もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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エンペラー達先行で金山を一本往復した健二。しかしここから健二は休息し始める。同時にエンペラーはこのコースの攻略に入る。樹はまだ健二の同乗走行を体験していないが、「次は乗せる」と健二は明言した。果たして、健二の思惑とは……!?


Act.65 走り屋達の楽園(後編)

 

 

 

樹「ねぇ健二先輩〜、まだッスかァ〜!?早く健二先輩の走り、体感したいっすよォ〜!!」

 

健二「まァそう焦るなよ樹ィ、待てば待つほど、面白いモンが見れると思うぜェ!」

 

樹「それって……」

 

 

 

 

健二は、エンペラーがこのコースに馴染むのをひたすら待っている。そして同乗走行をひたすら待つ樹。

 

 

 

 

〜約1時間後〜

 

 

京一「大分このコースを攻略できてきた。涼介の言っていた、対向車線の攻略も、かなりモノになってきたぜ……ただ、ずっと練習走行じゃあな……美味しい獲物が欲しい……」

 

 

健二「獲物なら、ここにいるぜ」

 

樹「ちょっ!!!やめてくださいよォ健二先輩〜ィ!!!」

 

 

 

樹をエンペラーの前に差し出す健二。

 

 

京一「………(汗)」

 

 

 

健二「冗談だよ、樹」

 

樹「フォォォ、てっきり俺が走らされるのかと思いましたよォ!」

 

 

 

ここからが、今回エンペラー達を金山に連れてきた目的にして、本題だ。

 

 

 

 

健二「須藤京一、俺と走らねェか?獲物には、俺がなるぜ!」

 

京一「お前がか……FRじゃ話にならないな……と、言いたいところだが、お前はこのコースを熟知している……少しは楽しめそうだ」

 

健二「そうこなくっちゃな!!」

 

 

 

健二の思惑通りに、事は進んだ。

 

 

 

健二「今回は少し特別だ……一番下からスタートしてまず上り、駐車場でそのまま折り返して下って、一番ふもとまで行くんだ。先行後追い形式でどうだ?」

 

京一「いいだろう……」

 

 

 

健二は、これがやりたかったのだ。

 

北関東最速クラスである京一に、どこまで迫れるのか、自分のレベルがどこにあるのか……

 

 

 

健二「ははっ、いよいよだな、樹」

 

樹「け……健二先輩……マジでやるんですか……!?あの須藤京一と……高橋涼介に負けたと言っても、ドラテクは同じくらいですよォ!?」

 

健二「そうだなァ」

 

 

 

淡々と返事をする健二。よほどの自信がないと、このような振る舞いにはならない。

 

 

 

健二「おいみんな!珍しいがここでバトルだ!駐車場まで全開で上ってきて駆け抜けていく!スペースを確保しておいてくれ!!」

 

 

 

真ん中の方に止めていた車は、みな端の駐車枠に移動させる。

 

エンペラーの他のメンバーも、端にランエボを並べる。

 

 

 

清次「あの180の野郎……京一とマジでやる気だ……そこまでオーラは感じないがな……京一にどこかでチギられるのがオチだぜ……」

 

 

 

健二「先行が後追いか、どっちがいいか選んでくれ」

 

京一「後追い……と、言いたいところだが、今回はあえて先行で行かせてもらう」

 

 

 

清次が京一の側まで来る。

 

清次「おい京一、シミュレーション1か……?」

 

京一「あぁ……あの180の奴から、大したオーラは感じない……余計な詮索をする価値はないと判断した……先行でチギって、格の違いを見せ付けるだけだ」

 

清次「その通りだぜ京一!」

 

 

 

この時点で、彼等は健二のことを完全に舐めきっている。

 

健二があまりにも軽いノリでバトルと言い出したからだ。

 

このバトル、どうなるだろうか……?

 

 

 

健二「んじゃ、ふもとまで下るぜ?下りで軽くウォーミングアップ走行して、上りからスタートだ」

 

京一「わかった……」

 

 

 

樹「くぅうううう!!ようやく健二先輩の同乗走行だ……ワクワクしてたまんないッスよォ!!」

 

健二「見せてやるぜ!俺がここで鍛え上げた本気の走りをなァ!!」

 

 

 

\フォン フォオオオオオオ/

 

 

いよいよふもとまで下り始めた、180とエボIIIの2台。

 

健二はウィービング(ジグザグ走行)してタイヤを温めながら下っていく。

 

京一「フッ……笑わせるぜ……そこまでのことをして、お前に何ができるってんだ……速い奴に感じるオーラは、お前には無かった……上りだけでチギって、ジ・エンドだ!」

 

 

 

 

そして、ふもとに到着した。先行して下った健二は、自動的に後ろに付くことになる。そしてスタートのポジションに付いた。

 

京一のところに駆け寄る健二。

 

 

 

健二「お前の好きなタイミングでスタートしていいぜェ!準備ができたらハザードを焚いて、消したらスタートだ!」

 

京一「わかった……」

 

 

 

樹「(わぁ……いよいよだなァ……下りのウォーミングアップでも、健二先輩の180、たまにヤバい動きしてたよ……どんなことになるのか、正直怖いよォ……)」

 

 

 

健二が180に戻ってきた。

 

 

 

健二「さ、いよいよだぜ、樹」

 

樹「あっ、はーい」

 

健二「シートベルト、しっかり付けとけよォ!」

 

シートベルトを正しく締め直す樹。そして……!!

 

 

 

 

エボIIIのハザードが点滅した……

 

樹「ヤバい……いよいよだァ……」

 

 

 

 

そして……!!

 

 

 

\パッ/

 

ハザードが消えた!!

 

 

 

\フォオオオオオオ/\パン/\フォオオオオオオ/

 

4WDの全開加速で、京一はスタートした。

 

 

 

\キュルキュルキュル/\フォオオオオオオ/

 

樹「ぐあァアアアアアアア!!!」

 

続く健二の180。FRなので4WDに比べるとどうしても出足が遅れる。しかし……!!

 

 

 

\ギャアアアアア/

 

2台とも1コーナーを華麗にクリア。ここからが本当のバトルだ……!!

 

 

樹「くッ……!!ぐァッ!!ヒィィィイイイ!!!」

 

あまりの健二のペースと、280馬力までパワーアップした180の全開ヒルクライムに、言葉にならない声を発するしかない樹。

 

 

今のところ、スタートで出遅れた以外は、エボIIIに付いていっている。

 

 

名物のバンクヘアピンも……

 

 

\ギャアアッ/\ギャアアアアアアア/

 

エボIIIは、ここを強烈なフェイントモーションで曲がった。曲がらない4WDを、曲がる車にするための必須技だ。

 

だが、このアクションが、後半ボロとして出ることになる……

 

 

 

 

\キュルキュルキュルキュル/

 

対して、派手なアクションは起こさず、ゼロカウンタードリフトで曲がる健二。FRのヒルクライムは、これくらいが一番速いのだ。

 

 

 

このままペースは変わらず上っていく。そして、金山名物にして最大の難所、多角形中高速コーナーに差し掛かった。

 

 

\ギャアアアアアア/

 

京一は、ここをスライドさせて走ることで、対向車にいつでも対応できることを身に着けた。ところが……!?

 

 

 

\キュルキュルキュルキュル/

 

健二は再びゼロカウンタードリフト。対向車が来れば終わりだ。

 

 

 

そしてそのまま対向車なしで、この多角形コーナーを終えた。すると……!?

 

 

 

京一「!?バッ……バカな……!?」

 

180がエボIIIにピタリと張り付いている。健二はこのコーナーでマージンを目一杯削り、京一に追いついたのだ。

 

金山で走る走り屋達を信頼しているからこそ為せる技だった。

 

 

 

 

そのまま最終盤の高速セクション、そしていよいよ、駐車場広場の折り返しに入る……!!

 

 

 

清次「あの野郎に何かできるとは思えねェけどな……京一のブッチギり……」

 

 

しかし……!!

 

 

 

 

清次「あァ!?なんだとォ!?」

 

清次が見た光景は、予想していたものとはかけ離れたものだった……!!

 

 

 

 




いよいよスタートした健二と京一とのバトルは、折り返し地点まで来た。2台はエンペラー達の予想を裏切り、接近戦となっていた。この駐車場の折り返し地点、何かアクションはあるのだろうか……!?
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