もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
ギャラリーE「2台共ヘアピンをクリアしてきたぞ!!」
ギャラリーF「ここからが見せ場だ!がんばれ!高橋涼介!!」
集落セクション入口付近は、別の道路への分岐点がある。ここにギャラリーが大勢集まり、バトルを見守っていた。
ギャラリーE、F「FCが前だ!!」
\プォンンンンンン/
\フォンンンン/\パパッ/
ギャラリーE「ひぇ~!!あれが相手のランエボのミスファイアリングシステム!すげぇアフターファイアだぜ!!」
京一のエボⅢには、ラリーカーと同じターボラグを打ち消すシステム、ミスファイアリングシステム(別名アンチラグシステム)が搭載されている。
エンジン系統の寿命と引き換えに、ターボの弱点は相殺される。一瞬の操作ミスも許されない4WDには、まさに無敵のマシンと化すアイテムだ。
この集落セクション以降、それがどう活きるのか……?
京一「ふっ……涼介、こんなもんか……ハイパワーターボ、コンパクトなボディに4WD、そしてこのミスファイアリングシステムには、到底及ばない……」
この集落セクション序盤は、木造の家が少し立ち並ぶ箇所がある。車が停まっている場所もある。少しでもミスをすれば家は全壊だ。
そしてここは、道幅が狭い。涼介は、リスクを侵さぬよう、何が起きても対応できるよう、ここでは抜かれないと踏んであえて70%程度にペースを落としていた。
涼介「京一……相変わらずお前は解っていない……ここはストリートだ……閉鎖されたサーキットやラリーのステージとは違うんだ……!!」
そして、無事集落を抜け、本格的に山奥へと突入していく……!
路面は荒れ始め、路肩のない路面はドライバーの目が物を言う。
そこは二人共拮抗していた。
京一「涼介め……集落のところだけビビってスピードダウンか……そんなこざかしいことが、ストリートのテクニックってのか!?」
ここからは、荒れた路面にダスティな路面と続く。4WDのエボⅢに有利なセクションだ。
そして採石場セクション。道幅が一気に広くなり、昼間ダンプカーがまき散らす粉塵により路面は砂まみれだ。
京一「俺の見せ場は………ここだ!」
\フォオオオオオオ/\パン/\フォオオオオオオ/
ギャラリーG「おい!須藤京一のエボⅢがここで仕掛けた!!」
ギャラリーH「こんなμの低いところで仕掛けるなんて、どんな神経してるんだ!?」
(μが低い……摩擦係数が低い=グリップが効かない)
涼介「やはりここで来たか!!京一!!」
道幅が広いが、路面のμは著しく低い。そしてクネクネしたこのセクション。2台が並ぶことで、このセクションは一気に低速区間へと様変わりする!!
京一「フッ……」\パパン/
涼介「くっ……!!」
そしてそのμの低さを逆手に取って、4WDのアンダーステアをすべて帳消しにしていく。もちろん、その腕がある前提の話だ。素人ならアンダーステアをかえって助長させてしまう。だが京一は違った……!!
有効に使える僅かな幅を使い、振り返しながら曲がっていくエボⅢ。そして……
京一「コレで俺の勝ちだ……お前に抜き返すチャンスは……ない!」
京一の言う通り、この先には2台並ぶのがやっとの幅の、林道セクションが待ち構える。抜き場所など、ほぼないも同然だ。
そしてこの林道セクション手前を境に、群馬県から栃木県へと突入する。栃木県佐野市飛駒町のセクションだ。
涼介「ここで京一が仕掛けてくるのは大方目に見えていた……お前はそういう奴だというのは、俺が一番良く解っている……だが、それが命取りにならなければいいがな……」
京一「さて……ここから俺のホーム、栃木エリアだ……お前に前を行かせることはさせない……いや、ない!!」
林道セクションの手前で、2つのコーナーだけセンターラインと路肩のラインが現れ、まともな道になるように見える。
だがそこを抜けた瞬間……一気に2台は林道セクションへと突入する!!
京一「こんな狭い道では、お前どころかどんなドライバーも仕掛けられない……お前について来れるか……」
\フォオオオオオオ/\パン/\フォオオオオオオ/\パパン/
ギャラリーI「いよいよ林道に入ってきたぞ!!」
ギャラリーJ「須藤京一が前だ!!すげぇ、まるでWRCさながらの走りだぜ!!」
この狭い道は、まるでWRC(世界ラリー選手権)のステージのような場所だ。京一のエボⅢは、無類の強さを発揮する。
涼介「付いて行くのがやっとだ……ここはまだ路面がキレイに舗装されている……だが……」
林道の前半は、急なコーナーのない高速セクションだ。僅かな道幅を、とてつもないスピードで駆け抜ける2台。しかし、涼介はここで京一に付いて行くのが精一杯だ。そして……
\キィーーーーー/
\フォン フォン/
\プァン プァン/
秋名のハチロクの撒き散らしたオイルの位置を、二人共完全に把握しており、華麗にパス。
そしてそのまま2台は、林道の山頂へと突入する。ここから路面の性格が一気に変わる!
\ガタガタガタガタガタガタガタ/
涼介「クソっ……このままじゃ……」
あまりの路面の荒れ具合に、流石の涼介もフラつく。しかし京一は……
\フォン フォン フォオオオオオオ/\パン/
4WDの安定性を活かし、この路面でもビクともしない。
更に……
\つるっ/
\ギャアアアアアア/
常に湿っていて苔の生えた路面。FRのFCには、かなりきつい。半端なドライバーなら、即スピンして崖に張り付くか谷底行きだ。
京一「FCが離れたか……さすがのお前でも、物理法則を前にしては太刀打ちはできない……マシンの基本構造なくして、テクニックは活きない!!」
京一がFCを突き放しにかかる。このセクションでの京一の走りは、鬼神がかっていた……!!
涼介「予想以上だ……京一がここまでやるとはな……俺が仕掛けられるのは……もうあそこしかない……!!」
集落セクション後半に京一が仕掛け、順位が入れ替わった。得意の林道セクションを、恐ろしい速さで駆け抜けるエボⅢ。涼介にとっては、秋名のハチロク以来のピンチかもしれない。さらに、突き放しにかかられている。さて、このまま涼介とFCは、どうなってしまうのか……!?