もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
\フォオオオオオオオン/\プシュー/\フォオオオオオオオン/
拓海のダウンヒルバトル同乗という貴重な経験を元に、秋名の峠を攻めては分析、攻めては分析、を繰り返す池谷。
最近の池谷の生活はこうだ。
毎日朝3時に起床する。
そして仕事の用意を済ませた後、家を出る。
秋名のハチロクが豆腐の配達に出る10分前、大体3時50分には藤原とうふ店前に到着する。
拓海がハチロクを駐車場から出すと、池谷のS13をそこに停めさせてもらい、拓海と共に豆腐の配達に出発する。
雨の日も、風の日も、休むことなく走る。
初めは朝早く辛かったが、これも自らの腕を磨くため、次第に日常となっていった。
拓海のダウンヒルは、もう全く怖くなくなっていた。
そして、開店前のGSで走り込みの考察をし、それが済んだら仕事に向けて店長が来るまで仮眠を取る。
これが、今の池谷の日常だ。宣言通り毎日繰り返している。
さすがの文太もこれには関心のようだ。
そしてその日は、突然訪れた……!!
ダウンヒルを攻める池谷。
以前とは比べ物にならないほどのペースだ。
ところが……!?
\ンパァアアアアアアアン ンパァアアアアアアアン/
ダウンヒルで突然、とんでもなく速いマシンが後ろから追い上げてきた……!!
池谷「速いのが一台来やがったか……毎日拓海の横に乗ってじっくり見物して技を盗んでるんだ……俺のダウンヒル、どこまで速くなったか、いっちょ腕試しだぜ!!」
ところがそのマシンは、ダウンヒル専用マシンのようで、とんでもなく軽快な動きを見せている。バックミラーからでもそれがわかるほど、その走りはキレていた。
???「クックックックックックッ………!!」
池谷「お世辞にも俺のマシンはダウンヒル専用ってわけじゃないからな……道を譲るか……それとも……いや、そんなわけにはいかない、地元のプライドが許さねぇぜ!!」
???「目の前をチョロチョロチョロチョロと……いつまでもFRでカニ走りしやがって……情けねぇぜ……クックックッ」
スケートリンク前全開区間を抜けたあとのS字区間。
池谷は一瞬で張り付かれた。
???「FRなんてチョロいモンだぜ……こうやってやれば……!!」
\バァン/
\キューーヒュルルルルル/
池谷「野郎……ワザとぶつけやがったか……!?」
???「こうやって荷重の抜けたケツをちょっとコツいただけで……チョロいモンだぜ……」
池谷「クソっ……こんな奴に……負けてたまるかぁッ!!」
\フォアアアアアアア/\プシュー/\フォアアアアアアア/
全開走行に突入する。
伊達に毎日拓海の走りを見ていない。とんでもなく池谷は速くなっている。次のヘアピンを抜ければ全開区間、後ろのダウンヒル専用マシンとも少しは差が開く。
池谷「いっけぇえええ!!!!」
これまでにないほど全力で突っ込む池谷。
しかし、池谷は早く突っ込みすぎた……
\グシュッ/
イン側のタイヤから、妙な音がした。
そして、急にフロントタイヤに余裕ができた。
池谷「なんだ……この感覚は……!?更にステアリングを切り込んでいける……!!もっとトラクションも掛けられそうだ……!!」
思い切ってアクセルを全開にする池谷。
マシンはレールに沿うように曲がっていく……
そしてこれまで経験したことのないスピードで、ヘアピンを立ち上がっていった……!!
池谷は、図らずも秋名の宝刀「溝落とし」を、偶然やってのけたのだった……!!
池谷「何だったんだ………今のは……!?まるで峠の神様が、俺のS13を後押ししてくれたかのような動きだった……!!」
???「何だ!?今の動きは!?FRの動きじゃねえ……いや、確かにS13はFRのはずだ」
そして長い直線区間に入る。さすがの池谷のニューCA18。後ろの謎のマシンを突き放しにかかる。
???「クックックッ……所詮は直線でマシンに乗せられてるだけさ……この後のテクニカル区間で仕留めてやる……ダウンヒルの本当の怖さってモンを見せつけてやるぜ………」
全開区間の先には、S字コーナーのあと、ヘアピンが待ち構えている。
池谷「よし、行け!S13!!」
前とは見違えるように、しなやかに右に左にテールスライドさせながら速度を落とし、その反動でクイックにヘアピンを曲がった。ところが!!
\ンパァアアアアアアアアン ンパァアアアアアアアアアン/
その謎のダウンヒルマシンは、池谷の後ろにピッタリと張り付いていた……!!
そして遂に5連ヘアピン手前のS字区間……ここで遂に本格的に仕掛けてくる……!!
???「終わりだ」
\ガッシャン/
池谷「!!?」
\ドヒャアアアアアアアア/
大きく横にスライドする池谷のS13……
ところが………!!
池谷「………!!」
フルカウンターステアを当てる池谷。
\フォン フォンフォンフォン/
信じられないようなアクセルワーク。
池谷「……!!」
なんと、池谷はスピンモードから立ち上がった……!!
池谷「あいつ……絶対許さねぇ……!!!!!」
スピンモードで失速してる間に、謎のダウンヒルマシンに抜かれてしまった。だが池谷は全力で追いかける……!!
しかし……
あまりの強烈な突っ込みに、付いて行けなかった……
後ろ姿は、赤のEG6型シビックSiR。秋名では見たことのないマシンだった。FFの安定性を武器に、とんでもない突っ込みをする走りで、その鋭さは拓海以上かもしれない。FRには到底不可能な動きだ。
池谷「くっ…………クッソオオオオオオオオ!!!!!」
S13の中で悔しさのあまり雄叫びを上げる池谷だった。
FR殺しのダウンヒル専用FFマシン、EG6型シビック。この一件が、まさか秋名のハチロクへの挑戦状だったとは、池谷は知る由もなかった……!