もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
桐生・梅田でブローしてしまったハチロクを載せた積載車は、拓海たちの地元・渋川方面へと向かった。国道を進み、遂に積載車とハチロクは家まで帰ってきた。
文太「よし、お前はここで降りろ……今日ぐらいはゆっくり寝て休んどけ」
拓海「お、おい……ハチロクは降ろさないのかよ……?」
文太「あのなぁ……エンジンぶっ壊れた車、こんなとこに置いててもしょうがないだろう……」
拓海「………」
拓海は、ここでハチロクと最後のお別れになる……そう思って、積載車から降りて立ち尽くす。
文太「じゃあな……」
拓海「………」
積載車の、ハチロクの姿を、最後の最後まで見届ける拓海だった。
家の鍵を開け、自分の部屋のベッドに横たわる。
(\ファアアアアアアアアア/\バァン!!/)
拓海「はっ!!」
さっき起きた嘘みたいな出来事が、何度も脳内で再生される。
拓海「親父……あんなこと言ってたけど……内心怒ってるんだろうなぁ……俺があんな無茶なバトルになんか乗ったせいで……」
拓海は、今日あった一連の出来事、梅田に繰り出すきっかけになった出来事まで、全てを悔いた。
一方……
政志「おうおう、見事にやっちまったなァ」
文太「あぁ……良くやった方だ……仕方ねぇよ……」
政志「どうやら、エンジンが先だったな……」
文太「そうだな……」
政志「どれどれ、いっちょ見てみるか」
文太は政志の工場に赴き、ハチロクを降ろしていた。
政志はハチロクのエンジンをチェックする。
政志「なるほどねぇ……こりゃ大惨事だったな……ブロックが逝ってるぜ」
文太「どうしようもねぇよ……」
政志「ふふっ、そりゃ残酷すぎる言葉だぜ文太」
文太「なんだ?意味ありげに」
政志「まっ、文太には関係ないことだがな!(笑)」
文太「ほぉ……まぁ、いっか」
政志には、秘策があった。
このエンジンを活かす方法……
だが、それはこのハチロクではない。
池谷から聞いていた、一つの話があったのだ。
政志「軽トラ一台あるから、代車代わりに乗ってけよ」
文太「助かるぜ……」
文太は軽トラに乗って、自宅へと帰った。
そして、いつも通りに晩酌する。
幾多の経験を積んできた文太にとって、これぐらいの事どうってことなかったのだ。しかし、拓海にとっては……
拓海「くそっ!全然寝れねぇ!!しっかし、親父帰ってきたのか……?いつも通りに晩酌なんかしやがって……思い入れってもんがないのか、あのクソ親父!」
文太には、全てわかっていた。
ハチロクに起こった出来事が拓海に及ぼす影響まで……
だから、壊れるか負けるかするまで、エンジンは積み替えないと言ったのだ。文太的には、エンジンが壊れるほうが経験になると踏んでいた。まさに文太の思惑通りに、事は進んでいたのだった。
政志「さぁて、明日にでもエンジン降ろすか……使えっかなぁ?シリンダーヘッド」
ハチロクは、政志の工場に降ろされ、秘密裏の計画が遂行されようとしている。そして、起こった出来事が衝撃すぎて眠れない拓海。全てを解っている文太。そして、政志の意味ありげな言葉。果たして、どのように事は進んでいこうとしているのか……!?
(今後は、3日に1話程度の更新になると思います。筆者より)