もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
健二「ところで池谷、あの前言ってた真子ちゃんって子とは会ったのか?」
池谷「いや……まだなんだ」
健二「お前も男なら、当たって砕ける覚悟で行ってこいよ!番号知ってるんだろ?」
池谷「あぁ……」
健二「なら尚更だぜ!来週末、会ってこいよ!スピードスターズの活動は、俺が見てやるから!」
池谷「ははっ……健二がそこまで言うなら……もう覚悟決めて会ってくるよ……」
健二「頑張れよ!池谷!」
相変わらず自分の事のように池谷のことを気に掛ける健二。
そして池谷はその晩、意を決して連絡した。
池谷「ピッピッピッ………プルルルルルルルッ プルルルルルルルッ (押してしまった……もう引き返せない……!!)」
???「はい、もしもし」
池谷「もしもし、私、池谷というものですけど(やべぇ……心臓が張り裂けそうだ……)」
???「池谷さん……!?」
池谷「もしかして、真子ちゃん……!?」
???「はい、そうです……ずっと待ってました」
電話に出た主の正体は、まさかの真子本人だった。
そして、「待っていた」という意外な発言。
そして池谷は偶然、日曜は休みだった。
早速、池谷は軽井沢まで赴いて、真子と会うことになった。
〜当日、軽井沢のカフェにて〜
真子「あれからずっと池谷さんのこと考えてたんです……走り屋みたいなことして、はしたないって思われてないかなって」
池谷「そんなことないよ!!真子ちゃんはすごいよ!まさか碓氷峠最速のインパクトブルーだっただなんて……こっちこそ、真子ちゃんなんか手の届かない存在なんじゃないかって……」
真子「そんな……手の届かないだなんて……私なんかが、そんな風に思われてたなんて……誤解させちゃってすみません」
池谷「いや、いいんだよ……俺なんか、走り屋の端くれみたいなもんだし……」
真子「実は、池谷さんの噂、聞いてるんです」
池谷「噂……?一体何だそれ……?」
不思議がる池谷。
真子「この前、高橋涼介さんが、秋名のハチロクとバトルしたときの話です、ツートンのS13が後を追っていって、ゴール地点でそこまで大差なくゴールしたっていう話です」
池谷「そんな……でも中盤なんか、速すぎて手も足も出なかったよ……後半は向こうがタイヤがタレたみたいでペースが落ちたんだ……運が良かっただけだよ」
真子「私、池谷さんのそういう虚勢を張らないところ、素敵だと思います」
池谷「そっ、そうかなぁ??///(あれ……?何かまたドキドキしてきたような……)」
真子「やっぱり、そのツートンのS13、池谷さんだったんですね……秋名スピードスターズのステッカーが貼ってあって、車がS13だから、そうなんじゃないかって、群馬中で噂になってるんです」
池谷「そうなのか……!?」
真子「だから、池谷さん、すごいなと思って……」
池谷「いや、俺なんてまだ、練習中の身だから……」
真子「練習中でそれなら、凄いですよ!もし今日が日曜でなければ、碓氷峠で横に乗って少し一緒に走れたのに……」
池谷「そ、そうだよな……(俺の碓氷峠でのはしたない運転なんか真子ちゃんの前で見せられない……それこそ真子ちゃん、俺なんかから気が離れちゃうよ……)」
相変わらず、真子の気持ちというか、恋愛というものがわかっていない池谷。もどかしい話である。
真子「ところで池谷さん、私お願いがあるんです……これは、池谷さんにしか頼めない話なんです」
池谷「ど、どうしたの真子ちゃん……?」
意味ありげな発言だ……そのお願いとは……?
真子「私、いつまでこんな走り屋みたいなことやってるんだろうって思ってるんです……この夏を最後に、引退しようと考えてるんです。でも、悔いだけは残したくない……最後の夏の思い出に、秋名のハチロクと、碓氷峠でバトルさせて下さい!」
池谷「わかった!真子ちゃんのお願いとあったら、絶対なんとかして見せるよ!!(やっぱりそれが目的なんだ……俺なんかどうだっていいんだ……結局俺にはそれがお似合いだよ)」
しかし、その後真子から発せられた言葉は、とてつもなく大胆なものだった……!!
真子「池谷さん……もし私の願いを叶えてくださったら、私のヴァー○ンあげます!!」
池谷「!!」
それは、ある種の池谷への告白ともとれた。
だが、池谷はあまりの大胆発言に、状況を理解できないほどパニックに陥ってしまう。
池谷「ままままま真子ちゃん……それは、本気で言ってるのかい……?俺なんかがそんな……」
真子「そう……ですか……」
これまた大胆な割には奥手な真子。池谷が自分の告白を拒否したように感じてしまった。ここでもすれ違いが発生してしまう。
池谷「で、でも、秋名のハチロクと、拓海との話はつけてみるよ!真子ちゃんの願い、必ず叶えてみせるから!!」
真子「池谷さん……」
まさか真子と会うことになった池谷。だがお互い恋愛には奥手で、すれ違いの連続となってしまった。だが、池谷は真子の願いを何としても叶えようと奔走する。それが池谷にできる唯一のことだと、池谷本人は思っていたから……