もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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高橋涼介の挑戦状通り、秋名山に赴いた拓海。池谷のS13に、健二と樹も同乗し、応援に駆けつける。そしていよいよ、高橋涼介と拓海との、伝説のバトルがスタートする。ところが池谷は、とんでもない行動に打って出る……!!


Act.34 走り込みの成果

 

 

 

 

 

史浩「カウントは俺が」

 

啓介「いや、これはアニキにとって大事なバトルだ……カウントは、俺にやらせてくれ!」

 

史浩「あぁ、構わないぜ」

 

 

 

 

 

啓介「それじゃあカウント始めっぞ!!」

 

 

 

 

涼介「……っ!!」

 

拓海「………」

 

 

 

 

啓介「5、4、3、2、1、GO!!」

 

 

 

 

\キューーキュキュキュキュキュキュ/

 

\ファアアアアアアアア/

\パァアアアアアアアア/

 

ハチロクとFC、2台はいよいよスタートした……伝説のバトルが始まった……!!

 

ところが……!!

 

 

 

 

 

\キューキュキュキュキュキュ/

 

\フォアアアアアアアアア/

 

 

 

 

 

もう一台、飛び出していったマシンがいた……!!

 

 

 

 

 

 

健二「おい!あいつ何やってんだ!!どうする気だ!?」

 

 

 

 

 

 

ライトグリーンに、グレーのツートンカラー。

 

鳴り響く、ラリースペシャルのCA18DET-Rエンジンのエキゾーストノート……

 

 

 

 

 

まさしくそれは、池谷のS13だった……!!

 

 

池谷「あの高橋兄弟だって、拓海のバトルを後ろから見物してたんだ……俺にもその権利くらいあるだろ!!腕試しだぜ!!」

 

 

 

 

 

涼介「やはりな……あの男は、そういう男だと踏んでいた」

 

スタート後、わざとハチロクの後ろに付いた涼介。涼介は、まず相手の走りを観察するために、わざと後追いを選ぶ。それが、高橋涼介の勝ちパターンだ。

 

だが、その後ろから、CA18エンジンの音が聞こえる……瞬時に池谷が後ろから追ってきていることを察知したのだった。

 

 

 

 

 

そしていよいよ1コーナー……拓海は全力で突っ込む……!!

 

\ギャアアアアアア/

 

 

 

 

それに何とか追随しようとする高橋涼介。だが……

 

涼介「物凄い突っ込みだぜ……付いて行くのがやっとだ」

 

 

 

 

しかし、池谷のS13が、ここで意外な展開を見せた……!!

 

涼介「何……!?張り付いてやがる……!!」

 

 

 

 

そう、池谷は、1コーナーの突っ込みで、高橋涼介を凌駕していたのだ。つまり、拓海並みのコーナリングを見せていた。

 

拓海との毎日の同乗走行で慣らされた感覚は、とてつもなく研ぎ澄まされていたのだった……!!

 

 

 

 

池谷「…………っ!!」

 

全力で下る池谷。群馬最速のドライバーを相手に、自分の走り込みの成果がどこまで通用するのか、試したかったのだ。

 

 

 

 

その後高速コーナー群を経て、最初のヘアピンに突入する……

 

相変わらずキレのある突っ込みで曲がっていくハチロク。

 

その後ろを、涼介が追う。

 

そして、池谷。

 

 

 

 

だが、ここで遂に涼介との差が開いてしまった。

 

拓海の走りに、涼介は付いて行ってるのだ。現段階での速さは、拓海と同じと言っていい。

 

流石の池谷も、拓海と同じペースには、まだ付いて行けなかった。

 

 

 

 

池谷「ダメか……低速コーナーになると、差が広がる」

 

 

 

 

 

その後も下っていく3台。

 

涼介は内心安堵していた……拓海の走りをじっくり観察するためにわざと後追いを選んだのだ。そこに後ろまでマーキングしなければならないとなると、拓海の観察がまともにできなくなるからだ。

 

 

 

 

しかし、その瞬間は訪れた……

 

拓海は、今まで感じたことないプレッシャーに、高速区間手前のヘアピンでアンダーステアを出してしまった。

 

すかさずインに入り込み、遂に涼介は秋名のハチロク、拓海をパスした……!!

 

 

 

 

湧き上がる周辺のギャラリー。ところが……!?

 

 

ギャラリーA「おい!?もう一台、付いてきてるぞ!?」

 

ギャラリーB「おい……あのS13って……まさかあのスピードスターズの……!?」

 

 

 

 

そう、秋名の走り屋なら知っている。

ツートンのS13、秋名スピードスターズ、池谷浩一郎の存在を……!!

 

 

 

かなり離れてはいるが、ハチロクとFCの2台が見える距離にはいる。

 

 

 

レッドサンズメンバー「何だこの区間タイム!?啓介の時より、10秒も速いぜ!?」

 

「そしてその少し後ろに、スピードスターズのS13が更に追ってる!!一体どうなってんだ……!?」

 

 

 

 

FCとハチロクと、S13との距離は、10秒も離れていない。

 

つまりそれは、現段階での池谷のダウンヒルが、この前の高橋啓介の走りを上回っているということを意味していた……!!

 

 

 

 

 

長いストレート。拓海は涼介のFCに直線で離されていく……

 

同時に、池谷のS13が、ハチロクに近づいていく……

 

 

 

 

池谷「ダメだ……このまま近づきすぎると、拓海のバトルの邪魔をしちまう……離れなきゃ……」

 

 

 

\プシュー/\フォンンンンンンン/

 

 

 

池谷はバトルの邪魔をしないために、アクセルを緩めた。

 

 

 

 

 

 

FCが先行のまま、高速区間の最後に待ち受けるS字とヘアピンをクリアする2台。

 

 

距離を置いて、池谷もそのセクションをクリアする。

 

 

 

 

 

しかし……

 

池谷「やっぱりだ……高速区間からのブレーキングと低速コーナーで、一気に差が開く……」

 

 

 

 

その先は中速S字コーナーが連続する。2台の姿は、コーナーに隠れて見えなくなった。

 

だが、S字区間の後、5連ヘアピン手前の僅かなストレート……そこで、ヘアピンに突っ込んでいくFCとハチロクの姿を捉えた!!

 

 

 

 

池谷「あの2台……尋常じゃない速さだ……とてもじゃないけどまだ今の俺じゃ付いて行けない……」

 

 

 

 

 

拓海は、5連ヘアピン全てで溝落としを駆使し、一気に高橋涼介との差を詰める。

 

 

そして低速区間が苦手だとわかった池谷とS13。

 

池谷が5連ヘアピンを立ち上がった先に、2台はもういなかった……

 

 

 

 

池谷「ダメだ……これ以上はもう追えない……拓海、たとえ負けてもいい……でも、勝ってくれたら最高だ……最後まで頑張るんだぞ……!!」

 

 

 

 

その頃、高橋涼介のFCには、中里のときと同じ、ハチロクには発生しない現象が起きていた。

 

涼介「フロントタイヤの食い付きが、少しずつ怪しくなってきた……タイヤの熱ダレか……!?」

 

 

 

 

フロントの軽いFCには、ブレーキの影響は出ていない。だが、ハイパワーでスピードの乗るマシンでは、ダウンヒルによるタイヤの影響は、ごまかすことはできない……!

 

 

 

 

ヘアピン、中速コーナーを経て、また高速セクション手前のヘアピンに差し掛かる2台。

 

そこで拓海のハチロクが、FCにピッタリと張り付いた!!

 

 

 

拓海「行けるかもしれない……!!」

 

 

 

また直線で離れるFCだが、その先に迫る低中速コーナーへのブレーキングで帳消しだ。再びハチロクが突っ込みでFCに張り付く!

 

 

 

涼介「フロントタイヤの食い付きが、急に悪くなったぜ!」

 

最終盤の低中速コーナー群。そして、唯一3車線に広がるコーナーで、FCとハチロクのラインがクロスする……!!

 

 

 

拓海「いっけぇええええ!!!」

 

涼介「…………!?」

 

 

 

タイヤの熱ダレでアウトに膨らむFC。立ち上がりでインを取ったハチロクが、すかさずFCをパス!!

 

 

 

そして、そのまま抜き返すチャンスもなく、伊香保の温泉街手前の麓へゴールイン。

 

 

 

 

 

レッドサンズメンバー「何だよこれ……!!?」

 

見たこともないタイムに驚愕する、レッドサンズのメンバー達。

 

 

 

 

涼介ですら、コースレコードを更新するほどの走りをしていた。だが、拓海はそれを更に上回って見せたのだった……!!

 

 

 

 

そして……更に凄いことに……

 

 

レッドサンズメンバー「もう一台、すぐ後ろで下りてきた!!S13、ツートンのS13だ!!」

 

 

 

 

 

なんと、池谷もまた、レッドサンズのコースレコードを更新するほどのペースで走っていたのだった……!!

 

何と、池谷のS13には、フロントタイヤの熱ダレは発生していなかった。

 

 

 

〜数週間前〜

 

店長『タイヤの熱ダレってのはな、空気圧のセッティングが関係しているんだ……発熱した状態に合わせて空気圧をセッティングしておかないから、タイヤがタレちまうんだ……』

 

 

 

その店長のアドバイス通り、池谷は日々空気圧のセッティングを試しながら走り込んでいたのだった。

 

そのため、タイヤの熱ダレが起きず、途中は離れた2台にそれ以上離されず、食い付いていけたのだ。

 

 




まさかの拓海の勝利で幕を閉じた、伝説の秋名のダウンヒルバトル。そこに乱入し付いて行ってみせた池谷。その名前が、そしてスピードスターズの名が、この伝説のバトルにより、瞬く間に知れ渡ることになる……!!
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