セルフィアにもう一人オリキャラをぶち込みたくなった話   作:からすま

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十七話

 

 

 2人組のゼークス兵が洞窟へと入ったのを見て後を追いかける。中は発光する水晶が壁や天井から突き出していてかなり明るくなっていた。

 

 洞窟内で2人の声が反響しているので、かなり遠くに居ても聴こえる。進んだら消えてしまう道や、予め設定してある場所へ繋がるワープ装置などがあり、着いていくのに少し苦労する。

 

 かなり進んだ所で沢山の小型モンスター達が収容されている施設があった。モコモコやチロリなどが多く、敵意は持ってないみたいなので檻を壊し解放していく。

 困惑しながら外に出て私に気付くと、足元に集まってくる。しゃがんで出口を指差してあげると、ふわふわな体を押し付けてから走り去っていく。彼等なりの感謝だったのだろうか。

 

 奥には更に大きな檻があったので、それも壊して中を覗いてみる。そこには妖精の上位種だろうか、深緑のように綺麗な髪をした精霊が捕らえられていた。彼女は覗く私を見て小さく悲鳴を漏らし、何度もごめんなさいと言いながら檻の中で縮こまる。

 

「ごめんね、怖がらせるつもりは無かったの。あなたを捕まえた人達は居ないから、今のうちに逃げてね」

 

 敵では無いと分かってくれたのか、恐る恐る檻の外へ出てくる。

 

「洞窟の出口は向こうを道なりに進めば出れるよ。私は貴方達を捕まえた人達を追わないといけないから、出口までは着いていけないの。ごめんね」

 

 そう言ってゼークスを追いかけようとその場を去ろうとしたが、緑色の精霊は私の服を掴んで止めた。キレイな緑の瞳が私を見つめ、意を決したように口を開く。

 

「あの、ワタシも連れてって下さい!これでも魔法は得意だし、貴女の助けになれます!」

 

 驚いた事に、私を手伝おうと着いて行くと言う。

 

「うーん……多分、大変な戦いになるよ。それでも来る?」

 

「構いません!3回回ってワンと鳴けと言われても、靴を舐めろと言われても、肉壁として使われても!」

 

 何か変な覚悟が籠もった瞳で見つめる彼女は何を言っても諦めてはくれなそうだ。

 

「…う、うん。わかった、これから宜しくね。私はフレイ、君の名前は?」

 

「フレイ様…これからはご主人と呼ばせて貰いますね!名前は無いのでご主人が新しくつけて下さい!」

 

 名前、名前かぁ…髪も瞳も着てる服も緑色だし…。うーん…あまり変な名前とか思われるのもなぁ…。

 

「じゃあ、ミドリ、とか…」

 

「ええ!ありがとうございます!このミドリ精一杯ご主人の力になります!」

 

 

 

 そしてミドリを連れた私は洞窟の奥へと繋がっている道を進んでいく。沢山の鉄パイプが道の奥へと続いており、怪しげな機械も増えてくる。

 

「…止まって下さいご主人。この奥に3人…4人のニンゲンの気配がします…」

 

 ミドリに止められ私達は物陰に隠れながら奥を覗く。

「あれは……?」

 

 奥には3人の兵士と白く腰まで届くかどうかの長い髪をした妙齢の男性が紫色の大きなドラゴンを前にして大きな声で何かを口にしている。

 

「おお……!この姿はまさしく、世の理を総べる、ネイティブドラゴンが一柱……神竜プロテグリード……!」

 

「はい。研究途中ですから、まだ完全な形とはいきませんが」

 

「これが……余の求めていた力の一つか……」

 

「陛下! 危険です!あまり近づかないでください!」

 

 陛下と呼ばれた白い髪の老いた男性は止める声も気にせずに竜へと手を伸ばす。

 

「クゥクゥクゥ……これがルーンスフィアの力か…!これさえあれば、アースマイトの力が使える……!」

「すばらしいっっっ!!すばらしいぞっ!!!クゥハーハハハッ!!!!」

 

 ルーンスフィア、アースマイト等の言葉を聞き、これ以上見ているのは危険だと判断して彼らの後ろへと飛び出す。

 

「!?、ご主人!?」

 

「おまえたち!!ルーンスフィアを返せ!!」

 

「何者だ!!陛下、お下がりください!」

 

 陛下と呼ばれた男は目を細めて私を見つめ、何か考えるような仕草を見せる。

 

「…?…貴様、どこかで……おお、貴様…!セルフィアのアースマイトか……!」

 

 どうして私のことを…。記憶は戻っているけど、この男と会った事は無い筈なのに。

 

「こんなところでキサマと会えるとはな……我が名はエゼルバード。ゼークス帝国を総べる者だ」

 

「ゼークスの皇帝……!?」

 

 こんな所まで皇帝自身が来ていることに驚き目を見開く。エゼルバードはそんな私を愉快そうに見つめ口を開く。

 

「セルフィアのアースマイトよ。余のプレゼントは気に入ってもらえたかな?」

 

「プレゼント……?」

 

「ルーンスフィアを持たせた雑兵だ。アースマイト相手には力不足だったとは思うが…先ずは挨拶代わりにと思ってな」

 

「……そのせいで、セルザやダグは……」

 

「ダグ……。……誰だそれは?」

 

「こちらから送り込んでいたスパイの名前です。我々が村を滅ぼした後、情報操作をほどこしたドワーフの」

 

「ふん。記憶にないな」

 

「……それだけのことをしておいて…っ!!」

 

「そんなことより、アースマイト!これを見ろ……!」

 

 エゼルバードは後ろにいる紫色の大きな竜を指差して心底楽しそうな笑みを浮かべる。

 

「ネイティブドラゴンが一柱、プロテグリード!ルーンスフィアの力を借りて、余が生み出した新竜の姿を!」

 

「グゥオオオオオオオ!!!!」

 

「く……!」

 

 途轍もない衝撃波を撒き散らしながら咆哮を上げる。それを両手を広げて見つめるエゼルバードは目を大きく開き感動しているかのようにその身を震わせる。

 

「流石…流石だ!うぬらの編み出した古代魔法は、やはり素晴らしい……!クゥクゥクゥ…!その素晴らしさ、身をもって味わいたいとは思わぬか?」

 

「……!」

 

「見せてみよ、アースマイト。そなたの力で、見事、この神の幻影を打ち破ってみせるがいい!」

 

 エゼルバードはそう言って背後にある扉を開けて何処かへと行ってしまう。

 

「待――「ガァアアア!!」くっ…!」

 

 追いかける私の前に立ち塞がるのは、全身を紫色の鱗で覆い螺旋を描く長く鋭い角を私へと向けた。ミドリは即座に風魔法を撃つが、重く硬いその体には引っ掻いたような跡がついただけだった。

 先の魔法で竜の視線はミドリへと向けられ、その小さな敵を踏み潰そうと大きく足を上げる。気を取られているがら空きの胴体に剣を突き立てるが、ギリギリと嫌な音を立てながら鱗をいくつか切り裂き、ほんの少しだけ進んだ所で刃は止まる。

 

 刃が通っただけマシだが、1度攻撃しただけで刃毀れをおこしていた。何度も攻撃していては、先に剣の方が駄目になってしまいそうだ。

 

 自身の身へと刃を届かせた私を脅威と見なしたのか、口を大きく開けて力を溜める。避けようとした次の瞬間には全身を力の奔流が襲った。吹き飛ばされた私は受け身を取り、傷を確認する。体のあちこちに切り傷ができていた。ブレスには石や土が混じっていてそれによって傷ができたみたいだ。

 

 ミドリは気を引こうと顔目掛けて風魔法、ウィンドを何度も撃ち込むが、竜は鬱陶しそうにその翼で自身に飛んでくる魔法を振り払う。しかし振り払った先にミドリの姿は無く、辺りを見渡す。突然目の前に現れたミドリはその手に風を纏わせていた。

 

「"ペネトレイトウィンド"!!」

「グギャアァアアア!!!」

「どうですか!流石に目までは硬く無――きゃあ!!」

 

 ミドリは翼に隠れながらも顔に近づき、その目へと向かって一際大きな魔法を放つ。竜は悲鳴をあげながら暴れまわり、ミドリはそれに巻き込まれてしまう。

 一際大きな咆哮を上げたかと思うと、天井の崩れて岩が降り注ぐ。私は走り光の魔法を自身とミドリへと使う。

 

「"スパークル"!!」

 

 2人の周囲を光が覆い、降り注ぐ岩を防いでいく。崩落が収まった時、光は4つの球体となり竜の頭を狙って飛んでいく。頭へとぶつかり光は弾けて、その衝撃で竜はフラフラとよろける。痛む体を無理やり動かし、空中へと飛び上がる。狙うは右眼、先程ミドリの魔法を受けた片目へと剣を突き刺す。

 

 竜は大きな声を上げるが次第に静かになって、地響きを鳴らしながらその身を倒す。すると体はどんどんと崩れて最後には灰となって消えてしまった。

 

 

「ふう……ご主人、今お怪我を治します」

 

 こちらへふわふわと近づくミドリへありがとうとお礼を言う。ミドリと力を合わせてなんとか倒せたが、ルーンスフィアは取り返せなかった。あれが量産できて、それが町を襲ってきたらと考えて焦りと恐怖が浮かぶ。

 

 一休みしていると、こちらへと走ってくる影が見えてミドリが私の前へと出る。暗くてよく見えなかったが、近づく影は次第に鮮明となり、アーサーさんだとわかる。

 

 

「フレイさん!ああ、ようやく見つけましたよ」

 

「ご主人、お知り合いですか?」

 

「うん、この人は大丈夫だよ。アーサーさん、どうしてこんなところに…?」

 

「それはまあ、王子ですから。ピンチに駆けつけてくるのは、当然のことでしょう?」

 

「えーと……?」

 

「あー……軽い冗談のつもりだったんですが……」

 

「あ……。な、なるほど。そうだったんですね!」

 

「……すみません。……忘れてください……」

 

「まぁピンチならご主人とワタシの力で乗り越えましたが!!」

 

「本当にピンチが…?何があったのですか?」

 

「あ、はい。実は……」

 

 エゼルバードがルーンスフィアを使いアースマイトの魔法を使ってたこと。その魔法で四幻龍の1体、プロテグリードを生み出した事。ミドリと共に戦った事を話した。

 

「……なるほど。まさか、そんなことになっていたとは…問題はそのルーンスフィアの力ですね。セルザウィード様を支えるほどのものだと、理解しているつもりでしたが……まさか、プロテグリードまで……」

 

「とにかく、ルーンスフィアを取り戻さないと」

 

「そうですね。その目的に変わりありません」

 

「ところで、アーサーさん。町の方は大丈夫ですか?」

 

「ああ、それなら心配しなくても大丈夫ですよ。町にはヴォルカノンさんやフォルテさんたちもいますし、王子の仕事も一段落させてきましたから」

 

「そうですか。……よかった」

 

「ただ、援軍の到着はもう少し時間がかかるでしょうね。セルザウィード様の一大事ということは、国の大事に等しいですから。連絡を受けた王都の方も混乱はしているでしょうし……援軍を派遣させるには、まずそれを治めなければなりません」

「もちろん、手は打ってあります。ですから、フレイさんも、ひとまず町に戻っていただいて、王都からの援軍を待つようにとお伝えに来たんです」

 

「でも、ゼークスを放っておけません」

 

「フレイさん……?」

 

「私がゼークスを追いかけます。少しでも相手を足止めできれば、それだけこちらが有利になりますよね?」

 

「それは……そうですが……」

 

「それに、早くセルザに元気になってほしいんです。またいつもみたいに、くだらない話で笑いあいたい…」

 

 

「…………実は、私からもお願いしようと思っていました」

 

「え……?」

 

「今は相手からの攻撃を警戒しつつ、少しでも多くの情報を集めたい時です。そして、それをお任せするのなら、フレイさんが適任だと私も思います」

 

「アーサーさん……」

 

「実はあれから、ずっと反省していたんですよ。町が襲われた時、私も動揺してしまって判断が遅れてしまいましたから。その結果、何から何まであなたに頼りきりになってしまった」

 

「そんなこと……」

 

「ですから、今度はこの国の王子として、きちんとあなたにお願いしたい。ゼークスを追って下さい。その間に、私は私のするべきことをします。そして、今度こそセルザウィード様を助けましょう。私たちの手で。……必ず」

 

「はい!任せてください!」

 

「よろしくお願いします。プロテグリードを退けたフレイさんならきっと大丈夫です」

 

「……さてと。残る問題は相手の行き先ですが、ルーンスフィアを手に入れたのなら、おそらく自分の国へ向かうはずです。それならば、国境を目指して進んでいるはず……」

「ゼークスとの国境は、紅葉古道から西にある厳冬の大地。ノーラッドの大地の最西端にかかる1本の橋だけです。まずはそこを目指して下さい」

 

「わかりました」

 

「それではよろしくお願いします。ただし、くれぐれも無理はなさらないように。いいですね?」

 

「はい。アーサーさんも」

 

「ええ。それでは、頑張りましょう!」

 

 

 

・・・

 

 

 

 わんわん。

 

 

 近頃ゼークスの兵士が辺りをうろついてはモンスターを手当たり次第に捕まえている。かくいう俺もその被害を受けてしまい、小さな洞窟で身を休めている。

 3人程ならどうにか出来ると思っていたのが次第に5人、10人と数を増やしたので、数の暴力には勝てず逃げるハメになってしまった。

 

 

 そのせいで出歩けず食料が確保できていない。空腹を誤魔化すために今日は寝よう……。

 

 




「さあ、助けに来たよ…キラッ」
「素敵…しゅき…キュン。連れてって!あと踏んで!」
「……えっ、」ドン引き
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