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諦と十六夜の蹂躙を以て、"ノーネーム"と"ペルセウス"のギフトゲームは終了した。
そして、その結果としてレティシアは今一度、ノーネームへと舞い戻ったのだ―――メイドとして。
「君がノーネームのメイドとなる事に関しては俺からどうこう言うつもりはない。だが、もし俺の部屋に入る時は必ずノックをして声を掛ける事を心掛けてくれ。基本的に俺は研究をするか実験をしているかの二択なので、勝手に入った場合は巻き添えを喰らう可能性があるから気を付けてくれ。」
「黒ウサギみたいにラビットイーターで凌辱されちまう可能性もあるからな。」
「はっははは、十六夜も味わってみるか? 成人向け同人誌のようになるがな。」
「マジすいませんでした。」
乾いたように笑いながら光を殺した目でそう言った諦に、十六夜はすぐさま綺麗に腰を折って謝罪した。誠意をもって、だ。
その他の人間が言うなら冗談として流せるのだが、しかし諦の場合、冗談ではないのだ。ガチでやりかねないから。
ボコボコにされるのならば、まだ良い。だが“凌辱される”のだけは御免だ。男として色々終わってしまう。
ラビットイーターもどきを生み出して黒ウサギが凌辱され掛けた時は大変だった。色々な意味で。
「私はまだ許していませんからね、諦様。」
「いや、元はと言えば黒ウサギが勝手に入って来た事が悪いだろ。部屋に『研究中』と掛けていたにも関わらずにな。」
「うっ、それは…」
諦の言葉に、黒ウサギはたじろいだ。
確かに、黒ウサギが勝手に諦の部屋に入ったというのは事実。研究中と扉に札を掛けていたにも関わらず、だ。
黒ウサギが勝手に部屋の中に入らなければ、ラビットイーターもどきに犯されかける事も無かったのだ。
「まぁ、罪を投げつけるというのであれば、それで良い。俺は狂人という異名が折り紙付きで有るからな。誰も黒ウサギのそれを咎めはせんだろうよ。」
「うっ…」
「諦、言葉が重たいよ…」
「敢えて重たい言葉を選んでるのよ、諦くんは。罪悪感を増やす為にね。」
「良心を傷つける言葉の使い方だな。」
「ふむ…なるほど。諦殿は良い性格、をしているのだな。」
「それが的を得ている。良い表現だ、レティシア。」
まぁ、それはそれとして―――帰るとするか。
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ノーネームへ帰還した共に、ノーネームのメンバー達は外で改めて歓迎会を開く事となったのだった。
子供達が楽しむ姿を眺めている飛鳥達と、空を眺める十六夜。
そして、ノーネームの館の屋根の上に座って、諦はノーネームの皆を眺めていた。
「仲間、などという輪に交わるのは始めてだったんだが…中々良いものだな。このメンバーで魔王へ挑むというのも、良い目標だな。」
柄にもなく。もしくは、らしくもなく。諦は小さな笑みを浮かべて、仲間というものを楽しんでいた。
今の今まで味わったことのないもの。味わおうとしたことも無く、作ろうともしなかった。
そんな仲間というものは、とても面白いものであるというのが、諦の感想だった。
「あれ、諦はどこに行ったの?」
「アイツなら屋根で俺たちを眺めてるぜ。アイツも主役だってのに、何してんだ?」
「…やっぱり、気にしているのかしら。自分が“狂人”である事を。」
少し俯いて、飛鳥が言った。
狂人、異端児という不名誉な称号。詰路諦という人間に与えられた蔑称。
しかし、その称号に、その蔑称に違わぬ人間性と異能を、諦は有していた。
皮肉などではなく、事実。仮想などではなく、現実で。
彼はそのままの意味で“狂人”であり、そして“異端児”なのだ。本人もそれを自覚している。自覚して、生き続けている。
しかし、だからこそ、人から距離を取るのだろう。狂っているが故に、溝を作るのだろう。
子供達から距離を取るのだ。子供達に狂気を感染させぬように。
本人にそんな気など、微塵も無いのだけれども。
しかし飛鳥達は、そう勘違いで考えるしかない。
何故ならば、彼女達は知らぬのだから。詰路諦という人間、狂人にして異端児である性を運命とされた青年の性格と、その生き様を。
しかし、そんな曇りは黒ウサギが蜘蛛の巣を払うかのように散らせたのだった。
「さぁ、皆様。ここからが歓迎会の本番、本日の大イベントが始まります! みなさん、箱庭の天幕に注目してください!」
黒ウサギのその言葉を起点とし、全員が夜空へと目線を向ける。
そして、その目に―――流星を、写した。
ペルセウスというコミュニティは敗北し、失墜したも同然となった。
箱庭において、それが何を意味するのか?
それは―――ペルセウス座の、消失である。
「この星空全てが、箱庭の為だけに作られたもの…か。」
綺麗なものだな、と諦は呟いて、笑った。
十六夜と黒ウサギの会話。あの空に、ノーネームの旗を飾るというロマン溢れる話しが聞こえて、更に笑った。
「滅亡は、まだ先だな。試したいこと、やりたい事が次々と生まれてくるんだ。」
この世界は、前よりも楽しそうだ。
そして、また破滅を呼び覚ます。