もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
清次「へっ……これでハチロクなんざ、はるか彼方だぜ……」
バックミラーを見る清次。だが……!?
清次「……!!お前……何故そこにいる……!?離れるどころか張り付いてやがる……!!」
予想外のハチロクの戦力に、半ばパニックになる清次。
そして終盤。
清次「クッ……タイヤが言うことを聞かねェ……」
フロントヘビーなエボⅣのタイヤは、ダウンヒルで酷使されたが故に、タレてまともにグリップしなくなっていた。
そして、レッドサンズの二人が待つ終盤のコーナー……!!
賢太「ハチロクが後ろだ!!」
啓介「フッ……」
拓海「よしっ!!ここだっ!!」
\ギュイッ/
拓海は、秋名独特のテクニック「溝落とし」を、高難度版の立ち上がり重視で行った。レールに乗ったハチロクは、そのコーナリングを維持したままアクセル全開で立ち上がる。
清次「フッ……ここまで来たらもうハチロクに勝ち目はねェ……」
バックミラーを見る清次。ところが……!?
清次「あァ!?ハチロクが消えたァ!?」
ハチロクは、エボⅣの横に並んでいた。バックミラーから見えるわけがないのだ。
啓介「終わりだ……」
賢太「啓介さん……このバトル、どうなるんっすか!?」
啓介「どうもこうもねぇ……もうあのランエボに抜き返すチャンスはねぇ……」
そしてハチロクはエボⅣを抜き去り、そのままゴールした。
樹「拓海が……ハチロクが……ランエボに……勝ったァ〜〜!!!!」
ギャラリー全体が歓喜に湧く。秋名のハチロクが、群馬エリアを総ナメにしようとしていたランエボ軍団を、打ち破ったのだ。
しかし、一人だけは違った。急いで愛車に乗り、秋名を下っていく。
秋名山のふもと。
\ペシッ/
京一「俺が何に対して怒っているのか、わかるのか清次」
清次「わからねェ……なぜかハチロクが離れねェんだ……」
京一「当たり前だ!バックミラーを見るだけで、何が解るんだってんだ!!相手の後ろに付けば、もっと色んなことが解るんだ……」
清次「すまねぇ……京一……」
京一「いくら悔やんでも、この一敗が消えることはない……気を取り直して、次は赤城に乗り込むぞ……俺のターゲットは最初から高橋涼介だ……アイツさえ倒してしまえば、俺の気は済む……」
???「お前らの気が済んだら、それで終わりかよ……!?」
一人の青年が立ち上がった。
???「いい加減にしろよ……自分らが負けたら、それで終わりか!?そんな腑抜けた連中が、群馬エリアを総ナメなんて、まったく大きな口叩きやがる……群馬エリアも舐められたもんだぜ」
いつもなら清次が噛み付いているところだが、京一に叩かれてしみったれている所だ……そんな気力などない。
???「おい!撃墜マーク野郎!まさか下りで負けたから終わりじゃないだろうな……?お得意のヒルクライムはどうした!?ダウンヒルだけでお手上げか!?」
京一「………くっ………てめェ………!!」
「(ダメだ……ここでカッとなって下手な真似すりゃあ、墓穴を掘るだけだ……それに清次はこの有様だからな……)」
清次「……………」
まるで前までの威勢が嘘のような清次。
京一「S13の青年、お前の言い分はわかった。だが、生憎なことに清次はこの有様だ……馬鹿なことにタイヤも使い切って、人も車もバトルできそうにない……」
その青年の正体は……なんと池谷だった。
池谷のS13は、この瞬間のために戦闘力アップを行ったのだ。
京一「(清次がダメとなると……)おい、佐竹、お前走れるか!?」
佐竹「京一さん直々の指示とありゃア、思い切ってやってやりますよ!!」
佐竹は、前も述べた通り、後々碓氷峠へ進駐することになるドライバーだ。
京一「ダウンヒルのハチロクほどの戦闘力はないと見ているが……念のため、シミュレーション2で行け」
佐竹「わかりやしたァ!!」
池谷「シミュレーションだか何だかしらねぇが……さっさと来やがれ……!!もしヒルクライムで俺が負けるようなことがあれば……約束通りステッカーをくれてやる……それでいいな!?」
京一「あぁ……(こいつ……この前抜かれた時とは……少し違う……排気音……まさか……!!)」
京一は池谷のS13がパワーアップしていることに気付いた。
池谷「(秋名のハチロクを、そして後輩の樹を、散々コケにしやがったお返しだ……ボロボロになるまで叩きのめしてやる……)」
池谷はもはや狂気に満ちていた。
一方、頂上では……
ギャラリー1「おい、あのランエボ軍団、今度はヒルクライムでバトルするみてぇだぜ!?」
ギャラリー2「まさか……さっき降りてったS13……スピードスターズの池谷か……!?」
\ざわざわざわ/
ギャラリーの会話を聞いて、さっきとは一変して騒然とする周囲の人達。
池谷「いらねぇのか?お得意のハンディキャップ方式」
佐竹「舐めてんのかテメェ!?」
京一「挑発に乗るな、佐竹。冷静に行け。こいつに勝てば、少なくとも引き分けに持ち込める。ある意味チャンスなんだ。このS13、相当な腕だ。清次と偵察に行った時、ダウンヒルで一度抜かれてるんだ……気を抜くな」
佐竹「あの清次さんが……わかりやした!敵は必ず取ってやりますよ!」
京一「それじゃあカウントを取る……」
いよいよ、エンペラーへのやりすぎとも言える逆襲に踏み込んだ池谷。もしここまで大口をたたいて負けるようなことがあれば、悪評がたちまち広がってしまう。そんな状況に自ら身を置いた池谷。いよいよ秋名のヒルクライムバトルはスタートする。果たして池谷は、ヒルクライムでエンペラーの鼻をへし折ることができるのだろうか……!?