もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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拓海のハチロクと中里のR32GT-Rとのダウンヒルバトルは、見事拓海のハチロクの勝利で幕を閉じた。横に乗っていた池谷は、大きな感動と貴重な経験、気付きを得た。一方黒星を数えてしまった妙義ナイトキッズ。そのトップの座を奪おうと、狂気の刺客が突然秋名山に出没した……!!


Act.27 狂気の刺客

 

 

 

 

 

\フォオオオオオオオン/\プシュー/\フォオオオオオオオン/

 

 

 

 

 

拓海のダウンヒルバトル同乗という貴重な経験を元に、秋名の峠を攻めては分析、攻めては分析、を繰り返す池谷。

 

 

 

 

 

最近の池谷の生活はこうだ。

 

 

 

 

 

毎日朝3時に起床する。

 

そして仕事の用意を済ませた後、家を出る。

 

秋名のハチロクが豆腐の配達に出る10分前、大体3時50分には藤原とうふ店前に到着する。

 

拓海がハチロクを駐車場から出すと、池谷のS13をそこに停めさせてもらい、拓海と共に豆腐の配達に出発する。

 

雨の日も、風の日も、休むことなく走る。

 

初めは朝早く辛かったが、これも自らの腕を磨くため、次第に日常となっていった。

 

拓海のダウンヒルは、もう全く怖くなくなっていた。

 

そして、開店前のGSで走り込みの考察をし、それが済んだら仕事に向けて店長が来るまで仮眠を取る。

 

 

 

 

 

これが、今の池谷の日常だ。宣言通り毎日繰り返している。

 

さすがの文太もこれには関心のようだ。

 

 

 

 

 

そしてその日は、突然訪れた……!!

 

 

 

 

 

ダウンヒルを攻める池谷。

 

以前とは比べ物にならないほどのペースだ。

 

ところが……!?

 

 

 

 

 

\ンパァアアアアアアアン ンパァアアアアアアアン/

 

ダウンヒルで突然、とんでもなく速いマシンが後ろから追い上げてきた……!!

 

 

 

 

 

池谷「速いのが一台来やがったか……毎日拓海の横に乗ってじっくり見物して技を盗んでるんだ……俺のダウンヒル、どこまで速くなったか、いっちょ腕試しだぜ!!」

 

 

 

 

 

ところがそのマシンは、ダウンヒル専用マシンのようで、とんでもなく軽快な動きを見せている。バックミラーからでもそれがわかるほど、その走りはキレていた。

 

 

 

 

 

???「クックックックックックッ………!!」

 

 

 

 

 

池谷「お世辞にも俺のマシンはダウンヒル専用ってわけじゃないからな……道を譲るか……それとも……いや、そんなわけにはいかない、地元のプライドが許さねぇぜ!!」

 

 

 

 

 

???「目の前をチョロチョロチョロチョロと……いつまでもFRでカニ走りしやがって……情けねぇぜ……クックックッ」

 

 

 

 

 

スケートリンク前全開区間を抜けたあとのS字区間。

 

池谷は一瞬で張り付かれた。

 

 

 

 

 

???「FRなんてチョロいモンだぜ……こうやってやれば……!!」

 

 

 

 

 

\バァン/

 

\キューーヒュルルルルル/

 

 

 

 

 

池谷「野郎……ワザとぶつけやがったか……!?」

 

 

???「こうやって荷重の抜けたケツをちょっとコツいただけで……チョロいモンだぜ……」

 

 

 

 

 

 

池谷「クソっ……こんな奴に……負けてたまるかぁッ!!」

 

\フォアアアアアアア/\プシュー/\フォアアアアアアア/

 

全開走行に突入する。

 

伊達に毎日拓海の走りを見ていない。とんでもなく池谷は速くなっている。次のヘアピンを抜ければ全開区間、後ろのダウンヒル専用マシンとも少しは差が開く。

 

 

 

 

 

池谷「いっけぇえええ!!!!」

 

これまでにないほど全力で突っ込む池谷。

 

 

 

 

しかし、池谷は早く突っ込みすぎた……

 

\グシュッ/

 

 

 

 

イン側のタイヤから、妙な音がした。

 

そして、急にフロントタイヤに余裕ができた。

 

 

 

 

 

池谷「なんだ……この感覚は……!?更にステアリングを切り込んでいける……!!もっとトラクションも掛けられそうだ……!!」

 

 

思い切ってアクセルを全開にする池谷。

 

マシンはレールに沿うように曲がっていく……

 

そしてこれまで経験したことのないスピードで、ヘアピンを立ち上がっていった……!!

 

 

 

 

 

池谷は、図らずも秋名の宝刀「溝落とし」を、偶然やってのけたのだった……!!

 

 

 

 

 

 

池谷「何だったんだ………今のは……!?まるで峠の神様が、俺のS13を後押ししてくれたかのような動きだった……!!」

 

 

 

 

 

???「何だ!?今の動きは!?FRの動きじゃねえ……いや、確かにS13はFRのはずだ」

 

 

 

 

 

そして長い直線区間に入る。さすがの池谷のニューCA18。後ろの謎のマシンを突き放しにかかる。

 

 

 

 

 

???「クックックッ……所詮は直線でマシンに乗せられてるだけさ……この後のテクニカル区間で仕留めてやる……ダウンヒルの本当の怖さってモンを見せつけてやるぜ………」

 

 

 

 

 

全開区間の先には、S字コーナーのあと、ヘアピンが待ち構えている。

 

 

 

 

 

池谷「よし、行け!S13!!」

 

前とは見違えるように、しなやかに右に左にテールスライドさせながら速度を落とし、その反動でクイックにヘアピンを曲がった。ところが!!

 

 

 

 

\ンパァアアアアアアアアン ンパァアアアアアアアアアン/

 

その謎のダウンヒルマシンは、池谷の後ろにピッタリと張り付いていた……!!

 

 

 

 

そして遂に5連ヘアピン手前のS字区間……ここで遂に本格的に仕掛けてくる……!!

 

 

 

 

 

???「終わりだ」

 

 

 

 

\ガッシャン/

 

 

 

 

池谷「!!?」

 

 

 

 

\ドヒャアアアアアアアア/

 

 

 

 

大きく横にスライドする池谷のS13……

 

 

 

 

 

ところが………!!

 

 

 

 

 

池谷「………!!」

 

 

 

 

 

フルカウンターステアを当てる池谷。

 

 

 

 

 

\フォン フォンフォンフォン/

 

 

 

 

信じられないようなアクセルワーク。

 

 

 

 

池谷「……!!」

 

 

 

 

なんと、池谷はスピンモードから立ち上がった……!!

 

 

 

 

池谷「あいつ……絶対許さねぇ……!!!!!」

 

 

 

 

スピンモードで失速してる間に、謎のダウンヒルマシンに抜かれてしまった。だが池谷は全力で追いかける……!!

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

あまりの強烈な突っ込みに、付いて行けなかった……

 

 

 

 

 

後ろ姿は、赤のEG6型シビックSiR。秋名では見たことのないマシンだった。FFの安定性を武器に、とんでもない突っ込みをする走りで、その鋭さは拓海以上かもしれない。FRには到底不可能な動きだ。

 

 

 

 

 

池谷「くっ…………クッソオオオオオオオオ!!!!!」

 

 

 

 

S13の中で悔しさのあまり雄叫びを上げる池谷だった。

 

 

 

 




FR殺しのダウンヒル専用FFマシン、EG6型シビック。この一件が、まさか秋名のハチロクへの挑戦状だったとは、池谷は知る由もなかった……!
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