もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
樹「ねぇ健二先輩〜、まだッスかァ〜!?早く健二先輩の走り、体感したいっすよォ〜!!」
健二「まァそう焦るなよ樹ィ、待てば待つほど、面白いモンが見れると思うぜェ!」
樹「それって……」
健二は、エンペラーがこのコースに馴染むのをひたすら待っている。そして同乗走行をひたすら待つ樹。
〜約1時間後〜
京一「大分このコースを攻略できてきた。涼介の言っていた、対向車線の攻略も、かなりモノになってきたぜ……ただ、ずっと練習走行じゃあな……美味しい獲物が欲しい……」
健二「獲物なら、ここにいるぜ」
樹「ちょっ!!!やめてくださいよォ健二先輩〜ィ!!!」
樹をエンペラーの前に差し出す健二。
京一「………(汗)」
健二「冗談だよ、樹」
樹「フォォォ、てっきり俺が走らされるのかと思いましたよォ!」
ここからが、今回エンペラー達を金山に連れてきた目的にして、本題だ。
健二「須藤京一、俺と走らねェか?獲物には、俺がなるぜ!」
京一「お前がか……FRじゃ話にならないな……と、言いたいところだが、お前はこのコースを熟知している……少しは楽しめそうだ」
健二「そうこなくっちゃな!!」
健二の思惑通りに、事は進んだ。
健二「今回は少し特別だ……一番下からスタートしてまず上り、駐車場でそのまま折り返して下って、一番ふもとまで行くんだ。先行後追い形式でどうだ?」
京一「いいだろう……」
健二は、これがやりたかったのだ。
北関東最速クラスである京一に、どこまで迫れるのか、自分のレベルがどこにあるのか……
健二「ははっ、いよいよだな、樹」
樹「け……健二先輩……マジでやるんですか……!?あの須藤京一と……高橋涼介に負けたと言っても、ドラテクは同じくらいですよォ!?」
健二「そうだなァ」
淡々と返事をする健二。よほどの自信がないと、このような振る舞いにはならない。
健二「おいみんな!珍しいがここでバトルだ!駐車場まで全開で上ってきて駆け抜けていく!スペースを確保しておいてくれ!!」
真ん中の方に止めていた車は、みな端の駐車枠に移動させる。
エンペラーの他のメンバーも、端にランエボを並べる。
清次「あの180の野郎……京一とマジでやる気だ……そこまでオーラは感じないがな……京一にどこかでチギられるのがオチだぜ……」
健二「先行が後追いか、どっちがいいか選んでくれ」
京一「後追い……と、言いたいところだが、今回はあえて先行で行かせてもらう」
清次が京一の側まで来る。
清次「おい京一、シミュレーション1か……?」
京一「あぁ……あの180の奴から、大したオーラは感じない……余計な詮索をする価値はないと判断した……先行でチギって、格の違いを見せ付けるだけだ」
清次「その通りだぜ京一!」
この時点で、彼等は健二のことを完全に舐めきっている。
健二があまりにも軽いノリでバトルと言い出したからだ。
このバトル、どうなるだろうか……?
健二「んじゃ、ふもとまで下るぜ?下りで軽くウォーミングアップ走行して、上りからスタートだ」
京一「わかった……」
樹「くぅうううう!!ようやく健二先輩の同乗走行だ……ワクワクしてたまんないッスよォ!!」
健二「見せてやるぜ!俺がここで鍛え上げた本気の走りをなァ!!」
\フォン フォオオオオオオ/
いよいよふもとまで下り始めた、180とエボIIIの2台。
健二はウィービング(ジグザグ走行)してタイヤを温めながら下っていく。
京一「フッ……笑わせるぜ……そこまでのことをして、お前に何ができるってんだ……速い奴に感じるオーラは、お前には無かった……上りだけでチギって、ジ・エンドだ!」
そして、ふもとに到着した。先行して下った健二は、自動的に後ろに付くことになる。そしてスタートのポジションに付いた。
京一のところに駆け寄る健二。
健二「お前の好きなタイミングでスタートしていいぜェ!準備ができたらハザードを焚いて、消したらスタートだ!」
京一「わかった……」
樹「(わぁ……いよいよだなァ……下りのウォーミングアップでも、健二先輩の180、たまにヤバい動きしてたよ……どんなことになるのか、正直怖いよォ……)」
健二が180に戻ってきた。
健二「さ、いよいよだぜ、樹」
樹「あっ、はーい」
健二「シートベルト、しっかり付けとけよォ!」
シートベルトを正しく締め直す樹。そして……!!
エボIIIのハザードが点滅した……
樹「ヤバい……いよいよだァ……」
そして……!!
\パッ/
ハザードが消えた!!
\フォオオオオオオ/\パン/\フォオオオオオオ/
4WDの全開加速で、京一はスタートした。
\キュルキュルキュル/\フォオオオオオオ/
樹「ぐあァアアアアアアア!!!」
続く健二の180。FRなので4WDに比べるとどうしても出足が遅れる。しかし……!!
\ギャアアアアア/
2台とも1コーナーを華麗にクリア。ここからが本当のバトルだ……!!
樹「くッ……!!ぐァッ!!ヒィィィイイイ!!!」
あまりの健二のペースと、280馬力までパワーアップした180の全開ヒルクライムに、言葉にならない声を発するしかない樹。
今のところ、スタートで出遅れた以外は、エボIIIに付いていっている。
名物のバンクヘアピンも……
\ギャアアッ/\ギャアアアアアアア/
エボIIIは、ここを強烈なフェイントモーションで曲がった。曲がらない4WDを、曲がる車にするための必須技だ。
だが、このアクションが、後半ボロとして出ることになる……
\キュルキュルキュルキュル/
対して、派手なアクションは起こさず、ゼロカウンタードリフトで曲がる健二。FRのヒルクライムは、これくらいが一番速いのだ。
このままペースは変わらず上っていく。そして、金山名物にして最大の難所、多角形中高速コーナーに差し掛かった。
\ギャアアアアアア/
京一は、ここをスライドさせて走ることで、対向車にいつでも対応できることを身に着けた。ところが……!?
\キュルキュルキュルキュル/
健二は再びゼロカウンタードリフト。対向車が来れば終わりだ。
そしてそのまま対向車なしで、この多角形コーナーを終えた。すると……!?
京一「!?バッ……バカな……!?」
180がエボIIIにピタリと張り付いている。健二はこのコーナーでマージンを目一杯削り、京一に追いついたのだ。
金山で走る走り屋達を信頼しているからこそ為せる技だった。
そのまま最終盤の高速セクション、そしていよいよ、駐車場広場の折り返しに入る……!!
清次「あの野郎に何かできるとは思えねェけどな……京一のブッチギり……」
しかし……!!
清次「あァ!?なんだとォ!?」
清次が見た光景は、予想していたものとはかけ離れたものだった……!!
いよいよスタートした健二と京一とのバトルは、折り返し地点まで来た。2台はエンペラー達の予想を裏切り、接近戦となっていた。この駐車場の折り返し地点、何かアクションはあるのだろうか……!?