もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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群馬エリア総ナメを目論んでいた栃木の日光いろは坂のチーム・エンペラーは、秋名山でダウンヒル・ヒルクライム共に総ナメにされるという皮肉な結末を辿った。エンペラーのチームリーダー、須藤京一は、いよいよ高橋涼介撃墜に的を絞り、レッドサンズvsエンペラーの大将戦へと突入していく。しかし、赤城レッドサンズは、地元ではバトルしないと決めている。果たしてどうなるのか……!?


Act.52 群馬 vs 栃木 魂のバトル(序章)

 

 

 

 

 

 

涼介「お断りだな」

 

京一「何故だ……!?俺じゃ相手にならないってのか……!?」

 

涼介「俺たち赤城レッドサンズは、地元ではやらないって言ってるのさ……」

 

京一「………」

 

涼介「地元という有利な材料を背負って勝ったとしても……それは本当に勝ったとは言えないからな……たとえお前が負けたとして、それを言い訳にされても困るからな……」

 

京一「くっ……」

 

涼介「俺とお前とのバトルは、実質、群馬 対 栃木のエリア決戦になる。とっておきのコースがある。あまりメジャーな場所ではないがな……」

 

京一「何……?どこだ、そのコースは」

 

涼介「そのコースはというと……」

 

京一「っ…………!!」

 

 

 

 

束の間の沈黙。そして、涼介から発せられたコースは……

 

 

 

 

 

涼介「梅田だ」

 

京一「梅田……!?」

 

涼介「お前たちにとっては、飛駒……と言った方がいいか?」

 

京一「っ!!」

 

 

 

 

 

梅田とは、県道66号・桐生田沼線、群馬県桐生市梅田町と、栃木県佐野市飛駒町を跨ぐ、非常にバラエティに富んだテクニカルコースだ。

 

 

 

前半は、しばらくダム湖周辺の勾配のない中高速セクションが続く。

 

その後、長いダウンヒルの直線の後、急に4つのヘアピンか現れる。そこを抜けると中盤だ。あまり整備されていない集落セクションで、センターラインはなくなり、外側の白線すら引かれていない。

 

 

 

 

そして、いきなり道幅が広くなると同時に左右のコーナーがうねうねと続くセクションがある。ここからややヒルクライムになる。ライン取りが物を言うセクションだ。近くに採石場があり、その付近の路面はダスティで滑りやすい。採石場を過ぎて少しすると、群馬県から栃木県へと突入する。

 

そしてセンターラインが現れ、少し整備された道になる……かと思いきや、直後いきなり道が一本になる。センターラインも描けないほど道幅の狭い、鬱蒼とした林道セクションへと突入する。

 

急なコーナーはなくスピードが乗るが、2台すれ違うのがギリギリの幅しかなく、ライン取りの融通も効かない。途中山頂で、ヒルクライムとダウンヒルが入れ替わり、ここを境に路面の質が変わる。

 

 

 

 

そして終盤セクション。林道は急なダウンヒルへと突入する。日当たりが悪く、バンピーな上に路面は常に湿っており、苔が生えている場所もある。スピンターンを要するレベルの2連タイトヘアピンが2箇所、つまり計4つある。道幅の狭さを考えれば、いろは坂よりキツいヘアピンだ。

 

最後のヘアピンを過ぎたら、狭い上に滑りやすい路面を全開で下る超高速林道となる。わずかにステア操作を誤ると、即、岩壁にクラッシュだ。そして林道は突如終わりを告げる。

 

 

 

 

ここからが最終セクションだ。視界は一気に開け、道幅も急に広くなりセンターラインも現れ、これまでになく綺麗に整備された道になる。2車線だが路肩部分が広く、それを含めると4車線程度にまで道幅が開け、最後の最後に超高速ダウンヒルセクションとなる。

 

マシンによっては僅か10秒そこそこで200km/h近くまで達するほどの急勾配だ。そんな中、たった一つ超高速コーナーがあり、広い道幅を目一杯使って全開で駆け抜ける。

 

 

 

 

林道とはうって変わった、全く質の異なる最終セクション。林道に慣らされた車幅感覚、スピード感覚から、林道を抜けた瞬間カタパルトのように広けたセクションに飛ばされ、その超高速コーナーを全開で駆け抜けるのは、心臓が飛び出るほど恐ろしい。

 

その後再び直線。そして、最後の最後にシケイン状の中速S字が待ち構え、直後、ゴールとなる。

 

 

 

 

 

通常では、ダム湖周辺のコースは大学生自動車部等のドリフト小僧達が、林道セクションはラリー屋の練習生が、それぞれ走っているのだが、今回は最初から最後まで全て含めたスペシャルフルコースだ。

 

よって、高速セクションや林道、整備された道や荒れた路面が入り乱れ、ヒルクライムとダウンヒル混合、更には群馬と栃木を跨ぐコース……二人の決戦には、最高の舞台となるのだ。

 

 

 

 

京一「いいだろう……イコールコンディションで勝ってこそ、やりがいがあるってもんだ……ましてやあの荒れたコースだ……4WDの真価が発揮されるだろう……貴様のFCのような、ラリーカーとは縁の遠いマシンが、あのテクニカルコースでどこまでやれるのか……お前も真価が問われるな……」

 

涼介「随分と余裕のある発言だな……その余裕が、実戦で命取りにならなければいいがな……俺はそんなことは承知で、このコースを選んだ……その意味が、お前にはわかるか……?」

 

京一「っ………」

 

 

 

一瞬固まる京一。だが、すぐ冷静さを取り戻す。

 

 

 

京一「(俺らしくもねぇ………)フッ、いくらお前がほざいたところで、この世の物理法則が変わるわけじゃねぇ……ラリーベースマシンの真価……嫌というほどお前に見せつけてやる……モータースポーツ仕込みのテクニックが、峠の幼稚なテクニックに劣るわけがないんだ……!!」

 

 

 

 

 




梅田は、涼介の赤城と、京一の日光いろは坂と、ちょうど中間地点ほどにある。コース習熟の労力をとってしても、全くのイコールコンディションだ。2つのチーム、二人のドライバーにとって、全くハンデのない本気の激突となる。これぞ、本物のバトルだ……!!

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