もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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妙義ナイトキッズの中里、R32GT-Rが、エンペラーの清次、ランエボⅣにあっさりと負けてしまった。そして遂に今週末、秋名山に進駐してくる……拓海がダウンヒルで応戦することが確定した中、何故か池谷はS13を急ピッチで戦闘力アップにかかる。その真意は、ダウンヒルが終わったあと、明らかになる……!!


Act.49 エンペラー、秋名山進駐!!

 

 

 

 

 

〜エンペラー進駐前の水曜日〜

 

政志「ほい、完成したよ、キミのS13」

 

池谷「あっ……ありがとうございます!!エンジン掛けてみてもいいですか!?」

 

政志「おうよ」

 

 

 

 

S13にキーを刺す池谷。そして……!!

 

 

 

\キューッキュッキュッキュッキュッ/

 

\ボワァアアアアンンンンン/

 

 

 

明らかに変わったエキゾーストノートに、高揚感を隠せない池谷。

 

 

池谷「これが本当に……俺のS13ですか……!?」

 

政志「そうだぜ?キミなら乗りこなせるはずさ」

 

池谷「それは一体……?」

 

政志「キミは自分のテクニックに自覚あるかい?この前会った時より、格段に進歩してるぜ?ほら、このタイヤの減り方」

 

 

 

政志と一緒に様子を見る池谷。

 

 

 

政志「下手なドライバーだと、フロントタイヤを強引にこじった跡があったり、ヘタにドリフトさせてリアタイヤが丸坊主になってたりするんだ……君にはその兆候が全く見えない……あのハチロクの減り方と、ほとんど互角なんだよ」

 

池谷「!?」

 

 

 

 

衝撃の事実を聞く池谷。

 

 

 

 

政志「そしてキミ、空気圧のセッティングを綿密に行っただろ?」

 

池谷「……!?何でわかったんですか!?」

 

政志「シルビアとか以上のクラスの車だと、秋名のダウンヒルじゃあ普通、最後の方タイヤがタレるんだよ……でも君のタイヤには、タレながら強引に攻め込んだ形跡が一切ない……下り、最後まで走りきれるだろ……このS13」

 

池谷「はい、勤め先の店長の祐一さんに教わったもので……」

 

政志「なるほど……アイツが吹き込んだわけか……いい線いってるよ、キミの車の走らせ方とセッティング」

 

池谷「ありがとうごさいます!!」

 

政志「てことで、このS13は大体300馬力は出るようになった。それに合わせて足回りもセッティングし直してある……今週末、何かあるみてぇだな……自信持って行ってきな!」

 

池谷「わかりました!!」

 

 

 

 

早速、エンペラーが進駐してくる3日前ではあるが、池谷は秋名山へ向かった。

 

そして、最初はヒルクライムだ。

 

池谷「くっ……これはっ……!!」

 

 

 

 

前とは比較にならないパワーに、悶絶する池谷。

 

だが、コーナー区間に入り、政志の言っていた真髄を知る。

 

 

 

 

池谷「なんだ……これ……この前までのダウンヒルと同じ感覚で曲がれる……すげぇ!すげぇぞ!S13!!」

 

 

 

 

それでいて、ストレートでは以前とは比較にならないほどのスピードが乗る。

 

池谷「これだ……この感覚だ……これなら……イケる……!!」

 

 

 

 

このあと池谷は何本も練習し、それをエンペラーが進駐してくる日まで繰り返した。

 

 

 

 

 

〜エンペラー進駐日当日〜

 

京一「それじゃあ、この秋名で一番速いドライバーを出してもらおう」

 

池谷「何言ってるんだ、そこにいるじゃないか」

 

池谷は秋名のハチロクを指した。

 

清次「あァ!?ふざけてんじゃねぇぞ!ハチロク相手にバトルしに来たつもりはねェぞ!!(って……ん……?このハチロクのドライバー……いつかの湖のほとりで見たアイツ……)」

 

 

 

 

 

京一「……!!」

 

何かに勘づいた京一。

 

だが清次は続ける。

 

清次「それよりもこの前のS13だ……俺たちがコースに慣れてなかったとはいえ、抜かれたのは事実だ……おい、S13のお前!なぜお前が出てこない!?とっとと車出しやがれ!!」

 

池谷「生憎だな……ハチロクがポンコツって言うんなら、そのお前たちが言うポンコツに勝ってから、S13と勝負するんだな……」

 

 

 

ガラの悪い相手を前にしても、全くひるまない池谷。本当にあれから、池谷は何かが変わってしまったようだった。

 

 

 

京一「あのS13の野郎の言う通りだ……気を抜くな清次……このハチロク、見た瞬間、電気みたいなもんが走った……あのS13とは比較にならないかもしれない……普通じゃないぞ、このハチロク……シミュレーション……3で行け……!!」

 

清次「あァ?S13はともかく、ハチロク相手にシミュレーション3!?」

 

 

 

 

エンペラーが遠征用に考えた作戦パターンは3つある。

 

シミュレーション1は先行ブッちぎり、シミュレーション2は前半様子を見て中盤からスパートをかける作戦、そして今回のシミュレーション3は……前半わざと後ろに付き相手の弱点を見切り、終盤に一気にスパートをかけてその弱点を付くというものだ。相手が最も強いときに使う作戦が、このシミュレーション3というわけだ。

 

 

 

 

 

池谷「じゃあカウントは俺が」

 

京一「いや、カウントは要らない……戦闘力の劣るマシンが、好きなタイミングでスタートする。間を取って、俺たちがスタートする。これを俺達は、ハンディキャップ方式と呼んでるがな」

 

池谷「それでいいか、拓海」

 

拓海「コクリ」

 

 

 

 

池谷「思いっきり行って来い、拓海!!」

 

 

 

 

\コクン/

 

ギヤを入れる拓海。そして……!!

 

\キューキュキュキュキュ/

 

 

 

 

ギャラリー「ハチロクが飛び出したぞ」

 

樹「いっけぇ〜!拓海ィ〜!!」

 

 

 

 

 

清次「フッ………!!」

 

\キューキュキュキュキュ/

 

 

 

 

時間を置いて、清次のエボⅣも飛び出した!!

 

そしてエボⅣは、秋名のハチロクにすぐ追いついてしまう。

 

それでもシミュレーション3を遵守する清次。

 

次第にイラついてくる。

 

 

 

 

清次「くっそォ……それにしても俺ァ、何でこんなにイラついてんだァ!?」

 

 

 

 

そして、スケートリンク前の全開区間で、とうとう我慢できなくなってしまった……

 

 

 

 

清次「かァアアアアアア!!いっちまえェェェ!!」

 

 

 

 

とうとう京一の指示を無視し、前に出た、出てしまった清次。

 

清次「へっ……スカッとしたぜ……シミュレーション3じゃなくたってよォ京一、勝ちゃア文句ねぇんだろうが勝ちゃア!!」

 

 

 

 

一方、最終セクションには……

 

賢太「啓介さん……今度ばかりは、ハチロクに勝ち目ないんじゃないっすかねぇ……」

 

啓介「峠はそうシンプルじゃない……アニキが見物するならここにしろって言うんだ……なにか意味があってのことだろう……(俺はなぜか知らないが……あのハチロクが負けるところを……見たくないんだ……こんなところで、俺とのリベンジマッチを前に、負けんじゃねえぞ……!!)」

 

 

赤城レッドサンズの、高橋啓介と、その舎弟的存在の賢太が、ふもと近くのギャラリーのいない場所でハチロクを待っていた。




とうとう始まってしまった、ハチロクとランエボの無謀とも言えるバトル。だが無謀なのは、前半に限っての話だった。そしてこのバトルは衝撃の結末を迎える……更にその後、誰も予想していなかった展開に、エンペラーは巻き込まれる……今週末の秋名は、とある一人の青年により、更に大荒れになることになる……!!
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