セルフィアにもう一人オリキャラをぶち込みたくなった話 作:からすま
はちゃめちゃにうまかった。
草が頬を擽る、穏やかな風が吹いて木の葉が擦れる音が聞こえる。こんなにも天気は良いのに、体の痛みが邪魔をする。
日の光が真上から注がれてるから昼かと思い体を起こす。擦り傷や火傷など、いたるところに傷がある。何故こんな所で寝てるんだ……?
そうだ、モンスターの波を掻き分けて…どうしたんだったか。
~数時間前~
夜の森を埋め尽くすモンスターの群れ。それは種族や強さも関係なくただ大量に湧き出た災害の様だった。
ギャァアア!!フゴッゴブっ!ピィィィィ!!
一体何だこれは、いくら還してもキリがない。
夜営中に大量のモンスターに襲われて、今はどうにか切り抜けているものの現在の場所は全くわからない。焚き火や寝床など、とうに踏み荒らされてしまっている。
既に百を越えるモンスターを還してはいるが、減った様子は無く、増えているようにすら見える。
何百種ものモンスターが溢れていたので大元を断とうとモンスターの波を逆に上がっていく。還しながら進むと、そこには10メートルはあるだろうゲートがあった。今も絶えずモンスターが湧き出ている。
とにかくゲートを壊せばこのモンスターの濁流も収まるだろうと周りからの攻撃など無視して、無我夢中でゲートを壊した。
すると周りのモンスターを吸い込みながらゲートが消滅する衝撃に俺も巻き込まれた。
そして、今に至る。
そうだった。夜営中にモンスターの行群に襲われて…ゲートが破壊された衝撃で意識飛んでたのか。
とにかく体にある傷を魔法で癒してから、進む方向を決める。今まではとにかく北に進んでいたのだが、さきの戦いでコンパスやら食料やら全て失ってしまった。
太陽の動きを見て進む方向を決めようと、暫く待ってみた。
一時間
いっこうに太陽が動く気配を見せない。
ニ時間
未だ真上から動かない陽の光。
三時間
……同上……
いや、流石に変だな。どうなってるんだ?
森の中、開けた場所で待っているが、どうやら太陽は動きたくないらしい。一日中昼間の場所なんてこの大陸で聞いたこと無い。
無闇に動くのは危険だと知りつつも辺りを探索することにした。
森とはいえ……こんな景色だったろうか。それに、あの量のモンスターと戦ったというのに…戦闘の跡が何もない。
意識を失う前にはドラゴンやオーク、幽霊や妖精など統一性の無い大群と戦った。炎を吐いたり妖精の魔法だったりで木は薙ぎ倒され、焼かれていたのだ。それが何の痕跡も無くなっているのだ。
暫く探索しているとオークが現れ、此方に襲い掛かってきた。剣を抜いて応戦しようとモンスターを斬りつけた時。
鮮やかな血飛沫が自らの顔を濡らす。
(………は?)
この世界の武器にはタミタヤという魔法が掛かっており、本来は始まりの森にいるモンスターを還す様にできている。それは武器が作られた時点で掛けられる、切れることの無い魔法。
俺の使う剣にも掛けられていた、筈だった。
目の前に倒れ血に染まるオークはピクリとも動かない。
数秒の間思考が止まってしまったが、血の匂いで他にモンスターが来るのも厄介だと思いその場を離れることにした。
付いた血を流そうと川を探していると水場を見つけた。周りにモンスターがいないのを確認して、服と体を洗っていく。
服は木に掛けて魔法でウィンドとファイアを使って乾かす。改めて周囲を見渡すと先程とはガラッと変わって人工物のような物がチラホラと見える。水の遺跡がこんな感じだったが……周りを見ても遺跡はほんの少ししか無いみたいだ。
一日中探索を続けている……筈だ。ここはずっと明るいから時間感覚が狂ってしまう。この場所についてはまだ謎だらけだ。
探索し続けると不思議な現象が起こる。ある程度進むと別の空間に飛ばされるのだ。森、遺跡、墓場など、行ったことのあるようで見たこと無い場所に飛ばされてしまう。
まるで世界を切り取って無理矢理繋ぎ合わせたような。
ある程度進むと塔に辿り着いた。ここには狐の像が二つ並んでいるだけで、特に何もなかった。今心配なのは食糧だ。モンスターを食うのにはまだ抵抗がある。
しかし、これが何日も続くようなら……覚悟を決めよう。
・・・
始まりの森へ行く方法を探して二日程経った……未だに進展は無い。カインさんもまだ帰ってきてはいない。かなり遠くまで転移してしまったようだ。
畑仕事を終えて、情報を集める前に温泉で汗を流そうと宿屋に入った時、シャオさん、エルミナータさん、アーサーさんが、誰かを囲んで集まっていた。
「フレイ!」
「見つけたわよ!真犯人をね!!」
「犯人ではなく、心強い協力者ですけどね」
「え……?」
「よう。バレットだ、よろしく。アンタ達『ゲートリジェクト』を探してるんだってな」
「ゲートリジェクト?」
「はじまりの森にあるものを呼び出す、移動系の魔法だ」
「それって……!」
「はじまりの森に行った人間を呼び戻すことができる魔法とも言えるな。実際に、そうやって戻ってきた人間を、オレは知ってるよ」
「いや、幸運でした。屋敷に戻って、はじまりの森から帰ってきた人物について調べていたところ、その関係者がこの町にいることが分かったのです」
「しかし、コハクさんが来て作業に集中できなくなり外に出まして……」
「手がかりを探すなら、お屋敷か旅館と決まってるでしょ?というわけで、屋敷はコハクにお願いしたのよ!そして、私が見事に見つけたわけ!」
「花瓶の水が汚れてるのをな……で、急いで取り替えようと思ったら、うっかり花瓶を落として……」
「それで、帰ろうとしてたところを足止めされたわけだ」
「そこにちょうど私がやってきたというわけです。わずかな情報だけで、見つけられるかどうか不安でしたが……そのバンダナのおかげで、すぐに気が付きました」
「じゃあ、この人がその関係者……さん?」
「はい、そうなります」
「そ、それで……はじまりの森の人間を呼び戻す魔法っていうのは!?」
「ああ。そうだったな。ゲートリジェクトという魔法だ。オレが教えてやることもできる」
「それじゃあ……!」
「ただし、残念ながら、誰にでも使えるわけじゃない」
「え……?」
「かくいうオレも、使うことはできないんだ。この魔法は、アースマイトにしか使えないからな」
「それでどうしたものかと話をしていたところだったのです」
「それなら大丈夫です!私はそのアースマイトみたいですから」
「なんですと!?」
「驚いたな……。じゃあ、教えてやるから、さっそく試してみるか?」
「はい!よろしくお願いします!」
「よし。覚えたか?」
「はい」
「じゃあ、試してみるか。誰かはじまりの森に助けたい奴がいるんだろ?頭の中に、そいつの名前を思い浮かべろ」
レオンさん……
「それから、そいつがどんな奴なのか。知ってる限り思い出すんだ」
セルザを救うために、守り人になった最初の人……!
「よし!さあ、唱えろ!」
「…………ゲートリジェクト!!」
バチッ…!バチバチ…!!ゴゴゴゴゴ……ドゴォン!!
「うわあ!?」
「フレイさん!?」
「大丈夫か!?」
「い、いきなりすごい力が身体に流れ込んできて……」
「……ひょっとしたら、制御しきれない量のルーンを移動しようとしたんじゃないか?人間やモンスターを一体呼び出す程度ならそんなことにならないとは思うが……なにを呼び出そうとしたんだ?」
そうか。レオンさんはまだ守り人だから、セルザを支える程のルーンを持っているんだ。
「とにかく、そいつをこの魔法で運び出すのは無理そうだな……」
「じゃあ、私がはじまりの森に行ってきます」
「な……!?」
「ムチャだが!」
「そうよ!何があるかわからないのよ!?大体『はじまりの森』にだって行ける確証はないんだし……」
「……入る方法の検討はついています。それに、アースマイトの私にしか、あの塔に居る人は救えないんです。だから私が巨大なゲートからはじまりの森に入って、あとはこの魔法を使って脱出できれば……」
「それは無理だ。」
「ゲートリジェクトはな、はじまりの森にあるものを、自分の元に呼び出す魔法なんだ」
「じゃあ、はじまりの森でこの魔法を使っても……」
「意味がない。さらに言えば、これは何かを呼び出す魔法だ。自分にこの魔法を使っても効果はないよ」
「そんな……」
「……それなら、こいつを使うといい。帰還の指輪だ。こいつを使えばはじまりの森から帰って来れる。ただ、おそらく、一度使うと壊れちまうが……」
「すごい……。どこからこんなのものを!?」
「オレはアースマイトが使ってた古代文字、アース文字の研究をしてたんだ。アースマイトじゃなくても、アースマイトの魔法を使いたくてな。最初は、さっき帰ってきたって言ったそいつを助けるために。もう一つは、アースマイトだからって、無茶をしちまうヤツの力になるために」
「今のあんたたちなら、オレの気持ちが分かるんじゃないか?」
「まあ……」
「……そうですね」
「推理するまでもないわね!」
「あんたを見ていて思ったよ。アースマイトっていうのは、お人好しで頑固なヤツらばっかりなんだな」
「ありがとうございます?」
「叱ってんだよ。っと、つい昔の口調がでちまった……まあ、とにかくだ。その指輪は、呪文に反応するように作られてる。助けたい相手を捕まえて、『アリア』と唱えろ。呪文を唱えると、指輪をはめた人間と、そいつが持ってるものを転送してくれる」
「チャンスは一度きりだ。失敗するなよ」
「フレイさん……」
「大丈夫です。絶対に、セルザを助けてみせますから!」
「うん!いい気合いね!」
「うむ。がんばれ!」
「この場はお願いするしかないようですね。よろしくお願いします。フレイさん。」
「……はい!」
「本当はもう一つくらい渡してやりたいんだが……。今は一つしかないんだ。この指輪はおいそれと作れるものじゃなくてな……悪いな」
バレットさんから帰還の指輪を貰ってから、セルザの様子を見に行くことにした。これは帰れなくなるかもしれないのだ。……カインさんにも会いたかったけれど、仕方がない。私一人で決着をつけよう。
セルザは竜の間で体を伏せて寝ていた。
「うっ……!はぁ……はぁ……」
「大丈夫!?セルザ!!」
「………………。」
「セルザ……今からレオン・カルナクに行ってくるよ。きっとレオンさんを助けてくるから。だから……もう少しだけ、待っててね…」
セルザから貰った御守りをぎゅっと握り締めて竜の間を後にする。町を出てレオン・カルナクへ向かうが、道中にかなりのモンスターがいた。これもゲートが活性化している影響なのだろうか。
レオン・カルナクの前には大きなゲートが見える。周辺はモンスター達が暴れたのだろうか、大木が倒れていたり地面が焦げたりしていた。
これを壊せば、始まりの森に……。
ゲートはまだ活性化していないのか、ポツポツとモンスターが出てくるだけで破壊することができそうだ。そしてゲートに渾身の一撃を入れると、ゲートが閉じようとしているのか、大きな力で引っ張られる感覚がある。
そして私は、意を決してゲートの中に入り、始まりの森へと転送された。
…よし、中には入れたみたい…先に進もう。
はじまりの森は現世、レオン・カルナクと融合している影響か、大地の所々が不安定になっているみたいだ。先を進むと、白い回廊に辿り着く。
一面真っ白で平衡感覚がおかしくなりそうだなと思っていると、突然頭の中に直接声が響く。
あたしが守り人になれば、
セルちゃんを助けられるんだよね?
なら、かまわないの
みんなと会えなくなるのは
さみしいけど、セルちゃんを元気にするためなら
……ううん、お別れはやめておくの
セルちゃんに言ったら、とめられちゃうと思うから
そういえば、はじまりの森への扉は開いたの?
……そっか
じゃあきっともうすぐ、何もかもうまくいくの
その時まで……
ねえ、あたしね
いつか目覚めたら、きっと
元気になったセルちゃんと一緒に、この空をとびたいの
あの青い空を、2人で
だから……
…………セルちゃんのこと、よろしくね
「今のは……?」
声は収まり、進もうと思って回廊を抜ける。森のような所にたどり着き、モンスターが倒れているのを見つける。
見つけたモンスターは全く動かず、血を流していた。おそらく…死んでいる。そこで気付く、このはじまりの森ではタミタヤの魔法は機能するのだろうかと。還す魔法は、還る場所では機能しないのでは?
モンスターはできる限り追い払うようにしなきゃ…
森を抜けると回廊に入った。また頭の中には声が響く。
セルザは、このままだと助からないんだな?
オレがそのエーテルリンクってやつを使えば、セルザは元気になるのか?
……そうか。分かった
最後に一つ、教えてくれよ
オレが守り人に選ばれたのは、オレがアイツの一番の友人だからか?
………………そうか
ああ、あいつには何も言うな
自分のせいでオレがいなくなったと知ったら、あいつはたぶん、悲しむからな
オレはしばらく眠るだけだ
気にするなよ。待つのは慣れてる
ちょっと長い釣りだと思えばいい
そうだ。
今度目覚める世界では、アイツと一緒に、のんびり釣りでもできたらいいな
……なあ。オレたちには無理だったが、
いつか、誰かが形にしてくれるよな、セルザを救う方法を
だから、その時まで……
…………セルザのこと、たのんだぞ
声を聞いて回廊を進むと、次は水の遺跡に似た場所に出た。そこには人の生活してた跡の様な物がある。
……誰かここにいた?焚き火の跡がある。
その人を探すのも含めて先に進むことにした。また、白い回廊で声が響く。
パパとママには話してきたわ
セルザには………どうしても言えなかったけど
でも、もう心残りはないわ
そのエーテルリンクっていう魔法で、私を大地と融合させて
『待ってくださいまし!その役目、どうして私ではいけませんの!?想いの強さがセルちゃんを助けるなら、私だって同じくらい……!』
この魔法は、今はまだ人とルーンを融合させることしかできないの
だから、わたしがやるしかないのよ
『私が……ユウレイだからですの……?』
……そんな顔しないでよ
守り人になるっていっても、別に死ぬわけじゃないんだから
『でも、この時代の人とは、もう永遠に……!』
わたしは、セルザを助けるって選択を後悔したくないの
だから……お願い
もう、それ以上言わないで
『…………』
さよなら
パパとママにもよろしくね
『……サヨナラなんかじゃありませんわ。パパさんとママさんも言ってましたの。あなたの帰りを待ってるって』
……バカね
かなうはずないじゃない
『私は待ってますわ』
『ずっと。あなたのそばで』
『誰かが、いつかセルちゃんを助けてくれるまで』
『私は、待ってますわ』
『…………ルーちゃんの隣で、ずっと』
……ほんと、バカなんだから
やっぱり、これは守り人たちの記憶……みんな、セルザを助けたかった……一緒に、いたかったんだ。
必ずレオンさんを助けて町に戻ると決意し、歩みを進める。景色は塔の上になり、雲がとても近く高い所へ繋がった。
モンスターを避けながら、次の道へと抜ける。そして、回廊へと繋がった。
アンタがアースマイトってやつか?
ああ、悪い。聞く前に名乗るべきだな
オレはレオン。アンタに魔法をかけてもらいに来た
……ああ。説明は聞いた
俺の体を大地のルーンと融合させて、セルザウィードに送りつづける……
そのためには、アイツと強い繋がりを持った人間が必要だと
それでセルザが助かるんなら、俺に文句はない
ギセイなんて思っちゃいないさ。俺は竜の神官だからな
アイツを守るのは俺の役目だ。さしずめ、守り人ってところか
眠りながらでも仕事をするなんて、どこまで勤勉なんだって話だが
やり残したこと?
そんなのは山ほどあるさ。だが、それ以上に時間がない
アイツを助けるのは、俺の仕事じゃなかったってことだな
だから、信じてるよ
俺が見つけられなかった答えを、いつか、誰かが見つけてくれるって
そのときは、本当の意味でアイツを助けられる
あきらめなければ、きっと、いつか
だから、セルザのことをたのむ
あいつを救ってやってくれ。あきらめないで、何度でも
頼んだぞ、アースマイト
…………俺は、未来を信じてるからな
「みんなの、想いがあったから。みんなが、未来を信じてくれたから。今、私はここに居るんだ」
何があっても忘れないでください
こんな想いを繰り返してなお、何もできなかった無念を
彼らの思いをムダにしないために
その全てを終わらすために
僕たちは、この石を作り出したことを
「今のは……もしかして、アースマイトの?……行こう。みんなの想いを、無駄にしないために。全てを終わらせるために!」
回廊を抜けると、塔の頂上に出た。ここを進んだ先にレオンさんがいるだろう。……ここまで一本道だったけど、人とはすれ違わなかった。……多分…もう。
頂上には二体の狐の石像がそびえ立っていた。
「我ラ モリビト 護ルモノ」
「我ラ 神竜 護リシモノ」
「何人タリトモ」
「侵入ハ許サズ」
「私は…みんなの願いを背負ってる!レオンさんを、セルザを助けに来たんだ!!」
「言葉ハ 用ヲナサズ」
「チカラヲモッテ 指シ示セ」
汝ラノ――――未来ヲ
ルンファク5はなんかカクカクしててストーリーしか終わらせてないんですよね。