もしも秋名スピードスターズが北関東最速クラスのチームだったら 作:にしむー
池谷・健二「………!!こっ、これは……!!」
政志がブルーバードSSS-Rのエンジンカバーをめくった瞬間、一瞬で空気が張り詰めた……!!
池谷「本当に良いんですか……?俺なんかに、こんなお宝」
政志「おっと、秋名スピードスターズは秋名山最速なんじゃなかったのかい?リーダーさん」
池谷はハッと気づく。今まで発してきた言葉の重みと責任感を……
池谷「……はい!もちろんです!!と言いたいところですが、まだまだ現状俺には修行が足りません……でも、いつかこのエンジンの性能、最大限に引き出せるようになってみせます。そして、名実共に秋名山最速のチームを引っ張っていきます!!」
政志「(やっぱりだ……食い付きいいな……この青年)そうだその意気だ!そうやってエンジンに魂を吹き込んでやるんだ。念を掛けながら作業をすると、不思議と車は答えてくれるんだよな」
長年メカニックとして車に携わってきた政志の言葉は強く鮮明に池谷の心に刺さった。
池谷「店長から、いつでも積み替えできるって聞きました。いつが都合いいでしょうか?」
政志「昼から夕方は他のお客さんの整備で手が開かないんだが、夜なら開いてるぜ?君が決めな、好青年」
池谷「そしたら早速、今日の夜、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
政志「ああ、わかった。夜7時以降くらいなら開いてるぜ?1日2時間ずつやって、少しずつ完成させていこうな」
池谷「わかりました!それじゃあ、今日の7時、またお伺いします!」
政志「オッケー、待ってるぜ〜!(やる気あるなぁ〜、早く相棒に乗りたくて仕方がないんだろうなぁ〜。若い頃を思い出すよ)」
健二「あの……俺も作業の見学というか、手伝えるところは手伝ってもいいですか……?」
政志「もちろん、大歓迎だ!」
池谷・健二「それじゃあ、一旦失礼します」
工場を後にする二人。池谷は健二に自宅まで送ってもらった。
池谷「いよいよ今日の夜からか……S13が前以上になって蘇っていくのか……楽しみで仕方がないよォ!!」
夜7時前、政志の工場へ向かう池谷と健二。
健二「いよいよだなぁ、お前のS13復活に向けての儀式」
池谷「そうだよ……ウズウズしてたまんないよォ!!」
健二「また早くお前と秋名山で走りたいよ」
池谷「そうだな」
政志の工場に着いた二人。
池谷「ごめんくださ〜い!池谷です!」
政志「おう、来たな好青年!準備は万全だぜ!入ってくれ!」
S13のそばに置かれたSSS-Rのエンジンに、再び息を呑む池谷と健二。
健二「本当にこれが、お前のS13の心臓部に載るのか……!?」
池谷「そうだな……俺にも信じられないぜ……」
「そういえば」
池谷はある重要なことに気付く。
同じCA18エンジンでも、S13とSSS-Rとの相違点に……
少し不安になって政志に聞く。
池谷「政志さん、そういえばブルーバードのエンジンって、横置きですよね?でもS13のエンジンは縦置き……てことは、当然ポン付けは無理……ですよね?」
政志「ああ、よくメカのことわかってるな青年、そうだ、まずSSS-Rの補機類を全部取っ払って、S13の補機類に付け替えるんだ」
池谷「それはつまり……」
政志「そうだ、前に付いてたS13の補機類は引き継がれるってわけよ!」
池谷「(自ら魂を吹き込むってのは……こういうことだったのか……!!)つまり、前のエンジンは完全には死んでない、魂は引き継がれるってわけですね……!?」
政志「おう、そうよ!勘がいいねぇ!俺は今までそうやったエンジン換装作業を何回かやってるよ。縦置きのAE86に、横置きのAE101のエンジン積んだりな」
池谷「やっぱり!まずはその補機類換装作業、やらせてください!」
政志「あぁ、いいぜぇ。君、GSの店員やってんだっけ?工具の使い方は慣れてるよな?」
池谷「はい、もちろんです。今までS13の整備、自分の手でやってきましたから……後々は整備士免許も取って、うちのGSで本格的に整備もやる予定です」
政志「なら大丈夫だな!工具貸して見ててやっから、一回自分達の力だけでやってみな」
池谷「わかりました!」
池谷「健二、見守っててくれよ……俺の作業……少し雑用があったら手伝ってくれ」
健二「もちろんだぜ!こんなお宝がお前のS13の心臓部に乗るんだ……俺までワクワクしてくるよ!!」
いよいよブルーバードSSS-RのCA18エンジンに池谷の手が入る。はたして、上手くいくのだろうか……そしてその先、S13はどのように生まれ変わるのか……!?