もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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ガムテープデスマッチという危険なバトルを申し込まれた拓海。ところが拓海は逃げる気はないという。そこにまた、狂気のダウンヒラー、庄司慎吾が現れる。果たして、拓海の返事は……そしてその後の結末は……!?


Act.30 狂気のダウンヒル、開始……!!

 

 

 

 

〜数日後〜

 

 

 

 

池谷「いらっしゃいませ〜!!(……!?また来やがった……)」

 

 

再度、庄司慎吾が池谷たちのGSに現れた。

 

 

慎吾「ガムテープデスマッチの返事を聞きに来た……ちゃんとハチロクに伝えたか……?」

 

池谷「ああ」

 

 

 

 

 

そして、その週末の夜10時から、ガムテープデスマッチが開始されることとなった。

 

 

 

 

 

〜週末、秋名山 午後10時〜

 

 

慎吾「よォ、よく来たなァ、歓迎するぜ、ヘヘッ、貴様が秋名のハチロクかァ?(思ったよりガキだな……本当にコイツなのか?)」

 

拓海「みんなからはそう呼ばれてますけど……」

 

慎吾「聞いてるかもしれねェが、今回はお互いあるルールで戦ってもらう……なに、簡単さ……右手をガムテーブでステアリングに固定して、いつもどおり走るだけさ……」

 

拓海「わかりました」

 

 

 

 

特になんの逆らいもせず、素直に従う拓海。ナイトキッズのメンバーが、お互いの右手をステアリングで縛る。

 

 

 

そして、バトルは開始される……

 

この後拓海は、最大の窮地に立たされる……!!

 

 

 

 

カウントはナイトキッズのメンバーが取ることになった。そして……!!

 

 

 

 

メンバー「5、4、3、2、1、GO!!」

 

 

 

 

いよいよ危険なバトルが幕を開けた……!!

 

エンジン出力は、ハチロクもEG6も同じ程度だ。だが、慎吾がわざと後ろに付く。

 

 

 

 

慎吾「おうおう、元気いいなぁ、だが、何か忘れちゃあいないかァ??」

 

 

いつも通りに1コーナーに進入しようとする拓海。しかし……!!

 

 

 

拓海「……!?」

 

 

気付くのが遅すぎた……いつも通り操作できないことに……

 

 

 

 

 

\コォオオオオオオオ/

 

 

 

 

 

鈍いスキール音を立てるハチロク。戸惑う拓海。

 

すぐに荷重をフロントに移しオーバーステアの体制に持っていく。

 

 

 

\ギャアアアアアアア/

 

なんとかいつもの姿勢に入れた。だが、そこからが問題だった……!!

 

 

 

拓海「!!」

 

カウンターステアがまともに当てられない!!

 

スピンモードに入るハチロク。

 

\ファン ファン ファファン/

 

アクセルワークでリアに断続的な荷重を掛け、オーバーステアを回避しようとする拓海。そして……!!

 

 

\ファアアアアアアン/

 

 

拓海「(フゥ……危なかった……何とかなったぜ……池谷先輩の言ってた通りだ……後ろの車は何ともないってことなのか……?)」

 

 

\キューキュキュキュキュ/

 

慎吾「ガキのくせによくやるじゃねぇか……てっきりそのまますっ飛んでいくと思ったぜ……だが本当に怖いのはここからだぜ……?」

 

FFなので、極めて安定した姿勢でコーナーをクリアするEG6。

 

拓海の予想通りだ。

 

 

 

 

 

一方……

 

池谷「なんか嫌な予感がする……健二、俺達も後ろから付いていくぞ!」

 

健二「あ、あぁ」

 

池谷と健二は、もしものことを考慮し、S13で後を追う。

 

 

 

 

拓海はこの後もペースを落として走らざるを得なかった。だがそこで、あることに気がつく。

 

拓海「(あれ……ペースがいつもと変わらない気がする……舵角はそんなに大きく切らないほうが速いのか……?)」

 

 

 

 

片手にホールドされた右手だけでの操作に、次第に慣れていく。

 

慎吾「思ったよりやるじゃねえか……だが、これで終わりだ……」

 

 

 

\ガッシャン/

 

 

 

 

ハチロクのリアバンパーに、思いきりぶつける慎吾。

 

スピンモードに入る拓海。

 

その隙にEG6は前に出る。

 

「全くチョロいもんだぜ……FR小僧は……じゃあな……」

 

 

 

 

\ギャアアアアアアア/

 

 

拓海「くっ!!」

 

 

\ヒューーーーキコキコキコ/

 

 

 

 

 

なんと、スピンさせられたと思ったら、そのまま一回転して元の姿勢に戻ったのだ……!!

 

 

 

 

ペースの落ちていた2台。なんと、池谷はその2台に追いついていた!拓海がぶつけられ、一回転して元に戻るシーンを、後ろから見ていたのだ。

 

 

 

 

拓海「アイツ……許さねぇ……!!」

 

拓海の走りがキレ始める。

 

 

 

 

コーナーを路肩に乗せてまでして高速で立ち上がる。

 

ボディサイドをガードレールにぶつけ、更にその反動を利用してドリフト姿勢に入る。

 

 

5連ヘアピン近くで、慎吾に追いついた。

 

 

 

ここに来たら、もうこの技しかない……!!

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

\ギュイッ/

 

変な音とともに、通常ではありえない曲がり方をする拓海。

 

 

 

 

後ろから見ていた池谷は、この前自分が経験したことを思い出す……

 

「(このヘンな曲がり方……まさか……!!そういうことだったのか!!)」

 

 

 

 

池谷はなんと、自分で気づいたのだ……秋名のバンクの付いた側溝にイン側のタイヤを落として曲がるテクニックに……!!

 

 

 

 

そして、拓海は溝落としであっという間に慎吾をパスした。

 

流石の上手くなった池谷でも、一発でこれを決める技術は流石にない。

 

5連ヘアピンで、離れて見えなくなってしまった。

 

 

 

 

そして、最終ストレート……

 

慎吾「自分で仕掛けたこのバトル……このルールで俺が負けちゃとあったら、俺はチーム中の笑いモンだ……このバトルの結末は………ダブルクラッシュと行こうぜェ!!」

 

 

 

 

慎吾「ヒッヒッヒッ」

 

ステアリングに手をかけ、撃墜体制に入る慎吾。ところが……!?

 

 

 

 

\キューキコキコキコ/

 

遅かった。丁度直線後の低中速コーナーの手前だった。

 

慎吾の撃墜は、拓海の次のコーナーへのアプローチの際のテールスライドにより避けられたのだ。

 

コーナーと反対方向に曲がっていく慎吾のEG6。

 

 

 

 

\バァアアアアアン!!/

 

\ガッシャン ガッシャン/

 

 

 

 

池谷たちには、あちらこちらに飛び散るヘッドライトの光が見えた。

 

 

池谷・健二「た、拓海ィ!!」

 

 

しかし……

 

 

そこにいたのは、ナイトキッズの庄司慎吾だった……

 

 

半ば泣きそうな顔をする慎吾。

 

慎吾「ごめんよ……EG6」

 

 

 

現場に到着した池谷

 

池谷「うわっ……やっちまったのか……!?」

 

慎吾「俺なんか、構わなくてもいいぜ……」

 

池谷「キックバックで、腕をやっちまったみたいだな……病院まで送ってやるよ」

 

慎吾「……そこまでしてもらう恩義はねぇ……」

 

池谷「乗れよ、俺のS13に。救急車より、ずっと速いぜ?」

 

慎吾「すまねぇ……恩に着るぜ……」

 

 

 

 

 




庄司慎吾は、これを気に心を改め、狂気は影を潜めることになる。池谷は、どんな悪かった奴に対しても、弱っている者や、改心した者には、このように優しく振る舞う。池谷の人間性の良さは、こういうところにあるのだ。その人間性が、後々のスピードスターズの大躍進にも繋がっていく……
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