もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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とうとう始まってしまった、梅田での無謀なバトル。しかし拓海は、何があったのかいつもと様子が違う……そして、ダウンヒルでもないこのコースで、圧倒的なペースでスタートした京一のエボIII。この後ハチロクは、その様子のおかしい拓海に呼応するかのように、まさかの結末を迎えることになる……


Act.55 京一の挑発 II さようならハチロク

 

 

池谷「樹!大変だ!拓海がランエボ野郎の挑発に乗って、桐生の梅田まで行ったって話だ!!」

 

樹「マジっすか!?拓海ィ……今度ばかりは……」

 

 

 

横で聞いていた店長。

 

店長(祐一)「(何……?拓海が梅田に……?嫌な予感するなァ……一応文太にも連絡つけておくか)」

 

 

 

 

その頃、梅田では……

 

 

 

 

\ファアアアアアアン ファアアアアアアン/

 

初めてのコースを、全開で走る拓海。

 

 

 

 

しかし、かなりの距離を開けてスタートしたエボIIIは、すぐにハチロクに追いついてしまう……

 

 

 

 

京一「ダウンヒルなら戦闘力のあったハチロクだが、平坦となると話は変わる……ハイパワーマシンへのタイヤやブレーキの負荷も少ない……」

 

 

あえて抜かしはせず、ハチロクを煽る京一。

 

 

 

拓海「……………」

 

キレた走りを続ける拓海。それはまるで、ある時の碓氷峠の池谷のようだった。だがそんなハチロクも、エボIIIを前に無力に等しかった。それでも京一は、わざと後ろに付き拓海の走りをじっくりと観察する。

 

 

 

 

京一「奴はここを初めて走る……それにこのマシンでこのペース……パワーが発揮できるからいいものの、コーナリングはまるで曲芸だ……神業のような峠センスだ」

 

 

 

 

京一はわかっていた。マシンで勝っているからハチロクに追いつけること……だが、勝ちは勝ち、負けは負け。それが京一の信念だ。

 

 

 

 

 

 

〜その頃、渋川市〜

 

文太「(ほう……拓海が梅田にねぇ……しっかし何だ……妙な胸騒ぎがするな……)」

 

 

 

 

 

 

そして両者、前半区間で唯一のダウンヒル、ヘアピン前のストレートに入る。

 

京一「さて……ここで奴が得意のダウンヒルセクション……下りながら一気にブレーキングしてヘアピンだ……」

 

 

 

 

 

しかし……!!

 

 

 

 

 

京一「アイツ!!ヤバい!!次はヘアピンだぞ!?流石に判らなかったか!?」

 

 

 

だが……!!

 

 

 

 

\ギャアアアアアアアア/

 

\ファン ファン/

 

 

 

 

ストレート後のヘアピンは、複合コーナーになっている。

 

入り口は緩く、中速コーナーに見えるのだが……突如としてインに切れ込み、ヘアピンであることをようやく気付かせる。

 

 

 

 

しかし拓海は、マシンをスライドさせながら、中速コーナーにみせかけた箇所で見事にヘアピンに対応できるスピードまでコントロールしてみせたのだ。さすがの京一とエボIIIでも、この走りには到底付いて行けなかった。

 

京一「アイツ……あの突っ込みでここをクリアしやがった……普通ならハイスピードアンダーでクラッシュだ……信じられないようだが……神業のようなマシンコントロールだ」

 

 

 

 

その後、連続ヘアピンの後、集落セクションへと差し掛かる。

 

京一「見ていて惚れ惚れする……こんな走りをする奴に、今まで会ったことがない……!!」

 

 

 

 

 

集落セクションは、道路の両端に白線が引かれていない。夜間の道路は、外側の白線がないと、一気に車幅感覚が解らなくなる。しかし拓海は、それをモノともせずとてつもないペースで駆け抜ける。さすがに京一も焦りだす……かに見えた。

 

 

京一「アイツ……とてつもない……!!清次が負けるのもわかる……どうする……!?このまま先行で行かせて最後のストレートでチギるか、それとも……」

 

 

だが、すぐに我に返る京一。

 

 

「……フッ、俺らしくもねぇ……答えは一つだ……ここでカッとなってチャージするのは、愚の骨頂だ……」

 

 

そして……!!

 

\フォオオオオオオ/\パン/\フォオオオオオオ/

 

 

 

拓海「……………!!」

 

 

林道手前の、一時的に幅が広くなる、上り始めの連続S字セクションで、エボIIIは一気にアクセル全開、京一はハチロクを苦もなく抜き去った。

 

このセクション、コーナー自体はうねうねしているが、直線的なラインを描けば結構なスピードが乗る。もっとも、そのパワーがあればの話だが……

 

 

 

拓海「くっ………!!」

 

 

 

連続S字セクションを、全開で駆け抜ける拓海。しかし、エボIIIの圧倒的なパワーを前に、手も足も出ない。ずっと全開で行けるのも、ハチロク程度のエンジンパワーだからだ。

 

 

 

そして両者、林道セクションへ突入する。しばらく緩やかななヒルクライムが続く。

 

 

京一「アイツ……!!バックミラーからでもわかる……こんな狭いセクション……ハチロクとはいえ、普通は初めてでこんなペースでは走れない……!!」

 

 

 

 

しかし、京一は残酷な現実を拓海に見せつける。

 

 

 

 

\フォオオオオオオ/\パン/\フォオオオオオオ/

 

僅かだがヒルクライムのこの区間。2台がギリギリ並べるスペースしかないこのセクションで、京一は驚異的なスピードで、WRCさながらの走りを見せつける。

 

いくら拓海とて、付いて行けない……

 

 

 

 

同じく驚異的な走りを見せる拓海。この林道をアクセル全開で駆け抜けていく。

 

そして、この講習会(セミナー)の終わりは、意外な形で、だがとある者にとっては予想通りの形で、幕を閉じた。一基のエンジンとともに……

 

 

 

 

 

\バァン!!!!/

 

 

 

 

 

拓海「はっ………………」

 

さっきまでキレていたのが嘘のように、頭が真っ白になる拓海。

 

 

 

 

\ギャアアアアアアアアア/

 

エンジンが壊れてロックし、クラッチを切らないとそれに伴い駆動系もロックする。

 

だがクラッチを切るどころか、微動だにしない、できない拓海。自分の身に降り掛かった現実に、完全に固まってしまっていた。

 

リアタイヤがロックしたハチロクはコントロールを失う。

 

 

 

 

 

\ギャアアアアアアア/\キュキュ/

 

 

何とかどこにもクラッシュせず、道路脇の川にも落ちず、停止したハチロク。

 

 

 

 

 

\シューーーーーーーーーー/

 

\ポトンポトン/

 

 

 

 

ボンネットからは煙が立ち込め、エンジン下からはオイルが滴る。

 

ハチロクのエンジンは、終わった。

 

180000kmオーバーの、大往生だった。

 

 

 

 

拓海「はっ………はぁぁぁぁぁぁ………」

 

何が起きたのか、全く状況が分からない拓海。

 

 

 

 

そして、何かを察知したのか、京一が引き返してハチロクの元までやってきた。そして拓海に話しかける。

 

 

 

京一「レースの世界では、エンジンブローは負けなんだがな……俺は初めに言った通り、お前とバトルしたつもりはない」

 

 

 

諭すように続ける。

 

 

 

京一「完全に、エンジン終わってるだろう……いい機会だから、ハチロクはもうツブしたらどうだ」

 

 

 

拓海「……………!?」

 

信じられないような顔をする拓海。ハチロクとお別れになるんじゃないか……しかもそれが自分のせいだなんて……そんな思いが頭をよぎっていた。

 

 

 

 

京一「お前が新しい車に乗り換えるまで、勝負は預けとくぜ」

 

\フォオオオオオオ/

 

京一は走り去っていった。

 

 

 

 

拓海「大好きな……大好きな……俺の……ハチロク……」

 

 




京一を惚れ惚れとさせるほどの走りを見せたが、ハチロクのパワーではそれもつかの間、京一のエボIIIにあっさりとチギられてしまった。そして、林道のヒルクライム区間で、とうとうハチロクのエンジンはブローしてしまった。頭が真っ白になった後、悲しみに暮れる拓海。しかしこの後、意外な人物が拓海の前に現れるのだった……!!

(一旦連載途切れます 筆者より)
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