もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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桐生・梅田 〜 栃木・飛駒間の、北関東同士のガチンコバトルは、群馬の高橋涼介が半車身前で勝利する形で決着がついた。湧き上がる群馬エリア勢、そして落胆するエンペラー。しかし、そこに意外な人物が顔を出すのであった……!!


Act.62 走り屋達の楽園(序章)

 

 

 

 

 

\バン/

 

\プォオオオオオオオ/

 

 

 

 

京一に一言残し、その場を去る涼介。

 

京一「(すげぇぜ……お前は……お前こそ、ストリートの天才だ……)」

 

 

 

そして……

 

京一「長居は無用だ……帰るぞ」

 

 

 

ゴールで待っていたエンペラーのチームメイトを引き連れて、さっきまで全開で走った道を戻る。

 

日光方面へは、一度桐生梅田のダム湖まで戻り、別の山道を抜けて草木ルートの道路に乗ると、1本で到着する。(草木: 地名)

 

そのため、エンペラーは梅田のコースを戻る間、地獄を味わうことになる。

 

 

 

ギャラリーE「おらおら!この負け犬パンパン野郎め!!」

 

ギャラリーF「もうお前らは群馬に立入禁止だぁ!!」

 

 

 

ギャラリー達「ウゥゥーーーー」

 

大ブーイングが飛び交う。

 

 

 

 

 

一方、スタート地点では……

 

 

 

健二「さすがに可哀想じゃないか……?こんなブーイングの嵐」

 

樹「何言ってんすか健二先輩!!あいつら、俺たちを散々コケにしたんっすよォ!!」

 

池谷「樹、確かにお前の言う事にも一理ある。だけど、このブーイングの様、ちょっと酷すぎるぞ……かえって群馬エリアの民度が低いって思われちまう」

 

樹「確かに……言う通りっすねェ……」

 

 

 

 

池谷は、豊富な知識と、熱くなりすぎない所、冷静な分析力、そして何より、弱い立場の者にも手を差し伸べる、その人間性こそが、チームリーダーとして、そして走り屋としての強みだ。あともう少しテクニックに磨きがかかれば、群馬最速クラスに達する所まで来ている。

 

 

健二も、この異様なブーイングには違和感を覚えた。健二は知識は持ち合わせつつも、感覚的に物事を把握することもできるタイプだ。

 

 

 

 

健二「池谷、俺にいい案がある」

 

 

池谷は健二に耳を貸す。

 

 

池谷「おいおい、そんな事しても大丈夫か……!?向こうは負けた直後だぜ!?」

 

健二「だからこそだよ……このまま群馬エリアがブーイング野郎ばっかりの民度の低いエリアだって思われたままじゃ、メンツが立たねェだろ、それに……」

 

 

 

そのまま健二は続けた。

 

 

健二は、今住み込みで働いている自動車工場近くの峠、金山においてはなかなか有名になるほど腕を磨いている。

 

健二はずっと気になっていた。一体自分はどれくらいのレベルの走りができているのか……

 

 

 

 

そこに……!!

 

ギャラリーA「おらおら!来たぞ負け犬軍団!!何がエンペラーだ!!」

 

ギャラリーB「調子に乗るのは名前とでっかい下品なリアウイングだけにしろよな!!」

 

 

 

エンペラー達がスタート地点に戻ってきた。

 

ふと池谷は気になり、清次達のいるスタート地点側のエンペラーの方を見た。

 

 

 

清次達はその場に立ち尽くし、ブーイングに晒されるばかりだ。まるで拷問だ。

 

これは放ってはおけない。

 

 

 

池谷・健二「ちょっと待ったぁ〜!!」

 

ギャラリー達「!?ざわ……ざわ……」

 

 

 

ダム湖の橋の上に立って、エンペラーを止めに入る二人。

 

ギャラリーは一斉にざわつく。

 

 

 

京一\キュキュ/「何の真似だ……俺たちは負けたんだ……」

 

池谷「まぁそう固いこと言うなよ」

 

健二「負けたって言っても、ほぼ互角みたいなもんだろ?」

 

京一「俺は涼介に完全に見切られていた……俺の視野が狭かっただけだ……ストリートにはストリートのテクニックがあると……気付けなかった俺が悪い」

 

 

 

涼介に負けて、完全に勢いを失っている京一。だが、健二の提案していたことが、ここで出る……!!

 

 

健二「群馬の峠は、お前たちが回ってきた所だけじゃないんだぜ?秘密の楽園がある」

 

京一「秘密の……楽園……?」

 

健二「ああ、走り屋にとって最高の楽園だよ……皮肉で言ってるわけじゃねェぞ!?」

 

 

そして……

 

 

健二「来いよ、金山」

 

京一「何……金山……!?」

 

 

一度かニ度は聞いたことがあったようだ。巷では有名なショートコースだからだ。

 

バトルには不向きだが、走りを楽しむ者にとっては楽園のような場所だ。また、それでありながらレベルも高い。

 

 

 

時間は夜11時前、土曜日だ。金山は最高に盛り上がっている。

 

走り屋のしがらみうんぬんが嫌いで、ここでそういう事に囚われず、好んで走る者もいる。

 

今金山で盛り上がっている走り屋は、まさに今日の対決など見向きもしなかった連中ばかりだ。

 

 

 

健二はそのことを一通り説明した。涼介にストリートのことを言われたばかりだ。バトルの後で目も慣れている。タイミングとしては、最高だ。

 

 

京一「わかった……そこまで言うんなら、付き合ってやる。あと……」

 

健二「何だ……?」

 

 

 

その後京一から発された言葉は、意外なものだった……

 

 

 

京一「群馬エリアも、悪いやつばかりじゃないんだな……恩に着るぜ」

 

 

京一「お前ら、行くぞ!負けの凱旋となっちまうが……そんな事は関係ない。俺達ができることをやるまでだ」

 

清次「助かったぜ……」

 

 

 

健二たちがエンペラー達に話しかけている間に、野次を飛ばす連中は、いつの間にかいなくなっていた。

 

 

 

健二「じゃあ、俺たちに付いてきてくれ!栃木エリア最速クラスの奴らが来るとあっちゃあ、盛り上がるのは間違いないぜ!!」

 

京一「わかった……」

 

 

 

 

金山のある群馬県太田市は、梅田のコースのある桐生市の隣だ。つまり、そこまで離れていない。

 

そして、30分そこらで金山のコースふもとに到着した。

 

 

 

そこに、ちょうど下ってきた走り屋もいた。

 

走り屋A「なんだこりゃ!?ランエボだらけじゃねぇか!!」

 

走り屋B「この場所でランエボ見るなんて珍しい……大抵インプなのにな……」

 

走り屋C「先頭は最近有名なあの180じゃねえか!!すげぇ奴等引き連れて来やがった!!」

 

 

 

 




金山は、いわゆるバトルというものを滅多にしない。前の車に連なって走るスタイルだ。金山から下ってきた3台のマシンは、ランエボのスタートを、ハザードを焚いて待っている。果たして、この後どんな光景が待ち受けるのであろうか!?
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