もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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拓海と真子・沙雪がバトルしてる最中、池谷は樹の仲介もあり健二との誤解を解くことができた。しかし、思ったより深刻な様子の池谷。真子は自分には釣り合わない、このバトルを最後に、もう会う気はないという。一方、バトルの方も佳境を迎えていた。それぞれの思惑が交錯する碓氷峠、果たしてそれそれどうなってしまうのか……!?


Act.42 インパクトブルーのピンチ

 

 

 

 

 

\フォアアアアアア/\プシュー/\フォアアアアアア/

 

 

沙雪「(今の真子……最高に乗れてるよ……走り屋ってのは、対向車が来ても避けられるように、多少のマージンを取って走るもの……今の真子には、そのマージンが全くない!すごいよ、真子!!)真子!絶好調!!この調子!!」

 

真子「覚悟してね、沙雪!(今まで沢山バトルしてきたけど、こんな気分にさせられることは初めて……とってもハードなはずなのに、すごく楽しい……後ろのハチロクの子、不思議な子ね……)」

 

 

 

 

これまでにないくらい碓氷峠を攻める真子。だか、拓海はそれに喰らい付いていた!!

 

拓海「(相手も同じ、車に乗ってるんだ……相手にできて、自分にできないってことないだろ……!!)」

 

 

 

 

そして2台は碓氷峠名物、C-121コーナーへと差し掛かる……!!

 

 

 

 

沙雪「さぁ、いよいよC-121よ……覚悟はいい?」

 

真子「もちろんよ……!!」

 

沙雪「対向車なし!!GO!!」

 

 

 

 

このC-121コーナーは、入り口はセンターラインが広く取られて道幅が広くなっているが、出口で元の道幅に戻り、レコードラインが1本しか取れず、なおかつ高速で突っ込めばラインの修正の効かないという、難しいコーナーだ。また、外側に待避所があり、有名なギャラリーコーナーでもある。

 

 

 

 

 

ギャラリー1「おぉ、この音は、インパクトブルーのシルエイティ!?」

ギャラリー2「誰かとバトルしてるのかァ!?」

 

 

 

 

 

\シャアアアアアアア/

 

 

 

ギャラリー一同「うわぁああああ!!!!!」

 

 

ギャラリー1「見たかよ今の!!ヤベェ突っ込みだったぜ!?ここまで気い合入った突っ込み初めて見たぜ!!」

 

ギャラリー2「しかもあのインパクトブルーの突っ込みに、ハチロクが付いて行ったぞ……アイツまさか……最近有名な秋名のハチロク……!?」

 

ギャラリー1「あの二人の突っ込みに付いて行った奴なんて、初めて見たぜ!何モンだ!?あのハチロク!?」

 

 

 

 

 

沙雪「突っ込み、ライン、カンペキ!!このまま立ち上がるよ!!」

 

真子「………!!」

 

 

拓海「…………!!」

 

 

 

 

 

\シャアアアアアアア/

 

 

 

 

 

 

沙雪「…………!!あの子……ウソでしょ……!?」

 

 

 

 

C-121コーナーを、2台はクリアした。

 

そして拓海のハチロクは、この難しいコーナーで、真子と沙雪のシルエイティに付いて行ってみせた……!!

 

 

 

 

真子「ねぇ沙雪、私本当に乗れてる?今までにないほど突っ込んだのに、どうして離れないの……!?」

 

沙雪「何弱気になってんの真子!そんなのいつもの真子じゃないよ!!」

 

真子「そっちこそただ文句言ってるだけじゃないの……そんなんじゃただパワーウェイトレシオを悪くするだけの錘(おもり)だよ!!49kgのハンデね」

 

沙雪「47kg!!」

 

 

 

 

沙雪「ふふっ……でもその意気よ、真子……死ぬ気で攻めなさい……!!」

 

真子「わかったわ……!!どうなっても知らないからね、沙雪……!!」

 

 

 

 

C-121の後のヘアピンも、左に少し曲がった直後の急右ヘアピンなので、非常に難易度が高い。そこもとてつもない速度で突っ込んでいく。しかし……

 

 

 

 

\ファアアアアアアア/

 

 

ハチロクは、全く離れる様子がない。

 

 

 

 

 

沙雪「あの子すごいよ!もう勝ち負けなんてどうだっていい!楽しもうよ!このバトル!!」

 

真子「OK沙雪!こんな気分で走れるなんて、最高よ!!」

 

 

 

 

 

 

ずっと今までで最高の走りを続ける真子と沙雪のシルエイティ。そしてピッタリと張り付く拓海のハチロク。

 

ギャラリーから見ていてもわかる。名実ともに最高のバトルだ。

 

 

 

 

 

 

沙雪「!?」

 

 

 

 

何かを感じ取った沙雪。

 

 

 

 

沙雪「真子!気をつけて!2つ先のコーナー、対向車来るよ!!」

 

真子「わかった!」

 

 

 

 

 

沙雪のナビは、非常に的確だ。路面状況、後ろのマシンの動向から、対向車が来るコーナーのタイミングまで、外したことがない。最高のコンビネーションだからこそ織り成せる、奇跡の技だ。

 

 

 

 

 

対向車運転席「おっ!誰かバトルしてるなぁ!?一体誰がやってるんだァ?」

 

対向車助手席「音からして多分やっぱりインパクトブルーのシルエイティかもよ?今回もぶっちぎり……?ん??」

 

 

 

 

彼らは違和感を感じた。そこには別のエキゾーストノートが混じっていた。直列4気筒、自然吸気エンジンの音だ。

 

 

 

 

 

そしてその瞬間は来た……!!

 

 

 

 

 

\フォン!/

\ファン!/

 

対向車2人「うわぁああああ!!」

 

対向車助手席「見たかよ今の!!とんでもない速さで抜けてったぜ!!」

 

対向車運転席「ヒェエエエエ!!肝が冷えたぜ……インパクトブルーのシルエイティに、一台喰い付いていってたぞ!?何なんだ今のは!?」

 

 

 

 

 

沙雪「対向車パス!最高だよ!真子!!」

 

 

真子「沙雪のナビも完璧よ!このバトル、すごく楽しい!!」

 

 

 

 

 

 

しかし、とうとうそのテンションの糸が、切れるときが訪れた……

 

 

 

 

 

沙雪「ちょっ、ヤバい真子!突っ込みすぎ!!」

 

真子「…………!!ダメっ!!立て直せない……!!」

 

 

 

 

 

 

真子はテンションのあまり突っ込みすぎてしまい、アウト側の壁との接触を避けようとスピンモードに入る。

 

 

 

真子・沙雪「(お願いっ………避けてっ………!!)」

 

 

 

 

拓海「くっ…………!!」

 

\ギャアアアアアアア/\ファン ファン ファン/

 

 

 

 

 

すべてを察し、見事なマシンコントロールをする拓海。

 

 

 

 

\シュンン/

 

 

 

 

 

\ファンンンンン ファンンンンン/

 

\ギャアアアアアアア/

 

 

 

 

 

見事にスピンするシルエイティをパスし、スピンターンで止まった拓海。

 

シルエイティの近くに駆け寄る。

 

 

 

 

 

拓海「大丈夫……ですか……?」

 

 

沙雪「ホントあんた、只者じゃないわね……今のを避けるなんて……普通なら接触事故モンよ……アンタの勝ち」

 

 

拓海「でっ、でも……」

 

 

沙雪「いいからアンタの勝ち!!私達を後追いで抜いたのには変わりないんだから!ホント、不思議な子よね……」

 

 

真子「ごめんなさい……わたしのミスで、危険な目に遭わせてしまって……」

 

 

拓海「い……いえ……」

 

 

 

 

 

スピンしたシルエイティを立て直し、スタート地点に戻る2台。

 

 

 

 

 

 

そして、スタート地点で待つ3人。

 

樹「あっ!戻ってきたっすよォ!!」

 

健二「でも、ペース落としてるな……決着がついたのか……さすがにあの走りにゃ拓海も付いてけなかったか……」

 

 

 

 

 

しかし、帰ってきた沙雪から発せられた言葉は、意外なものだった……!!

 

 

 

 

沙雪「あたしらの負けよ」

 

 

 

健二「シルエイティが負けて………って、エェェェェェ!?!?」

 

樹「拓海が……勝った……!?」

 

 

 

 

 

沙雪「その通りよ。あたしらが攻めすぎて、スピンしちゃったの。もっとも、それまでずっとこの子がピッタリ付いてきてたけどね。地元のあたしらが、初めての子にここまでやられちゃあ……その時点で負けみたいなもんよ」

 

 

 

 

 

健二・樹「うそ……だろ……!?」

 

顔を見合わせる二人。

 

 

 

 

沙雪「拓海くん……だったっけ……?不思議で仕方ないんだけど、どうしてあたしらにあそこまで付いて来れたの?」

 

拓海「どうもこうも、相手にできることなら、自分にもできないことはない……そう思って付いていった……ただ、それだけです」

 

沙雪「やっぱり不思議な子ね……(しかも……何かかわいーーー!!)」

 

 

 

 

一方……

 

池谷「(真子ちゃん……)」

 

真子「…………」

 

池谷「あっあっ……あの……」

 

真子「…………っ」

 

 

 

沙雪「そーだ!!いいこと思いついた!!今度みんなで、どっか遊びに行きましょ!!」

 

真子「ちょ、ちょっと沙雪!!」

 

沙雪「いいからいいから!どうする?夏なんだし、プールなんてどう?」

 

健二「おい、俺たちが本当にいいのか?」

 

樹「いいっすねぇ!!行きたいですよォ!!」

 

沙雪「じゃあ決まり!!みんな日程の合う日、分かり次第教えてよね!真子、あの人の番号知ってるんでしょ?」

 

真子「えっ、ええ……」

 

沙雪「じゃあそっちはそのお兄さんを通じて真子に連絡ちょうだい!あたしらは土日ならいつでもOKだから!!」

 

 

 

 

池谷「…………」

 

真子「…………」

 

 

 

 

複雑な心境の二人。しかし、池谷が真子に会うのがこれで最後にはならなかった。

 

 

 

 

真子「ちょっと沙雪!いくら何でも強引すぎない!?」

 

沙雪「これぐらいが丁度いいのよ!じゃあんたたち、そういうことでよろしく!いいバトルだったよ!じゃあね!!」

 

 

 

 

 

これは実は、真子に対して何かを察していた沙雪の、粋な計らいだった。

 

だから、半ば強引に会う機会を作ったのだ。こういう勘は、やはり女性だからこそ気付けるものだった。

 

 

 

 

 

 

\バン/

\フォオオオオオ/

 

 

 

 

走り去っていくシルエイティの後ろ姿────

 

池谷「真子ちゃん……」

 

もはや言葉にならない声を発し続けるしかない池谷だった。

 

 

 

 

 

 




バトルは、シルエイティのスピンにより、まさかの拓海の勝利で幕を閉じた。そして、まさかの沙雪の計らいにより、池谷は再び真子に会うチャンスを得た。すれ違ったままの2人。果たして次回プールで会う時、それを挽回することができるのだろうか……?
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