もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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峠を下りきり、ヒルクライムの練習に移った池谷と健二。そこに現れたのは、日本のモータースポーツ界で不敗を誇った名車、R32GT-Rだった……彼らは、テクニックでは埋めようのないマシンの戦闘力の差を、まじまじと見せつけられるのであった……


Act.19 マシンの差

 

 

 

 

……あっという間にストレート区間の彼方へ消え、第一ヘアピンへと姿を消した、漆黒に光る中里のGT-R。地元の意地を見せようと、コーナー区間で勝負に入る池谷。しかし……

 

 

 

 

 

池谷「だめだ……一向に追いつかない……むしろエンジン音が遠ざかってる……地元の俺たちが、コーナーでも勝てないのか……?」

 

拓海「………」

 

拓海は余裕で勝てると思っていたが、成長曲線に入った池谷のペースを乱さないよう気遣い、何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

一方、健二たちの方は……

 

健二「おい!!見たかよ樹……!!あの加速と、変になるようなコーナリング!!」

 

樹「あれはヤバいっすよ!!黒の、R32!!GT-Rっすよ!!」

 

健二「おいおい……あんなの秋名に出てこられちゃあ、俺たちなんか話になんないよ……」

 

樹「何言ってるんっすかぁ〜健二先輩!!いつかあのGT-Rにも勝てる180に仕上げましょうよォ!!」

 

健二「あのなぁ……いくらかかると思ってるんだ……そんなチューニング」

 

樹「スピードスターズが、いつまでも負け続けるわけには、いかないっすよォ……」

 

 

 

 

 

半ば泣きそうになる樹。健二は諦めムードだったが、樹は地元のプライドを傷つけられたことが、健二以上に悔しかったのだろう……

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

 

最後のコーナーを抜け、ダウンヒルのスタート地点に戻ろうとする池谷。

 

池谷「クソっ……俺のニューS13をもってしても、GT-Rには叶わなかった……」

 

しかし、その場所には、GT-Rの乗り手にして妙義ナイトキッズのリーダー、中里毅が待ち構えていた……池谷の予想は、当たっていた……

 

 

 

 

 

車を降りる池谷。

 

中里「フッ……見事な走りだったぜ……FRにしてはな」

 

池谷「くっ……なんだとぉ!?」

 

地元のプライドにかけて喰らいつく池谷。

 

 

 

 

 

中里「俺はこのGT-Rに乗り換えてからは、こざかしい低次元なカニ走りの愚かさを、幾度も見てきたぜ……」

 

 

 

 

 

池谷は爆発寸前だった……しかし、その後中里から発された言葉は、意外なものだった……

 

 

 

 

 

中里「俺も昔は、お前と同じ、S13に乗っていた……」

 

池谷「何……!?本当か!?」

 

中里「ああ、そうさ。あるマシンに完膚無きまでに叩きのめされるまではな……」

 

 

 

 

 

語られる、中里の意外な過去。

 

 

 

 

 

中里「そのマシンは……白い32……GT-Rだ……」

 

池谷「………」

 

 

 

 

 

中里の話に聞き入る池谷。

 

 

 

 

 

中里「走り込んだ地元の妙義なのに、どれだけ攻め込んでも、どれだけコーナーで追いついても、立ち上がり加速と直線で置いて行かれる……」

 

 

 

 

 

中里はその時、テクニックでは埋めようのない、マシンの戦闘力の差を思い知ったのだ。

 

 

 

 

 

そうこうしてる間に、健二たちも到着。

 

樹「あっ、さっきの32と、池谷先輩!!でも、なんだか神妙な顔してるっすね」

 

健二「本当だな……止めに入るか……?」

 

樹「とりあえず近くに行くだけ行ってみましょうよ」

 

健二「お、おう……」

 

 

 

 

 

中里「いくらテクニックで勝っていても、マシンの戦闘力が桁違いだった……あの時から、俺は変わった」

 

 

 

 

 

中里「S13から、R32に乗り換えて、全てが変わった……RB26の圧倒的なパワー、そして4WDでもコーナーで邪魔をしない、そして更に立ち上がり加速でその強大なパワーを確実に路面へ伝える、アテーサE-TSシステム……公道に持ち込むのは反則級のマシンだ」

 

 

 

 

 

中里「GT-Rの戦闘力を前に、これまでライバルだった奴らは、ライバルではなくなった」

 

「そして同時に、今までやっていたカニ走りがいかに幼稚か、速く走るためにはカニ走りなど不要……そういうことが、このGT-Rに乗り換えて解ったんだ……」

 

 

 

 

 

中里「いつまでも楽しくカニ走りしていたかったら、ずっとそのS13に乗っているといい……だがな……そうでなければ、所詮ただのお遊びだ……」

 

 

 

 

 

中里「俺がこの秋名まで来た理由はただ一つ……秋名のハチロクとバトルがしたい……レッドサンズの高橋啓介が負けたんだってな……秋名のハチロクに」

 

池谷「ああ、そうだ」

 

 

 

 

 

キッパリと秋名のプライドをかけて返事をする池谷。

 

 

 

 

 

「FRのカニ走りのダウンヒルが、いかに低次元かということ、そして、このナイトキッズの中里毅が、群馬で最速だということを、高橋啓介を破った秋名のハチロクを倒して、証明してみせるぜ……!!」

 

 

 

 

まさかこの時中里は、池谷の隣にいる青年が、その秋名のハチロクのドライバーだとは、知る由もなかった……

 

拓海は面倒事に巻き込まれるのは嫌だったので、あえて何も言わなかった。

 

池谷も、今回の仕返しに、この横にいる青年がまさか秋名のハチロクのドライバーだったと中里にサプライズでお返しするために、何も言わなかった。

 

 

 

 

だが、拓海は密かに考えていた……本当にカニ走りがダメなのか……あと関係ないが、遅れて到着した健二の180が、どんな動きをするのか……

 

 

 

 

中里「じゃあな……付き合わせてすまなかった……もし秋名のハチロクのドライバーに会ったら伝えてくれ……FRでカニ走りをする時代は、もう終わりだってな!!」

 

 

\バン/

ドアを閉め、ダウンヒルに突入する中里。

 

 

 

 

\フォン フォン フォオオオオオオオン/\プシャア/

 

 

 

 

拓海「乗ってください健二先輩、助手席に、行きますよ」

 

健二「え、えぇ!?今かよ!?」

 

 

 

 

拓海の突然の行動に戸惑う健二。しかし、迷っている暇などなかった……!!

 

 

 

\フォン フォン フォアアアアアアアア/

 

 

 

 

健二「おいおい!!マジかよ拓海ィ!!」

 

絶叫する健二。

 

 

 

 

 

拓海「(気のせいか……?このワンエイティって車、池谷先輩の車に、よく似てる……不思議な感覚だな……)」

 

 

 

 

 





突然、自らの愛車の助手席に、拓海の運転で乗ることになった健二。前には全開でダウンヒルを駆け抜ける中里。この後健二の180は、予想外の展開を見せることになる……!!
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