もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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真子との出来事を健二に話した池谷。健二は池谷の事情を知り、自分のことのように激を入れ、そして励ました。だが、秘密を隠し持っているのは、池谷だけではなかった……


Act.38 健二の秘密

 

 

 

 

 

樹「池谷先輩、そういや最近、健二先輩すっかり見なくなりましたね」

 

池谷「そうなんだよ……ヒマしてていつも冷やかしに来てたのに、一体どうしたんだろうな」

 

 

 

 

 

最近、健二はGSに顔を出していない。そのため、樹が自分の車を手に入れたことも、話でしか聞いていない。

 

ヒマだったら、一目見ようと来てもいいはずなのだが、それでも来ない。

 

 

 

 

 

そして、碓氷峠での健二の冴えるような走り……だが池谷はショックを受けた後だったため、その一部始終を目撃していない。

 

 

池谷「最近家業の方が忙しくなったとか……いやそりゃないか……」

 

 

特に不思議がる様子はなかった池谷。一体何かあったのだろうか……?

 

 

 

 

 

一方……

 

群馬県の南東部、太田市に、金山というショートコースの峠がある。バトルができるような長さはないが、頂上が行き止まりの駐車場になっており、上りから折り返して下れるようになっている。

 

上下往復しても、秋名はおろか赤城や妙義にも届かないほどの全長しかないコースだ。

 

そのため、これといって地元のチームとかそういったものは存在せず、ただの練習コースとして走られている。

 

 

 

 

 

最近そこで、白い180の目撃情報があるのだ。だが、健二の乗っていたドノマールのものとは違い、フルエアロに大型のリアスポイラー、そしてワイドボディキットまで装備されていた。

 

 

初めは大して速くなかったのだが、あまりに毎日のように出没し、日に日に腕を上げていったため、最近太田市に越してきたばかりのドライバーではないかと噂されていた。

 

 

かといって、最速クラスというわけではなかったので、群馬中で噂になるといったこともなかった。

 

 

一体、この謎の180は何なのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

〜とある日〜

 

 

樹「いらっしゃいませ〜!!(うわ〜、カッコいい180……健二先輩がいたら見せてやりたいよォ!!)」

 

 

 

 

なんと、その謎の金山の180が、池谷たちのGSに出没した。

 

その180は店の軒先に車を止め、ドライバーが降りてきた。

 

そのドライバーは、なんと衝撃の人物だった……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

???「よォ、こっちも久しぶりだなァ、元気でやってるか?」

 

池谷「おっ……お前……!?」

 

 

 

 

 

 

 

池谷「健二〜〜!!?」

樹「健二先輩〜〜!!?」

 

 

 

 

 

 

あまりの衝撃の登場に、驚きを隠せなかった池谷達。

 

 

 

 

 

 

健二「すまねぇ、俺も隠し事してたんだ……拓海が大活躍して、池谷がメキメキ上達してるのを見てたら、居ても立ってもいられなくなってさぁ……そしたらひょんなことからいい話を聞いたんだよ」

 

 

 

 

それは、太田市にある自動車工場の期間従業員として働くという話だった。

 

3交代の交代勤務、給料はかなりいい。そして寮も完備されている。

 

そして何より、すぐ近くに、その金山という峠があるのだ……!!

 

 

 

 

健二は、180を大化けさせるため、そこに勤め始め、仕事が終わったら金山へ練習に……ということを、毎日繰り返していた。

 

幸い土日休みの勤務だったため、スピードスターズの活動には参加できていたのだ。健二はサプライズのため、このことをメンバー全員に秘密にしていたのだ。

 

 

 

 

 

まずはノーマル状態の180で走り込みを行い、コースと腕をある程度習熟した。

 

その後、ワイドボディなどの加工のため、ショップに180を預けていた。

 

この前池谷とファミレスで会ったときの『メンテナンス中』とは、そのことだったのだ……!!

 

 

 

 

 

更に、健二が碓氷峠で冴える走りをしたのにも理由がある。

 

金山は、碓氷峠に近い、狭くてツイスティで路面の荒れたコースレイアウトの特徴を持っており、なおかつ高低差も激しい。つまり、碓氷峠と秋名を足してニで割ったようなコースなのだ。

 

振り返しの多いコース特性に慣れていたため、健二はすぐに碓氷峠のレイアウトに慣れたのだった。

 

 

 

 

 

その後エアロチューンを済ませた180で走り込みを行い、それが巷で少し話題になっていたというわけだ。その正体が、まさかの健二だったというわけだ……!!

 

 

 

 

池谷「それにしてもお前、良くこんなチューンに踏み切ったな」

 

健二「池谷には負けてられねぇからなァ!それに、スピードスターズは名実ともに秋名山最速になるんだろ?誰がヒルクライムをやるんだよ!?」

 

池谷「確かに……それはそうだな……」

 

健二「俺の180、今はまだカッコだけだけど、そのうち足回りやボディ、エンジン関係も仕上げて、350馬力ぐらいまで持っていくつもりだ!この180に積んでるSR20なら、どうってことないぜ!!」

 

 

 

 

 

日産のSR20は、2リッターターボエンジンだ。それは、ランエボやインプレッサ、セリカなどと同じクラスのエンジンになる。つまり、WRCを戦うエンジンのポテンシャル程度は持ち合わせているということだ。峠のヒルクライムでは、このクラスの車は300〜400馬力程度が好ましい。

 

 

 

 

 

健二「やってやるぜ!今度はヒルクライムで打倒・赤城レッドサンズだぜ!!」

 

 

 




謎の180の正体は、まさかの健二だった。とんでもなく様変わりして帰ってきた。GSに顔を出さないのは、太田市の自動車工場の業務に勤しんでいたからだった。秋名スピードスターズにも、ついにヒルクライマー候補が誕生した瞬間だった……!!
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