 

 

 

 

店長「つまりそれは、さっき言ったラリーカーの話が、市販のパーツでできちまうじゃねえか……!!」

 

池谷「そういうことですよ!何も特別なチューニングパーツは要りません、知識と工夫次第で、どうとでもなるんです」

 

 

 

 

 

池谷にとてつもない可能性を感じた店長。こんなことを池谷に対して感じたことは、今までなかった。そして別の可能性を感じた男がもう一人。

 

 

 

 

 

健二「ひょっとして池谷、それは俺の180にも……!?」

 

池谷「あぁ、もちろん可能だ」

 

健二「マジかよ!?」

 

池谷「S13と180は、ボディ形状が違うだけで、基本的には同じ車だからな」

 

健二「そうだよなぁ、180ってのは、アメリカ仕様のシルビアみたいなもんだもんなぁ」

 

 

 

 

 

そう、180SXは元々、アメリカ向けに作られたシルビアだった。それがあまりにも好評で、日本にも卸されるようになったのだ。

 

CA18エンジンからSR20と2リッター化して、アメリカでは200SXという名称になったが、日本ではずっと180SXという名称で統一となっだ。

 

余談だが、アメリカでは同時期のフェアレディZも、300ZXという似た名前であり、シルビアとフェアレディZは兄弟車という扱いだ。

 

だが皮肉にも、S13系に流用できる部品は、R32型スカイラインのものというわけだ。

 

健二もまさかの衝撃を受け、将来に希望が持てるようになってきた。この希望がまさか、健二の命運をもかえることになろうとは……!?

 

 

 

 

店長「そろそろタイヤとブレーキ、冷えただろう、もう一回走ってきたらどうだ?」

 

池谷「そうですね、もう一回頂上に登ってから、ダウンヒルに突入します!」

 

健二「(池谷、エンジン載せ替えて、まるで人が変わったなぁ……俺もこの波に乗れっか……!?)」

 

 

 

 

再び登っていくS13と180。ブレーキテストをする池谷。

 

\キュキュキュキュキュキュ/

 

池谷「よし、効くようになってる!!さっきは拓海が全開走行した直後ですぐブレーキが来たけど、今回は……!!」

 

 

 

 

 

頂上に着く二人。

 

向きを反対方向に向ける。

 

池谷「よし、今度こそは……!!(絶対に事故らないからな……S13……!!)」

 

拓海「………」

 

\フォン フォン フォオオオオーーーーー/

 

 

 

 

意気揚々と飛び出す池谷と、隣で静観する拓海。

 

 

 

 

健二「おっ、行きやがったなぁ池谷!俺たちも付いてくぜぇ!!」

 

樹「頑張ってください!健二先輩!!」

 

 

 

 

再びダウンヒルに突入する2台。4人。

 

そして、1コーナー!

 

 

 

 

 

\シャアアアアア/

 

 

 

 

 

見事にブレーキングドリフトを決める池谷、一方……

 

 

 

 

 

\キュキュキュキュキュ/

 

\フォオオオオオ/\ギャアアアアア/

 

 

 

 

 

パワースライドによるスライドが限界の健二。その差は歴然、悔しがる。

 

健二「羨ましいぜぇ池谷、お前にできて、俺にできないことがあるのかよ……?」

 

樹「何言ってるんっすか健二先輩!!健二先輩にも、いつかできるようになりますよぉ!!」

 

健二「いや俺にはあんな……って前には言ってたなぁ……だが俺もいつかアイツに追いついてみせるぞォ!?」

 

樹「その意気ですよ!健二先輩!!」

 

 

 

 

 

その後池谷はいよいよ、スケートリンク場入口の前回区間を抜けたあとのヘアピンに差し掛かる……!!

 

池谷「見ててください、店長……!!」

 

 

 

 

 

超絶なレイトブレーキングから、一気にスピードを落とし、コーナー手前で減速姿勢から荷重移動姿勢に移し、S13をスライドさせる。

 

 

 

 

 

池谷「いっけぇえええ!!俺のニューS13!!」

 

 

 

 

 

店長はしっかり見ていた、が……!?

 

店長「池谷!おい!!来るな!俺を殺す気か!?」

 

 

 

 

しかし……!!

 

\シャアアアアアア/

 

 

 

 

高速域から一気にドリフト姿勢に入った。

 

それは4輪ドリフトそのものだった。

 

少しアウトに膨らむも……?

 

 

 

 

\フォン フォン フォフォン フォオオオオオオ/

 

池谷「(そうか、多少オーバースピードでも、リアにトラクションをかけると粘ってくれるのか……!!)」

 

 

 

 

典型的な成長曲線に入った池谷。今夜だけで、とんでもなく上達している。

 

そして30秒遅れて健二が来る……!!

 

 

 

 

 

健二「アイツ、ここどんなスピードで抜けたんだろうなぁ……よし、俺だって……!!」

 

 

 

池谷よりだいぶ手前からブレーキングを開始する健二。

 

健二「くっ……だめだ……おれにゃあんな離れ業ムリだよ……」

 

いつも通りの走りをする健二。

 

 

 

 

 

店長「健二くんはいつも通りみてぇだなぁ……そりゃ無理もないか、池谷は拓海の同乗を経験してるんだ、あの文太とほとんど変わらないな」

 

 

 




この後もそれぞれ順調に下っていく2台。そして今度は上りに突入する。しかし、そこにまさか、新たな刺客が殴り込みに来るとは、誰も予想だにしていなかった……!!
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