セルフィアにもう一人オリキャラをぶち込みたくなった話   作:からすま

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2章
十五話


 

 

 目の前には綺麗な雪景色が広がっている。その中で俺は木に生った果物をシャリシャリと頬張る。

 

 四足歩行で。

 

 なんか気付いたら獣型のモンスターになってた。

 

 

 

 はじまりの森で守り人の男とフレイを見送った後、これからどうしようかと大の字に寝転がっていた。エスケープやテレポートはうんともすんとも言わず途方に暮れていると、急に何かに引きずり込まれて視界が暗転した。

 

 体がバラバラになるような流れの中で藻掻いていると、放り出されるようにどこかの空へと投げ出される。幸い地面は深い雪で覆われていたので衝撃に身体を痛めることは無かった。

 

 雪から抜け出そうと無我夢中で外に出たら立てないし、体のバランスや重心がおかしなことになってる事に気付く。

 

 なんか鼻先が見えるし、下を向くと鋭利な爪が生えた綺麗な毛並みの黒い足が…。

 

 ………。

 

 

 思考放棄した俺は取り敢えず食べれるものを探しに慣れない四足歩行で歩く。…あ、左手は生えてたけど、片目は依然見えないままだった。解せぬ。

 

 

 

・・・

 

 

 

 記憶が戻った私は、カインを1人残して帰ってきてしまったことに塞ぎ込む。

 

 セルザの前で散々泣いた後、気付いたら自分の部屋で寝ていた。クローリカが部屋まで運んでくれたらしい。彼女は3日の間、呆然と虚空を見て動かない私の身の回りの世話をしてくれた。

 

 マーガレットは最初抜け殻の様な私を見た時、目に涙を浮かべて抱きしめてきた。以降毎日のように来てくれて、ちゃんと食べているか、危ない事はしないか等、出来る限り一緒に居てくれる。

 

 アーサーさんとキール君はゲートリジェクト以外の方法ではじまりの森から連れ戻す方法を調べてくれている。

 毎日のようにゲートリジェクトを試しているが、反応は無いまま。

 

 そうやって1週間程、未だ立ち直れない私は城の地下にある書庫ではじまりの森に関する本を読んでいた。その時、外から爆音と振動が伝わってくる。

 

 

「貴様……何者だ!」

 

「今の声は……フォルテ…!」

 

 本を置いて外へと向かうと、膝を着く鎧の男へ剣を向けるフォルテと、同じく横で剣を構えたダグの姿があった。

 

「ぐっ……!」

 

「暴れる場所を間違えたようですね。もう勝負はついたでしょう。大人しく投降しなさい」

 

「……はん。この程度で勝ったと思ってるのか?」

 

「なに……?」

 

「残念だったな。こっちには奥の手があるんだよ!……ほら、今だ!やれ!!」

 

 男は剣を向けられているにも関わらずダグへと意味不明な言葉をかける。

 

「……?」

 

「おい!オマエだよ! オマエ!!」

 

「……ハ?」

 

「「ハ?」じゃねえよ!こんな時のためのスパイだろうが!」

 

「な……」

 

「ったく。何とぼけてんだ?まあいい。ほら、さっさとやっちまうぞ!」

 

「うっ……」

 

「……ダグさん?」

 

「……っ」

 

 ダグは血の気の引いた顔でフォルテと鎧の男を交互に見る。その手は握り締められ微かに震えていた。そこで様子を見ていたのか、ダグと一緒に住んで雑貨屋をやっているブロッサムさんが出てきた。

 

「あんた、でたらめ言うんじゃないよ!」

 

「ば、ばあさン!?」

 

「ウチのダグが、そんなことするはずないだろう!!」

 

「ああん?んだこのババアは?」

 

「下がってろ、ばあさン!」

 

「いいや、そんなわけにはいかないね!いいかい?その子はがさつに見えるけど、本当はとても優しい子なんだよ!口では文句ばっかり言いながら、いつもお店を手伝ってくれるし」

「そんな子がスパイだって?誰がそんなこと信じるっていうんだい!?」

 

「ばあさン……」

 

「だーから、それが演技だって言ってるんだよ。なあ?オマエもなんとか言ってやれよ?」

 

「それハ……」

 

「ふん!どうせ追いつめられたからって適当なことでっちあげたんだろう。このヒキョウ者が!見苦しいったらありゃしないよ!!」

 

「こ…の……!調子に乗るなよ!この老いぼれがあ!!」

 

 男はフォルテが作った一瞬の隙をついてブロッサムさんへと走り、刃を振るう。

 

「やめろおおオ!!ぐアっ!!」

 

 ブロッサムさんをかばったダグは背中に大きな斜めの傷をつけられ血を滲ませる。怪我を負ってしまったダグへと駆け寄る。

 

「ダグ!!!!!大丈夫!?」

 

「フレイか……オレは大丈夫ダ…。それより…ばあさんハ……?」

 

「あたしゃ無事だよ!」

 

「うっ、ぐっ!……。はぁ、そいつはよかっタ……」

 

「ちっ……。ジャマしやがって」

 

「貴、様……っ!!」

 

「ゆるせない……!」

 

「うん?お前……フレイだったか。やっとお出ましだな」

 

「…なんで私の名前を……?」

 

「テメエを船から落としたヤツな。アレ、オレの部下だったんだよ。まあ、役に立たねえからって、処分されちまったけどよ」

 

「……!処分だなんて、そんな…」

 

「しかし、あの船から落ちたっていうのに、よくもまあ無事だったもんだな。あの時テメエがさっさとルーンスフィアを渡しておけば…。…いや、結果は同じか」

 

 私が無事だったのは……彼のお陰だ。自分の事など後回しにして……。

 

「それより、まずはコッチだ。おい、オマエ。どういうつもりだ?」

 

「くソ……。なんで……こんなことヲ……」

 

「それはこっちのセリフだよ。お前こそ何でそんなことしてるんだ?何で敵の身代わりになってんだよ」

「セルザウィードは親のカタキじゃなかったのか?「絶対、カタキを討ってやる」ってはりきってたじゃねえかよ?」

 

「……それハ……」

 

「その様子だと、思い出しちまったのか?お前らの一族を殺したのは俺達だって事」

 

 男はこともなさげに、他人事のような喋り方で言う。

 

「…………エ?」

 

「違ったのか?てっきりそのせいでオレらを裏切ったのかと思ってたが」

 

「……どういう……ことダ……?」

 

「どうもこうもねえよ。言った通りだ。お前の親を殺したのはセルザウィードじゃない。俺たちゼークスだってことだ」

 

「……なん……デ……?」

 

「あん?下っ端のオレが知るかよ。帝国の命令に逆らったとか、大体そんなとこだろうが、……まあ、つまり、今からオマエも、すぐ親に会えるってことだけどなぁ!!」

 

 困惑の表情を浮かべてブロッサムさんをかばい、動けないダグへともう一度剣を振りかざす男。そんな男とダグの前へと割りこむ。

 

「やめて!」

 

「おう、いいねえ!!そういうのたまらなくいいぜぇ!俺としても、お前に用があったわけだしなぁ!」

「俺の本来の使命は、目障りなアースマイトを排除すること。つまり、お前の息の根を止めることだ!」

 

 ダグとブロッサムさんを守るために剣を受け止めた私に対し、明確な殺意を持って剣を突き刺そうとしてくる。

 

「そうはさせません!!」

 

 フォルテは男へと体当たりをかまして私達との距離を離す。

 

「すみませんでした。私が未熟なばかりに……ですが……もう誰も、絶対に傷つけさせはしません」

 

「へえ……でも、そう上手くいくもんかね」

 

「あなた程度の腕で、私を倒せるとでも?」

 

「言ってくれるじゃねえか。まあ、今のオレじゃあ、どうしようもねえかもな。けど……切り札は、最後に取っておくもんだ」

 

 顔を覆う兜のせいで表情は分からないが、笑いを堪えるかの様に男は言う。

 

「今度はフレイさんがスパイだとでも言うつもりですか?」

 

「はっは。今度はそんなチンケなもんじゃねえよ。だから、お前らは簡単にやられるのさ!」

「ルーンスフィアの力を手に入れたこの俺にな!!!」

 

 男は懐に手を伸ばしたかと思うとルーンスフィアの欠片を手にして、見せびらかす様に突き出す。

 

「まさか……!」

 

「ああ、そうさ。お前が仕掛けたルーンスフィアは我らゼークス帝国が頂いたのさ!すげえぜ、これ!ハンパねえほどのルーンがあふれてくる!!」

「そういえば……。俺たちがルーンスフィアを頂いちまったせいで、今頃大事なセルザウィードちゃんもおねんねの時間だろうなぁ?」

 

「っ!あれがないとセルザは……!」

 

 

「悲しいだろう?悔しいだろう?だが安心しろ!」

 

"ゲートリジェクト"

 

「ルーンスフィアから手に入れたこのパワーで、キサマらを悲しみから解放してやる!!」

 

"エーテルリンク"

 

「――死をもってな!!!」

「せっかく手に入れた力だ!暴れまくるぜえぇ!!」

 

「なんだ、あれは……!人とドラゴンが……」

 

 男は後ろへ下がり呪文を唱えると大きな緑色のドラゴンを召喚し、次の瞬間にはドラゴンへと融合してしまった。緑色だったその鱗は赤く染まり不気味さを増す。

 

 ゲートリジェクトはアースマイトにしか使えない筈なのに。

 

「……!いや、今は考えてる場合じゃない!ブロッサムさん!ダグと安全なところへ!!」

 

「あ、ああ……」

 

「ばあさん……オレにつかまレ……」

 

「!?そんな体でなに言ってるんだい!?」

 

「いいかラ!!これくらいしないと…………オレの気が、すまねえんダ……フレイ、フォルテ、すまねエ。……あとは任せタ」

 

「えぇ、承知しました」

 

「ヒャーハッハ――」

「ヒャーアアガアバババアギョオア!!」

「グググギャゴオオオオオオオオ!!!」

 

 騒がしく笑っていた声は次第に理性を無くし、ドラゴンのソレへと変わっていく。

 

「何というまがまがしさ……。フレイさん。このモンスターは危険ですっ!」

 

「それはフォルテさんも同じです。私も戦います」

 

「……っ。…では、共に戦いましょう。この町も、貴方のことも、ヤツの好きにはさせません」

 

 

 竜はその大きな爪を振り下ろしてくるがフォルテのもつ大きな剣に受け止められる。

 

「ぐっ!今です!」

 

 フォルテに気を取られてガラ空きの横腹にむかい攻撃をする。竜も私に気付いたようで3m程度の尻尾で反撃しようとするが跳び上がり、その勢いのまま体重を乗せて剣を振り下ろす。

 

「グギャアアア!!」

 

 悲鳴を上げたたらを踏む竜へとフォルテの止めと言わんばかりに大きな溜めをした横薙ぎの一閃が襲う。

 

 光へと変わった竜は男をその場に残して消える。

 

「く、くそおおおお!!お、覚えてやがれっ!!!」

 

「やつハ……?」

 

「逃げていったよ」

 

「……そうカ……。……悪い、フレイ」

 

「え?」

 

「オレ、ずっと、だまされてたみてえだナ…。それで、セルザウィードのこと、勝手にうらんデ…。オマエのことまデ……」

 

「ダグ……」

 

「…………。…クソッ!……オレは、何をしてたんダ…」

 

「……フレイ、セルザウィードのとこに行こウ。アイツら、ルーンスフィアを奪ったんだロ?だったら……ぐっ……」

「ダグっ!?大丈夫!?」

 

「大丈夫ダ…。それより、アイツのこと見に行ってやらないト…。それに、謝りたいんダ…」

 

「……分かった。でもその前に、ダグはちゃんと休んできて」

 

「でモ……!」

 

「セルザはきっとダグのこと怒ってないよ。だけど、今ダグが無理をしたら、許してくれないと思う」

 

「ダグはあたしが病院で休ませておくよ」

 

「ばあさン……。……なあ、オレ…」

 

「お説教なら、あとでたっぷりしてやる。今はあんたの体のほうが大事だよ。さ、行くよ」

 

「…すまねエ」

 

 ダグはブロッサムさんの肩を借りながらゆっくりと病院へ歩いていく。

 

「フレイさん。私は先に町を見てきます。でなければ、セルザウィード様から叱られてしまいそうですから」

 

「はい、分かりました」

 

「それに……。ヴォルカノンさんにも、ダグさんのことを報告しなければ。ゼークス帝国がなにを企んでいるのか、知る必要もありますからね」

「ですが。彼がそれでもこの町を守ろうとしたということ。私は、そちらの方がずっと大事な事実だと思っています」

 

「フォルテさん……」

 

「では私はこれで。セルザウィード様のこと、よろしくお願いしますね。」

 

 

 セルザのところに急ごう。

 




左手、左目、声、帰り道。うーん、あ、左手戻す代わりにヒトの形貰っちゃお。これで五体満足だね!うれしいでしょ?

ゲートリジェクト君「カイン?人?…いや、知らないっスね…」


カイン君は戻れない、会えない覚悟ガンギマリだったので悲しくはあるけど今は結構楽観的。
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