もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
清次「あァ?後ろから一台、ポンコツが来やがった……京一、車種は何だ?」
京一「ヘッドライトの形状からして、恐らくS13かシルエイティだろう……」
清次「ヘッ……またFR小僧か……飽きてるんだよなァ……もうカニ走りのパフォーマンスだけの走りは」
\フォオオオオオオオオ/
ランエボをアクセル全開で加速させる清次。だが……
???「……………………………」
\ギャアアアアアアア/
両者、1コーナーを抜けた。そして…………!?
清次「あァ!?どうなってやがんだ!?」
そのS13は、とてつもない切れ味の突っ込みと、ブレのない舵角、そしてそのスピードを維持したまま、立ち上がってきた。結果、ランエボの後ろに、ピッタリと張り付いた……!!
その後、ランエボは高速コーナーで一旦S13を引き離すも……
\フォンンンンン フォンンンンン/
\ギャアアアアアアア/
またもや突っ込みで張り付かれる。
清次「くっ……ふざけやがって……」
\フォオオオオオオオオ/
流石は4WD、立ち上がりのトラクションは他を寄せ付けない。流石のS13も、これには付いて行けない。が、しかし……
\フォンンンンンン フォンンンンンン/
\ギャアアアアアアア/
ブレーキングしながら、ヘアピン手前の複合S字コーナーで、またもやランエボはS13に張り付かれる!!
清次「どうなってんだァ……ふざけんなァ!!」
そしてすぐヘアピン。ここの立ち上がりで、再びS13を引き離す。
清次「へへっ、所詮FRなんてこんなもんだ……この先FRなんか乗ってても先がないぜ……」
ところがこの先、4WDが最も苦手とする中速のやや直角のコーナーが2回連続で押し寄せる。まず一つ目……
\フォンンンンンン/
\ギャアアアアアアア/
清次「何なんだこりゃア!?」
突っ込みがモノをいう直角コーナー。立ち上がりでS13が追い付いてくる……!!
そして、2つ目のキツい方の直角コーナー手前で、ランエボは遂にS13に並ばれる……!!
ランエボは、FFベースの4WDだ。ゆえに、コーナーの突っ込みがどうしても鈍くなってしまう。
フェイントモーションを使えば力技でかき消せるのだが、横に並ばれた今、それをするスペースはない。
???「………………………………」
\フォンンンンンン/
\ギャアアアアアアア/
とうとう清次のランエボは、S13に抜かれてしまった……
清次「何だとォ!?このツートンのS13、ふざけたマネしやがって……!!」
しかし、ここでストップが入った。
京一「やめとけ清次、お前には無理だ」
京一はそのS13の実力を見抜いた。
リアには『AKINA speed stars』のステッカーが貼られていた。地元の速い走り屋だと判断したのだ。
清次はこのコースを走り慣れていない。また、高速急坂下りで、フロントヘビーのランエボのタイヤとブレーキが保たないことも、京一には解りきったことだった。
清次「くっ………わかったよ………」
強気な性格の清次も、唯一京一には頭が上がらない。
京一の言葉に、素直に従った。
\フォンンンンン フォンンンンン ギャアアアアア/
そのまま前回で下っていくS13を、ただ後ろから眺めるしかなかった。
\フォアアアアアア/\プシュー/\フォアアアアアア/
スケートリンク前の全開区間を、とんでもないスピードで駆け抜けるS13。
土曜の夜だ。当然、ギャラリーがいてもおかしくない。
スケートリンク場の直後のヘアピンは、特にギャラリーの多い場所だ。
ギャラリー1「やべぇ!!一台とんでもないスピードで突っ込んでくるぞ!!でも秋名のハチロクじゃねえ!!多分S13だ!!」
ギャラリー2「ブレーキが遅すぎる!!やばい!!突っ込んでくる!!」
そして……
ギャラリー一同「ぐわぁあああああああ!!!!」
\フォンンンンン フォンンンンン ギャアアアアアアア/
ギリギリのレイトブレーキングで、ストレートのスピードをそのままコーナーの突っ込みに乗せていくかの如く、S13は曲がっていった……
\フォオンンンンンン/
走り去っていくS13。
ギャラリー1「おい……あのツートンのS13……スピードスターズの、池谷……だったよなぁ……」
ギャラリー2「あぁ……ちゃんとスピードスターズのステッカーも貼ってあった……いつの間にあんなとてつもない走りをするようになったんだぁ……!?」
その後……
清次「ペースを落としながら走ってみたが……あのS13、もう消えやがった……」
京一「だから言っただろう……速い奴じゃなければ、姿くらいは見えていたはずだ」
清次「クソったれがァ……この俺が……俺のランエボが……FR小僧なんかに……」
そして、先程のギャラリーコーナーでも……
ギャラリー1「おい、もう一台、飛ばしてないけど来るぞ……?」
ギャラリー2「見慣れない車だな……ランエボ……?」
\フォオンンンンンン/
ややキビキビとした程度の走りで過ぎ去っていった。
ギャラリー1「この辺のエリアに、ランエボなんかいたっけかぁ?」
ギャラリー2「いや、知らねぇ……何か嫌な予感するなぁ……」
この数日後、ギャラリーたちの予感は、見事に的中することになる……
まさか清次のランエボが、秋名を走り慣れていないとはいえ、『ツートンのS13』に抜かれてしまった。4WD乗りとして、FRに抜かれるのは最大の屈辱だった。もちろんそのS13の正体とは……しかしこの後、そのランエボは、とてつもない集団を引き連れて、編隊飛行で群馬の山々に押し寄せてくるのであった……!!