才華学園にご用心!   作:メリー・ナノバ

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第1話 E

こうして、俺はめでたく進学することになった

まあこの【才華学園】とか言う学校を聞いた事自体聞いたことも無いし、誰かからの悪戯なのかもしれない

 

「とりあえず、説明会に行ってみるか」

 

手紙の裏には説明会の日付、入学式の日付そしてご丁寧に学校への行き方が書いてあった。

まあ、ネットで調べても出なかったし当たり前か

 

電車を乗り継ぎして、たどり着いた場所は正しく異世界とも呼べる程の学校だった

庭に噴水がいくつもあり、金持ちの別荘と言われる方が自然まである

 

「招待状を確認いたします」

 

「うおっ!」

 

スーツを着た高身長の男がこちらを見下ろしていた

 

「あっえーと…これ、ですかね?」

 

男は招待状を受け取り、5秒程手紙を見つめていた

 

「日暮 紅葉様、招待状を確認いたしました」

「どうぞ、中へお入り下さい」

 

男に促されるまま、屋敷に入る

下駄箱らしき物も無いので、男に土足で入っていいのか聞く

 

「ここ土足で行って大丈夫ですか?」

 

「問題無いです」

 

「わかりました、ありがとうございます」

 

再び屋敷へ入る

目の前には階段があり、その左隣に扉が2つある

右には庭への入口らしき物がある

 

階段の左の扉には「説明会場はこちらです」の看板がある

言われるがままに、扉の前に立ち、ドアノブをひねる

 

扉の奥はさっきまでの屋敷とは打って変わって、普通の学校の廊下のようだった

その異質さにさっきの扉はワープゲートではないのかと錯覚するほどに

 

「あら、その驚いてる様子を見るに新入生?」

 

呆気にとられている所に女子生徒と見られる存在が話しかけて来た…が、この異質さの前では、目の前にいる存在には気づけなかった

 

「…ちょっと!無視?」

 

「え、あ、いつの間に…」

 

「ずっといたんだけど」

 

目の前の存在に気づいた時には、目の前の女子生徒は少し機嫌が悪くなっていた

 

「ごめん、少しボッーとしてたみたいだ」

 

「別にいいけども、貴方新入生?」

 

「まだ入ってはいないけど、質問の意図を読み解くならそうかな」

 

「そうなのね、私も新入生なんだけど会場がわからなくて…」

 

廊下の先には扉がずらっと並んでいたが、どれも窓のような中を覗ける所はなく、迷ってしまって当たり前に感じた

 

「んーと、入口にいた関係者に聞けばわかるんじゃない?」

 

「確かにそうね、聞いてみましょ」

 

「そういえば、名前は?」

 

「あぁ、自己紹介がまだだったわね」

「私の名前は椿 春歌(つばき はるか)よ、よろしくね

あなたは?」

 

「俺は日暮 紅葉だ、よろしく」

 

「そう、日暮君ね」

 

「よろしく、椿さん」

 

「椿でいいわ」

 

「じゃあ、よろしく椿」

 

「ええ、でも何回よろしく言うつもりかしら?」

 

「確かにな…ん?」

 

自己紹介も済み、ドアノブに手をかけた

そして、違和感を感じ取った

平和だった空気に突如不穏な空気が流れてくる

 

「どうかしたの?」

 

椿もどうしたのかと聞いてくる

 

「ぐっ…何故、扉が開かない…」

 

「えっ…ちょっと、私にやらせて」

 

「どう?」

 

「ぐっ…駄目ね」

「壊れてるなら仕方無いわ、行きましょ」

 

「…そう…だな」

 

どうやら、椿は切り替えの早いタイプのようだ

 

「さて、どうしようかしら」

 

「てかさ、なんか変じゃない?」

 

「え、何がよ」

 

「だってこの先の扉のどこかが、説明会場なら声がするはずでしょ?」

 

「確かに…でも防音なだけじゃないかしら」

 

「んーそっか」

 

説明会場は基本、体育館等の広い所でやるはずだ

体育館全てが防音なんてあるのか?

という疑問を頭の中だけで解決するには学生二人の知識では不可能に等しかった

 

「まずいわ、説明会まであと10分も無い」

 

「やばいな」

 

焦った思考では最早どの扉に行けばいいのかという議論をする余地はなかった

 

「…説明会場は手前から6番目の教室だ」

 

後ろから女性の声をかけられ、振り向くとそこにはスーツを身にまとう女性が立っていた

呆然としながら、感じた疑問を聞こうとした

 

「何をしている、行かないのか」

 

「ありがとうございます、行きましょ日暮君」

 

「あぁ、ありがとうございます」

 

しかし、遅刻しては元も子もない

椿への返事をし、女性への感謝も述べる

が、不快感の理由が分かった時には会場である教室の扉を開けていた

 

「よし、間に合ったわね」

 

壁にかけられた時計は指定の時間の4分前だった

前の黒板に貼ってある紙には座席が決められており

横6列の縦4列の24席+2席だった

俺は右から二列目の一番前で、椿は右から五列目の三番目だった

 

「揃っているな」

 

席に座ってから約10秒後、廊下で会った会場の場所を教えてくれた女性が入ってきた

 

「まず最初に、この学校に招待された者に言っておく事がある」

「それは、才能の持ち主であるという事だ」

「次にこのクラスにいる者達」

「お前達はその代用品…という事だ」

 

おいおい、いきなり入ってくるなりなんなり、君達は才能を持ってるけどそれより凄い人いるからめっちゃすごいわけじゃないよね 的な感じの事を言ってきたぞ、この人

 

「すみません、質問よろしいですか?」

 

眼鏡をかけたTHE 委員長みたいな男が手を真っ直ぐ挙げていた

 

「なんだ?」

 

「先程の発言の意図をお聞かせ願いたい」

 

「そのままの通りだ、他にいるか?」

 

つまり、本当に俺達は代用品と言いたいのか

委員長(さっきつけたあだ名)はムッとしながら席に座る

 

「他にいないなら、話を続ける」

「そして、お前達がこの学校に入学した場合は裏と呼ばれるクラスになる」

「例えるなら、1ー1(裏)となるわけだ」

 

なるほど、俺達は3組裏と呼ばれるクラスになるわけだ

しかし、野球じゃないんだから裏の意味がわからない

でも裏があるなら

 

「そして、裏があるなら表もある」

「これはお前達代用品より優れているクラスを指す」

「つまり、1ー1(表)という事だ」

 

やはり表もあるか

しかし、肝心の表裏の存在する理由が明かされていない

才能ある若者が何人いようと学校には利益しかないはず

 

「で、中には表裏ある理由を考えてる奴もいるだろう」

「教えてやる、それはお前達と全く同じ才能を持っているからだ」

「例えば…そうだな」

「鍵 雄馬(かぎ ゆうま)、お前にはテニスの才能がある…違うか?」

 

鍵と言う名前の人物は「そ、そんなことないっすよ〜」と満更でもなさそうに照れていた

 

「だが、お前よりテニスの才能を持つ生徒が表のクラスにもいる、それだけだ」

 

その一言に鍵は笑顔では無くなった

 

「これで表裏の存在する意味を理解できたか」

「そして、この表裏は変化する」

「方法としては、三ヶ月に一回実力テストを行う」

「これで同じ才能を持つ者よりテストの点が高い者が表となる」

「表の人数が多いクラスが表となる」

 

少々駆け足で女性は表裏のルールについて説明していく

要は学校は競争をさせたい訳だ

しかし、これには少し不可解な点がある

それは、表の生徒には点数で勝っていないのに表の生徒になってしまう可能性があるからだ

 

「そして、2回連続裏になった生徒にはこの学校にいる資格は無い」

 

この言葉にクラスはざわめき、俺も動揺する

 

「つまり、退学してもらう」

 

そして、この一言にクラスは静まった

驚きすぎて逆に静かになる、あれだ

 

「あ、あのー、流石に冗談ですよね?」

「そっか、びっくりした〜冗談か〜」

「そうだよな、退学とか流石にないよなー」

 

一人の女子生徒の発言に続いて皆話し始める

誰も冗談とは言っていないのに、冗談と言うことになっている

まあ、流石に冗d

 

「冗談では無い」

 

 

「確かにお前達は才能の持ち主だ」

「しかし、社会が求めているのは唯一無二の才能の持ち主だ」

「裏のままのお前達に興味などは持たれない」

「しかし、表の生徒には進学又は就職への協力を惜しまない、奨学金も返金不要だ」

「以上で説明会を終わりとする、是非この学校への入学を決めてくれ」

 

スーツの女性が出ていっても、誰も何も言わないし言うことも見つからなかった

結局あのまま解散となり、入ってきた扉に向かう

 

「ねえ、あの話どう思う?」

 

横から椿が聞いてくる

 

「正直信じられない、が嘘をついていたようにも見えない」

 

「貴方は入学するの?ここに」

 

「あぁ、それ以外に選択肢はないからな」

 

「即決とは随分肝が据わっているのね」

 

本当に選択肢が無いだけなのだがな

 

「椿はどうするんだ?」

 

「私もここに入るわ、表になればいいだけよ」

 

少し楽観的だが椿の言う通りだ

だが、表になるというのは実質的には表の生徒を退学に追い込むと言うこと

その覚悟が俺にあるのかどうか…

 

「…まあ、それも社会だよな」

 

「え?どういうこと?」

 

「えっあっいやっ何でもない独り言だ」

 

口に出てたみたいだが、誤魔化せたようだ

 

「そういや、ここの扉壊れてたんじゃ…」

 

「そういえばそうね」

 

「んー、直したのか?」

 

「貴方が壊してたんじゃないかしら?」

 

「んなわけ…あるのか?」

 

そんなくだらない事を言いながらも、内側からは開けられないようになっているかもしれないという事には目を背けることにした

だってそれはこの

 

【才華学園】の更なる闇を見てしまう気がしたから

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