もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
樹「ホント俺のハチゴー、上りだと死ぬほど遅えんだよなぁ……」
拓海「そうだな……」
土曜のバイト上がり、二人でハチゴーに乗って秋名湖までドライブに来ていた樹と拓海。
そこに、突如とんでもなく速いマシンが後ろから現れた……!!
拓海「おい樹!避けろ!後ろからすごい速い車が来てるぞ!!」
樹「うわっ!ホントだ!!」
間違えて左端ではなく右側に避ける樹。
拓海「おい樹、逆、逆!」
\フォンンンンン/
コンパクトなセダンボディに、大型のリアウイング……
まさしくそれは、三菱のランサーエボリューションⅣ、地上の戦闘機と言っても過言ではないマシンだ。
好敵手の車として、スバルのインプレッサWRXがいる。これら2台のライバル関係は、数十年前の戦時中まで遡る。
当時三菱は、かの有名な戦闘機である零式艦上戦闘機、通称ゼロ戦を、海軍向けに開発した。一方スバル、富士重工業の全身である中島飛行機は、一式戦闘機『隼』を、陸軍に卸していた。それぞれ海軍と陸軍の名戦闘機として、大戦中に第一線で活躍し続けた機体だ。
まさしくランサーエボリューションは、その流れをくみ、インプレッサと同じ戦場であるWRCで戦う、まさに現代の戦闘機であった。
拓海「すっげぇ速え……!!でもあの車……不思議な動きをするな……」
樹「げっ!!?ランエボ!!?ここいらでは見たことないマシンだぜェ……コンパクトなボディに、2Lのターボエンジン、そして4WDだぜ……?あんなの反則だよォ……」
拓海「(そうか……あの動き……4WD……!!)」
そうこうしているうちに、秋名湖に到着し、少し原っぱになったところで休憩する2人。
ところが、そこには例のランエボが停まっていた……
樹「ヤベェ〜!!さっきの、ランエボだァ〜!!」
拓海「気にすることないよ……俺、缶コーヒー買ってくる」
一人になる樹。
なんとそこに、ランエボのドライバーが樹の方に向かって歩いてきた……ガラの悪そうな、長髪を後ろで括った髪型の人物だ。
???\コンコン/
ハチゴーの運転席のウインドウをノックするランエボのドライバー。
樹の方「はっ、はぁ〜い(汗)」
ウインドウを開ける樹。
???「なぁ少年、ちょっと道を聞きてぇんだけどよォ」
意外と絡んできたりとかそういう類ではなかった。
……かに思われた。
樹「それなら、こっちの方が近いっすよォ」
???「ありがとよ少年……ところでよォ」
ここからが本題だった。
???「この秋名で、一番速いドライバーってのは誰だ……?」
樹「ひょっとして、秋名のハチロクに挑戦しようと、秋名に……?」
しかし、ランエボのドライバーから発せられた言葉は、心外なものだった……
???「あァ??俺たちがハチロクに挑戦??」
???2「クスクスクス」
ランエボの助手席に乗るドライバーも失笑する。
金色の短髪の頭に、タオルを巻いている。
???「もっと速い車に乗ってるなら話は別だが、車がハチロクだってよォ……冗談は顔だけにしてくれよ、レビンの少年」
樹「お前達……秋名のハチロクのこと……まだ何も知らないくせに……秋名のハチロクは、まだ一度も負けたことがないんだ!!FCにも、FDにも、R32にだって!!」
???「へへっ、そりゃあよっぽどヘタな奴が乗ってたんだろう」
樹「違うよォ!!どの車も、群馬でトップクラスのドライバーだよ!!」
???「ははっ、レベル低いねェ、群馬エリアも」
樹「くっ………!!」
拓海「やめとけ、樹」
自販機から帰ってきた拓海が、すかさず止めに入る。
???2「お前もだ、清次」
こちらももう一人の男が止めに入る。
???2「悪かったな……ウチのツレは口が悪くてな……俺たちはお前らをけなすつもりはない……そのハチロク、きっと相当な腕だろう」
一旦は希望の光が差したかに見えた。が………
???2「しかし、車がな……いくらドライバーの腕が優れていても、車がハチロクってのがな……」
清次「そういうことだ少年、バトルするなら、もっといいマシンに乗り換えるんだな……ハチロクなんか乗ってる奴ァ、アウトオブ眼中!頼まれたってバトルなんかしねェよ!!」
樹「くっ……くくっ………」
見たこともない秋名のハチロクをけなされて悔しがる樹。
清次「じゃあ行くか、京一」
京一「あぁ……」
\バン/
\フォオオオオオオ/
樹「クッソぉおおおお!!!!あのちょんまげ野郎!!!!」
拓海「ほら、樹、コーヒー」
樹「……っ、あっ、あぁ……サンキュー」
拓海「ほっとけばいいよ……あんな奴等……」
ほとぼりは、一旦醒めた。本人が、気にするな、ほっとけばいい、と言うのだから、急に冷静さを取り戻したのだった。
一方、道を聞いた後、秋名のダウンヒルの方面へと向かうランエボ。
清次「しっかし、なんでハチロクなんだ?バカなのか?群馬エリアの走り屋は……」
京一「いや……そんな事はないはずだがな……どうしてなんだ?(FCにも負けたことがないと言ってたな……まさか……涼介……!?一体どういうことなんだ……!?)」
この後、秋名のダウンヒルに突入するランエボ。しかし、バックミラーに一台のマシンのヘッドライトが映し出された。黄色いフォグランプに、横長のヘッドライト……一体そのマシンとは……!?