セルフィアにもう一人オリキャラをぶち込みたくなった話   作:からすま

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十八話

 

 

 模造プロテグリードを倒し、ミドリと共に逃げたゼークス皇帝達を追う。そして帝国領へと向かうためにアーサーさんが言っていた通り、紅葉古道の西にある橋を目指した。

 もう日も落ち始め、赤と黄色い葉で色づく森は茜色に染まる。

 

「ご主人!ゼークス兵が見えます!逃げた兵士の1人です!」

 

「わかった!急ぐよ!」

 

 予定通り橋へと辿り着くが、そこには既にゼークスの兵士が先回りしていた。兵士は私を見つけると橋の両端に設置した爆弾に火を付け爆破して落としてしまう。

 帝国領へ行くには橋を渡り国境に連なるマーヤ山脈を越えないと行けないのだが、これでは進めない。ゼークスも困る筈だけど私の足止めをするためにここまでするのか。

 

「空、とか…どうでしょうか?」

 

 確かに、渡れないなら空から直接国境付近まで行ってしまえばいいんだ。

 

 1度町に戻ってアーサーさんの仕事場にお邪魔する。もうすぐ夜に差し掛かると言うのに、まだ書類の山を前に手を動かしていた。

 

「フレイさん?ルーンスフィアの件についてですか?」

 

「はい。そのことでアーサーさんにお願いがあるんです。ゼークスを追っている最中に道をふさがれて先に進めなくなってしまって。空からなら何とか行けると思うんですけど……」

 

「なるほど、わかりました。それでしたら、飛行船を使えるように話を通しておきましょう。飛行船からマーヤ山道の入口へ向かってください」

 

「ありがとうございます!」

 

「いえ。どうかよろしくお願いします。それと、私からもご報告が1つ」

「事態の現状と対策案をまとめて王都に送っておいたのですが、もうしばらくすれば援軍が到着するでしょう。セルザウィード様の大事ということで色々と混乱はありましたが、ようやくそれも収まってきて行動が起こせるようになってきました」

「あとの問題は、ゼークスがどれだけの力を持っているのか、どのようにそれに対抗するか、ということです。ですからフレイさん。改めてゼークスのこと、よろしくお願いします」

 

「はい!」

 

「では、私は仕事に……おや、今日の所はもう暗いのでお互いに休みましょうか」

 

 ミドリをモンスター用にと作った小屋へ案内をして温泉へ向かう。旅館は夜に仕事が終わる人のために遅くまで開いているので、こういう時はとても助かる。

 中へ入ると湯気が少し目に染みる気がした。体を流してお湯に浸かろうとすると、お湯は真っ赤に染まっていた。

 そういえばさっきリンファさんが入浴剤がどうとか言ってたかもしれない…。入ってみるとジワジワビリビリと体が熱くなってきて少し気持ちいい。

 ぼーっとしていると男湯の方から声が聞こえてきた。

 

「おいおイ、もう上がるのか?茹でたニンジンみたいな顔色して、オレはまだ余裕で入ってられるゼ?」

「んだと?……俺もまだ足りないと思ってた所だ。お前だって鍜冶もできねぇ癖に顔真っ赤だな」

「うるセェこのウマ野郎ガ。沈めてやろうカ?」

「こっちのセリフだ。黙って入ってろバカドワーフ」

 

 ……仲良いなぁ…。

 

 

 

 朝には飛行船でマーヤ山道入り口まで行けるように手配されていた。

 新しくバドさんの所で買った槍を持ってミドリと共に乗り込む。操縦士に頼み国境ギリギリまで飛んで貰い、ある程度広い所で下ろしてもらった。

 

 碌に整備もされていないゴツゴツとした山道を進んでいると監視のためなのか、3人のゼークス兵が座り込んで話していた。歩いた拍子に石が転がってしまいこちらに気付かれる。

 

「あいつ!?橋を落としたのにどうやって!?」

「に、逃げよう!報告師に行かないと!」

 

 戦闘になるかと思ったが、3人は一目散に反対方向へと逃げ出した。

 

「まったく!顔見て逃げ出すなんて失礼ですね!オスならタマ張って戦いなさい!」

 

「あはは…とにかく報告される前に捕まえてルーンスフィアの場所を聞かないと」

 

 3人を追いかけるが一本道を岩で完全に塞がれてしまい進めなくなってしまう。しかしミドリが山肌にある裂け目から風が通っているのを見つけ、どうにか向こう側に辿り着く。

 他にもスイッチで開くからくりや落石が絶え間なく落ちてくる谷など、あらゆる手段で逃げていく。

 しかし山を下り、国境の証である帝国へ続く橋の前まで追いつき、これ以上は進ませれないとゼークス兵は立ちはだかる。

 

「もう追いついてきたか……悪いが、エゼルバード様のためにルーンスフィアが必要なんだ」

「ま、まぁ、オレらも命がかかってるしな。というか、俺たちルーンスフィア持ってねえし…」

「そう、すべてエゼルバード様の手の中だ」

「お、おい。それは言わなくていいんじゃないか……?」

「……大丈夫だ。エゼルバード様がこの先の帝国領に居ることはまだバレていない!」

「今ばれたけどね」

「っは! しまった!?」

 

「お前らがマンザイやってる内に、アレが間に合ったみたいだな」

「フッフッフ。お前もここまでだ…来い! フレクザィード!!」

 

「ガァアアアア!!!」

 

 真面目そうなゼークス兵が名前を呼ぶと深紅色の鱗を持ち、背と翼から炎を吹き出しながら四幻龍フレクザィードが降り立つ。敵味方の区別がついてないようで目につくモノをひたすら攻撃していく。

 

「あ、あっぶな……ほら、早く逃げるぞー」

 

 3人はフレクザィードが私に気が向いた瞬間に逃げ出し、すぐに見えなくなってしまう。

 

 新しく使う武器、ブリューナクに魔力を込める。すると自分の意志に関係なく魔力が吸われていく感覚がしていく。槍は次第にバチバチと雷を纏い、今にも弾け飛びそうな勢いがしてくる。

 

「ミドリ!!できるだけ離れて!!早く!!」

 

 これは不味いと思い、近くに居たミドリへなるべく遠くまで行くように伝える。

 魔力が底をつき、体力まで吸われてようやく止まったソレを、こちらへ口を開けて噛み砕こうと走ってくるフレクザィードの喉元へ突き刺す。

 瞬間目を開けられない程の閃光が辺りを覆い尽くしジュッと音がする。恐る恐る目を開くと喉元に拳ほどの風穴を空けたフレクザィードが口を開いたまま灰へと変わっていく。

 

 魔力が枯渇して足に力が入らなくなった私はその場で大の字に寝転がる。岩肌が背中に当たり痛いが、動かせる力が出ない。

 

「ご主人!?大丈夫ですか!?」

 

「な、なんとか……ポーチから水を取ってくれる…?」

 

 心配して近寄ってきたミドリに起こしてもらい、水を飲んで一息つく。

 ……あの人はなんてモノを買わせたの…。剣がボロボロになったので新しくしようとバドさんのお店に行ったら

 

『フレイならこレ使えそうだネ。普段はそのままで、いざッテ時に魔力を込めて攻撃するト……うん、マァ、何とかなるヨネ』

 

 と言われ普通に買ってしまったが、とんでもない曰く付きの武器だったみたいだ。感謝はしてるけど、帰ったら文句言わせて貰おう。

 魔力もほぼ満タンだったのにこれだから、次は使えないし、使うとしても本当に危ない時だけになるだろう。

 

 座ってサンドイッチをもそもそと食べ飲み込む。ある程度回復したのでさっき逃げた3人のゼークス兵を追いかけるために帝国領へと続く橋を渡る。

 

 

 

・・・

 

 

 

 わんわん。

 

 兵士を何人か重症にさせた事でまだ洞窟に隠れている。外にも出れず仕方なく洞窟に生えていたキノコを食ったが、無事に毒に侵される。

 幸い食あたり程度の毒で食べたものを全部吐き出し、水を飲もうと外へ出たが、ついに動けなくなった。

 

 

 飛ぶならもうちょっと豊かな所に飛ばして欲しかった…。

 

 自然界って厳しい。

 

 

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