もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら   作:にしむー

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いよいよ金山のバトルも折り返し地点。広い駐車場に差し掛かる。しかしここで、信じられないことが起こる。そしてそれが、このバトルの命運を分けることになる。一体何が起こるというのか……!?


Act.66 走り屋達の楽園(フィナーレ)

 

 

 

 

金山の頂上の駐車場は、入口のみ一方通行になっている。その手前はシケインになっており、速度がガクッと落ちる。駐車場セクションは、小回りさせてクイックに曲がろうとした京一。しかし……!?

 

 

\ギャアアアアアア/

 

 

思いっきり外に飛び出した健二の180。またゼロカウンタードリフトだ。そして……!!

 

 

\フォン フォン フォオオオオオオ/

 

樹「ぎえェエエエエエエ!!他の車にぶつかる〜〜〜ッ!!」

 

 

 

清次「一体何なんだ!?こりゃア……!?」

 

 

 

同じく見ていた池谷も……

 

池谷「け……健二……お前……ウソだろ……!?」

 

 

 

 

京一は、停まっている他の車を気にして、この駐車場セクションを全開で攻め切れない。モータースポーツを行う京一にとって、この行為はピットロードやパドックを、全開走行するようなものだったからだ。反射的に、そうなってしまった。

 

 

 

 

池谷「いっけぇえええ!健二!!スピードスターズの底力見せてやれ!!」

 

清次「ウソ……だろ……!?」

 

 

 

 

エンペラーの他の連中も騒ぎ始める。

 

 

 

 

健二は、なんとこの広い駐車場で、アウトから京一を抜き去った。

 

停まっている車のギリギリの幅まで使った。

 

 

 

 

 

そして、2台は下りへと差し掛かる。

 

 

 

だが………4WDのアンダーを打ち消すために派手なモーションを繰り返した京一のエボIIIタイヤは、悲鳴を上げていた。

 

そしてエボIIIは、フロントヘビーの車だ。フロントタイヤの負荷を打ち消すために、リアタイヤを積極的に使うため更に派手なアクションが必要になる。

 

一方、180はというと、前後重量配分が適切な車だ。更にリアサスペンションは優秀な日産のマルチリンク。FRながら、安定した走りが可能なのだ。

 

 

 

 

 

下りでもスッとノーズが入る180。一方派手なアクションが必要なエボIII。なんと、その差は少しずつ開いていった。

 

 

 

 

 

樹「ぐあァアアアアアア!!!なにかの間違いっすよォオオオオオオ!!!!」

 

京一を突き放す健二に、絶叫してただけの樹も遂に本気でビビり始める。

 

 

 

 

そして、相変わらずのゼロカウンタードリフトを決める健二。アクセルワークだけで曲がっていく。

 

 

 

 

 

京一「ダメだ……俺は完全にあの180の野郎をナメていた……そんな速い奴のオーラは感じなかったはずなのに……一体何なんだ……アイツは……!?」

 

 

 

 

 

そして、ゴール地点。京一はタイヤが悲鳴を上げ、急勾配ではエボIIIのフロントヘビーが仇となり、なんと健二に100m以上突き放されて負けてしまった。

 

秋名スピードスターズが、北関東最速クラスとして認められた瞬間だった。

 

 

 

 

 

健二が降りて京一のエボIIIの所まで駆け寄る。

 

京一「何の用だ……」

 

 

 

 

 

しかし、健二から発せられた言葉は、意外なものだった……!!

 

健二「ありがとよ!バトルに付き合ってもらって……楽しかったぜ!」

 

京一「そうか……」

 

健二「高橋涼介とバトルした後のタイヤなのに、よくここまでのペースで初めてのコースを走れるな!すげェよ!!」

 

京一「それは……被肉で言ってるのか……?」

 

健二「いいや違うね……俺は梅田でのバトルを見ていた……お前の走りの凄さは充分知ってるよ……また暇つぶしにでもいいから、遊びに来いよな!」

 

京一「次は……必ず勝つ」

 

 

 

 

 

一方、頂上の駐車場────

 

 

 

池谷「何ィ!?本当に健二が、あの須藤京一に勝っちまった……!?」

 

あまりに意外な展開に、ポカーンとするしかなかった。

 

 

 

 

 

清次「ウソだろ……京一が、一夜にして2度も負けた……今回のはお遊びのバトルだったにしろ、負けは負けだ……信じられねェぜ……群馬エリア……俺の群馬エリアに対する認識は、180度変わったぜ……」

 

 

 

 

 

頂上まで戻ってきた2台。

 

 

 

京一「引き上げるぞ」

 

      \フォン/

 

\フォン/

 

           \フォン/

 

エンペラー軍団は、すぐ帰路についた。

 

長居は無用、というわけだ。

 

 

 

 

走り屋1「おーい!ランエボ軍団が帰るぞォ〜!!」

 

走り屋2「たったあれだけの練習であそこまで走れる奴見たことないぜ!!」

 

走り屋3「楽しかったぜ!!また遊びに来いよォ〜!!」

 

 

 

京一「負けたのにこんなに歓声を浴びるとは……不思議な場所だぜ、ここは……何かに行き詰まった時、また来よう……そしてあの180とも……どこかで正式に決着を付ける……!!」

 

 

 

 

 

その後、池谷は健二の所に駆け寄る。

 

 

 

 

池谷「お前……あの須藤京一に……勝ったぞ……!?」

 

健二「まさか俺がここまでのレベルになってるとはなァ……少し自信持てたよ」

 

池谷「少しって……もっと自信持っていいんじゃねぇのか!?」

 

健二「須藤は高橋涼介とのバトルで疲れていた……タイヤもかなり使い切った後だった……勝てたのは、向こうのコンディションが万全じゃなかったからだよ」

 

池谷「いや、それだけじゃない」

 

 

 

 

池谷は続ける。

 

 

 

 

池谷「駐車場のターンの所で見たけど、お前のあのゼロカウンタードリフト……普通じゃないぜ……アクセルだけでコーナリングをコントロールして、アウトからエボIIIを抜き去るなんて……正気の沙汰じゃないよ……お前、今度秋名に戻ってきて一緒に走ってくれないか……?」

 

健二「そんなに凄いのか?あの走り方……自然と身に付いたんだけどなァ……ココ走ってたら……最近秋名もご無沙汰だったし、久々に走りたいと思ってたとこなんだ……次の日勤の時の休み、そっちまで戻るよ!」

 

池谷「頼むぜ!約束だぞ!!」

 

 

 

 

しかし、池谷はあることに気付く。

 

 

 

 

池谷「おい、健二、そういや樹、やけに大人しくないか……?」

 

健二「そういやそうだなァ……最初は絶叫しまくってたけど、慣れたのか何も言わなくなって……って、えェェェェェェ!!」

 

 

 

 

 

樹「ほわぁあああああ………」

 

 

 

 

 

健二「あ〜あ、見事なご尊顔だぜ、いつかの池谷みたいにな!ハッハッハッ!!」

 

池谷「こら、その話はもうナシだろ!!」

 

 

 

3人も帰路についた。

 

 

 

 




まさかの須藤京一に勝った健二。エボIIIも京一も、疲れ切っていたとはいえ、北関東最速クラスであることに変わりはない。その京一に勝ったのだ。そして、速いにも関わらずそのオーラを全く見せなかった健二。それが、この先のスピードスターズの戦いで、大きな武器になっていく……!!
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