セルフィアにもう一人オリキャラをぶち込みたくなった話   作:からすま

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ほんへ、すすめるわよー


二十三話

 

 

 日も沈みかけ、夕日が目に染みる空の中、エゼルバードを倒しセルザの背に乗って帰っていた。

 

「しかし、わらわの目に狂いはなかったな。」

 

「何が?」

 

「そちのことじゃよ。守り人を救い、エゼルバードを倒し、そしてわらわを救ってくれた。そちをはじめて見たときから、内に秘める小さな光を感じていた気がする……今にして思えば、それはわらわにとっての希望の光じゃったのかもしれん」

 

「どうしたのセルザ、そんなくさい事言って…別にそんなことないよ」

 

「いいや、そちは希望の光じゃ。守り人たちに明日を、セルフィアに明日を、そしてノーラッドの人々に明日をもたらした。もっと誇って良いことじゃぞ?」

 

「ううん。エゼルバードを倒したのは人間だよ」

 

「そうか。そうだったな……」

 

「町の人達皆も、セルザを助けたかったんだよ。もちろん私も」

 

「そうか……と、そろそろじゃ。降りるからしっかりとつかまっておれ………フレイ、ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 城の広間へと着地し、お互いに疲れた体を伸ばして深呼吸をした。眠ったままのカインをミドリへと託して2匹も休ませてあげる。思えば最後まで着いてきてくれたミドリにも感謝しかない。

 

「やっっっと帰ってこれた!なんか長ーーーい間、戦ってたみたいだね」

 

「そうじゃな。長い1日じゃった。わらわも……少し疲れた」

 

「セルザ……?」

 

「…………」

 

 余程疲れたのだろうか、難しい顔をして私の声にも気付かないくらいに何か考えこんでいた。

 

「フレイーー!」

 

「マーガレット…!他の皆も!」

 

「町のみなは相変わらずじゃな……」

 

「私、みんなにお礼言ってくるよ。じゃあ、セルザ。また後でね」

 

「……ああ」

 

 マーガレット達の所へ歩いていく中でちらりと後ろを振り返ると、セルザは体を丸めて休む体勢を作っていた。

 

「お疲れさま!フレイさん!」

 

「本当にフレイはよくやったよ。お疲れさま」

 

「いえ、ブロッサムさんも力を貸してくれて、ありがとうございます」

 

「ほら!ディラスも何か言いなよ!」

 

「あ、ああ。まあ、その、なんだ…………おつかれ。頑張ったんじゃねえか…?」

 

「あはは。あいかわらず照れ屋だなあ。こんなときくらい、めいっぱい喜んでもいいのにね!」

 

「というわけで、祝福のベーゼを送りマス」

 

「ポコさんははしゃぎすぎ!!」

 

「なんだか、こうやってると夢みたいですねぇ…………あの、本当に夢じゃないですよね?」

 

「おっト。そんなクローリカにいい商品があるゾ。夢じゃないことを確かめられる、ほっぺたつねった君ダ!」

 

「……それ、名前だけでだいたい想像がつきますけど……」

 

「ところで、ダグの姿が見当たらないんだけど……」

 

「あ……その…………」

 

 ブロッサムさんの一言でエゼルバードの攻撃で堕ちていく飛行船を思い出す。助けに来てくれたのに何も出来なかった私はなんと答えれば良いのかわからず口籠ってしまった。

 

「ま、まさか……」

 

「おい……ウソだろ……!?」

 

 直後私達の頭上を大きな通り過ぎる。視線を向けると黒煙をあげ、ボロボロになりながらも町の船着き場へと向かう飛行船が通っていく。

 

 

「まって!あれ、ダグ達が乗ってた飛行船だよ!」

 

 まさかと思い期待を胸に船着き場へと走る。飛行船の中からはしっかりとした足取りでダグとアーサーさんが降りてくる。服のあちこちは煤に塗れ大変だったことが伝わる。

 

「ダグ!!アーサーさん!!無事だったんだね!!」

 

「ゲホッゲホッ!あったり前じゃねえカ!あんな所ででくたばってたまるかヨ!」

 

「ゴホッ……いやぁ、ギリギリのところでなんとか持ち直しましてね。危ない所でした……」

 

「2人とも……ありがとう。助けに来てくれて」

 

「へへ……まぁオマエにも助けられたからナ」

 

「約束でしたからね。私は私なりに、できることをすると」

 

 

「ダグ!!ああ、ダグ!無事だったんだね」

 

 ブロッサムさんは自身が汚れることも構わずにダグを抱きしめる。

 

「な、なんだよ、ばあさン。大丈夫に決まってんだロ。ちょ、ばあさン。な、なんでそんなくっつくんだヨ、汚れるゾ!?ばあさんってバ!?は、離れろヨ!みんな見てるじゃねーカ!」

 

「テレなくていいのに……」

 

「ブロッサムさんも心配してたんですよ。それくらい良いじゃないですか。それでフレイさん、エゼルバード皇帝はその後…?」

 

「はい!エゼルバードは倒して、セルザも、ルーンスフィアも取り返しました!」

 

「よかった……それで、ルーンスフィアはどちらに?」

 

「ここにあります」

 

「ではひとまずお預かりします。国の人間に連絡して、すぐに設置させますから。もちろん、警備も万全にさせますので安心してください」

 

「よろしくお願いします!」

 

 アーサーさんは3つのルーンスフィアを受け取り仕事場へと向かってしまう。これから報告等もあり休むことはしないのだろう。

 ピコがすーっと浮きながら私の元へと浮いてくる。ドルチェ達もルーンスポットから戻ってきたみたいだ。

 

「フレイさん!すごく心配しましたわよ!……主にルーちゃんが――ぐへぇ」

 

「ピコ、うるさい。……まあ…フレイにしてはがんばったんじゃない…?」

 

「とことん素直じゃありませんわねー」

 

「ありがとう。ドルチェ。ドルチェが無事に帰ってこいって言ってくれて、すごく心強かったよ」

 

「な……!?」

 

「あら。そんなこと祈ってましたの」

 

「ルーちゃんったら、なんて健気なの……!」

 

「ドルチェはとっても優しい子ですからね」

 

「………っ!ちょっと!何勝手なこと!」

 

「なるほどね。そうだったんだー♪」

 

「ちょ……!キール、このことは……!」

 

「大丈夫だよ。分かってるから♪」

 

「そう……ならいいわ」

 

「みんなが誤解しないように、ちゃんと伝えるからね!!」

 

「なんで!?ちょ……待ちなさい!!」

 

 そういえば、ジョーンズさんとナンシーさんはモンスターの治療や診断もやっていたと思い出す。

 

「じゃあ、私はもうちょっと町を回ってきます。あ、後でモンスターの検査をお願いしてもいいですか?」

 

「えぇ、構いませんよ、あのいつも一緒の2匹ですか?」

 

「はい、と言っても黒い狼の方がメインなんですけど…。また後で伺います!」

 

 1番遠いレオン・カルナクへ行ってた皆も戻ってきたみたいで、フォルテが私の手を取り、シャオも怪我をしてないかぺたぺたと身体中を確認してくる。

 

「ご無事でしたか!?フレイさん!!ここに帰ってくる途中でセルザウィード様の姿が見えたので急いで来たのです!」

 

「うん、大きなケガはしてないな。かなり心配したようだ」

 

「騎士として、はせ参ずることができず申し訳ありませんでした」

 

「やぁフレイ、お疲れ」

 

「あ、レオンさん」

 

 2人とは違いゆっくり歩いてきたレオンさんへ向き直って改めてお礼をする。

 

「なんだ?」

 

「力を貸してくれて本当にありがとうございました。もちろん、他のみんなも。みんなのおかげでセルザを助けられました」

 

「俺たちの希望をアンタに託してよかったよ。ありがとうな」

 

 

・・・

 

 

 完全に太陽は沈み町の人達も疲れてそれぞれの家へと戻り休んでいる頃、ふと気になりセルザの元へ向かう。入ってきた私に気がついたのか頭だけを起こして目を開く。

 

「……そちか……」

 

「起きてたんだ」

 

「どうじゃった?みな、元気であったか?」

 

「うん。これで明日から、何もかもいつも通りだって」

 

「全部がいつも通りか……」

 

「うん。セルザが居て、町のみんなが居て――」

 

「それに、そちもおる」

 

「……そうだね。何でもない毎日がとても楽しくて。私はきっと、つまらない話でセルザと笑うんだろうね。それは何でもないことだけれど、きっと凄く幸せな事なんだ」

 

「………………みな、いい顔をしておったか」

 

「うん」

 

「わらわは満足したぞ。最期に、そちらの笑顔を見られてな……」

 

「え……?セルザ……その体……。なん、で……?」

 

「…………もう……わらわは、ここにはとどまれぬ。はじまりの森へと行かねばならん」

 

「どうして……?!ルーンスフィアは取り返したのに……!」

 

「たとえルーンスフィアがあっても、器がなければ与えられたルーンを受け取れぬ……」

 

「……どういうこと……?」

 

「……エゼルバードを倒した時、わらわの肉体は、既にはじまりの森に還っておった。ここに残ったのは、わらわの心じゃ。最期に、みなの顔が見たいと思った、わらわの想いだけじゃ。……そちとも一緒に居たかったしの」

「しかし、残されていたルーンも、そろそろ尽きようとしておる……想いだけでこの形を保つのは、そろそろ限界じゃ……」

 

「お別れじゃな。フレイ」

 

「そんな……そんなことって…」

 

「そう悲しそうな顔をするな。数百年前に死ぬはずだったわらわが、そちと出会えたこと。それだけでもキセキなのじゃ。かつては、守り人とアースマイトの決断を恨んでいたことさえあったが……今は感謝しておるぞ」

 

「そちと出会えて、友達になれて、わらわは嬉しかった。じゃから……笑顔で送り出してくれんかの?」

 

「…………」

 

「そちの友人からの、最後の頼みじゃ。…駄目かの?」

 

「……そんなの……ズルいよ、セルザ」

 

「……すまん。町のこと、たのんだぞ」

 

 ……笑顔

 

「大丈夫だよ。みんながいるから」

 

「わらわが居なくなったら、どうなるか分からんではないか」

 

 ……また、守れなかったのか。

 

「そうでもないよ。セルザは何もしてなかったから」

 

「こやつめ……」

 

「でも………きっと、みんな寂しがる……」

 

「…………そろそろじゃな……そちのこと、忘れんぞ……」

 

 ……また、いなくなる。

 

「私も。……忘れないよ、セルザ」

 

「わらわのことはどちらでもよい……」

 

「どうかな。セルザはさみしがり屋だから……」

 

「大きなお世話じゃ!」

 

「ふふ……」

 

「じゃが……やっぱり、たまには思い出してほしいかもしれん。わらわがこの世界にいたことを」

 

 ……笑わなきゃ、

 

「うん……約束する。私の友達は、さみしがり屋で、強がりで、けれど、とっても優しい、竜の神様だったんだって……みんなに、ずっと自慢するんだ……」

 

「……バカ者め」

 

「ねえ、セルザ……行かないでよ……どこにも行かないで……」

 

「………………別れの時間じゃ」

 

 

 ……セルザの体が光へと変わる

 

 

「セルザっ!待って、行かないでよ!」

 

「……さようなら、フレイ……そちと出会えて、わらわは、本当に幸せじゃった」

 

「ねえ……!」

 

「……また、人を好きになれた……もし、いつか……どこかで出会えるとしたら……そのときは……」

「……ただ、くだらない話をして、……毎日を一緒にすごしたいの……」

 

「セルザっ!!!お願い!!待ってよ!!!」

 

「……ありがとう。フレイ。わらわの最後の――――」

 

 

 何も、残らない。声も、温もりも、光へと変わった。

 

 

「……友達の最期を……笑顔でなんて…………見送れるわけないじゃないか………う…………っ」

 

 

 

 

 

 いつも通りの(セルザのいない)日常

 

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