セルフィアにもう一人オリキャラをぶち込みたくなった話 作:からすま
あとマーガレット可愛い。
……?
「……私は、誰?」
「ハァ!?」
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バギッ!
「!!」
指からの衝撃と音で目が覚める。
音の原因となったのはフレイへと作った『相互の指輪』が壊れた事だった。
指輪が致命傷を半分肩代わりするが一回しか使えず、片方が壊れたら一方も壊れて知らせてくれるものだ。
不味い…寝てから…7時間…寝すぎた!フレイがこんな強行手段に出るなんて。
急いで外に出る支度をする。
纏めていた資料はそのままに、武器、医療品、食料…。途中で騎士団や研究員に声をかけられたが覚えていない。すれ違った同僚にセルフィアに行ってくるとだけ伝えて走る。
不幸なことにすぐに出発できる飛行船は無く、最短でも2時間後になってしまうとのこと。
冷や汗が止まらない。今この瞬間にもフレイが命に関わる傷を負ってしまった状況に居るのだから。
考えている間にも時間が過ぎていく。
ふと思い出したが、成果報告で試験段階だが小型で一人用の飛行船が開発されてるはずだ。それなら大型船よりも数倍は早く着けるはず…。
すぐに準備をして…
「おう、珍しく随分と焦ってるじゃないの」
飛行船の製造が行われてる倉庫へと向かうと自分が騎士団に入った時からの同期が目的の小型飛行船を整備していた。
「悪いが、話してる時間が無い…。今すぐに」「"これ"だろ?もう何時でも出せる。お嬢ちゃんが夜に焦って研究所飛び出してるのを見たときから何となく想像はついてたぜ」
「…!…助かる」
「ったく…、急いじゃいるのは分かるが何であんなせっかちなんだか…。団長サマが行ったあとの報告はしといてやるから、よっしゃ!行ってこい!!」
「あぁ、行ってくる」
同僚の助けも借りて空へと飛び出した俺は風魔法を使って拙い操縦を安定させ、慣れてくるとエクスプロージョンを使い爆風で更に加速する。船の軋む音が聞こえたが、聞かなかった事にしよう。
途中でフレイの乗ったであろう飛行船とすれ違ったが数秒と経たずに見えなくなった。
限りなく空気抵抗を魔法で減らし数分程ぶっ通しで飛ばしていると、遠くに中型の飛行船が見え、下には青い光を放つ欠片が落ちているのが見えた。
あれは…ルーンスフィア!そこにいるんだな!
落ちたルーンスフィアよりもまずはフレイの安否を最優先にする。相互の指輪が壊れたということは一撃で死ぬほどのダメージだと指輪が認識したのだ。
そして次に見えたのは、飛行船から落ちて行くフレイの姿だった。
(…!、なんで)
(まずい、まずい!間に合わない!)
こんな高さから人が落下すれば確実に死ぬ。
しかし此方からでは手が届かない。
「クッソッ!!死なせてたまるかァ!」
これまで船の安定に使っていた風魔法のリソースを全てフレイへと使い、どうにか落下速度を落とすことに成功する。
これで落下死することは無くなり安心した俺は自分の事を後回しにしたツケを取ることになった。
度重なる加速に耐えきれず船体のパーツが幾つか破損してしまい操縦が効かなくなっていた。
しかもこれまでに魔法を使い続けていたので最後のRPを根こそぎ使ってしまい、自分に魔法を使うことが出来ない。
(あぁ、終わったな。フレイが無事かどうかを確認したかったんだが、それも無理そうだ…)
セルフィアは内陸に位置しているため山間部が多い。湖はいくつかあるが、着水できる確率など無いに等しかった。
この日セルフィアには一人の少女と飛行機に乗った男性が一人落ちてきた。
パチパチと火の爆ぜる音が聞こえる。
それに何か鉄の容器を混ぜる音も。
「……?」
…全身が痛い
…あの状況で生き延びたのか…
「おぉ、起きたんだな」
「…な"ぁ」
「あぁ、喋らなくていい。ひどい怪我なんだ。
取り敢えず水だが、飲めるか?」
三十代半ばくらいだろうか。それぐらいの男が鍋を混ぜる手を止め此方に近付いて話しかけてきた。
起き上がれなかったため水筒からゆっくりと口に水を流してもらう。
「そのまま聞いてくれ、お前さんを見つけて処置してから二日程経った。今のお前さんは骨折が数十箇所、見ただけじゃ分からんがその様子じゃ内臓もどうだか…。血も大分流してたから暫くは動けんだろう。悪いが俺は魔法なんてモン使えるほど器用じゃなくてな、応急処置しかできなかった」
それだけでも十分すぎるほどだが…
「あの怪我でなんで生きてるのかよく分からん。まぁ命は助かっても問題はまだあるんだが…」
「ここはセルセレッソ湖って所でな、セルフィアって町が近くにあるんだが…ちと遠い。お前さんを運ぶにもこの状態でモンスターを切り抜けられるかっていうと、流石に無理なようだ」
「どうにか動けるようになったら町へ一緒に行こう。ここから北に行けば直ぐに着くさ」
…左目が見えない。体も動かないし、燃えるように全身が熱い…
ほぼ死体のような男をここまで看病してくれたのだ。物取りでなければ相当なお人好しだろう。
大きな借りができてしまった、どう返せば良いか分からないほど大きな借りだ。
ある程度おとなしくしていればRPも回復してキュア系統の魔法を使えるようになるだろう。
この人には悪いがまずはフレイが最優先だ。
そういえば、名前、教えてもらってないな。
起きているだけでも疲れてきた。名前は起きてから聞こう。
そう思ってまた目を閉じた。
次に起きたのは日が真上に登った時くらいだった。
大分回復してきた。"キュア"
傷の回復をして起き上がろうとした時、思考が固まる。
左腕の肩から先が無くなっていた。
(…っ!!くそ……)
気付いてはいた。地面を押して起き上がろうとした時に腕が動かなかったから。動かないのではなく元からなかっただけなのだ。
墜落して死ななかっただけマシとも言えるだろう。
「あー、その…、すまない。俺もいつ伝えようか迷って言えなかったんだ」
「……ぁ"、」
「あぁ、無理に喋らなくて良い、俺はヤンファン。桶屋を営みながらいろんな所を旅してる。今はセルフィアの家に帰る途中なんだ。
町に着くまでの間宜しくな」
「…カ…ィ"ン」
感謝を伝える様に体を向けて頭を下げる。
名前を言おうとしたが、喉からは声とも言えない音が掠れて出るだけだった。
どうやら声帯も傷つけてまともに声も出せなくなっている様だ。
「カイン…か?いいって、まだ息があるヤツを放っておいたらリンファとシャオに顔向けができないからな」
…家族の事だろうか?兎に角フレイの安否が気になる。町の方で落ちた筈だ。まずは無事を確認するために町に向かいたい。
地面に文字を書いて質問をする。
"助かった。町までどれくらいかかる?"
「ん?んーそうだな、普通に歩いて1日くらいか」
"すぐ向かいたい"
「俺は良いんだがお前さん体はもう大丈夫なのか?」
"構わない"
「分かった。じゃあ肩を貸すからゆっくり行こう」
そういって荷物を整理して湖を後にした。道中にモフモフしたヤツや種を吐いてくるモンスターが居たがなるべく争わないように遠回りしながら町へ向かった。
左目が見えないのと腕が片方無いことでバランスを取るのに少し苦労した。
どうやらヤンファンは戦闘はそれほど得意ではないらしい。モンスターが出ない商人たちの使う道があるらしく、そこを歩いていく。
暫く歩いていると飛行船に乗ってた時に見えた城のような物が見えた。
城?セルフィアは竜が治めている筈だが…
「城が気になるか?あそこには神様が住んでいるんだ。なに、見れば分かるさ」
話している間に町の門へ着いた。結局研究所を出てから3日も経ってから町に着くことになった。町の門近くにアリのモンスターがいたが片腕でも盾が使えないだけなので蹴散らしておく。
「じゃあ俺は広場で桶を売ってるから城に行ってみるといい」
声が出ないので腰を90度まで下げて感謝を伝える。
「お互い様のようだ。お前さんが強くてこっちこそ助かったよ」
別れを告げ城に向かっていく。城には観光客や住人が出入りしている。どうやら謁見をしていたらしい。
神と呼ばれる人にも興味が湧いてきた。
フレイについても何か知っているかもしれない。
城に入るとしても先ずは服をどうにかしなければ。装備屋でもあればと思い町を歩く。広場から出て直ぐに鍛冶屋を見つけた。
「いらっしゃいまセー」
ドワーフか?やる気の無さそうな店主だな。
服を買いに来たことを自分の服を摘んでアピールする。
「おヤ、お客さんボロボロだナ。んー、このキンキラのシャツセットなんてどうダ?」
いや…。流石にそれは…
変なものを売られる前に無難な革と繊維で出来た装備一式を指差す。
「ハッハッハッ!冗談ダ。じゃあこれにベストとマントをつけておくヨ。今着るんだろうから店の奥が部屋になってル。そこを使ってくレ」
店主に言われて部屋を借りる。片腕が無いのに慣れず服を着るのに少し時間がかかってしまった。
お代を置いて、店主に頭を下げておく。
「また来てナー」
(あのヒト、一言も喋らなかったナァ…)
身なりも多少整ったので城へ向かう
中に入って驚いたのが見上げるほどのドラゴンが目の前に居た。
神って神竜の事だったのか。いや、考えればわかることだな。ならルーンスフィアを必要としてるのはこの方か。
この世界にはネイティブドラゴンという四神竜がいる。世界には自然を司るルーンがあり、それが無くなると土地は枯れて、水も出ず、風も吹かない死の土地となってしまう。
そこでルーンを管理しているのがこの四神竜。
セルフィアは土地と神竜のどちらもルーンが枯渇してしまい、土地が死んでしまうということで、アースマイトの一族が研究していたルーンスフィアをこのセルフィアに届けに来たのだ。
他の謁見が終わり自分の番になった。声が出せないので喉を指差しジェスチャーで喋れない事を伝える。
「ふむ、お主声が出せないのか…。よい。しばしそこで待たれよ。…ヴォルカノンはおるか!」
「はっ、ここに」
「何か書くものを用意するのと、人払いを頼む。少し込み入った話をするゆえにな」
「承知致しました」
そう言って老年の執事は5秒と立たずに紙とペンを持って戻ってくる。
「して、お主の腰に下げた剣、王国の者であろう。何があった?」
"ノーラッド王国騎士団、カイン"
"翠玉色の髪をした女性を探しに"
「…ふむ、彼奴の知り合いであったか…。いや至って健康そのものではある。だが実は、そのぅ…なんと申せば…。医者と我も手を尽くしたのだがな…。詳しくはフレイと話してほしい」
「この城の一室を貸している故、町の中、それか城の裏にある畑に居るだろう」
何やら言い難い事情があるような喋り方に不安が募る。健康とは言っていたのに、一体何があったのだろうか。
(体の怪我も後回しに心配など、フレイと親密な関係だったのじゃろうな…。フレイと会わせて良かったかの…)
「セルザ!遊びに来たよ!」
後ろから何年も聞いた愛しい声が聞こえたので振り向く。そこには元気そうなフレイの姿があった。
…あぁ、良かった。助かったんだな…
安堵でその場で崩れ落ちそうになる体を抑えてフレイを見つめる。
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私は3日前に誰かの襲撃で記憶を無くし、飛行船からこのセルフィアの町へと落ちてしまった。
最初は王室関係者に間違えられたり畑仕事させられたりで大変だったけど、記憶の手掛かりを見つけるまでは王子の仕事を手伝ったりしながら生活してる。
無理やりやらされたような物だけど、収穫できると少し嬉しい。町の人達にもおすそ分けしにいこう!まずは拾ってくれたセルザかな。
「セルザ!遊びに来たよ!」
収穫したカブを持ってセルザの所へ遊びに行くと、黒髪の男の人がセルザと悲痛な面持ちで話していた。
あの人、マントで隠れてるけど左腕が無い…?左目を覆うように包帯も巻いてるし、なんだか痛々しい。
「あ、あーっと、お邪魔でしたか…?」
「噂をすれば、とやらかの。丁度良い、御主の知り合いが訪ねて来たぞ」
男の人がこちらを向いて目を合わせた瞬間、言葉に出来ない感覚が全身を震わせる。
なんか、胸が苦しい、痛い…っ。多分私はこの人の事を知ってる…!
「ご、ごめんなさい…。思い出せなくて…。あの、お名前は?」
名前を聞くと男の人は
"カイン"
"久しぶり、フレイ"
震える手で紙を差し出した彼はとても優しい目をしていた。
「此奴は怪我で声が出ないらしい。」
「カイン、さん。私の名前はフレイで合ってたんですね」
何故だろう、すごく馴染みのある名前な気がする…。